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2021年9月11日土曜日

映画 「チェンジリング (1980) 」

 1980年  カナダ。






殺された魂は、その復讐をとげるまで、決して安らぐことはないのか ………



この映画を観終わった後、すぐに、こんなキャッチ・フレーズが浮かんできた。



この映画は、自分が偶然探し当てた映画としては、久しぶりの大当たりだった。(なんで当時この映画を観てなかったんだろう!バカ!バカ!)


そのくらいの大傑作!(配役、演出、カメラ・アングル、ストーリー展開、謎解き、ラストに向けての恐怖感 ……… ああ、何もかも自分好みだ。)




不慮の交通事故で、妻と一人娘を亡くしてしまった作曲家の『ジョン・ラッセル』(ジョージ・C・スコット)。


傷心のジョンは、妻子と暮らしたニューヨークを離れて、ひとりシアトルへ移ることにした。


とりあえずシアトルの大学で音楽の教鞭をとるを事になったジョン。


ジョンの名声の為か、講義を行えば教室は受講生で入りきれないくらい満杯になる。(大人気)


シアトルでは、歴史保存協会に勤めている親切で美人な女性『クレア・ノーマン』(トリッシュ・ヴァン・ディヴァー)を紹介された。


「とにかく住む所を決めないとね …… 」


音楽家のジョンはピアノを弾くので、騒音でご近所トラブルになるようなマンションには、とても住めない。


するとカーマイケル財団が所有する《チェスマン・ハウス》と呼ばれる屋敷が、運良く見つかった。


そこを借りてジョンは住むことになる。


何も問題のないような古びているが広々とした屋敷。


ただ、夜になれば、やっぱりジョンは亡くなった妻子を思い出して、シクシク枕を濡らす日々が続くのだが。(可哀想に)




そんな生活が始まって、しばらく経った頃、ジョンは、夜な夜な何かを叩く物音(カァ〜ン、カァ〜ン …… )に気づき始める。


(配管の故障か?それとも、どこかの水漏れ?…… )


業者に頼んで点検してもらうも、どこにも異常はない様子だ。



そうして、しばらくすると、今度はジョンの耳だけに聞こえはじめる奇妙な囁き声。


助けて … 助けて … 


この屋敷には、確かに《何か》がいるぞ!(幽霊?!)


ジョンはクレアに相談するも、クレアは「そんなバカな!」と最初全く取り合わないのだが、この屋敷の不審な過去を調べはじめると、段々と信じるようになってくる。


「本当に何かいるのかも …… 」


そんな二人は霊媒師を招いて、屋敷の中で降霊会をはじめようとするのだが ………





少しずつ静かに積み重ねていく恐怖に固唾を呑むばかり。


いつしか食い入るように最後まで観ておりました。(こんな体験も久しぶりだ)



降霊会で、霊媒師が口述速記で何十枚もの紙に鉛筆を走らせる場面なんてのは、中々の迫力だ。


「オマエはいったい何者なの?!」


超スビードで、紙の上に殴り書きで鉛筆をはしらせる霊媒師の紙を、ワンコそばの要領で、1枚、1枚抜き取る助手は、あ・うんの呼吸でアッパレの職人技。(もう、スゲー光景である!ジョンもビックリ😵‍💫。)


紙には《ジョセフ》と書かれた名前が見えてくる。(同時にこの降霊会の録音もしてある)


やがて、足の悪い男の子『ジョセフ』が、屋根裏の部屋にあるバスタブで、【父親に溺死させられて殺された!】というショッキングな真相が判明する。(もう、この場面も残酷過ぎて微動だに出来ないくらい)


助けて、お父さん … 助けて …… メダル、ぼくのメダル …… 


《メダル》って何のことだ?


それにしても殺された男の子の名前が『ジョセフ』なんてのは偶然なのか?

今、現在、この町で猛威を振るっている大富豪で議員の『ジョセフ・カーマイケル』(メルヴィン・ダグラス)と同じ名前じゃないか!!


それに、この殺された男の子『ジョセフ』の遺体はどこにあるんだ?!



こんな疑問にぶち当たったジョンは、もはや知らん顔も出来ない。


助手としてクレアを伴って、素人探偵よろしく、事件の真相へと乗り出していくのである ……





私、この主演のジョージ・C・スコットトリッシュ・ヴァン・ディヴァーメルヴィン・ダグラス、監督のピーター・メダックに関する事を、まるで何も知らなかった。



大体、自分の好む映画の選び方ってのがあって、


「あの知ってる俳優さんが出ている」とか、


「あの監督が撮った他の作品は?」とか、なので、知らない監督や知らない俳優ばかりの映画なんてのは滅多に選ばない。(今まで大体失敗してるし、ある種冒険なのだ)



そんなので、ず〜っと地続きで選んでいる中、なぜか?この映画だけにはフラフラ〜と不思議に引き寄せられた。(こんな風に書くと、この映画のように不気味な感じがするだろうか (笑) )



とりあえず、この映画が、あまりにも自分好みの傑作だったので出演者や監督について多少調べたので、サクサクっと短く書いておこうと思う。



ジョージ・C・スコット …… けっこう有名な俳優さんらしい。それに中々の変わり者。



なんせ、アカデミー賞で主演男優賞を受賞しても「別に要らない!」と辞退してるのだから。(相当な変わり者でしょ?)


それから何度もノミネートされても、アカデミー賞を無視、無視。


「あんなのくだらないお祭り騒ぎさ」(アカデミー賞の権威が廃れた今、この人先見の明があったのかしら?)



