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2020年5月29日金曜日

映画 「ポセイドン・アドベンチャー」

1972年 アメリカ。






当時、あの『ゴッド・ファーザー』と並んで大ヒットした作品。


破格の製作費を上回って、莫大な興行収入を得るほどの大ヒット。




淀川長治さん(日曜洋画劇場)、水野晴郎さん(金曜ロードショー)、荻昌明さん(月曜ロードショー)など映画評論家たちは、こぞって、この映画を大絶賛。


自分達の番組で、代わりばんこに、常に放送していたくらいだった。(そのくらい、当時は、二時間映画の枠は多かったのです)



特に、淀川先生の溺愛ぶりはスゴくて、

「私は、この映画に出会う為に、産まれてきた!」なんて言っていたくらい。(まぁ、何事にも大ゲサなのが映画評論家なんですけどね)




《パニック映画》なんて呼称は、この映画から、始まったんじゃなかったかな。




で、……………こんな大ヒット作には必ずといっていいほど、付いてくるのが続編、そしてリメイク。


『ポセイドン・アドベンチャー2(1979)』

『ポセイドン(2006)』、

全部、見事にコケました。(他にもテレビドラマで3時間のモノもあるらしいが……)




《パニック映画》というのを、予期せぬ未曾有の災害が襲って、「ワァー!ワァー!」人々が騒ぎながら、逃げまくるだけのモノだと勘違いしているから、こうなるのである。



「大迫力の災害シーンを上手く描けば、ヒットは間違いなし!」

なんて思い込んでいる映画関係者たちは、大勢いるはず。




そんな人々は、少しばかり映画を読み解く力や分析力が甘いんじゃないかな?



でも、それだけじゃないのが、この傑作『ポセイドン・アドベンチャー(1972)』なのです。





豪華客船《ポセイドン号》は、大晦日の明け方、荒れ狂う波の中を何とか、やり過ごしながら突き進んでいた。


『ハリソン船長』(レスリー・ニールセン)は、最初から、この《ポセイドン号》の航海には、一抹の不安を抱いていたのだが、その予見が、見事に当たった感じだ。



船の重心が高すぎるのだ。



船の重心が高ければ、安定させるために、バラスト(底荷)をして、船底を重くしなければならないのに、それもしていない。


大波がくれば、一発で転覆する恐れもある。



スピードを出すことも、もはや危険だったのだが…………


「何をモタモタしているんだ?さっさと全速前進しろ!もう、3日も到着が遅れているんだぞ!!お前をクビにしてもいいんだぞ!!」


船主代理人の男が、船長の横で、ギャン!ギャン!わめき散らしている。



(この……ド素人が………どうなっても知らんぞ)


「全速前進!!」船長は、ヤケクソ気味に船員たちにむかって命令した。






そんな豪華客船《ポセイドン号》には、様々な乗客たちがいる。



過激な説教を持論にしている『スコット牧師』(ジーン・ハックマン)は、アフリカの未開地に左遷されて、そこへ向かう為に乗り込んでいる。


「神に祈るだけで寒さがしのげるか?!寒さをしのぐなら、『燃やせるモノは何でも燃やせ!』それが私の持論だ!!」(いいのか?こんな過激な思想の牧師って?)





幼い弟『ロビン』(エリック・シーア)は、姉の『スーザン』(パメラ・スー・マーティン)と共に、両親の元へ帰省するために乗りこんでいた。


ロビン少年は、もっか、この《ポセイドン号》の構造や機能に夢中になっている。



「この船のエンジン馬力はすごいんだよ!機関室だって凄い設計なんだから!!」




両親からきた電報を読みながら、スーザンは知らぬ顔。


(全く……変わり者の弟なんだから……何がそんなに面白いのかしら?………)






老年のローゼン夫婦は、イスラエルの孫に会うために乗船中。


「もう、どんなに大きくなってるかしら?2歳になってるはずよ。楽しみだわ」

太った妻『ベル・ローゼン』(シェリー・ウィンタース)は、お昼の甲板で編み物をしながら、まだ見ぬ孫に、想像を膨らませてウキウキ。



その横では、夫の『マニー・ローゼン』(ジャック・アルバートソン)は、「わしは、モーセが十戒を受けたという山のツアーに行きたいんだがね……」なんて、ひとり言をブツブツ。



