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2026年1月25日日曜日

ライブ 「南野陽子の《思いのままに 〜YOKO MINAMINO YOKO SUMMER CONCERT’89》」

 1989年11月22日。




セットリストはこんな感じ。



1∶トラブル・メーカー

2∶マニキュアがかわく間に

3∶それは夏の午後

4∶秋からも、そばにいて

5∶メリー・クリスマス

6∶知ってると思ってた

7∶愛してる

〜MC〜

〜シングル・メドレー〜

 恥ずかしすぎて、さよならのめまい、悲しみモニュメント、風のマドリガル、接近(アプローチ)、楽園のDoor、話しかけたかった、パンドラの恋人、秋のIndication、はいからさんが通る、吐息でネット

〜MC〜

8∶あなたを愛したい

9∶涙はどこへいったの

10∶瞳のなかの未来

11∶マイ・ファニー・IVY

12∶月夜のくしゃみ

〜MC〜

13∶思いのままに(アンコール)


ヒット曲をメドレーにして脇に追いやり、ほぼ、オリジナル・アルバム『GAUCHE(ゴーシュ)』からの選曲を中心とした、当時としては珍しいライブビデオである。(※1、2、3、6、7、9、12、13は『GAUCHE』より〜)



南野陽子の「あぁ〜《楽園のDoor》は良いなぁ〜」とか「《はいからさんが通る》の曲は好きだったなぁ〜」なんていう、にわかフアンは、やや置いてけぼりかも。(一応、メドレーで歌ってはいるものの、あっさりした仕上がり)


だから、このライブは、それまで発売してきたオリジナル・アルバムを多少は聴き込んでいるマニアックな人の為の上級編ライブなのである。



正直、これらの曲、全てが気に入っているわけではないけど、ここでは抜粋して、私個人の好き嫌い、または主観的な感想でいくつか書いてみようと思う。



1∶トラブル・メーカー


ナンノ初作詞に挑戦!そうしてこの曲はシングル化されていて、当時もそこそこヒットしていた。


(「一人でリゾート地に旅行してみたいなぁ〜 …… 」なんて考えを、当時の《所属事務所》に言ってみたら …… 反対される?賛成してくれる?)なんて、諸々の想像を膨らませながら本人作詞してみたんだとか。(作詞では結局、《所属事務所》を、まだ居ぬ《彼氏》に見立てている)


ただ、自分自身を《ワガママ》だとか《トラブル・メーカー》なんて言いきっちゃうのは、だいぶ気弱過ぎるナンノ。(ちょうどこの頃、マスコミの《ナンノ・バッシング》が始まっていた時期で本人も多少気にしていたのかもね)



3∶それは夏の午後


このライブにて私、イチオシの一曲である。


一年ぶりに偶然見かけた《元恋人》…… 相手も自分の存在に気づくのだが、次の瞬間に向ける眼差しは《憎しみ》のそれ。(何があった?!)

昔の恋人同士の二人は、互いに言葉も交わさず、それぞれの想いを秘めたまま再び別れていく ……


作詞は、ヒットメーカーの 小倉めぐみ さん。(残念ながら2021年、わずか61歳でお亡くなりになっていました)


この『それは夏の午後』という曲は、ナンノ本人もだいぶ気に入っているのか、近年、歌の活動を再び始めてからも、チョイチョイ歌っているようである。


それに今回調べてみると、ナンノに提供した小倉めぐみさん作詞の曲が、数多く存在する事にも驚いた。(あの曲もこの曲も …… )


ここに、その全リストを書きとめておく。


小倉めぐみ作詞曲

シングル曲 …… 楽園のDoorはいからさんが通る秋からも、そばにいて


アルバム曲 …… 昼休みの憂鬱、リバイバル・シネマに気をつけて、思い出を思い出さないように、ひとつ前の赤い糸、ひとりっきりの夏はそれは夏の午後、眠り姫の不幸、さよならにマティーニは禁物、マイ・ハート・バラード、神様がいない月、八重歯のサンタクロース、白夜のひまわり ………… 以上である。(ちなみにアルバム曲内の太字は、私個人の超オススメ曲!)