クレア役のトリッシュ・ヴァン・ディヴァーさんとは、1971年の映画『ラスト・ラン /殺しの一匹狼』で知り合い、ご結婚。


それからも夫婦二人で、この『チェンジリング』のように度々共演を重ねたようである。




メルヴィン・ダグラス……この映画では、すっかりヨボヨボおじいちゃんのダグラスさんだが、あのグレタ・ガルボジョーン・クロフォードのいた時代から共演して活躍していたらしい。(さすがにグレタ・ガルボは知っていても、あんまり作品は知らんわ)



この『チェンジリング』では、高圧的でふんぞりかえったジョセフ・カーマイケル議員役。(ほぼ晩年の作品である)



ピーター・メダック監督……90年代の珍作、レナ・オリンの『蜘蛛女』の監督だったらしい。(なんとなく覚えてるけど。相当変な映画だった記憶が …… )


『スピーシーズ2』なんてのも撮ってるとか。(これも《2》まではさすがに観ていないかも)


謎の宇宙外生命体と人間のDNAを合体させて、特殊な第3の生命体を作りだす話じゃなかったかな?(なんか続々とシリーズが続いた記憶があって、根気のない自分は観る気が失せた)




こんな豆知識を調べてみて、いちいち「へ〜」、「ほ〜」なんて感心する私。


そんなのを知っても、この映画自体の評価は全く変わらないんだけど。




映画の後半も、見せ場がたっぷり。


埋め立てられた古井戸から見つかった白骨遺体や、メダルの発見。(どうやら教会での洗礼メダルだったらしい)


本物とニセ物のジョセフ取り替えの真相など、ハラハラ、ドキドキものである。(やっぱりニセモノだったのね)



そうして真相に近づいたジョンに、《ニセ者のジョセフ》=《カーマイケル議員》は警察の力を使って、ものすごい圧力をかけてくる。



「見つけたメダルを、こちらに渡して貰おうか!」


カーマイケルの手先になって乗りこんできた警部は、いけしゃあしゃあとジョンに、こんな尊大な要求をしてくる。

それを、断固「NO!」の返事で突っぱねるジョン。


「令状を持って家宅捜索するぞ!待ってろよ!」と、カッカしながら出ていく警部。



だが、しばらくするとクレアから、家に居るジョンに電話が。


「さっきの警部さんの車が突然道端で横転したのよ!もちろん即死よ!」(ゲゲッ!何てこと!! これも霊の仕業なのか? どんだけ凄い事が出来るんじゃ、この霊は?!)




そうして、ジョンは今まで集めた証拠を持って、カーマイケル議員の屋敷へと乗り込んでいく…(最後の直接対決だ!)



もう、何から何まで、この映画に惚れ込んでしまった私。


怒涛のラストまで完璧である。



私の評価は、ここまで絶賛しているんですもん!もちろん星☆☆☆☆☆。


今の時点で、今年観た映画では一番かも。


オススメしておきます!(こんな映画を刑務所で見せればいいのに。きっと犯罪の再犯も減るはずである)


2021年5月19日水曜日

映画 「サイレント・パートナー」

1978年 カナダ。




気がつけばエリオット・グールドの出演作を追い求めて、たま~に観てみる私。


不思議な人だ。


長~い顔に、さらに長~いアゴを持つエリオット・グールド


濃い髭そり跡に、モジャモジャの黒々した髪の毛で、こんな見た目のグールドは、お世辞にもハンサムとはいえない顔立ちだ。(失礼だけど)



それじゃ演技の方はどうかというと、これも、ごくごく普通な感じがする。


こんな《普通の人》であるエリオット・グールドの主演する映画が「大ヒットした!」なんて話を聞いたこともないのだけど、不思議と主演作や出演作は途切れない。


で、今日に至るのだ。



派手なハリウッドの世界で、エリオット・グールドは《すき間産業》を地でいくような、お人なのである。(こんな《普通さ》が、かえって逆に目立つのかもね)



そんな《普通の人》エリオット・グールドは、この映画では、これまた、ごくごく普通の銀行員役🏦。(一応、主任だけど)



真面目が服を着ているような『マイルズ・カレン』(エリオット・グールド)なんだけど、取りあえずは同じ銀行で働く意中の女性『ジュリー』(スザンナ・ヨーク)がいたりもする。


でも、相手には見向きもされないけど。(目下、ジュリーは銀行の支店長と不倫中)



家に帰れば、趣味で集めた水槽の熱帯魚をボ~ッと眺めるだけの味気ない日々。(熱帯魚集めが趣味とは……とことん地味である)



マイルズの勤める銀行は、いくつものテナントがならぶ、巨大なショッピング・モールの中にある。



もうすぐクリスマス🎄が近づいていて、プレゼントを買い求める客たちで、店内は埋め尽くされている。


そんな状況なので、モールの中にある銀行も大繁盛。


金を預ける人や引き出す人の群れで、連日ごった返しているのだ。(まだ、ATMなんてのが無い時代ですから)



そんな折、マイルズは銀行の閉店間際、捨てられた小切手用紙に、指でなぞられた奇妙な文字を見つけてしまう。


銃を持ってるぞ!金を全部出せ!!🔫


(何だ?こりゃ?!誰かのイタズラか?!…)


特徴のある羽上がった《G》のアルファベットの文字は……はて?この文字をどこかで見た覚えがあるぞ………


そうだ!思い出した!!


エレベーターの側にいつも立っているサンタクロース🎅の扮装をした男が持っていたプラカードだ!!


