2018年11月29日木曜日

映画 「第三の男」

1949年  イギリス。






オールド映画ファンたちから映画ベスト100とかアンケートをとれば、必ず、この映画が1位をとると言われている映画。



映画を観た事がない人たちも、この映画に使われた音楽は聞いたことがあるはず。



つい最近も、某ビール会社のCMで流れてました。(エ●スビール)



アントン・カラス作曲の《第三の男》のテーマ。




でも、この映画は傑作でしょうか?

私は、引っかかる部分が多々ある。理由は後半に………。







第二次世界大戦後、オーストリアは米英仏ソの4分割され、それぞれその統治下におかれていた。



その首都ウィーンも、また複雑な内政を抱えていて……。



売れない作家『ホリー・マーチンス』(ジョセフ・コットン)は、友人のハリー・ライムに「仕事を紹介してやる」と言われて意気揚々、そのウィーンにやってきた。



だが、ハリーのアパートにやってくると門番から、「ハリー・ライムさんは自動車事故で、お亡くなりになりました。」と知らされて愕然。


ホリーの学生時代からの友人だったハリー…。




墓地に駆けつけると、ハリーの埋葬が、今まさに行われていた。


そこに佇む美しい女性。



ホリーが気落ちして、墓地を立ち去ろうとすると、ある男が「車で街まで送ってやる」と近づいてきた。



男は『キャロウェイ少佐』(トレヴァー・ハワード)、この近辺を取り締まる警察官だ。




キャロウェイは、特別なはからいで、ホリーを軍のホテルにとめてくれたが、


「ハリー・ライムみたいな男は死んでよかったのさ」と吐き捨てるように言い放つ。


キャロウェイは、ハリーが闇取引の売人だったというのだ。


信じられないホリーは、キャロウェイの言葉に、おもわずカッとなる。




そこへ、ハリーの知り合いという『クルツ男爵』なる男から電話がかかってきた。(よくホリーが、軍のホテルにいることがわかったものだ)




ひとまず、ハリーが住んでいたアパートの前で会う約束をするホリー。



クルツ男爵は、事故の詳細をホリーに教えてくれた。(仔犬を抱いていて、細眉と細い口髭で、なんか見た目からして気色の悪い男)




事故は、ハリーのアパートのそばでおこり、その時に、たまたま居合わせた友人の『ポペスコ』とクルツが、車に轢かれたハリーを、道路から近くの銅像の傍まで運んだらしい。



救急車が来る前にハリーは、呆気なく亡くなったらしいが………。




クルツは、生前、ハリーから、ホリーが来た時に世話を頼まれていたので、帰りの飛行機の手配もしてくれると言ってくれた。



でも、(何かがオカシイ……)


納得できないホリーは、クルツを質問攻めにする。


「葬儀の時にいた女性は誰ですか?」

「ヨゼフ劇場の女優ですよ、でも彼女は何も知りませんよ」クルツがなだめるが、ホリーの探究心は止められない。





クルツと別れると、その足で直接、ヨゼフ劇場を訪ねた。



そこには、たった今、舞台が終わって楽屋で化粧をおとしている女性がいた。



女の名は『アンナ・シュミット』(アリダ・ヴァリ)。ハリーの恋人だった。




アンナは、ハリーの突然の死に気落ちしていたが、そんなアンナにホリーは、ひと目で惹かれてしまう。


「もう一度、ハリーの死を二人で調べてみないか?」



ホリーは提案して、二人は、まず、ハリーのアパートの門番を訪ねることにした。



門番を執拗に追求するホリー。すると、門番はクルツとポペスコ以外にも「もう一人の男が……」と、うっかり口を滑らせてしまう。



「誰なんですか?それは!?」



慌てる門番は、「知らない!!これ以上知らない!!私に関わらないでくれ!!」と逆ギレしはじめた。


「もう一人いたんだ、現場に『第三の男』が………」






こんな調子でトントン進んでいく名作『第三の男』。


まぁ、とにかく場面展開が早い、早い!



映画の撮り方もあるだろうが、この主人公のホリー・マーチンスが、考えるよりも即行動の性格なので、彼の行動ひとつで場面の展開がクルクルと変わっていくのだ。



ウィーンの駅→ハリーのアパート→墓地→軍のホテル→クルツと待ち合わせのカフェ→ハリーのアパート→劇場………





こんなに真面目過ぎて、考えたら即行動する、やっかいなホリー・マーチンスの性格。




なのに、なぜ?



ハリー・ライムは、こんなホリーを自らウィーンに呼んだのだろうか?




この映画をミステリー映画という人もいるが、自分はそう思えないし、ミステリーを読み慣れた勘のいい人なら、お察しだろうから、思いきってネタバレになるが、書くことにする。




※『ハリー・ライム』(オーソン・ウェルズ)は、ちゃんと生きているのだ。


事故は、クルツやポペスコ、門番などを仲間にして仕組んだ《擬装》だったのである。(もう、途中から、とっくに気づいていたけど)




粗悪なペニシリンの横流しで闇取引していたハリーは、その証拠を警察に掴まれそうになったので、擬装事故で、自身を死んだことに見せかけたのである。




代わりに墓地に埋葬されたのは、そのペニシリンの中毒患者なのである。





こんな大がかりな芝居をして手間のかかった計画を練ったハリー。



なのにですよ!



一方では、この黙って見過ごせない正義感の塊のようなホリーを、わざわざウィーンにまで招いたりするハリー。



そんな、ハリーの矛盾した行動に一気に気づいてしまうと、「ハリーってアホ?」と思いながら観てしまう。




そして、自らも、ホリーの目の前に姿を現したりもするハリー。(この辺り、私、ハリーの気持ちが全く分からない)




やっている事は、もう間抜けなトンチンカンな行動ばかりのハリー。




結局、ハリーの恋人アンナの開放(パスポートの件でソ連に連れていかれた)を条件に、ホリーはキャロウェイ刑事と取引する。



そしてハリー逮捕のために警察に尽力するホリー。(なんせ根が真面目ですもん)



その結果、警察に追いつめられたハリーは、地下水道まで追いつめられた末、警察の銃弾に撃たれて絶命するのだ。




自ら姿を現さなければ死ぬ事もなかったろうに………ハリーのやっていることは、最後までおバカさん。


まるでお粗末と言っていいような、悪党の末路を辿るのである。





そして、ホリーによって開放された、このアンナも、ほとほと呆れるような性格。



こんな馬鹿な男の本性も見破れずに、ホリーの優しさや善意に対しても、礼どころか逆に罵ったりもする。


新しく貰った旅券なんかも、その場で「ビリッ!」。 破り捨てる。(本当にイヤ~な感じの女だ)



美人でも、つくづく感じの悪い女、それがアンナなのである。(こんな女、最初から助けなきゃいいのに………こんな女のどこがいいんだろう?)