夫妻の目の前を、雑貨屋を営んでいる『マーチン』(レッド・バトンズ)が運動不足にならないよう、ジョギングして通りすぎた。


「あの人、イイ感じよねぇ~独り者なのかしらねぇ~?」(出たー!バァ様のお節介)






大晦日を祝う為の大広間では、それぞれテーブルが並べられて、ボーイたちが、その支度にバタバタしていた。


その中でボーイの一人、『エイカーズ』(ロディ・マクドウォール)は、手を休めて、ステージ上でリハーサルをしているバンドの女性ボーカルの姿にウットリ。



「おい!何をボーッとしてる?」



仲間のボーイに急かされてもエイカーズは、美人歌手『ノニー』(キャロル・リンレイ)の歌声に聞き惚れている。


「いいねぇ~、良い歌だねぇ~………」


大晦日のパーティーまで、後、数分………。







「おい!早く出てこい!何をそんなに手間取ってるんだ!?パーティーが始まるんだぞ!!」


『マイク』(アーネスト・ボーグナイン)は、自室の化粧室に閉じ籠って、出てこない妻『リンダ』(ステラ・スティーヴンス)を心配して、大声をあげていた。



マイクは元刑事で、リンダは元娼婦。

二人は異色の組み合わせの夫婦だった。



「うるさいわね!いい加減にしてよ!!」

リンダは出てくると、浮かない顔をしている。


「いったいどうしたんだ?」



リンダはポツリと呟いた。

「いるのよ………この船の中に……昔、私の客だった男が………だから、パーティーに出たくないのよ」



「それが何だ!昔の事だろう。気にしなければいいさ!!」



「何よ、それ!あんたったら私を6回も逮捕したくせに!!」



「あんな商売を辞めさせたかったからだ!文句あるか!」


言葉は荒くても、リンダにベタ惚れのマイクである。(この顔で、純粋なオッサンを演じさせたらボーグナインは、さすがに上手いなぁ~)