あの《G》の文字にそっくりなのだ。


(それじゃ、あのサンタクロースの格好をした男が、目の前にある、うちの銀行を襲うつもりなんだろうか?………)



見た目は普通に見えても、機転がきくマイルズは、その日から、そのサンタクロース🎅にジッと目を光らせはじめた。


そうして、とうとう、ある日、あのサンタクロースの男が、用紙を片手に銀行の窓口にやって来たのだ。


それもマイルズいる窓口に!



そっと差し出した用紙には、案の定『銃を持ってるぞ!金を全部出せ!』の文字が書かれている。


サンタの男は、右手をポケットにつっこんでいて(銃を握りしめているぞ!🔫)とマイルズに合図してきた。


マイルズは店内にいる他の客たちに気づかれないように、札束を取り出すとサンタは、それを慌ててポケットにしまいこむ。


「下にある金もよこせ」


小声でサンタがマイルズに耳打ちすると、マイルズは受け付け下のドル札の一枚を、そっと抜き取った。


それと同時に、赤い警報ランプ🚨が点滅する。


警備員が気がついて、「強盗だー!!」と叫びだした。


驚いたサンタは、目くら滅法に発砲すると、人混みをかぎ分けて、一目散に走り去っていった。



その夜、サンタクロース強盗のニュースは、瞬く間に世間に広がり、大々的に放送された。


「恐ろしかったでしょう?大丈夫でしたか?」


「えぇ、まぁ……」


襲われたマイルズの顔がテレビ画面に映し出され、《サンタ強盗が盗んでいった4万ドルの行方は、今、いずこへ?》なんてアナウンスが流れている。



大勢の人々が、そんなマイルズ・カレンに同情的になるのであった。


ただ、一人をのぞいては……


「冗談じゃない!俺が掴まされたのは、はした金だ! あの野郎が俺に罪をきせて、上乗せした大金をネコババしやがったんだ!!


もう、怒りまくりのサンタ強盗=『ハリー・レイクル』(クリストファー・プラマー)。


そう、強盗ハリーの推理どおり、マイルズは銀行強盗の騒ぎを利用して、4万ドルの金をチャッカリと自分の懐に着服したのだった。


それを自分の働いている銀行の貸金庫に隠すと、今度は金庫の鍵を、自宅の冷蔵庫のジャムの瓶の中へと、ポトン!(まぁ、気が利いてるし、用心深いことよ)


(俺にこんな大胆な事が出来るなんて……)


すっかり変な自信?がついたマイルズは、心なしか他の事でも積極的になり、ジュリーにも大胆にアプローチしはじめてくる。


「あなた、なんだか雰囲気が変わったわ」


そんなマイルズに、とうのジュリーの方も満更イヤではなさそうな様子である。(不倫中なのに簡単になびいてくる、この女もいかがなものか?)


だが、こんな状況に、あの強盗犯ハリーが黙っているはずもなく……




この映画、とんだ拾いモノだったが、まぁまぁ面白かった。

面白かったんだけど、当時ヒットしたのかな?これ?(今まで知らなかったけど)


最初に書いたように、エリオット・グールドはハンサムな顔立ちでもないし、普通なんだけど、この映画のエリオット・グールドは、なぜか?超モテモテである。


最初はなびかなかった『ジュリー』(スザンナ・ヨーク)にも急に好かれるようになるし、


金の在りかを聞き出す為に、強盗犯ハリーが送り込んだ情婦でスパイの女性『エレイン』(セリーヌ・ロメス)さえも、ミイラ取りがミイラになってしまって、マイルズの魅力にメロメロ状態になってしまう💖。


そんなエレインなんか、「気をつけて!」なんて言いながら逆にマイルズの方へ寝返っちゃう始末。


おまけに、金は頂いてしまうは、機転が利いていて頭は良いわ………


ちょっと、あんまり「エリオット・グールドを持ち上げすぎなんじゃないの?」ってツッコミを入れたくなるほどである。




片や、この映画では準主役のクリストファープラマーはというと…



この人の顔こそハンサムと言っていいほど、整った顔をしてるんじゃないのかな。

金髪で彫りの深い顔立ちで。



つい最近、ダニエル・クレイグ主演の『ナイブズ・アウト』で富豪の小説家役をしていたプラマーも、その後亡くなってしまったけど(合掌)、若い時のプラマーは、中々のイケメンさんで、マイケル・ケインにも似た感じがする。(なんたって『サウンド・オブ・ミュージック』ではトラップ大佐役ですもんね)


この映画『サイレント・パートナー』で、それまでのイメージを払拭したかった、という事だけれど……結果、これが良いイメージ・チェンジになったのか、どうか…。



なんせ、この『ハリー・レイクル』という役が、まるでダメダメ最低人間なんですもん。



イライラして、鬱憤が溜まると平気で女に暴力をふるったり、足で女性の顔を踏んづけたり👣もする最低男。(ゲゲッ!)