こんな風に、どこにも共感や納得する事もなく観た『第三の男』。



これを最初観た時は、イライラしっぱなしでした。



「これの、どこが傑作なの?」と、世間の評価を疑ってしまったくらいでした。



だから、お察しのとおり、この映画に対しては、あんまり好印象はないのである。




軽やかなアントン・カラスのメロディが場違いに感じた程である。



恋愛映画とも友情映画ともいう人もいるが、それもどうなんだろう?


なんだか全てが中途半端に見えてしまう。





この映画が好きな方は、印象的なカメラアングルや、撮影方法を、ただ愛してるのでは、ないだろうか。



それらは、確かに一枚画にして飾りたいくらいに美しい。



最後のシーンの、振り向きもせずスタスタ歩き去る、アンナとホリーの街並みの場面などは、絵になる場面だけどね。



でも、ストーリーに関しては穴だらけ。





今、現代の目で冷静に観ると、この映画に関しては、あまりにも傑作と持ち上げられ過ぎのような気がする。(同じキャロル・リード監督作品なら、私は『落ちた偶像』が好きかも)



それでも、絶妙な名タイトル『第三の男』と、有名な音楽、そして、当時としては斬新なカメラ・ワークに敬意をはらって、ギリギリ星☆☆☆にしときますかね。



傑作の評判を無視して、偏見のない目で観てほしい一編。


2018年11月27日火曜日

映画 「情婦」

1957年 アメリカ。






原作はアガサ・クリスティーの『検察側の証人』。


そして、監督はビリー・ワイルダー



『サンセット大通り』、

『第17捕虜収容所』、

オードリー・ヘプバーンと組んだ『麗しのサブリナ』、『昼下がりの情事』、

マリリン・モンローの『七年目の浮気』、『お熱いのがお好き』、

『アパートの鍵貸します』などなど………


いずれもワイルダー監督の残した作品は、名作、傑作の粒ぞろい。

まさに巨匠といってもいい監督さんなのである。




で、この巨匠が撮った、この『情婦』であるが、これまた大傑作なのだ。(ビリー・ワイルダーの映画にハズレなしと言いきってしまおう。)



この映画以前にもクリスティーの原作は、いくつも映画化されているのだが、ほとんどが失敗作だった。(ポワロものは、原作とかけ離れた人物造形だったり、ミスマープルもしかり…)



原作者のクリスティーも映画化には、ガッカリさせられてばかりで、この頃には乗り気も薄れていた。(後年、オリエント急行殺人事件が大ヒットするが、1974年なのでまだまだ先の話なので)



そして、やっと、巨匠によって作られた、この映画の成功でクリスティーの溜飲も下がるのである。






有名弁護士『ウィルフレッド卿』(チャールズ・ロートン)は、長い病院暮らしから、やっと開放された。


だが、喜ぶ気持ちとは逆に、憂鬱な面持ちで、久しぶりの我が家へと向かう車へ乗車していた。



おしゃべりで口うるさい看護師の『プリムソル』(エルザ・ランチェスター)がついてきたのだ。


「お酒もタバコもダメですよ!退院しても安静第一なんですから!!」

家に帰りついてからも、やれ、お昼寝の時間だ!、なんだ!と口うるさいプリムソル看護師。



ステッキの杖に隠しもっていた葉巻3本も簡単に、見つけられて取り上げられてしまった。(やれやれ…)



ウィルフレッド卿は、英国でも高名な弁護士だったが、当分、ろくな仕事もさせてもらえない。(「裁判が長期になればお身体にさわります」と執事も看護師も心配して猛反対するのだ。)



こんな窮屈さに辟易していたところへ、昔なじみの事務弁護士『メイヒュー』が訪ねてきた。


若い男を伴って。



「ぜひ、力を貸してくれないか?」

連れてきた青年は、名を『レナード・ボール』(タイロン・パワー)といい、もっかエミリー・フィンチ事件で逮捕されそうだというのだ。



エミリー・フィンチは、孤独な富豪の未亡人で、神経質な家政婦と暮らしていた。


ある日、帽子屋で、エミリーに似合う帽子を選んでやったことがきっかけで、レナードは、偶然知り合ったと言う。


そして、次は映画館で偶然出会い、意気投合した二人、

レナードは、エミリーの屋敷に、度々招待されるようになったのだった。



発明家のレナードは、玉子の泡立て機を、屋敷で実演してエミリーに買ってもらったりもしていたらしい。(全然売れそうにないが)


だが、ある夜、家政婦が帰ってくると、屋敷の中でエミリーが殺されていた。



最期に生きているエミリーに会った人物はレナードだけで、警察も疑っているというのだ。



「アリバイはあるのかね?」ウィルフレッド卿は、レナードから、1本もらった葉巻を吸いながら質問した。(オイオイ!)



「きっと妻のクリスティーンが証言してくれます!」

殺害時刻の夜9時半には、ちゃんと家に帰宅していたし、それを妻が証言してくれるはずと、レナードは答えた。



年老いて孤独なエミリー夫人には、同情していたが、愛しているのは妻のクリスティーンだけだと…。




だが、エミリーは遺言状で全財産をレナードに遺していた事がわかると事態は一変。


「僕はそんな事は知らない!、信じてください!!」


空しい訴えをよそに、警察がやってくるとレナードはウィルフレッド卿の目の前で連行されていった。




あとに残されたメイヒューとウィルフレッド卿は、応接室で考え込んでいる……。


(あの善人そうなレナードは犯人だろうか………だが、この今のワシには弁護なんてする力さえない…………)