そんなマイクの一途さに打たれて、リンダも堅気になる決心をしたのだ。




「分かったわよ、パーティーに行きましょう」


何が起きても動じそうもないマイクの愛情が通じたのか、リンダの気持ちも軽くなったようだ。



そうして、大晦日のパーティーがはじまる………。





こんな個性豊かな面々たちが、この後、大方の予想通り、大災害に出合うのである。




《ポセイドン号》は、地震の津波で、大波をくらい、転覆。



船は、まっ逆さまにひっくり返って、船底が持ち上がった状態になる。



「キャーーーー!!」、

「ワァーーーーー!!」


テーブルが、椅子が、ひっくり返って、人間たちが逆さまになった船の中で、なぎ倒されていく。




大勢の人々が亡くなっていくのだが、そんな中で、冒頭に書いた登場人物たちの個性が激しくぶつかり合う、人間ドラマが繰り広げられていくのである。




そう、『パニック映画』とは、『集団人間ドラマ』なのだ。



災害も、迫力ある津波も、その背景の、ほんの一部でしかないのだ。





パニック状態の中、スコット牧師は皆のリーダー格となって叫びだす。

「船が沈む前に、船底に向かって、皆で上がっていくんだ!」



それに反対する者たち。

「馬鹿な!無謀だ!!助けが来るまで、動かないで待った方がいい!!」



反対する者、賛成する者に別れて、意見は真っ二つ。



冒頭に書いた登場人物たちは、スコット牧師に賛成して、船底に上がる為に無我夢中になって、死に物狂いで進んでいく。




そして、後に残った者たちは、案の定、海水にのまれて死んでいく。



選択肢を間違ったばかりに………。




極限状態では、ナビも、全く役に立たない。




人生の選択肢は、「右に行くのか?」、「左に行くのか?」、いつも分かれ道に立たされていて、二つにひとつ。

それを選んで進んでいくのは、自分の考え、ひとつなのである。




失敗するかもしれない……あの時、違う道を進んでいたなら、今の自分の境遇は、ガラリと違うものになっていたんじゃないか………そんな後悔に想いをはせる人もいるはずだ。




この『ポセイドン・アドベンチャー』は、それを、我々にまざまざと観せて、考えさせるのである。




稀代の映画評論家たちが、こぞって褒めたたえるのも、分かる気がする。


個性豊かな人間たちが、上手く描かれているか、どうか………それが重要なキー・ポイントであり、一番大事な事。



そして、『パニック映画』に至っては、それが普通の映画と違って、大人数となるのだから、脚本家や監督たちは、よくよく考えてから、手を出してくださいね。


迂闊に手を出してしまうと、その人の才能や力の差が歴然と分かってしまうので(笑)。




それくらい、敷居の高~い、難しいジャンルだと思って頂きたい。




それらを、全てクリアして、成功している、この『ポセイドン・アドベンチャー』は、まさに金字塔。

星☆☆☆☆☆であ~る。



※全5種の日本語吹き替えが入ったBlu-rayが発売されております。

色々、聴き比べて観てみたいものですね~♪

2020年5月23日土曜日

映画 「マーティ」

1955年 アメリカ。






ニューヨークの下町、ブロンクスの精肉店で、今日も、せっせと真面目に働く『マーティ』(アーネスト・ボーグナイン)は34歳の独身男。



たくさんいた弟妹たちは、結婚して、出ていき、今は母親との二人暮らしだ。



「で、あんたはいつ結婚するんだい?マーティ!」


「弟たちは皆、結婚してるのに……」



肉を買いにくる、客の婆さんたちに笑顔で愛想よく振る舞うマーティだったが、ババァ達の一言一言は、マーティの心をえぐる、えぐる。(冒頭、このマーティの表情を観ているだけで(涙))




(分かってるさ……俺はブ男で醜いって事も……)




仕事が終わって、週末の夜、そんな仲間達が溜まり場のバーに集まると、「今夜どこに繰り出す?」かの相談で、ガヤガヤ。



親友の『アンジー』(ジョー・マンテル)も、「今夜、どうする?マーティ」と聞いてきた。(アンジーも、全くモテない)



マーティは黙ってビールを飲んでいる。



もう、ほとほと、懲りていたのだ……どこに出かけて行っても女達には相手にされないし。




アンジーや同じようにモテない仲間達との話も、堂々巡り。



暗~い週末の夜は更けていく……。





一方、その頃、マーティの実家では、マーティの母親『テレサ』が、訪ねてきた甥夫婦の相談にのっていた。



「伯母さま、聞いてください!もう酷いんです!!お義母さまったら!!」



テレサの実の妹で、甥夫婦の母親『カテリーナ』………。


夫婦は、そのカテリーナと一緒に同居していたのだが、嫁『バージニア』は、よくある嫁姑問題に、四六時中悩まされていた。(アメリカにもあるのねぇ~嫁姑問題って……)




産まれたばかりの赤ん坊の育て方から、作る料理まで、何から何まで、いちいち干渉してきては、嫌味を連発するカテリーナに、嫁のバージニアは、もはや限界点。



ヒステリックに涙するばかりだった。



甥の『トーマス』も、その板挟みで、ホトホト疲れきっていた。




「伯母さま、お願いがあるんです!この家はマーティと伯母さまの二人暮らしでしょう? お義母さんをこちらで引き取って頂けませんか?! もう、限界なんです!!」




バージニアの提案に、甥のトーマスも(もはや、これまで……)とばかりに黙っている。


甥夫婦は、とうとう、こんな提案をテレサに突きつけてきたのだった。



(昔から口やかましいカテリーナ……姉の私にもだったしね………二人とも可哀想に……… )



心底、甥夫婦に同情したテレサは、

「いいわよ、ここに連れて来なさい。新婚夫婦にもプライベートは必要よ」と承知してくれた。




途端に、晴れやかになるバージニアとトーマス。


「ありがとうございます!!ありがとうございます!!」

二人はルンルン気分。(どんだけクソババァなんだろ(笑))



「ところで、トーマス。こっちも相談があるんだけど………どこかにマーティに合うような良い人いないかしら?」







「カテリーナ叔母さんがここに来るの?」


帰宅したマーティに、テレサは説明したが、マーティは別に嫌な顔もしなかったし、「いいよ」と承諾してくれた。(テレサは「ホッ!」)



安心したテレサは、今度はマーティの恋人探しに話題を変えていく。


「トーマスが言っていたわ。ダンス・ホールに出かけるのよ!!そうしたら《 マブイ 》? そんな女性たちが、沢山いるんですって!お前にも良い相手が、きっと見つかるわよ、マーティ!!」