おまけに、情婦のエレインなんかは、むごたらしく殺してしまうし。(まるでダリオ・アルジェントの映画みたい)



強盗犯で、DV男、それに殺人犯……。


これで知能犯として、少しでも頭さえ良ければいいのだが、この『ハリー』は、根っからの《トンマ》《お馬鹿さん》ときてる。



実際、この強盗の計画も、最初からマイルズに気づかれるようなドジをふんでいるし、そもそも計画自体がお粗末。


単独で変装して、「銃を持ってるぞ!金を出せ!」ってやり方も、素人目にみても「アホか」って話なのだ。


こんなハリーは、まるで学習能力がないのか…最後は女装して、もう1度同じ手口で銀行強盗に入るのだが、今度は警備員に撃たれて、あっけなく死亡。


醜い最期をさらして死んでいくのである。



悪役が、卑劣でも残忍でもいいけど、

お馬鹿さんだけは、いくらなんでもいただけないかも (笑) 。



でもクリストファー・プラマー本人は、この最低ダメ人間を演じてみて、その後の俳優人生に、ひとすじの光明でも見つける事ができたのだろうか。


今となっては知るよしもないが……。



この映画を観ると、俳優たちにとって、生まれた時代ってのは大事なんだ、とつくづく思ってしまう。


エリオット・グールド、クリストファー・プラマー、もし、この二人が、あと20年くらい早く産まれていたとしたら……



ハンサムでもないエリオット・グールドは、間違いなく主役にはなれないだろうし、


クリストファー・プラマーのイケメンぶりは、スターシステムが健在だったハリウッドの力で、グレゴリー・ペックやゲーリー・クーパーみたいな扱いになっていたかもしれない。(もちろん、こんなゲテモノみたいな役をするはずもない)



その時代の人々の趣向や価値観などが、俳優たちの配役や人生をも、大きく左右する。


そんな風な事を考えてしまった『サイレント・パートナー』なのでございました。


長々とお粗末さま!


星☆☆☆。

※この長~い顔も、見慣れてくると味わい深くなってくるから、ホント不思議だ。


2019年7月15日月曜日

映画 「大いなる休暇」

2003年 カナダ。







誰も使わなくなった寂れた漁船が、あちらこちらの岸壁にうちあげられている。


ここ、カナダ、ケベック州サントマリ・ラモデルヌ島。




年老いたジェルマン(レイモン・ブシャール)は、古きよき昔を回想していた。

「昔はよかったなぁ……」


ジェルマンが子供の頃、島は活気があり、親たちは朝も明けぬうちから暗い海の中、漁に出ていった。


決して暮らしは楽ではなかったが、それでも働いた後は充足感で満ち溢れている。

家族は揃って食事をする。


そうして、陽が沈めば、父親たちは妻を抱く。


島は陽が沈むと、あちこちの家も似たり寄ったりで、同じような喘ぎ声が漏れはじめる。(なんせ娯楽らしいものが一切ないので、楽しみといや、『スル』事しかないのだ)


そうして《事》が済めば、それぞれの家の窓に灯りがともされ、男たちがその満足感で一服する姿が映りだされている。(ハイ、ご苦労様)


それから時が過ぎて、この島も変わっていった……



漁に行っていたものは次々と老いて亡くなり、若い者は仕事を探してさっさと島を出ていった。



そして、今は人口125人。



年老いて仕事もなくなった残された島民たちは『生活保護』のお世話になっているのだ。

もちろん、ジェルマンさえも ………




「あ~空しい……」

でるのは溜め息ばかり。



ジェルマンの妻も、「こんな暮らしはイヤ!街に出て働きに行く!」という始末。

「まぁ、待ってくれ。わしがなんとかするから!」となだめるも、ジェルマンに良い策があるわけでもない。



そんな折、この島に大規模なプラスチック工場建設の話が持ち上がる。


やったー!

工場が出来れば、仕事も出来る!

仕事が出来れば、島に活気が戻ってくるはずだ!



ただ、ひとつ問題が…………


工場を建てるには、島に『医者』がいる事が必須条件なのだ。


もう、何年も、この島には医者なんていやしない。

「どうする?」

「どうしよう?」

ジェルマンと島民たちは考える。



「いや、きっと、この島に来てくれる『医者』がいるはずだ。皆で探そう!」


ジェルマンの呼び掛けに、なりふり構わず医者という医者に手紙を書いて投函する島民たち。

だが、届いた手紙を目にした医者たちは、

「何だ、これ?」っと言いながら、ポイッ!と速攻で屑籠行き。


毎朝、郵便局の女性に訊ねるジェルマン。

「返事はきたか?」

「何もないわよ」

こんな日々がしばらく続き諦めかけた頃、島を出ていって警察官になった元町長の男から連絡が。



「『医者』が見つかったぞ!」


若い医者の名は、クリストファー・ルイス(デヴィド・ブータン)。

なんとか、この医者ルイスに島を気に入ってもらい定住してもらおう。

ジェルマンと島民たちは策を練りはじめるが………






監督も出演者も誰ひとり知らない、この映画。



何だか最近、個人的な事でゴタゴタが続いていた自分は、ただ、この『大いなる休暇』のタイトルだけに惹かれて観ることにしたのだが……



全然、休暇じゃないじゃん。(笑)



みんなが、「働きたい!」と望む映画じゃん。



まぁ、医者が来るまでの間が長~い休暇だったといえば休暇なのだが。


後、この映画、出演者たちがフランス語を喋ってるので、てっきりフランス映画だとばかり思っていたのに、よくよく調べればカナダ映画だったとはね。


この映画に限っては、美女やイケメンを期待なさるな。


見事に赤ら顔のオッサンや髭ボーボーのじいさんたちばかり。

若い医者や郵便局の女性も出てるが申し訳ないけど、それほどでも ………



オッサンやじいさまたちの奮闘で果たして医者は定住してくれるのか?


その奮闘の間も、ユル~イ時間が流れていく。



まぁ、たまには、こんなながら見の映画もいいかもしれない。


星☆☆☆くらいかな。

※《蛇足》島のオッサンたちも、若い人を呼び込みたければ、髪を整えて髭も剃って身なりをピシャリ!と整えましょうね。

ホームレスのような年寄りばかりがウジャウジャいる島に、自分なら絶対に住みたくはないけどね。(笑)

2019年5月5日日曜日

映画 「処刑教室」

1982年 カナダ。








原題は『class of 1984』。


1982年公開なのに、映画の舞台は1984年。(わざわざ2年後にする意味って何?)