8∶あなたを愛したい


映画『菩提樹リンデンバウム』の主題歌で田口俊さんが作詞している。(田口さんもパンドラの恋人吐息でネット …… 他にもアルバムなど数々の曲をナンノに提供している)

前年度アルバム(1988年)『GLOBAL』制作に際して作られ、先行シングルになったのだとか。


ただ、この楽曲、当時、(ナンノの歌唱力ではちとハードル高いし、難しいんじゃ〜ねぇの〜?)と思っていた。

と、いうのも、この『あなたを愛したい』って歌詞がワンフレーズごと、伸ばして歌うものを特に多用している為である。


「♪あなたの夢でふと目覚めた夜明けぇーーー」

「♪ねぇ、あなたを愛したいぃぃ誰よりも愛されたいぃーー」

「♪もう、平気よ、ありがとうぅーーーー」(あらら …… )


歌唱力に自信がある歌手ならいざ知らず、ともすれば平淡にも聴こえる、このメロディーラインは、かなりの高難度。(同じ意味でアンコールの13∶思いのままにも難しそうな曲である)


↑(それでも『思いのままに』ではピアノの弾き語りにまで初挑戦しているナンノ)


若い頃の勇猛果敢な挑戦だと思って、大目に観てあげてね。



9∶涙はどこへいったの

10∶瞳のなかの未来



当時はそこまで好きじゃなかった2曲。


でも、今になって何度も繰り返し聴き込んでいくと、段々とスルメみたいに味がしてくるというか …… (不思議と癖になりそう)


『瞳のなかの未来』は『トラブルメーカー』のカップリング曲であり、手塚治虫のアニメ『青いブリンク』の主題歌。(けっこうノリの良い曲)





11∶マイ・ファニー・IVY(アイビー)



なんだか、突如、宝塚歌劇かミュージカルの世界に迷い込んだ感じである。

幅広い正面階段を黒いロングドレスで駆けおりてくるナンノ嬢。その周りを取り囲みながら優雅に踊るダンサーたち。


歌詞は、ダンスパーティーで知り合った地味なアイビー・ルックの青年に、ともに踊りながら惹かれていく様子が描かれている。






何なんでしょうねぇ~、稀に光輝くこのゴージャス感は!!(このライブではここが一番の盛り上がりどころかも)

作曲家∶萩田光雄氏も、この『マイ・ファニー・IVY』には特別思い入れがあるんだとか。



デビューして4年目のライブは、ナンノのやりたい事、挑戦したい事がぎっしりつまっている宝石箱のようなライブ。


でも、近年の復活劇を予見させるような、そんな仕上がりになってません?


ナンノフアンなら一見の価値あり!のライブビデオ紹介なのでございました。(じゃ、これにて)




2025年9月26日金曜日

MV 「南野陽子の『ときめき、ください。』」

 1986年  7月。




1985年にデビューしてから、ちょうど一年くらい、『スケバン刑事Ⅱ』が始まって半年が経った頃に発売されたナンノ(南野陽子)の初ミュージック・ビデオである。


同年、4月に発売されたばかりの初アルバム『ジェラート』からも抜粋された曲がいくつか並ぶ。(『春景色』、『花びらの季節』、『潔白(イノセント)』、『涙の海で眠りましょう』 )


他にもデビュー曲『恥ずかしすぎて』から始まり、『さよならのめまい』、『悲しみモニュメント』などなど ……


それでも、それらを足しても、わずか30分程度の短いミュージックビデオ集。



このビデオが発売された当時も、やっとシングル3曲目『悲しみモニュメント』がトップテン内にギリギリ食い込み、世間的にも認知し始めれた頃だった。

なんせ年配の方には、よく名前を『南田洋子』と混同され間違われていた。(スケバン刑事で共演していた暗闇指令役の長門裕之さんの奥方様ね)


曲と曲の合間には、初々しいナンノが精一杯自分語りをしている。

その中で、自分の言葉でハッキリと、「スターになりたいです!」と言っていた。

それが、とても印象深くて今でも覚えている。




あの頃に戻って「大丈夫、君はきっと《大スター》になれるよ」と言ってやりたいものだが、40年前は、今現在のことなんて自分にも想像すらできない遠い未来だったのだ。


ナンノより、ちょうど一歳ばかり年下の私。

それぞれ生きてきた場所や境遇は違っていても、(あれから40年という長い時間を同じように生きてきたんだなぁ〜)と、最近同世代のアイドルたちを観かけると、感慨深く思えたりして ……


それだけ自分も歳を取ったってことか(泣)。


このビデオを観かえすと、若くて悩みなんてまるで無かった、あの頃に戻れるような気もする。




ウェディングドレス姿を披露してみたり、着物で竹とんぼ(?)を回してみたり ……

ナンノもスタッフたちも、当時、考えつく限りのアイデアを出して撮られている。


果ては、『スケバン刑事Ⅱ』のセーラー服姿で視聴してる人に突然土佐弁で語りかけてお説教(?)したりもしている。(「何よそ見してるんじゃ!おまんに命預けても良いと思ってるじゃぞ!」なんてのは、今観ると可愛らしい叱咤。)


こんなお宝のようなMV。


フアンは襟を正して、心して観なければ絶対ダメ!、なのであ〜る。




2025年2月10日月曜日

ライブ 「南野陽子の《NANNO 30th&31st ANNIVERSARY 》」

2017年2月発売。





ドラマでは主役を張る事も無くなってきた南野陽子(ナンノ)。


それでも《歌う》時には、やっぱりナンノが主役。イキイキと輝いている。


ここ数年、歌う姿をたまに見て、私が思うことは「若い時よりも歌が上手くなってきている!」だ。(私だけ?)