マーティの顔色が、どんどん暗く淀んでいく。


そして大爆発。



「いい加減にしてくれ!僕はデブで醜いんだから!!」


「まぁ、マーティ……」

母親テレサの涙ぐむ姿に、マーティも、おし黙ってしまった。



食卓に流れるイヤ~な空気。



(しょうがない……出かけてみるか………でも、きっと誰にも相手にされないに決まってる…………)



期待なんかしないで、渋々、マーティはダンス・ホールにやって来たが、案の定、やっぱり壁の花。



皆が嬉しそうに踊る姿を、何となく遠目に見ているだけだった。



そんなマーティに一人の男が声をかけてきた。



「お前、一人か?」


突然、声をかけられてマーティはビックリ。



男は連れの女性がいたのだが、ダンス・ホールで知り合いの《イケてる》女性を見つけたので、そっちに乗りかえたいらしい。(何て奴!)


「なぁ、5ドル払うからさ、あのイモっぽい女の相手をしてやってくれよ? 無理矢理押し付けられて困ってるんだからさ、こっちも!」(最低!)



こんな提案にマーティが、のるはずもなく、断ると、男は、また別の男を捕まえては、同じような提案をしていた。



マーティが見ていると、その女性は、相手の男の行動にたまらなくなり、ホールの外のベランダに走っていった。



残された男は、「やれやれ……」の顔。



マーティは気になり、その女性を追いかけてベランダにやって来た。




「あの………大丈夫?……ですか?」



その女性、『クララ』(ベッツィ・ブレア)は、マーティの声に振り向くと、目に涙を、うっすら浮かべて、マーティの懐に飛び込んできた。




泣きじゃくるクララの背中を、優しくポンポンするマーティ。




モテない男『マーティ』と冴えない女『クララ』……二人の出逢いは、こんな風に始まったのだった…………。







名脇役アーネスト・ボーグナインが、珍しく主演をつとめた映画である。




この『マーティ』は、当時、アカデミー賞を総なめした。



作品賞、監督賞、脚本賞はもとより、アーネスト・ボーグナインも主演男優賞を獲得している。


そして、カンヌ国際映画祭においても、最高賞であるパルム・ドールも受賞。



アカデミー作品賞とカンヌの最高賞を同時に受賞した作品は『失われた週末』(1945年)と『パラサイト 半地下の家族』(2019年)、そして、この『マーティ』だけなのだ。






そのくらい、もの凄い快挙を成し遂げた『マーティ』を今回、初めて観たのだけれど………もう、涙、涙、でございました。😭




本当にモテない男の悲哀というか、辛さ、それにマーティの純な気持ちが、充分に伝わってきて、この映画は涙なしには、観れません。



イタリア系アメリカ人のマーティは、6人兄弟の長男で、弟や妹たちを育てるため、亡くなった父親の代わりになるために、大学進学を諦めて、精肉店で、一生懸命、働きながら、一家を養ってきたのだ。



苦労して、弟妹たちを育てて、結婚まで送り出して、母親の世話までしているマーティ。





こんなマーティが幸せにならなくてどうするの?






せっかく、クララと知り合って、周りも喜んで祝福してやればいいのに、この周囲の人たちときたら………。






「あの人、私嫌いよ。35~40歳くらいに見えるわ。29歳?きっと嘘をついてるのよ!」




母親テレサは、妹、カテリーナの入れ知恵で、

「息子なんて結婚したら、嫁さんの言いなり。私みたいに邪険に追い出されるのさ」なんて、言葉を信じちゃったもんだから、それまでは、マーティの恋人探しに躍起になっていたのに、途端に手のひら返し。




せっかくマーティがクララと知り合ったのに、こんな難癖をつけはじめる。(本当に、こんなクソババァ、無理に引き取らなきゃいいのに)





マーティの親友たちも、マーティに先を越されるんじゃないかと思いはじめて、クララの事をボロクソにこき下ろす。


「あのイモっぽい女………」


「もっと良い女がいるぜ、マーティ!」とか。(こんな陰口を言われているクララも可哀想に)




本当に『渡る世間は鬼ばかり』である。





こんな周囲の声に、クララとの約束をすっぽかしてしまったマーティ。



でも、考えるのはクララの事ばかり。




また、ある夜も、仲間達が「なぁ、今夜どこに行く?」なんて相談しあう中で、マーティは、ジッ、と目をつぶって考えている。




そして、目を開くと、


「いい加減にしろ!どいつも、こいつも!淋しくて惨めな奴らめ!!僕はこんなのに付き合ってられない!!」と、とうとう爆発!