音楽教師『アンディ・ノリス』(ペリー・キング)は、意気揚々として、新しい赴任先のエイブラハム・リンカーン高校へ向けて、車を走らせていた。

車を駐車場につけると、同じ学校で生物学の教師『テリー・コリガン』(ロディ・マクドウォール)と一緒になった。




だが、コリガンがアタッシュ・ケースの中に銃を携帯している事に、ビックリ。

「ここでは普通のことさ」

そんなコリガンは、悪びれた風でもなく淡々としている様子である。



登校中、派手な身なりの学生たちが次々とやってきてノリスは目を疑った。



入り口には、数名の警備員たちがいて、金属探知機のゲートまである。

ナイフや武器を隠し持っている生徒たちを、いちいちチェックしているのだ。


(これが高校生?何なんだ…?! この高校はいったい……)


ノリスが校長室に呼ばれると、監視カメラのモニターを見ながら、校長が、「西側でマリファナを吸っているのが2名いるぞ!」と警備員たちに指示をだしていた。


もう呆気に取られるノリス。


「この学校では授業は仕事の一部にすぎない。君にも廊下とトイレのパトロールをしてもらう」校長はそれだけ言うと、ノリスを追い払う仕草をした。



(とんでもない学校に赴任してきたものだ………)


ここまでくると、ノリスも、そう思わずにはいられなかった。



ノリスが音楽の授業に向かうと、教室の壁は、至るところにスプレーの落書きだらけ。


真面目な生徒も数人いたが、一目でガラの悪いと分かる連中が足を投げ出しながら、新任のノリスをニヤニヤ顔で見つめている。



名簿を見ると全く関係ない生徒が紛れ込んでいるのが分かった。

「君たちは出ていってくれ!」

ノリスが叫ぶが悪漢たちは素知らぬ顔。



「ねぇ、邪魔しないでよ!」一人の真面目な女生徒が言うと、「うるせぇーぞ!引っ込んでな!」とボスらしき男が立ち上がった。


その男、『ステッグマン』(ティモシー・ヴァン・パタン)は、ノリスを睨み付けると仲間と共に教室を出ようとした。


「ちょっと待て!君はこのクラスだ!君は残るんだ!」ノリスの制止の声に、ステッグマンは、罵声を浴びせると、仲間と共に出ていった。





トイレや学校の至るところでは、コカイン、マリファナなどの薬物売買。




はては、その薬欲しさに売春までも横行している。

警備員がいながらも、悪行や犯罪があちこちで満ち溢れている高校。




悪の巣窟、『エイブラハム・リンカーン高校』……ノリスの登校一日目は、こんな風にして終わったのだった ……





もう、本当に、やりたい放題が横行する、こんな学園に映画とはいえ呆れた。(よく廃校にならないものだ)




日本の「スクール・ウォーズ」なんてドラマもあったが、もはや、スポーツなどで、どうこうなるレベルじゃない。





真面目な生徒に、薬を売って、その生徒は副作用で、星条旗のポールによじ登って転落死してしまうし、

ノリスは、自宅前に停めてあった車に火炎瓶を投げ込まれて爆発させられるし、


真面目な生徒『アーサー』(まだ売れる前のマイケル・J・フォックス)は刺されて意識不明になる。(可哀想なマイケル)





生物教師『コリガン』(ロディ・マクドウォール)は、生物室で飼っていたペットを残忍に殺されて理性までも失ってしまう。
(ここまで書くと、本当に無能な警察は、高い税金貰って、何をしているんだ!と言いたくなってしまう。)


「コイツらには、こうするしかないんだ!!私の大事なペットを殺しやがって!!」

不良たちに銃を向けながら授業をするのも分かる気がする。(あわやというところでノリスや警備員に取り抑えられるが)




そして、もはや道連れとばかりに、不良グループに車で突っ込んで行き、自ら自滅するのは哀れ。





でも、真底腐りきったこの連中が、ここでおとなしく引き下がるわけがない。



このステッグマンと仲間の不良たち、今度はノリスの妻を、集団レイプして、連れ去ってしまうのだ。(もう、こんなの『鬼畜』以外の言葉が見つからない)




最後、我慢の限界を超えて、怒りに燃えたノリスが報復するのも当たり前だ!



殺人マシーンと化したノリスには怖いものなどない!


「お前らは、もう人間じゃない!!来るなら来い!!」


襲ってきた不良を、工作室で、むかえうち、回転する電気ノコギリに、不良を押し付ける。(ヒェーッ!)




駐車場では、ガソリンを床に撒いて、不良を待ち構えていて、バーナーで一気に点火する。



床に伝わった豪炎は、不良の足元まで、アッという間に伝わり、「ギャアァー!」と地獄の断末魔の悲鳴をあげながら丸焦げ!🔥(ノリスに敵なし!)




体格のいいジャイアンみたいな男は鉄パイプで滅多うちで即死させる!(もう、手加減なんてするもんですか、ボッコボコ!)



派手なケバイ女はノリスを牽き殺そうと車で突っ込んで来るが、ノリスが避けると壁に激突して、天井に吊り下げられていた車が真上から落ちてきて、ペッチャンコ。(これは自業自得!)




そうして、最後、ボスのステッグマンとの屋上の格闘。




人質にされた妻を切りつけようとするステッグマンに、命がけで飛びかかるノリス。



大乱闘の殴りあい!