思案中のウィルフレッド卿。


「レナードの妻、ボール夫人には、この事をどう伝えてよいのやら…」

メイヒューも考え込んでいる。



そこへ、


「その心配はございませんわ」

一人のスラリとした女性が、玄関の戸口に立っていて二人に挨拶したのだった。



女性の名は、レナードの妻『クリスティーン』(マレーネ・デートリッヒ)。


「主人はやっぱり逮捕されましたのね」

動揺もせず、冷静に他人事のように淡々と話すクリスティーンに、メイヒューもウィルフレッド卿も逆にドギマギしてしまった。



「奥さん、このイギリスでは献身的な妻の証言は、裁判でも、あまり信憑性もなく、懐疑的にとられるのはご存じですかな? レナード君のアリバイを証言するのもあなたの言葉だけでは……」



「私、妻じゃございませんの」

言い捨てるクリスティーンに、「えっ?!」と呆気に取られる二人。



戦時中、東ドイツで既に結婚していたが、レナードと英国に来るために、すでに結婚していた事を、レナードには黙っていた。

こんな風にクリスティーンは、いけしゃあしゃあと、二人に話し出したのだ。



「それでは二重結婚だ!!」


「なんとでも!でも裁判では、レナードのいうように、うまく証言してみせますわ。一応イギリスに連れてきてくれた恩もありますしね」


冷淡なクリスティーンに言葉も失う二人。



クリスティーンが帰っていくと、ウィルフレッド卿は、なにかをじっと考えていたが、やっと決心したらしい様子だった。


「よし!レナード・ボールの弁護を引き受けよう!」


ウィルフレッド卿の決断は、執事や看護師のプリムソルを怒らせ、呆れさせ、慌てさせたが、もう誰も止める事ができない。



こうしてレナードを救う為、裁判の幕は上がったのだった …………






ここから先は、法廷で、いよいよ裁判が始まるのだが、これ以上は書かないでおきます。




この映画には、映画史上、まれにみる素晴らしい《大どんでん返し》が隠されているので。



クリスティーならではの仕掛けに、はじめて観られる方はビックリする事と思います。(最初、観たときはホント、「ガガーン!!」と衝撃的でした。しかも小説の上の上をいくような大どんでん返しに!)




でも映画は、どんでん返しだけでなく、脚本も演出も役者さんたちも素晴らしいです。



マレーネ・ディートリッヒもこの時50歳を越えているが、いつまでもお綺麗な事。


チャールズ・ロートンは、以前『狩人の夜』で少し触れましたが、監督もしてるし、見た目は肥ったタヌキオヤジですが、ちょっと生活はだらしないけど有能な弁護士を見せてくれます。


タイロン・パワーの誠実そうな青年が、裁判が進むにつれて状況が悪くなり、怯えて、死にもの狂いの様は、見事です。





でも、なにより、一番素晴らしいのは、やはりビリー・ワイルダー。


なにもかもが完璧、いうことなし。


やはり、巨匠と言われる人は、最初の題材選びから違うのだ。




2時間くらいの映画を撮る場合、映画の脚本は、せいぜい120ページ~150ページくらいだろうか。


長編の小説なら400ページ以上ある。


それを2時間の尺に埋めるためには、当然削る作業をしなくてはならない。(要らないエピソードや不用な登場人物などなど台詞も大幅に削られる)




それよりは、短編小説の方が映画にしやすい事を、巨匠と言われる人たちはちゃんと知っているのだ。



この『情婦』…『検察側の証人』も短編である。


原作には、口うるさい看護師のプリムソルも出ないし、執事も出てこない。


隠れて葉巻を吸うなんてエピソードもない。



短いエッジのきいた短編の大まかなあらすじは変えずに、映画ならではの肉付けをしていく、これが演出なのである。




以前、ここであげたヒッチコックの『裏窓』もウイリアム・アイリッシュの小説の短編である。


小説では、男のマッサージ師が出てくるだけで、看護師のステラも恋人のリサも出てこない。


ヒッチコックは、男のマッサージ師の役割を、ふたりに振り分けてうまく演出しているのだ。




ビリー・ワイルダーもそれを分かっている。



クリスティーの傑作、『オリエント急行殺人事件』や『アクロイド殺し』などの長編には、決して食指はのびなかったのだ。



それよりは、短編小説という材料を、自分たちの想像でふくらませて、肉をかたどり、調理し、スパイスを効かせて、うまく料理していく方がいい。



おかげで何十年たっても、美味しいし、冷めない料理(映画)が完成したのである。



映画も料理に似ているかも。

この傑作をどうぞ、堪能してほしい。



星☆☆☆☆☆。(超オススメ!である)

※あ、そうそう、ウィルフレッド卿役のチャールズ・ロートンと、プリムソル看護師役のエルザ・ランチェスター、この二人、実は夫婦である。(トリビアとして)



2018年11月26日月曜日

映画 「裸のジャングル」

1965年 アメリカ。






19世紀のアフリカでは、白人たちが、レジャー気分で象牙のために象を撃ちまくっていた。


ガイドの男(コーネル・ワイルド……役名はない)は、ごう慢な白人たちの相手やこの仕事にもうんざりしていた。



(これを最後にしよう………)



でも、それにしても、今日の客は最悪だ。



部族の酋長への貢ぎ物も、ケチって彼ら部族に渡さないし、ここのルールさえ守りもしない。


象牙のないメスの象まで、情け容赦なしに撃ちまくっている。
 
何事もなければよいが………。



だが、その恐れていた事が、とうとう起きた。


部族たちは我慢の限界を越えて、全員で一斉に襲いかかってきたのだ。



太鼓を叩きながら、皆が叫び声をあげ、祭りのように、大ハシャギ。



部族たちの長が、何かの言葉を叫ぶと、白人たちは、その場で、大勢に取り囲まれて、一瞬で縛り上げられてしまった。




そして、世にも残酷な部族たちの《ゲーム》が始まる。



一人は、材木の太い木を両腕にかませ、手足を結ばれ、鳥の羽根を飾られて、ピョンピョン逃げる様を、皆が大笑いでみている。


しばらくして大勢の部族たちが、追いかけてきて、皆で槍で滅多刺しだ。(ヒェー~!)




