2018年11月17日土曜日

映画 「スイミング・プール」

2003年 フランス。






薄暗い雨続きのロンドン。



ミステリー作家、『サラ・モートン』(シャーロット・ランプリング)は、イライラしていた。



褒められるドーウェル警部シリーズの文筆には飽き飽きしていたし、訪ねた出版社のオフィスでは、新進作家をベタ誉めしている出版社長のジョン・ボスロード(チャールズ・ダンス)がいたからだ。



社長室でジョンと二人になると、サラの不満は爆発した。


「なにが不満なんだ?本はベストセラーだし、お金にも不自由していないし」


「あたしを見れば金、金、金、もう、ウンザリよ!」



ジョンは、しばらくおいてなだめるように、(ドル箱作家だもんね)


「フランスの別荘に行ってみないか?」と提案する。


「あなたも来てくれる?」(ここでジョンとサラが深い関係だとわかる)


「娘がいるからねぇ~、たぶん週末には行けると思う」(サラはジョンと不倫関係か…割りきった大人の関係)


家に帰宅すると、年老いた父親が、ソファーで眠りこけている。


サラは、フランス行きを決めた。




フランスまでの列車での一人旅…。


列車は、野を越えて山を越えて進むと、目の前には、陽の光が燦々と射してくる別世界が現れた。



駅に着くと、ジョンが手配していた世話係の年寄りマルセルが待っていていた。

別荘は、2階建ての建物で、白い外壁には蔦が這い、広いバルコニーが突き出ている。

これなら、日光浴が充分できそうだ。




豊かな木々に囲まれて、庭の芝生も綺麗に手入れされている。



目の前には、プールがあるが、使ってないようで、覆いのカバーをかけて枯れ葉が浮いている。



部屋でくつろぎ、日射しを浴びて、伸びをして、近所の店でお茶をして、平穏な生活をしばらくは満喫するサラ。


だが、ジョンはやってこない。




「悪い、まだ仕事が片付かなくて」

少し、落胆して寝床につくサラ。




真夜中、妙な物音がして、下の階に降りて行くと見知らぬ女の子がいた。



「あなたいったい誰なの?ここは、ジョン・ボスロードの別荘よ!」サラが叫ぶ。


「ここは、わたしの家よ!」金髪の若い女の子は言い切った。

もしかして、この娘、ジョンの娘?



ジュリー(リュディヴィーヌ・サビエ)と名乗る娘は、呆れるサラを無視して、さっさと荷物の荷ほどきを始めるのだった。


かくして、おもわぬ珍客にサラの静寂な生活は終わり、明くる日から、ジュリーの奔放な行動に振り回される日々がはじまるのだった。




主演のシャーロット・ランプリングは当時50代後半(三白眼のクールビューティーが年をとったものだ)が、神経質な推理作家を演じている。



リュディヴィーヌ・サビエは、健康的な眩しい肢体を思いっきりさらけ出す。



プールは全裸で平泳ぎしてる。(何カップあるのか、ブルン、ブルン)


夜は、色んな男たちを誘い出しては、SEXだ。



毎晩毎晩アハ~ン、ウフ~ン。


とても耳栓なしでは寝られないサラである。



だが、ジュリーが気になるサラは、次第に無視できなくなり、ジュリーを覗き見したり(おやおや)プールで日光浴したり、泳いだりして変わっていく。



年齢も性格も違う二人は、次第に歩みより始めるのだ。


そんな時に、ある『事件』がおこるのだが………。






何だか変わった感じのミステリー映画である。



フランスのミステリー映画って、どうしても割りきれないモヤモヤしたものが残るのは、やはりお国柄だからだろうか。



この映画も、やはり最後に、そんな余韻を残して終わる。




最後に、全然、顔の違うジョンの娘が現れたりするのは、まるで意味が分からない。(説明も一切なしである)



これをどう解釈すればいいのか。



公開時には、様々な憶測や推測が巻き起こった。




監督のフランソワ・オゾンいわく、「自由に観てくれていい」だったが……



自由ったってねぇ~(何か投げっぱなし、やりっぱなしのようにも聞こえるが……)



犯人の動機から、目的、手がかりなど、キチンキチンと小数点も出る事もなく、きれいな割り算で締めくくられるイギリス・ミステリーになれた人には、この映画は難解だし、お気に召さないだろうと思う。



でも、リュディヴィーヌ・サビエのお宝を拝めただけでも、まぁ、いいか(笑)。


太陽燦々の陽の下では、人は原始にかえり本能のままに生きる。


多少は辻褄があわなくても、それくらいいいじゃないか。



これも人生さ。



これがフランス的解釈なのかな?



フランスミステリーに正統性を求めてはいけませんね(笑)

星☆☆☆。