2003年 フランス。
薄暗い雨続きのロンドン。
ミステリー作家、『サラ・モートン』(シャーロット・ランプリング)は、イライラしていた。
褒められるドーウェル警部シリーズの文筆には飽き飽きしていたし、訪ねた出版社のオフィスでは、新進作家をベタ誉めしている出版社長のジョン・ボスロード(チャールズ・ダンス)がいたからだ。
社長室でジョンと二人になると、サラの不満は爆発した。
「なにが不満なんだ?本はベストセラーだし、お金にも不自由していないし」
「あたしを見れば金、金、金、もう、ウンザリよ!」
ジョンは、しばらくおいてなだめるように、(ドル箱作家だもんね)
「フランスの別荘に行ってみないか?」と提案する。
「あなたも来てくれる?」(ここでジョンとサラが深い関係だとわかる)
「娘がいるからねぇ~、たぶん週末には行けると思う」(サラはジョンと不倫関係か…割りきった大人の関係)
家に帰宅すると、年老いた父親が、ソファーで眠りこけている。
サラは、フランス行きを決めた。
フランスまでの列車での一人旅…。
列車は、野を越えて山を越えて進むと、目の前には、陽の光が燦々と射してくる別世界が現れた。
駅に着くと、ジョンが手配していた世話係の年寄りマルセルが待っていていた。
別荘は、2階建ての建物で、白い外壁には蔦が這い、広いバルコニーが突き出ている。
これなら、日光浴が充分できそうだ。
豊かな木々に囲まれて、庭の芝生も綺麗に手入れされている。
目の前には、プールがあるが、使ってないようで、覆いのカバーをかけて枯れ葉が浮いている。
部屋でくつろぎ、日射しを浴びて、伸びをして、近所の店でお茶をして、平穏な生活をしばらくは満喫するサラ。
だが、ジョンはやってこない。
「悪い、まだ仕事が片付かなくて」
少し、落胆して寝床につくサラ。
真夜中、妙な物音がして、下の階に降りて行くと見知らぬ女の子がいた。
「あなたいったい誰なの?ここは、ジョン・ボスロードの別荘よ!」サラが叫ぶ。
「ここは、わたしの家よ!」金髪の若い女の子は言い切った。
もしかして、この娘、ジョンの娘?
ジュリー(リュディヴィーヌ・サビエ)と名乗る娘は、呆れるサラを無視して、さっさと荷物の荷ほどきを始めるのだった。
かくして、おもわぬ珍客にサラの静寂な生活は終わり、明くる日から、ジュリーの奔放な行動に振り回される日々がはじまるのだった。
主演のシャーロット・ランプリングは当時50代後半(三白眼のクールビューティーが年をとったものだ)が、神経質な推理作家を演じている。
リュディヴィーヌ・サビエは、健康的な眩しい肢体を思いっきりさらけ出す。
プールは全裸で平泳ぎしてる。(何カップあるのか、ブルン、ブルン)
夜は、色んな男たちを誘い出しては、SEXだ。
毎晩毎晩アハ~ン、ウフ~ン。
とても耳栓なしでは寝られないサラである。
だが、ジュリーが気になるサラは、次第に無視できなくなり、ジュリーを覗き見したり(おやおや)プールで日光浴したり、泳いだりして変わっていく。
年齢も性格も違う二人は、次第に歩みより始めるのだ。
そんな時に、ある『事件』がおこるのだが………。
何だか変わった感じのミステリー映画である。
フランスのミステリー映画って、どうしても割りきれないモヤモヤしたものが残るのは、やはりお国柄だからだろうか。
この映画も、やはり最後に、そんな余韻を残して終わる。
最後に、全然、顔の違うジョンの娘が現れたりするのは、まるで意味が分からない。(説明も一切なしである)
これをどう解釈すればいいのか。
公開時には、様々な憶測や推測が巻き起こった。
監督のフランソワ・オゾンいわく、「自由に観てくれていい」だったが……
自由ったってねぇ~(何か投げっぱなし、やりっぱなしのようにも聞こえるが……)
犯人の動機から、目的、手がかりなど、キチンキチンと小数点も出る事もなく、きれいな割り算で締めくくられるイギリス・ミステリーになれた人には、この映画は難解だし、お気に召さないだろうと思う。
でも、リュディヴィーヌ・サビエのお宝を拝めただけでも、まぁ、いいか(笑)。
太陽燦々の陽の下では、人は原始にかえり本能のままに生きる。
多少は辻褄があわなくても、それくらいいいじゃないか。
これも人生さ。
これがフランス的解釈なのかな?
フランスミステリーに正統性を求めてはいけませんね(笑)
星☆☆☆。