一人は空気穴のストロー棒を口に噛ませて、棒に縛り上げられて、身体中を土粘土で固められて、グルグルと火にあぶられながら、回されている。(ゲゲッ!!まるでタンドリーチキンのよう………超残酷なシーンで震え上がります)





もう一人は、地面に這いつくばらせて、火で囲まれた円の中に、コブラを置いて、噛みつかれて死んだ。



それを大勢の部族たちが、キャッキャッと大笑いしながら、楽しんでいる。(もう、白人たちを血祭りにして殺すのを、まるで、祭り事のようにして楽しんでいるのに、ゾッ!とします)





そして、いよいよガイドの男の番がきた。



草が茂る平原に連れていかれ、なにもかもを脱がされて、素っ裸にさせられて(フルチン)、解き放された。




全力で走りながら逃げるガイドの男は、もう必死だ。(でも本当に、何も着ていないというのは、こんなに無防備で、頼りないものにみえるモノなんだな…)



そして、しばらく距離が空いてから、一人の部族の男が、槍をもって追いかけてくる。




さあ、人間狩りのはじまりだ!(コイツら、本当に人殺しを楽しんでいるよ)



逃げるガイドの男、そして追う部族の男。



必死に逃げるも部族の男の足は速い。(100m何秒なんだろう?カール・ルイス並みに速い速い!)


距離が縮まると、部族の男は、ガイドの男めがけて、エイ!とばかりに槍を投げた!!


だが、それは、ガイドの男の横を通りすぎて、足元の草むらに突き刺さった。





「もう、闘うしかない!!」


突き刺さった槍を引き抜くと、追ってきた部族の男を、渾身の力で突き刺した。(絶命!)



ガイドの男は、死んだ部族の男から、槍と水筒、そして腰布を奪った。(さすがにフルチンじゃ心もとないものね)



それを、遠くから見ていた(視力がいい)違う部族の男が、また追いかけてくる。



ガイドの男は、逃げる!


ひたすら逃げ続ける!!



豹やライオン、蛇などの獣に囲まれたジャングルの中を、延々追ってくる部族たちと闘いながら……。





ずっと気になっていたこの映画をやっと観れた。

面白かった。



『トラウマ映画館』で紹介されて、タイトルとあらすじだけは、知っていたのだが……。



主演のコーネル・ワイルドも、はじめて観たと思ったら、この人、チャールトン・へストンの『地上最大のショウ』に出てたんですね。


サーカスの映画で、遠い昔に観た記憶がありました。(でも記憶がうすらボンヤリで、ところどころ忘れていますが……)



そして、このコーネル・ワイルドの事をすこし調べてみたら、この『裸のジャングル』では、主演以外に、監督も製作もされていました。


多才な人だったんだな。(1989年に77歳でお亡くなりになってますが)



他にも主演・監督・製作で何本も映画をつくっているらしくて、『ビーチ・レッド戦記』『最後の脱出』とかあるらしい。(観てみたい。でもDVDになってないけど)





この『裸のジャングル』で観るべきは、このガイドの男の適応能力。



自分の命を守るために、部族たちと闘いながら、強くなり、少しずつ身を守る術を身に付けていくところ。


弓矢も上手くなって、火のついた矢を放って、敵と応戦したりもする。



槍も上手くなって、敵を一発で仕留めていく。





人も、あまりにも追いつめられると、その環境に順応というのか、適応するように進化していくものなのです。(なんか妙な感心してしまった)



そして、こんな残酷な部族たちにも、一応はある《土地のルール》。




見事、逃げおおせた男は、白人の仲間達の元へたどり着く。



それを見た部族たちは、それ以上、追う事を諦めて、

「あいつの勝ちだ!」と認めた上で、そのまま去っていくのだ。




これにて《 人間狩り 》のゲームは終了なのである!(まぁ、残酷な命がけのゲームなんだけどね)




それにしても、こんなに字幕が少なくて、それでも意味が分かりやすい映画なんてのを、初めて観たかもしれない。




やっぱり、《言葉ってのは壁をつくる》って事なんだろうかねぇ~ ………。



そんな事を色々、考えさせる映画でもありました。

星☆☆☆☆☆。



2018年11月25日日曜日

映画 「肉の蝋人形」

1953年 アメリカ。





1920年代の、雨降る夜のロンドン。


2階建の広い屋敷の工房で、『ジャロッド教授』(ヴィンセント・プライス)が、今日も、せっせと蝋人形を造っている。




それらは、いくつもの歴史上の有名な人物たちばかり。

クレオパトラ、リンカーン、ジャンヌダルク、そしてマリー・アントアネット……。



精巧にできたそれらは、まるで本物のように息をして、今に動きだしそうだ。





そこへ、不機嫌な顔で、出資者『バーク』がやってきた。


蝋人形館は、ガッポガッポ儲かると思って、せっかく出資したのに、逆に山ほど経費がかかってばかりで、全く黒字になりゃしない。



「こんな仕事とは、早く手を切りたい! マダムタッソーのように恐怖の館にして早く利益を上げろ!」と守銭奴のバークは、ジャロッドを追いたてた。


だが、歴史上の人物にこだわるジャロッドは首を縦にふらない。



と、そこへ、金持ちで美術評論家の『ウォーレス』がやって来た。


突然の来訪者にバツが悪いのか、バークは、そそくさと2階に上がっていった。


評論家ウォーレスは、ジャロッドの蝋人形を感心して見て回っている。ジャロッドも得意気だ。



「とても素晴らしい作品ばかりだ!! あなたはきっと成功するでしょう! 仕事で3ヶ月ばかりエジプトに行きますが、帰ってきたら、きっとお力になりますよ。」


ウォーレスは、そう約束すると、ジャロッドと、かたい握手をして帰っていった。


ウォーレスが帰ると、バークが2階から、すぐさま降りてきて、ジャロッドはウォーレスの申し出を伝えた。


「なぁにぃ~3ヶ月後だって?! そんなに待てるか!  俺は今すぐ金が欲しいんだ!!」


守銭奴のバークは、そう言うと、何をトチ狂ったのか?マッチを擦って蝋人形に《火を付けだした》。



「何をするんだ!?」


「ヘヘッ!ここには、蝋人形がたくさんある。よく燃えるぜ。火事になれば、てっとり早く保険金2万5千ドル下りるのさ」(ゲゲッ、最低!)


