2003年 カナダ。
誰も使わなくなった寂れた漁船が、あちらこちらの岸壁にうちあげられている。
ここは、カナダ、ケベック州サントマリ・ラモデルヌ島。
年老いたジェルマン(レイモン・ブシャール)は、古きよき昔を回想していた。
「昔はよかった……。」
ジェルマンが子供の頃、島は活気があり、親たちは、朝も明けぬうちから、暗い海の中、漁に出ていった。
決して暮らしは楽ではなかったが、それでも働いた後は、その充足感で、家族揃って食事をする。
そして、父親たちは妻を抱く。
島は陽が沈むと、あちこちの家も似たり寄ったりで、同じような喘ぎ声が漏れはじめる。(なんせ娯楽らしいものが、一切ないので、楽しみといや、『スル』事しかないのだ)
そして、事が済めば、窓には、それぞれ灯りがともされ、男たちが、その満足感で一服する煙が見えたものだ。(ハイ、ご苦労様)
それから、時が過ぎて、この島も変わっていった……。
漁に行っていたものは、次々、老いて亡くなり、若い者は仕事を探して、さっさと島を出ていった。
そして、今では、人口わずか125人。
年老いて、仕事もなくなった、残された島民たちは、その全てが『生活保護』のお世話になっていた。
もちろん、ジェルマンさえも………。
「あ~空しい……」
でるのは溜め息ばかり。
ジェルマンの妻も、「こんな暮らしはイヤ!街に出て働きに行く!」という始末。
「まぁ、待ってくれ。わしがなんとかするから!」となだめるも、ジェルマンに良い策があるわけでもない。
そんな折、この島に大規模なプラスチック工場建設の話が持ち上がる。
やったー!
工場が出来れば、仕事も出来る!
仕事が出来れば、島に活気が戻ってくるはずだ!
………ただ、ひとつ問題が…………。
工場を建てるには、島に『医者』がいる事が必須条件。
もう、何年も、この島には医者なんて、いやしない。
「どうする?」
「どうしよう?」
ジェルマンと島民たちは、考える。
「いや、きっと、この島に来てくれる『医者』がいるはずだ。皆で探そう!」
ジェルマンの呼び掛けに、なりふり構わず、医者という医者に、手紙を書いて投函する島民たち。
だが、届いた手紙を目にした医者たちは、
「何だ、これ?」っと言いながら、ポイッ!と速攻で屑籠行き。
毎朝、郵便局の女性に訊ねるジェルマン。
「返事はきたか?」
「何もないわよ」
こんな日々がしばらく続き、諦めかけた頃、島を出ていって警察官になった、元町長の男から連絡が。
「『医者』が見つかったぞ!」
若い医者の名は、クリストファー・ルイス(デヴィド・ブータン)。
なんとか、この医者ルイスに、島を気に入ってもらい定住してもらおう。
ジェルマンと島民たちは、策を練りはじめるが………。
監督も出演者も、誰ひとり知らない、この映画。
何だか最近、個人的な事でゴタゴタが続いていた自分は、ただ、この『大いなる休暇』のタイトルだけに惹かれて観ることにしたのだが……。
全然、休暇じゃないじゃん。(笑)
みんなが、「働きたい!」と望む映画じゃん。
まぁ、医者が来るまでの間が、長~い休暇だったといえば、休暇なのだが。
後、この映画、出演者たちがフランス語を喋ってるので、てっきりフランス映画だとばかり思っていたのに、よくよく調べればカナダ映画だったとはね。
この映画に限っては、美女やイケメンを期待なさるな。
見事に、赤ら顔のオッサンや髭ボーボーのじいさんたちばかり。
若い医者や郵便局の女性も出てるが、申し訳ないけど、それほどでも………。
オッサンやじいさまたちの奮闘で、果たして医者は定住してくれるのか?
その奮闘の間も、ユル~イ時間が流れていく。
まぁ、たまには、こんな、ながら見の映画もいいかもしれない。
星☆☆☆くらいかな。
※《蛇足》島のオッサンたちも、若い人を呼び込みたければ、髪を整えて、髭も剃って身なりをピシャリ!と整えましょうね。
ホームレスのような年寄りばかりが、ウジャウジャいる島に、自分なら、絶対に住みたくはない。(笑)