ボスのステッグマンが、格闘のすえ、屋上にあるステンドグラス窓から転落する。



それでも、命からがら片手でロープに捕まりながら、

「ねぇ、先生助けてよ!まだ、未成年なんだよ!」って命乞いをしても(何を今更、誰が助けるかよ!ボケが!)と思ってしまった。



それでもノリスは教師。



手を差し出して引き上げようとするが、ポケットからナイフを出して切りつけようとするステッグマン。(ほれ!見たことか!コイツらに慈悲の心なんて、いらないのだ)



その後、手をひっこめたノリスに、自業自得のステッグマンは、まっ逆さまに転落しながら、ロープが首に絡んで、首吊り状態。


そして絶命。
(ザマーみろ!つい叫んでしまった!!)



ノリスは、なんとか妻を助けだし、映画はエンドマークとなる。



なんだか最初は、呆れ返りながら観ていたのに、気がつけば、だんだんノリスに感情移入していき、最後には一緒に怒り、闘い、エンドマークがでると、((;´Д`)ハァハァ)疲れきってしまった。



そのぐらい夢中になって、手に汗して観ていたんだろう。

そんな自分にもビックリ。




でも、こうも思った ………

こんなの、絶対、今の地上派で放送なんて無理だろうとも ………(よく放送できたよ。時代が時代とはいえ、当時に ……( ; ゜Д゜))




ここで、いつものように出演者についてダラダラ書いてみようと思うので(またか!、と思う人もいるだろうが…)お付きあい下さいませ。





ペリー・キング ……主人公ノリス役。

この人、凄いハンサムである。



この人のハンサム具合を見たい方は、『マンディンゴ』をお薦めする。

黒人奴隷を扱った映画だが、あまりのハンサム具合に、奴隷の女性たちも進んで自らの処女を捧げるくらいなのだ。(映画はキワモノ的で酷評されたらしいが、ちゃんとDVDも出ているらしい)


もう少し人気が出てもよかったはずだが、あまりその後は、出演作に恵まれなかったか…。



それでも今ではダンディーな71歳のおじ様になっている。(やはりハンサムは歳をとってもハンサムなのだ)







ロディ・マクドウォール ……途中で理性の高がハズレて、いっちゃった生物教師役。



『猿の惑星』では特殊メイクゆえ顔さえ分からず、こんな映画でもあまり良い扱いされていないし、トコトン不遇な方でした。あ、そうそう、クリスティーの『地中海殺人事件』にも出ていましたっけ。


この人の若い頃を見ると、アニメ『トイ・ストーリー』のウッディに似ているように見えてしまう自分です。






マイケル・J・フォックス ……『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でブレイクする前のマイケル。

丸々ぽちゃぽちゃしている。


身長の低いマルマル(失礼!マイケル)が、不良に絡まれているシーンは、ほんとにイジメにあっているようで可哀想。



それから数年後、一世一代の当たり役がめぐってくるとは ……

でも、その後にくる難病との闘い … 人の人生分からないものである。




そして、この後、この映画には、続編、さらに続編が出来たのを知っているだろうか?




『クラス・オブ・1999』と『クラス・オブ・1999 Ⅱ』なる作品。



「もう、この不良たちに立ち向かうには、生身の教師では無理だ!」って事で、いきなりSFの世界。(?)


『アンドロイド教師』と不良たちの殺戮バトルになっていくのだ。(不良でも生身だよ!圧倒的にアンドロイド教師が強いに決まっているじゃないか!)


出演者もすべて変えて、なんじゃコリャ~!

映画『処刑教室』にハラハラ、ドキドキした自分は、いったい何だったのか ………



別物!そう、別物です!




あ、そうそう、『処刑教室』でしたね、星☆☆☆☆です。

(でも、ゲテモノ見たさに『クラス・オブ・1999』も観てみたい気がする私です)

2019年4月26日金曜日

映画 「真夜中の処刑ゲーム」

1982年 カナダ。







その昔、日曜洋画劇場では、淀川長治先生が、興奮して、大絶賛して解説してました。



「まぁ、怖いね、怖いね。皆さん今日は怖い映画『真夜中の処刑ゲーム』をお送りしますよ。」

(何故か?2度繰り返す淀川先生の解説に視聴者は引き込まれたものである。)




「監督はポール・ドノヴァン、ポール・ドノヴァンですよ。この監督は、映画を良く勉強してるねぇ~。偉いねぇ、偉いねぇ~。」

(カナダの無名の監督なんて、誰も知らないのに、何故か引き込まれる名解説)




「男が殺人を、殺人を目撃してアパートに逃げ込むんですよ! 逃げろ!逃げろ! そこには男女5人がいました。でもギャングたちが命を狙おうとやってくる。怖いねぇ、怖いねぇ~。」

(???)



「さぁ、皆さんご覧なさい!また後でお会いしましょうね。」




全然訳の分からないまま、始まる映画。

でも淀川先生の熱意や絶賛する気持ちが、ブラウン菅から、観ているこちら側にも伝わってくるから不思議であった。






1981年、カナダでは、警察官が賃上げストライキにはいり、町という町は無法状態と化していた。



取り締まる警官がいない町では、暴走族たちが暴れまわり、店という店も閉まっている。

町中は異様な静けさで、人っ子一人歩いていない。



だが、夜のゲイバーだけは開いていて、その手の人々が集まり慰めあっていた。(こんな時は家でじっとしてなさいよ (笑) )