「やめろ!やめてくれ!!」


ジャロッドの制止も聞かず、次々、火をつけてまわるバーク。


二人は殴りあいになり、ジャロッドは気を失ってしまう。その隙に、バークはあちこちにアルコールを振りかけて逃げだした。



たちまち業火に包まれていく館。


蝋人形の顔は、無惨に溶けていく。


火に包まれた中で、意識をとりもどしたジャロッドは、唖然とし、火傷を負いながらも脱出した。


その瞬間、館は大爆発した。






それから数ヵ月後………



はれて保険金が下りたバーク。(まぁ、昔なんで保険調査員もたいして疑わず調査しない)

嬉しそうな顔のバークは、恋人『キャシー』とカフェでをデートを楽しんでいた。



旅行の約束なんぞして。(いい気なものだ)


ウキウキ気分で、自宅のアパートの2階のオフィスに帰るバーク。


だが、オフィスのソファの影には隠れた男の姿が……。


ユックリと立ち上がったその姿は、異様で、黒いマントとハットを被り、顔は無惨に焼けただれている。



男は素早くバークの後ろにまわりこんだかとおもうと、ロープを首にまわし、思いっきり引っ張りあげた。


あっという間に絶命するバーク。


そして、紐を手すりに結びつけると1階に突き落とした。


吊るされた死体が目の前にズドン!と落ちてきて、階下で掃除をしていた掃除婦が叫びだした。

「キャー!!キャー!!」





「あの人は、首を吊って死んだわ、でも今夜は新しい恋人とデートよ」

あるアパートの一室で、バークの恋人だったキャシーが別に悲しむそぶりもなく、ヌケヌケと言っている。(なんて女だ)




同じアパートの住人で、友達の『スー』(フィリス・カーク)は、キャシーのコルセットを締めてやっている。(そんなにギュウギュウ締めて大丈夫か?ってくらい、ウェストは40くらいになっていないか)


現在、無職で、家賃もためている貧乏なスーに、キャシーは50セントを渡した。


「ちゃんと食事してね。今度の恋人もお金持ちだから家賃もなんとかなるわよ」
、と言って出ていった。(アラ、優しいとこもある。ゴメンなさい)





そして、夜。


アパートに帰ってきたスーの顔は、ドンヨリ。(また面接落ちたのか)



そんなスーが、2階の自分の部屋にあがろうとすると家主が出てきて、

「今晩、ここで眠りたければ、さっさと家賃を払ってちょうだい!!、キャシーにでも、なんでも借りてでもいいから!!」

、と催促してきた。(渡る世間は鬼ばかりだ)




夜半、寝ているキャシーの部屋に、気が進まない訪問をするスー。


ベットに横たわっているキャシーに声をかける。

でも、おかしい………。息をしていない!!


「死んでいるわ!!」


そこへ壁の影から、あの焼けただれた顔の怪人が現れた。


「キャー!!キャー!!」

叫び声をあげるスー。



スーは叫ぶと、一目散に窓から飛び出し、屋根をつたって道路にストーン!と飛び降りた。(エッ?!まるで怪盗キャッツアイのような身軽さのスー!)



怪人も、ビックリして、慌てて後を追いかけようとする。


霧の深い夜の町を必死に逃げるスーは、いつしか恋人で彫刻家の『スコット』の家にたどり着いた。(無職なのに恋人いるのか(笑))


「助けてぇ~!!」

家には、スコットの母親とスコットがいて、なんとかスーは無事保護された。





その後、スーが脱け出したアパートには、警察がやってきて、テンヤワンヤの大騒ぎだ。




殺されたキャシーの遺体は、モルグの死体安置所に運ばれていった。

いくつものベッドが並ぶ暗い死体安置所。



死体には白い布がかけられて暗い静寂が漂う。



そこから、ムックリとひとつの死体が起き上がった。あの例の焼けただれた顔の怪人だ。

怪人はキャシーの死体を布で巻くと、それを担ぎ上げ、安置所から盗んでいった。





次の日、スコットと母親がスーに付き添い警察にやってきた。

警察はスーの証言を疑うが、安置所から、キャシーやバークの死体が盗まれている事を、はじめて知るのだった。





そのころ美術評論家のウォーレスが、帰国して戻ってきた。


ウォーレスはある屋敷を訪問する。

そこには、弟子の『イゴール』(売れる前のチャールズ・ブロンソン)に付き添われた、あの『ジャロッド教授』がいた。




車椅子に乗って両手を火傷しているが、昔の顔のままのジャロッドの姿である。(あの焼けただれた顔の怪人はジャロッドじゃないの?)



もう一人の弟子レオンを従えて、地下に、グツグツ煮立った大釜を設置して、蝋を石膏に流す本格的な装置を作り上げていた。(どこにそんな資本金を隠し持っていたのかねぇ……)



ウォーレスは、以前とは違うジャロッドに違和感を感じながらも、協力を約束した。




だが、作り出された蝋人形は、以前とはまるで違う、恐怖と残酷なものばかり。


そして、そこには、首を吊って死んだバークの蝋人形も飾ってあったのだった。





しばらくして、ジャロッドの《蝋人形の館》が、華々しくオープンした。


本物そっくりの残酷な犯罪現場を再現した蝋人形館は、たちまち大評判になり、連日、大盛況。


ギロチンシーンなど、あまりのリアルさに失神する者もいるくらいだ。




そこへ、あのスーも、恋人スコットに連れられてやってきた。


彫刻家のスコットは、ウォーレスとも知り合いだったのである。




スーは、そこに展示されているジャンヌダルクの蝋人形に目を奪われる。


(まさか……)恐る恐る近づいていくスー。


磔にされ、焼かれながら、十字架を掲げるジャンヌダルクの顔………


「これはキャシー……キャシーにそっくりだわ。」

知らず知らずに、涙を流すスーだった。








肉の蝋人形は、1933年にも映画化され、これは2度目の映画化。


その後も、何度も映画化されているが、すべて登場人物や設定を、その都度変えてつくられているので、タイトルは同じようなモノがあっても、まるで別物としてお考えください。




私が好きなのは、この1953年版。




今の時代で観ると、怖さよりも次から次へのヘンテコリンな展開に、思わず「ププッ……」と笑ってしまいますが。(でも、そんなのが、また良いのですよ)


主演のヴィンセント・プライスは、190cmを越える身長でハンサムなんだけど、好んでオカルトチックな映画ばかりに出演していたらしい。



おかげで、クリストファー・リーやピーター・カッシング(吸血鬼ドラキュラなど………)と並び称されて、『三大怪奇スター』と言われていたほどである。



この映画も、おどろおどろしい雰囲気満載で、火傷をした顔の怪人の姿で、ヒロインのスーを襲い続ける。(でも、まるで恐くないんだけどね(笑))