「マーティ、どこに行くんだ!」公衆電話に走っていくマーティを、親友アンジーが追いかけて行く。


「皆が彼女を嫌う!彼女はイモ!僕は醜い! でも僕は彼女といて楽しかったんだ!! 彼女に電話する! 彼女をデートに誘う! 結婚するかもしれない! ほっといてくれ!!」(よくぞ、言ったよ!マーティ!!)




マーティの電話を、今か、今かと待っていたクララも、すぐに電話に出た。



あ~良かったねぇ~、マーティ。



電話をかけるマーティのそばでは、アンジーが、シュンとしてうなだれた顔。(親友なら喜んでやれよ!コラ!!)




ここで、最初の冒頭で、精肉店の客達に、散々言われていたセリフを、マーティがアンジーにぶつける。


「お前も33歳だろ?しっかりしろ!情けないぞ!」と。




それまで、周囲の言葉に、耐えに耐えていたマーティの大逆転。


マーティの、こんな痛快な言葉で映画は終わる。






この映画に出るまでは、ずっと端役や悪役に甘んじていたアーネスト・ボーグナインは、これで、一挙に名声を手に入れた。



アカデミー賞のトロフィーを、美人女優グレース・ケリー(後のモナコ王妃)から手渡されるボーグナインの嬉しそうな顔よ。




それ以後、中々、主演には恵まれなかったが、死ぬまで名バイブレーヤーとして活躍したボーグナイン。



これは名優ボーグナインが残した、確かな爪痕として、もっと評価されてもいい映画なんじゃないかと思うのだが。


超オススメ!

星☆☆☆☆☆。

2019年12月29日日曜日

映画 「特攻大作戦」①

1967年 アメリカ。






1944年、アメリカ陸軍の『ライズマン少佐』(リー・マーヴィン)は、突然、お偉方が集まる本部へと呼ばれた。


破壊工作のプロとして、その実力は認められていたものの、型破りな方法をとるライズマンは、軍でも異質な存在。



「ったく!何の用なんだ!」とふてくされているライズマンを、「まぁ、まぁ……」と、なだめる昔馴染みの『アンブラスター少佐』(ジョージ・ケネディ)。


ライズマンが本部の応接室に入ると、待ち構えていたように、ギロリと睨む幹部たち。




その中でトップの『ウォーデン少将』(アーネスト・ボーグナイン)が立ち上がると、ライズマンに対して新しい任務を告げた。(このボーグナインの顔を見るだけで、「ププッ!」と笑いをこらえるのが大変)



「君にやってもらう事は、ノルマンディー上陸作戦の前に、ドイツ国防軍の高級将校たちが集う保養所を襲撃することだ!」



ライズマンが黙っていると、ウォーデンは、次に、とんでもない条件を突きつけてきた。



「ただし、この作戦に従事する者は、アメリカ《陸軍刑務所の囚人たち》から選ぶように!」



な、何だって?!



囚人たちに戦争をさせようっていうのか?!

無茶苦茶な!!



「そんな馬鹿な提案に、アイツらが素直に首を縦に振るとは思いません!なにか見返りがなければ……」


そこは、ウォーデンも多少、譲歩して、作戦成功の暁には、囚人たちの恩赦を約束してくれた。




ライズマンとウマが合わない『ブリード大佐』(ロバート・ライアン)は、ウォーデンの提案に、あきらかに面白くなさそうである。



(それにしても、こんな突飛な作戦が上手くいくのか………。)





ライズマンは翌日、刑務所を訪ねた。


この中から12人の囚人を選抜するのだ。



戦争で死ぬか、刑務所で死刑を待つか、それとも戦争で勝ち抜いて無事に生き残るか……選択肢は3つ。


はてさて、ライズマンのお眼鏡にかなって、選ばれた囚人たちは……





やっと観れた、『特攻大作戦』。




面白かった!