そこに、こん棒を握りしめた悪い輩の団体が、突然乗り込んできた。

「俺たちは自警団だ!俺たちが、今夜から法律よ!オ●マども、思い知らせてやる!!」

笑いながら、やりたい放題で暴れまわり、男たちはバーテンダーをいたぶった。




「やめてくれ!やめてくれ!」

叫ぶバーテンに容赦などせず、獣のようにいたぶり続ける男たち。(※警察がストライキ中だからといって、いきなりこんな輩が現れて、好き勝手に暴力や破壊の限りをするなんて……どれだけ治安の悪い町なんだろう…)


やがて、ピクリとも動かなくなったバーテンダー。


裏返すと背中には、割れたグラスが突き刺さり死んでいた。



「お前ら、とんでもない事をしてくれたな……」

暴れまわった男たちの後ろから、ボスらしき男が現れる。




「こうなりゃ、ここにいる全員を口封じの為に始末するしかないな」

冷静なボスのケイブは、サイレンサー式の銃をとりだし、一人一人を縛り上げ、次々と関係のない店にいる客たちを、頭にクッションを押しあてながら殺しはじめた。(なんて極端な!)



だが、その中で一人の男が、縛りをほどき、立ち上がると、夢中で店を飛び出した。




「待てー!みんな追うんだ!!」

ギャングの自警団たちは、逃げた男、ダニエルを追って暗闇の町へ出ていく。




ダニエルは逃げた。必死で無我夢中で。

どこをどう向かって走っているのか……ダニエルはあるアパートに逃げ込んだ。


「助けてくれ!殺される!助けてくれ!!」


必死の形相でドアを叩くと、中から、一人の男が引き入れてくれた。



男の名は『ホレイショ』。

そこには、彼女の『バーバラ』(禁煙中で、いつもイライラ、ヒステリー気味)。

バーバラの弟で盲目の『パトリック』(とにかく目が見えない分、耳の感覚が優れていて、遠くの声や音も察知できる)。


パトリックの友達で、これまた盲目の太った『スティーブ』。

アパートの住人で、サバイバル術に長けた『チェスター』(この人の存在が大きい)の5人がいた。



「おい!開けろ!その男は麻薬中毒患者なんだ!」

外からは、アパートのドアをドンドン叩く音が響きわたる。

「ウソだ!頼む、開けないでくれ!開ければ、みんな殺される!」

ダニエルは、ガタガタ震えている。



ホレイショは、ダニエルを信じた。


ダニエルやバーバラたちを階段の上の部屋に行かせると、ホレイショはゆっくりドアを開けた。


ドアの外では、さっきの無法者たちが、顔首そろえて、立っている。



「さあ、早く引き渡してくれ」




男の一人が中に入ろうとすると、ホレイショが、そっとライフルを向けた。


「人を甘く見るなよ、とっとと消え失せろ!」


男たちは、鼻先にあるライフルに、後ずさりすると、「あとで吠えづらかく事になるからな……礼はたっぷりするぜ!」と言いながら出ていった。




男が出ていくと、急いで鍵をかけるホレイショ。


バーバラは、2階で電話をするが、電話口からは「警察はただいまスト中で…」のアナウンスが、淡々と流れている。


「何なの?いったい、どうすればいいのよ?」

バーバラは、突然の出来事に恐怖し、ヒステリー気味だ。



ギャングたちは、銃をかまえて、アパート全体を取り囲みはじめた。



アパートに籠城したホレイショたちと、ギャングの悪党たちの、命をかけた、長い長い夜が始まったのだった………。





映画は、ほんとに俳優たちも、監督も無名で、低予算のB級的な雰囲気プンプンである。(ゲイってだけで、殺されるってのも、あんまり酷すぎる気がする)




でも、ほんとに面白い!



敵の侵入を防ぐ為、ドアに電流を流したり、スプレーで火炎放射器をつくったり、ロケット花火を作って向かいのビルの敵に放ったりと、素人ながらも、様々なアイディアを駆使して、攻防戦を繰り広げる。




現代でも、カルト的な人気は続いていて、それも頷けるのだ。


久方ぶりに観ても、あの頃の時代や記憶が、鮮明によみがえってきた。
(ただ、大騒ぎばかりして、ヒステリーばかり起こすバーバラには辟易するが……)



後、せめて、主役のホレイショだけでも有名どころの俳優さんが、演じていたならだいぶ良かったかもしれない。(少し主人公のキャラの印象弱いかな)


まぁ、淀川先生には、申し訳ないが、面白いんだけど、さすがに星☆☆☆ってところで……。






「いかがでしたか皆さん? 怖かったね、怖かったねぇ~。今日は怖くて良い映画をたっぷりご覧になりましたね? じゃ、またお会いしましょうね。 サヨナラ…サヨナラ…サヨナラ……」

(「サヨナラ」だけは3回言う、淀川長治先生の不思議。今でもこんな声が、聞こえてくるようである)

2019年2月6日水曜日

映画 「白い家の少女」

1976年 カナダ、フランス、アメリカ合作。






丘の上に建つ白い家で、13歳の少女リンが、たった独り、自分の生活を守る為に、周囲の大人たちを向こうにまわして闘うサスペンス映画。




リンを演じたのが、当時、13歳~14歳くらいのジョディ・フォスターだった。


この、子供の時の顔と、『羊たちの沈黙』のジョディ・フォスターが、自分の中では、全然合致しなくて、「あ~、あれ同一人物だったんだ…」と、だいぶ経ってから知るという。(なんせ女性は変わりますからね (笑) )




この映画も、昔、日曜洋画劇場などで、よく放送されていた。


近年、その時の吹き替えが収録されたDVDが発売され、再見する事ができたのだが、リンの吹き替えをしていたのが、あの女優の、仙道敦子(せんどうのぶこ)だと知って、また驚いた。