クライマックス、ヒロインのスーが怪人に捉えられて、煮立った釜の蝋を流されて蝋人形にされそうになる特殊装置は、今観ても、「それなりに、お金がかかっているなぁ~!」と、少し感心。



ただ、蝋を流される寸前のスーが全裸なんだけど、肩から上だけしか見られないのは、ちと残念なのだけど(でも当時としては、これがギリギリのセクシー・ショットなんだろうなぁ~……)



話は反れましたが星☆☆☆☆。



昔は、これに、「ギャアアー!ギャアアー!」騒いでいたんだろうなぁ~

そんな観客なんかを想像してみると、なんか微笑ましい気がします(笑)。




2018年11月22日木曜日

映画 「バーフバリ 伝説誕生 & 王の凱旋 」

2015年、2017年 インド。









巨大な水流が流れ込む滝。


その、はるか下の岩場を、矢で射られた女性が、産まれたばかりの赤子を抱えながら命からがら逃げている。





だが、足を滑らせて赤子ごと川に落ちてしまう女性。


頭まで水にのまれながらも、最期の力をふりしぼり、

『どうか、この子の命だけは…』

と水面に片手を振り上げて、赤子を持ち上げながら、女性は息絶えた。




翌朝、近くの村人たちが通りかかると、川から突き出た手にギョ!と驚く。(異様な光景だ)



村人によって赤子はなんとか救い出されたが、死んだ女性は、その直後に川下へと流されていった。



村人たちは、「子供を滝の上に返したほうがいい!」と言うのだが、村長の妻サンガは聞き入れない。


「子供がいない自分に神が授けてくれた!」と言い張るのだ



そうして、滝の頂上につながっているという、洞窟の洞穴までもふさいでしまう。


サンガはその子供に「シヴドゥ」と名付け育てる事にした。




――――  そうして、時は過ぎて25年。


「シヴドゥ」(プラバース)は、立派に成長した。



身体は筋骨粒々でムッキムキ。

顔は真ん丸で、黒々した太い眉と太い口髭。(とても25歳に見えない(笑))



そんなシヴドゥは、最近、滝の上が気になってしょうがない。


滝に登っては落ちて、それでも登っては落ちてを度々繰り返していた。



母のサンガは気が気じゃない。


村の守り神の石像に、「どうか、あの子の滝のぼりを辞めさせてください!」と水かけの願掛けをすることにした。(日本のお百度参りみたいなものか)



シヴドゥはシヴドゥで、こんな荒行をはじめた母が心配。


今度は母の願掛けを辞めさせる為に、例の重い石像を担ぎ上げはじめた。






皆が呆気に取られる中、それを担いだまま川へとドボン!

滝の下に石像を持っていってしまったシヴドゥ。


「これで守り神は、一日中、水に不自由しないさ!」(願掛け終了である)




そんなシヴドゥの足元に1つの《仮面》が上流から流されてきた。



滝登りをやめて願掛けが成功したと喜ぶサンガだったが、シヴドゥはその日から仮面に夢中。



ずっと飽きもせずに仮面ばかりを見ては、ひとり物想いにふけっている。




そしてある日、神のイタズラなのか …… 


砂の上においた仮面を持ち上げると、仮面を型どった女性の顔が浮かび上がってきた。



シヴドゥは、型どった砂の顔に沿って指で長い髪を描いてみる。



そこへ目もマツゲも足してみる ………… 

そうして、表れ出たその顔に、胸が ズッキューン!ドッキューン!撃ち抜かれたのだ!


仮面の下に出てきた幻の顔に、たちまち恋してしまったシヴドゥ♥️



「この顔の女に会いたいぃぃー!滝の上にあがれば、この女がいるはずだぁー!」



思いついたら即、、行動!


早速、滝登りをはじめたシヴドゥに、幻想のまだ見ぬ女が微笑みかけてくる。(フフッ、いらっしゃいシヴドゥ …… )




ターザンばりに岩をジャンプして、枝をつかみ、岩場をよじ登り、蔦から蔦へとジャンプしていくシヴドゥ。




バケモノなみの驚異的身体能力を発揮して、みるみる登っていく。(ホント人間じゃねぇよ、コイツ)




そうして、やっと滝の頂上にあがると、目の前には、一面に広がる雪景色。



そこに居た!

あの《顔》の女が!



でも剣を片手に大勢の敵と戦闘中。

並みいる敵をバッサ、バッサと切りつけている。


「死体は見つからないよう、始末しておけ!」

部下に冷たく命じるその女に、ポカーン顔のシヴドゥなのだった。







やっと評判の「バーフバリ」を観たが、観ているこっちも、ポカーン状態。



本当、スゲ~よ!インド映画!!




好きな女(アヴァンティカ)が水辺で休んで寝ている隙に、水の中からそっと近づいていくシヴドゥ。


腕にタトゥーの絵柄をササッ!描いては去っていく。(どんな愛情表現なんだろ(笑))



「誰だ?こんなイタズラをしたのは?」

私の周りに、誰か見知らぬ 変態 がいる!(そう、まさに変態である)



アヴァンティカは囮の女性を水辺に寝かせる事にした。


その現場を矢で射ろうと、木の上で待ち構えている。



そんなアヴァンティカの作戦などお見通しのシヴドゥは気配を消して、すでにアヴァンティカの頭上にいる。



シヴドゥは《ヘビ》を放った。

それはゆっくりとアヴァンティカの射る矢の先までと進んできた。





(う、動けない ……… )


そんな隙に、またもや、ササッ!と肩にタトゥーを描いていくシヴドゥ。(究極の変態だ!)





それでも雪道の足跡をたどって、アヴァンティカは、やっと犯人を見つけだした。


(こいつなの?)

アヴァンティカが不審に思ってもお構いなし。


初対面でいきなり愛の告白をしてくるシヴドゥなのである。(もう不審者以外の何者にも見えない)



「好きなんだァァー!君が!!♥️♥️♥️」



アヴァンティカは、当然、シヴドゥに剣で切りかかってきた。(当たり前だ)


だが戦闘中に(なぜか?)突然現れる神殿みたいな場所。(雪の中に????)



