2019年10月15日火曜日

アニメ 「昭和アホ草紙あかぬけ一番」

1985年10月~1986年3月(全22話)。






原作は『伊賀野カバ丸』の亜月裕





なぜか少女誌マーガレットに連載されていたこの『伊賀野カバ丸』といい、『あかぬけ一番』といい、当時、夢中で読んでいた自分。


と、いうのも普通の『夢』や『恋愛』を語る少女漫画の中で、亜月裕の書く漫画は超異質だったからだ。




主人公が男なのもだが、そのキャラクターが、また型破り。


『伊賀野カバ丸』の主人公カバ丸は、伊賀の里から『金玉学園』(『きんぎょくがくえん』と呼ぶ。なんてネーミングなのだ!)に転校してくる。


忍者として抜群の運動神経を発揮するし、学園の孫娘との恋愛もあるのだが、そんなものよりも、まず食い気先攻の主人公。


特に、『焼きそば』にかける情熱は桁外れ。


顔のデッサンなんか多少崩しても、口一杯にズル~ズル~と、焼きそばをむさぼり頬張るカバ丸に、(これ、本当に少女漫画?)と思いながらも見ていた。




そんな『カバ丸』は少女漫画の枠を越えて、男性読者も呼びこみ大ヒット。



アニメにもなったし、(アニメは残念ながら24話の短命に終わったが……)




実写映画にもなった。

映画は、千葉真一率いるジャパン・アクション・クラブが総出演。



カバ丸を、当時若手で期待されていた黒崎輝がコミカルに演じ、真田広之やら志穂美悦子野際陽子などが脇をかためて出ていたっけ。(ヒロインは武田久美子



そんな『伊賀野カバ丸』を描いた漫画家、亜月裕を、つい最近まで、すっかり男だと思いこんでいた自分。

(失礼!)女性でした。







そして、その鬼才、亜月裕が次に繰り出したのが、この『昭和アホ草紙あかぬけ一番』なのである。



主人公は、北海道の田舎から出てきた高校生、『丹嶺幸次郎』。


もちろん、アホで調子がよくて、「都会の女子高生のパンツを覗きこみたい!」を、目標にしているような変態高校生。(こんな主人公を、よくもまぁ、少女漫画誌で掲載したものである)



そんな幸次郎が、都会の東京にやって来て、偶然知り合った宇宙人『レル』からミラクルベルトなるものを譲り受ける。


「これをお前にやるダニ!」(なんでも語尾に『ダニ』をつけて喋る変わった4歳の宇宙人レル)

「何なんだ?これ?」

幸次郎がベルトを腰に巻いて中央のボタンを押すと、光が回りだす。



そうして、あっという間に、赤いスーツに身を包んだ『ミラクルヒーロー』に変身した。



このミラクルヒーローになると、常人と比べてパワーが100倍になるらしい。


高く飛び、速く走れる!

力だって100倍パワー!



でも根がアホの幸次郎は、その力を全然正義には利用しない。



「やったぜー!こりゃ、色々利用できるぜー!」

なんて、言いながら、ミラクルベルトの力で、同級生の『一の瀬雪華(ゆか)』の部屋に忍び込み、100倍パワーで、目をギンギンに凝らして、透視しようとするのだった。(全ては雪華のパンティーを見るためだけ。でも普通の思春期の男子高校生なんて、こんなもんですよ)




こんなアホタリ?の幸次郎や、学園の変わり者たちが織り成すハチャメチャ学園コメディーなのだが………。





これでも充分だと思うのだが、原作者の亜月裕は、我々の想像を越えて更に上をいく。





それは幸次郎と一緒に北海道からやって来た愛馬の『ヒカリキン』。



雄の白馬でなぜか?たて髪だけは赤い馬なのだが…………



なんと!この馬、『人語』を喋るのだ!!


幸次郎が「キン公!」と呼べば、

「なぁに?コウちゃん!」と答える。(馬が喋る?そんなバカな?!)




それだけじゃなく雄馬なのに、心は乙女。




そう、オカマの馬なのだ!(スゲェー設定!)



しかも、しかも、立ち上がって二足歩行も出来るし、前足の蹄鉄が入った足で、愛する幸次郎の為に料理まで作ってしまう。(どうやれば箸やフライパンがふれるのか、全く分からないが……)




そして、二足歩行で立ち上がると、股間部分には、当然モザイク処理がはいるのである。(中高生対象の少女誌でいいのか?これ(笑))




一の瀬雪華を追い回す幸次郎を見れば、物陰からハンカチをくわえて、


「キィーッ!あの女ぁー!」

と、嫉妬のジェラシーをメラメラ燃やす『ヒカリキン』なのである。(オカマの馬のくせにねぇ~)




アニメでは、このヒカリキンを声優の玄田哲章さんが演じていて、超おかしかった。




なんたって玄田哲章さんていえば、あのアーノルド・シュワルツネッガーの吹き替えで有名な方。



それが、オネェ言葉で、しかも馬なんですもん!(笑)




こんな『昭和アホ草紙あかぬけ一番』も、当時、毎回楽しく観ていたが、残念!これも僅か22話で終わってしまった。



こんなに面白いのにねぇ~、何でだろ。



たまに今でも、ネット動画で見ても、あの時の面白さは変わらない。




亜月裕は、少女誌の中で異質に光るキラ星。

天才である。

星☆☆☆☆。