放送当時、中学生でリンに近い歳だった自分は、大人相手に一歩もひるまず立ち向かう姿に、

「やっぱりアメリカ人は強い。幼い日本人に比べて、精神的にも大人なんだ」

と素直に感動した記憶がある。






リンの母親は、リンが幼い頃に、よその男と駆け落ちして家を出ていった。

その後、作家の父親と二人で暮らしていたが、その父親も、とうとう癌になる。



死期が近づいた父親は、ニューイングランドの閑散とした、丘の上に建つ白い家を、3年契約(前払い)で借りると、リンと共に引っ越してきた。



父親は、同年代と比べて早熟で聡明に育った娘を見て、「この子は、世間の狭苦しい型にはめては、とても生きていけない。」と思い、「自分が死んだ後、どうすればいいか……」と計画を練り始める。



リンにそれを、徹底的にレクチャーした後、いよいよ死を予感した父親は、自分の遺体が簡単に砂浜にうちあげられないよう、満ち潮を計算して海に身投げをした。




もしも母親が訪ねてきたら、「この白い粉をコーヒーに入れなさい」と言い残して…。



父親の予言どおり、しばらくすると母親がやってきた。



奔放で好き勝手してきた母親は、昔とちっとも変わってなかった。



リンは父親の遺言に従い、コーヒーに白い粉を入れて、母親にふるまった。



母親は、「アーモンドの味がする」と言うと、即、息絶えた。リンも知らなかった白い粉の正体は《青酸カリ》だったのだ。


そして遺体を地下の貯蔵室に隠すと、その上にマットを敷き、テーブルを置いて、リンの平穏な隠匿生活が始まったのだった……。





だが、これだけ念入りに練った計画だったのだが、父親の唯一の誤算は家主の素性を調べなかった事。




それくらい、この家主は酷すぎる。(もっとマシな家主の家もあっただろうに……)





●フランク・ハレット(マーティン・シーン)……家主ハレット夫人の息子。


結婚して子供がいるのに、13歳のリンに欲情して近づいてくる変態小児愛者。


残酷さも持ち合わせていて、リンのペットのハムスターを籠から取り出すと、煙草を押しつけて、なぶり殺す救いようのない根っからのイカれ野郎。





●コーラ・ハレット(アレクシス・スミス)……変態フランクの母親で、鬼のような形相をしたクソババア。


勝手にやって来て、庭の果物をもいで、どんどん籠の中に詰め込んだかと思えば、ノックもせずにズカズカ家に上がりこんできて、やりたい放題する。(こんな家ヤダ。絶対に借り手がつかないだろう)




「このテーブルは、ここなの!!」



「これは、ここから動かさないでちょうだい!!」



ちゃんと家賃を払っているのに、少しのズレも許さず、高圧的な凄い剣幕でがなりたてるクソババア。



「ここは私の家よ!」リンが叫ぶと、

「生意気な子ね!あなた学校は?!今度の教育委員会で問題にしなくてはいけないわね!」


「一体何の御用ですか?」

「あたしが、用事もなしにノコノコやってきたと思ってるの!!地下の瓶を取りにきたのよ!」



瓶が置いてある地下室の蓋に、マットとテーブルを置いてあるのを見ると、剣幕はエスカレートして、さらにヒートアップ。


「邪魔なこのテーブルをどかしなさいよ!!」




リンが黙っていると、

「何て子なんだろう!この子は!覚えておきなさい!!」ドアをバタン!と閉めて出ていった。




だが、これで終わらない。




次の日も、このクソババアは、やって来た。(呼ばれもしないのに)



初めは下手にでていたリンも、あまりの傍若無人のクソババアの振舞いに、いい加減、頭にきていた。



「ここへ私の息子が来たらしいわね!なんて言ってたの?!」


「息子さん、私の髪がキレイって褒めてくれたわ」


「他にはなんて言ってたの?!」


「警察が、『あの男に注意するように』言ってたわ」




「あの警察官はなんにも、分かってないのよ。あんたの生意気なその言い方は、何なの?!」


「息子さんが、そんなに心配なら紐でも縛って監禁しておくべきなんだわ」


バチンッ!とハレット夫人の平手打ちが、リンの顔面に炸裂する。だが、泣きもしないリンに、クソババアの頭から湯気が出る。




「出ていけー!この家から出ていけー!!」



「ここは私の家よ!」リンも負けずに応戦するが、クソババアは、馬鹿力でテーブルとマットを、勝手に持ち上げだした。


「やめてー、やめて!」リンの制止も聞かず、勝手に地下室の蓋を持ち上げて、支え棒を咬ませると、地下に入っていく。



そして、地下から、「ギャアーッ!」の金切り声の悲鳴がきこえた。


クソババアは地下で何を見たのか、慌てて階段を上がってくるが、その時、支え棒が外れて、重い蓋が頭に、ガツンと直撃。




しばらくして、リンが蓋を開けて地下を、そーっと覗いて見ると、血まみれで、カッ!と目を見開いて死んでいるクソババァの姿が、そこにはあったのだった……。






こんな家主と変態息子の家を借家だろうが、家賃が安かろうが、自分なら絶対に借りない。




それくらい、この二人のインパクトが、強すぎて、この映画といえば……クソババアと変態息子ってイメージだった。




もちろん、リンの味方の警官や、手助けをしてくれる優しいマリオもいるにはいるのだけど…。




「白い綺麗な家」には、「邪悪な黒い家主」が付きものなのか。


もし引っ越しする場合は下調べは念入りに。そしてご注意を。

星☆☆☆☆。