切りかかるアヴァンティカをよけながら、肩の防護服を脱がしていき、髪のゴムをといていくシヴドゥ。(変態行為はさらにエスカレート!)



滝で顔を洗わせると、頭にきて追ってくるアヴァンティカに、木の実で、アイライン、口紅を塗るという早業をみせる。(ヒェー!)



最後は、アヴァンティカの腰布を引っ張りながら駒回しのようにまわしていくシヴドゥ。(アレ~お代官さまぁ~!)

そこにあらわれる赤いスカート。




そうして、滝に映る自分の姿に、


(あら、あたしってこんなに綺麗だったの?)

とウットリのアヴァンティカちゃん。




そこへ、あの仮面をもったシヴドゥが現れた。


その仮面を見てアヴァンティカも、ようやく事を察する。


「あたしのためにあの巨大な滝を上がってきたの?」

となるアヴァンティカ。




そして、お互い 好き!好き!(えっ???)


恋する二人は天候も変えてしまい、周りは急にお花畑に早変わり。(エー????)


歌い、踊り、どこから調達したのか次々と衣装チェンジを繰り返す二人。


????????????


でも、ごめんなさい、私は戦いに生きる女なの。



シヴドゥのもとを静かに立ち去っていくアヴァンティカ。



舞台は急に元の雪景色に戻り、敵に囲まれてしまう運の悪いアヴァンティカ。



そこへ、シヴドゥが颯爽登場!


重たい石を担ぎ上げて、それをぶん投げた!


その衝撃で雪崩が一気に発生。


雪崩に流されて敵たちは、みるみる転がり落ちていく。




でも雪崩が強すぎて二人も危ないぞ!



咄嗟の機転で木の皮をはいでソリをつくりだす器用なシヴドゥ。


それに乗って、無事に逃げ去った二人。(ホントになんでもありなんだな)



007なみの危機を簡単に回避したシヴドゥとアヴァンティカなのだった。





不条理な世界もここまでやってくれると、トンデモなく面白くなっていく。


今まで観たこともない世界観。

本当に特殊な映画である。(特殊すぎるわい(笑))





この後、『バラーラ ディーヴァ』が治めるという《マヒシュマティ王国》にやってくる二人。



そこには鎖で繋がれた前国王の王妃『デーヴァ セーナ王妃』がいるのだ。


そんな王妃を助けようとしているのがアヴァンティカが所属している反乱軍なのである。



これにアヴァンティカに惚れてるシヴドゥが加勢しないはずがない。

さっそく簡単に救出してしまう。




だが、助け出した王妃から聞かされたのは、シヴドゥの本当の正体。


なんと!シヴドゥこそが王妃の実の息子であり、正当な王位を次ぐ者、《バーフバリ》だったのだ!




そして物語は、今の国王に殺されていた父親の敵討ちになり、佳境の第2部へと続いていく ……



巨大な黄金像あり~の、


巨大な望遠鏡あり~の、


巨大な弓矢あり~の、


全てが巨大な連続のスペクタクル劇!





いったい、いくらの制作費をかけて、こんなコメディ史劇を作り上げたんだろう。(もはや、コメディと言い切ってしまおう)



インド映画の規模の大きさにビックリすると同時に、この脚本と演出に、ポンとお金を出してしまうスポンサーに驚愕する。(日本では絶対ムリだ)



こんなロマンチストでいて、闘いなるとめちゃ強いバーフバリ(シヴドゥの本当の名前)という主人公も斬新でございました。



見終わった後、全平民のように歓喜して叫んでみたくなる気持ちも、よく分かる。


「バーフバリ!バーフバリ!バーフバリー!」っと……



でも、根は、ご覧のように、まるっきりの変態野郎である。(笑)



星☆☆☆☆☆。(長いけどオモシロイよ)

2018年11月20日火曜日

映画 「バグダッド・カフェ」

1987年 西ドイツ。







♪ア~   ア~ ア~  アイム、コォ~リング、ユゥ~♪



ジュベッタ・スティールの声が、モハーヴェ砂漠に、響きわたる。




この映画、お話自体は、何て事ないのだ。




ドイツ人の太った女性ヤスミンが、砂漠の真ん中で、旦那と喧嘩して、たまたま立ち寄った、モーテル兼、ガソリン・スタンド兼、カフェの『バグダッド・カフェ』に居着いてしまうお話。



そんなカフェには、グータラな旦那を怒鳴りつけて、子供を抱えながら孤軍奮闘している黒人女性『ブレンダ』(CCH・パウンダー)がいる。(髪の毛、バッサバサ)



毎日、イライラしているブレンダ。


そんなブレンダにとって、変な客ヤスミンは、格好の標的となった。



勝手にカフェを掃除してしまったり、子供たちと打ち解けてしまったり、ヤスミンのやる事、する事が、いちいちブレンダの癇にさわるのだから。



そして、ついに、勝手に孫をあやしている姿に癇癪が爆発する!


「自分の子供と遊びな!!」と。


怒鳴りつけるブレンダに、ヤスミンは「子供はいないの……」とションボリ。



そうして、しばらくして戻ってくるブレンダ。

「ごめん……言いすぎたよ、アタマがどうかしてたんだ……」(あら、素直)



少しずつ打ち解け始めたブレンダとヤスミン。


寂れていた『バグダッド・カフェ』は、ヤスミンの力で活気を取り戻していくのでした。





てのが、このお話の流れである。
本当に何て事ない話なのだ。




この映画の監督は、誰だったっけ……。

そう、そう、パーシー・アドロンって人だったが、この映画以降は全くパッとしなくて、いつの間にか消えていった感じである。




でも、この映画はヒットした。



口コミで、徐々に火がついて、評判になっていった。



何が良かったかって、それは、もちろん曲の力である。



うら寂しい砂漠に響きわたる、この主題歌『calling you』。



劇中で何度もかかるたびに、なんともいえない気持ちにさせられる不思議なメロディー。



ヤスミンが一人歩く砂漠、夕陽の沈みかけた砂漠に、この曲が流れはじめると、まるで心の中の孤独感をえぐられるような……そんな気持ちにさせられるのだ。



本当に不思議な曲である。


まるで、催眠術にかけられているような錯覚さえ思わせる。



この、ジュベッタ・スティールの『calling you』が入っているアルバムを、なぜか買い求めた自分。


まさに、魔法(マジック)にかけられたように。



♪ア~ ア~ ア~ アイム、コォ~リングユゥ~♪


聴いてほしいし、観てほしい。



星☆☆☆☆

※《 後記  》なんて事だ!!