監督は、ロバート・アルドリッチ



それにしても、スゴイ顔ぶれを揃えたものだ、この映画。



これは、ぜひぜひ、順をおって紹介しなくては!






まずは、



リー・マーヴィン………ライズマン少佐。

さすがの貫禄である。やはり一癖も二癖もあるような囚人たちを束ねるのは、この人以外に適任者はいない。


囚人たちにも気迫負けなんてしてしない。


「なんだ!文句があるならかかってこい!」なんて言いながら、一対一で正々堂々と対決する。(かるく背負い投げ!)



でも、自分の部下として認めはじめると、囚人だろうが、命がけで守ろうとする。(カッコイイねぇ~、男だねぇ~、憎いねぇ~)


いちいち横槍をいれてくる嫌~な『ブリード大佐』たちには、容赦なく機関銃乱射をおみまいしたりする。


まぁ、何をしても痺れるくらいカッコイイのがリー・マーヴィン様なのだ!







アーネスト・ボーグナイン………ウォーデン少将。

ここでは、リー・マーヴィンの上官役だが、映画『北国の帝王』でも共演しているボーグナイン。


『北国の帝王』を先に観ているためか、ボーグナインが画面に出てくるだけで、不謹慎だが、笑いそうになる。


1度見たら忘れられない、この顔面の破壊力。

「ニカッ」、と笑うと見える、デカイ口に並んだ沢山の歯。



そしてギョロリとした飛び出しそうな目よ。(『北国の帝王』でも同じような事を書いた気もするが、毎回違う役でも顔面のインパクトがスゴくて、ボーグナインといえば、それなのだからしょうがない)







ジョージ・ケネディ………アンブラスター少佐。

ライズマンとウォーデンの間で、右往左往するような中間管理職。(だいぶライズマンの味方になってくれてるけど)


この映画でも、人の良さが、にじみ出ているようなジョージ・ケネディである。




けっこうジョージ・ケネディが出ている作品を観ている自分。


以前、このblogでもあげた、オードリー・ヘプバーンの『シャレード』や『超高層プロフェッショナル』、『エアポート´75』、イーストウッドの『サンダー・ボルト』や『アイガー・サンクション』なんてのもあったっけ。


ハリウッドで、誰にでも好かれていたケネディは、もちろん名バイブレイヤーである。






★ロバート・ライアン……ブリード大佐。

ライズマンに対するライバル兼、悪役。

ネチネチと嫌味ったらしく、イケすかない野郎を演じております。


ロバート・ライアンは、あちこちの映画で有名らしいが、初めてこの映画で見かけた人。


今後、有名な作品、『罠』や『ロリ・マドンナ戦争』などにも出演しているらしいので、いずれ観てみたいと思う。






なんだか、こうやって、ダラダラと紹介していくと長~くなりそうなので、本日はここまで。



②へ続くとする。
(名優たちが続々出ているので、とてもこの紹介を中途半端でやめられそうもない。この気持ち、どうぞお察しくださいませ)

2019年9月8日日曜日

映画 「北国の帝王」

1973年 アメリカ。






タイトルだけは、昔から知っていたし、主演が『リー・マーヴィン』なのも分かっていた。


でもストーリーや内容なんてのは全く知らない。


若い時には、このリー・マーヴィンの顔も、

(何だか年老いた牛のような顔の人だなぁ~)

と思ったり、パッケージのアーネスト・ボーグナインの顔もクドイ顔に見えたりして、見かけても素通りしてました。(スミマセン)




話の内容なんてのもひどいもので、勝手に、


「タイトルが『北国の帝王』なんだから、きっと雪山か何かの話で、リー・マーヴィンが、そこで有名な登山家か、雪山ガイドなんだろうな~」

くらいの決めつけ。


そんな『北国の帝王』でありましたが、後年、あのロバート・アルドリッチが監督しているのを知ると、俄然見方が変わってしまう。




そして観てみると、相変わらずの勘違いで、全然内容は違ってました。(笑)





時は1933年の世界恐慌の時代。


あちこちの町では、『ホーボー』なんて言われている人々で溢れかえっている。



ホーボー』って何じゃろ?