この映画には、あの名優『ジャック・パランス』が出ているではないか!


「シェーン」や「攻撃」などで名をはせた名優中の名優である。


全く気がつかなかった。



あの若い時の強面の顔が、歳をとって、こんなに柔和になっているんですもん。


これが重なるはずもない。


往年の『ジャック・パランス』フアンは、絶対に観る価値ありである。

たいした話だなんてとんでもない!(汗)

これだから映画は恐ろしい。ヒーッ!失礼しました~。

2018年11月18日日曜日

映画 「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」

2014年 ニュージーランド。






ニュージーランドの首都ウェリントンにシェアハウスをしているヴァンパイアたちがいる。



我々、撮影班は十字架をつけて特別に取材させて頂きました(変な導入部だ、ドキュメンタリー風?)



夜6時に起床。



几帳面で明るいヴァンパイアのヴィアゴ(379歳)が一番に起きて一人一人起こしていく。



反抗期のディーコン(183歳)は、5年間血だらけの皿を片付けないで、みんなに責められる。


拷問マニアのヴラド(862歳)は、中世の時代から生きていて、ちと時代錯誤だ。



最年長のピーター(8000歳)は、スキンヘッドにMr.スポックのような耳をもつ。



この四人が仲良く?一軒家でシェアハウスをしているのだ。



ピーター以外の3人は夜になれば町へとくり出す。



店に行き獲物を探してまわる。(ヴァンパイアは招待されないと店に入れない、結局ヴァンパイアの経営している店に入るのだが)


ディーコンの使いパシリ、ジャッキー(中年の人間の女性)が彼らの獲物を調達することもある。

ヴァンパイアになりたい彼女は、けなげに、せっせと血だらけの床を掃除をしたり、彼らの血だらけの服をクリーニングに出したりもする。



ある夜、ジャッキーが、ニック(男)とジョセフィン(女)を獲物として連れてきた。(あんまり思い入れない人物なので死んでもいいや、くらいの気持ち?)


ジョセフィンは獲物になったが、ニックは、みんなに追い回され、逃げる途中で地下のピーターに噛まれて吸血鬼になってしまった。



かくして、新入りをいれてのシェアハウスがはじまるのだが………。




なにからなにまで馬鹿馬鹿しい、ニュージーランド映画のホラーコメディー。




ヴァンパイアたちも現代で生きてくのは大変です。


おしゃれをするにも鏡に映らないので、互いに互いの姿をスケッチして、教えあったり。

自慢の部屋のソファーを血だらけにしたくないので、獲物に噛みつく前には、ちゃんと、新聞紙をひくのだが、動脈を誤って噛めば、血が噴き出しすぎて、苦労も水の泡。



町に出れば狼男たちの集団とメンチをきりあったりと(あんたら登下校中の不良か?)
全然怖くないヴァンパイアの、面白おかしい日常を、映画は描いていきます。




新入りのニックは、やがて昔からの人間の親友スチューを、シェアハウスに連れてきます。



スチューは、ニックがヴァンパイアになってもこれまでどおりに接してくれる、本当に良い性格の持ち主だ。


他のヴァンパイアたちにも、スチューは、好かれるのだ。


でも血色のいいスチューは、一方では、ヴァンパイアたちには(あ~おいしそー!)にみえるのだが。


イヤ!!イヤ!!ヴァンパイアは、


「絶対にスチューは、噛まない」

と全員一致で言わせるほど気に入られてしまった。




スチューはヴァンパイアたちに、パソコンを教え、ネットワークや、現代の情報を教えたりしていく。(ヴァンパイアたちには、ちょっとしたカルチャーショックだろう)



スチューが、好かれる一方で、ニックの調子よさは、どんどんエスカレートしてきた。



誰彼構わず、「俺はヴァンパイアだぞ!」と風潮しはじめた。

みんなもハラハラしだす。



そんなニックを反抗期のディーコンまでもが、「止めろ!」と制するのだから、よっぽどだ。




そして、ある朝、事件は起きた。



地下でピーターの叫び声がするのだ。


几帳面なヴィアゴが地下の扉を開けると、陽が射していて丸焼けでのたうちまわるピーターがいた。



ヴィアゴは地下に降りていけない。

ディーコンもヴラドも起きてきて地下に向けて水をかけるが、間に合わなかった。



陽が沈み、やっと地下に降りていくと、地下の窓が割られ、石板の下敷きになって死んでいるヴァンパイアハンターの死体と、丸焦げになったピーターの死体があった。


ニックが、しゃべってまわったので、ハンターがヴァンパイア退治にきたのだ。(ピーターに返り討ちにあったが)


だが、日光はふせげなくてピーターは焼け死んだのだ。

怒りのディーコンはニックに、とびかかり、大喧嘩が始まる。

押さえつけるヴラド。



あまりの大騒ぎに近所から苦情がでていると、警官がやってきた。

ふたりの警官に慌てて催眠術をかけるヴィアゴ。



ふたりの警官には石板の下で死んでいる死体が、布団をかぶった酔っぱらいに見えるらしい。

火災報知器がないとか、チンプンカンプンな事を言って帰っていった。(ホッ…)




警官が、帰ったあと、ニックのヴァンパイア裁判が始まった。



ニックは、この家から無期限の追放、恥辱まみれの行進(?)。


「恥を知れ!恥を知れ!」


3人がニックのまわりを指差しながら、クルクルまわる(?これが恥辱まみれの行進??)
ニックとスチューは、家を出ていく。



「スチューまた、来てね、じゃあね!」3人が手を振ってる。(なんじゃ、こいつらは)


なんかズレてるヴァンパイアたちなのだった。





映画はまだまだ続くのだが、こんな調子で、ヴァンパイアたちの生活が続いていく。



ニュージーランドの映画なんて初めてみたが、うん!適度にバカバカしくて気に入った。

多分アダムスファミリーが好きな人には、気に入る映画じゃないでしょうか?

役者たちもアドリブ全開で楽しそう(だいぶ映画のために縮めたらしいが)



肩の力を抜いて観てくださいませ。

星☆☆☆