『ホーボー』とは、基本的には金を持たない失業者たちのこと。


そして遠くに働きに行くにしても無賃乗車をして鉄道などに、無断で乗り込んだりする人々の事でもある。(横文字にすると、何だか格好いいような気もするが、やってる事はねぇ~)




今日も、そんな『ホーボー』たちが、減速してきた列車の隙をついて、後部車両に乗り込んできた。


でも、生憎、乗った列車が悪かった。



ホーボーたちの間でも怖れられている『19号車』。


鬼車掌『シャック』(アーネスト・ボーグナイン)が管理する列車だったのである。



「俺の列車で無賃乗車なんて許さん!」


シャックはトンカチ片手に、後部車両に移動すると、乗り込んで安堵しているホーボーを滅多打ちにした。


哀れ、年老いたホーボーは、線路に落ちて、列車の下敷きになる。



「ざまぁ、みろ!ハハハー!」


ホーボーなんてものを、虫けら同然に見ているシャックにとっては、一人死のうが、殺そうが関係ないのだ。


(恐ろしい …… )

列車が通りすぎるのを草むらの蔭から見ていた、他のホーボーたちは震え上がった。



そんな『19号車』がしばらく走っていると、山道の草むらで野営をしている男がいる。



年老いているが眼光鋭い、『エース・ナンバーワン』(リー・マーヴィン)。




エースが、どこから調達したのか、食糧の鶏を調理しようとしてると、浮浪者らしき男と少年が、それをまた草むらから、唾を飲み込みながら見ていた。(ゴックン!)



「狙え!」

男たちは、エースに襲いかかってきた。



だが、それを意図も簡単に毛散らかすエース。




エースは、そのまま走り去る『19号車』に乗り込んだ。



そして、浮浪者の若者『シガレット』(キース・キャラダイン)も後を追った。


二人が乗り込んだのは、干し草を積んだ車両。


その車両の上部入口に隙間を見つけたシャックは、厳重に閉めると関貫をかけた。



エースとシガレットは、完全に閉じ込められてしまう。



「ちくしょう!出しやがれ!」(自分で乗り込んだくせに)


若いシガレットは、閉じ込められた車両で、バタバタもがいているが、エースは余裕綽々。



鶏を片手に、葉巻に火をつけると、「プーッ!」と吹かしてみせた。



(な、なんで、こいつ落ち着いてやがるんだ ?…… )



そう、彼こそが、ホーボーたちの間でも尊敬されている『北国の帝王』と呼ばれる男だったのである。






この映画って、笑っていいのやら、それともマジメ~に観たらいいのやら ……



そもそも、このエース・ナンバーワンって名前も変だし。(なぜ?誰もツッコまないんだ?)


そうして、このエースの渾名(あだな)が北国の帝王》???(只の無賃乗車の常習犯に(なぜ?)こんな英雄視するような渾名がついたのか? そもそも、このエースは北国出身なんだろうか??)


全く意味分かりません。



リー・マーヴィンの威厳と雰囲気だけで、形だけは真面目そうなアクション映画に仕上げようとしているのだが。(とても真面目に観れるものですか!)




大体、シャック役の『アーネスト・ボーグナイン』のクドイ顔が、映画の中で観ると、さらに超 クドく仕上がってて、観客を笑わせる気、満々なのだ。(笑)




ボーボー眉毛に、目ん玉が飛び出るくらいのデカい目


これまた、デカい裂けたような大きな口には、すきっ歯が並んでいて、これはもう、一種の顔芸である。



これを、平静に笑わずに見られる人がいるのだろうか。(笑)



こんなシャックの『19号車』から、いとも簡単に乗ったり、脱出したりするエース。


シャックは、それに「キーッ!」と悔し顔。



「今度こそ、『北国の帝王』に負けてたまるか!」


ヒステリックに喚き散らして、周りに当たり散らして。




それでも無賃乗車犯と車掌の闘いは、果てなく続いてゆく ……




映画は、真面目さを装いながらも、現代の我々が観れば、最後まで「何じゃこれ?」の連続。




でも、この馬鹿馬鹿しさが、観ているうちに、段々と癖になってくる。(最高なのだ!)




それにしても男って奴は、くだらない事に命をかける、馬鹿な生き物でやんすねぇ~。




ロバート・アルドリッチ様、この映画って笑っていいんですよね?

星☆☆☆☆☆である。