同年代デビュー組の歌には、たまにテレビで見ても、ガッカリさせられる。

歳と共に思うように声が出なくなっている人もいれば、音程がハズレまくりの人もいたりする。(中には容姿も崩れまくりの人もいたりするが(笑))


若い頃は、睡眠時間さえ満足に取れなくて、超多忙だったナンノ。

そんな激務の日々が続く中、ミシンを持参しては、合間合間に自分のステージ衣装まで縫っていたそうな。(ここまでするアイドルなんて聞いた事もない!)



そうした陰の努力もあってか、みるみるトップアイドルにまで駆け上がったナンノだったが、この人の歌に関しては、如何せん、当時、歌番組も観ながらも、かなり出来不出来があるように思っていた。


例えば、『パンドラの恋人』という曲があるのだが、歌唱で、「♪止めて!時を!プリズム色に!胸に焼き付けてえええええー!」と、こんな風に強く間延びして歌っている。


話しかけたかった』という曲に至っては「♪跳ねた髪いいいいいー!」と、万事が万事、こんな風である。


日本語の母音は「」の、この五つ。

分かりやすくローマ字にすれば「カ、キ、ク、ケ、コ」なら「ka、ki、ku、ke、ko」。

「サ、シ、ス、セ、ソ」なら「sa、si、su、se、so」となる。


この母音、「」と「」が問題であって、例えば歌う際に、これらの母音で終わるようなフレーズを、強く引っ張って歌えば、聴く人によっては、とっても耳障りな音にも感じるのだ。



秋からもそばにいて』という曲もしかり。


「♪好きよ、好きよ、離れないで、夏は遠く霞むけど。そらさないで、見つめていて。愛を深く感じたいいいいい!

《サビ》「ず〜と、ず〜と愛してるって耳のそばで囁いてええええ!」(歌番組での生歌唱は大体こんな感じだ)


個性といえば、これがナンノ特有の個性なんだろうが、時折、とても 下手くそ に聴こえたりする。(この考察、案外、的はずれではないと思う)


大抵の歌手たちは(これを本能的に分かっているのか)、この母音「イ」と「エ」で終わるようなフレーズの歌詞があるなら、長く伸ばしても、徐々にフェードアウトするような形で、上手く処理して歌っている。


「ここぞ!」という見せ場の時、声を張り上げて歌い上げるのは、やっぱり「」や「」、「」の母音で終わるようなフレーズの歌詞だけなのだ。


だから、当時は、こういった粗(あら)が目立たない曲、『接近〜アプローチ〜』や『秋のIndication』、『楽園のDoor』なんてのが好きでございました。


作詞家たちも、こんなナンノの欠点を考慮しながら作詞をしているわけでもないだろうし、多忙な本人も、当時は気づいていなかったかもしれない。


そうした状況が続く中、順調にリリースしていた歌は、やがて尻すぼみになっていき、1991年に発売された『夏のおバカさん』が、とうとう最後になってしまう。


「これからは女優、一本でやっていきます!」と高らかに宣言するナンノ。


それから数年して、《ザ・ベストテンの同窓会》特番に呼ばれて『話しかけたかった』を歌う機会が与えられると、感極まって泣いてしまうのである。



「やっぱり …… 本当は歌いたかった」と。(だろうな。歌がそんなに上手くなくても、歌番組にのぞむ気持ちは並々ならぬモノがあったし)


この本人の涙ながらの訴えが功を奏したのだろうか …… 

それからは女優業を地道に続けながらも、コンスタントに歌う機会も増えていく。


そうして、2011年発売のベスト・アルバムには、待望の新曲『最終オーダー(ラスト・オーダー)』が、作詞:南野陽子、作曲・編曲:萩田光雄で完成し、収録される。


この曲を後追いで聴いた時、私は素直に感動してしまった。


メロディー・ラインが良いのは当たり前だが(なんせ作曲が萩田光雄大先生だもの)南野陽子の歌唱が昔に比べて格段に 良くなっている!のだ。(上記に記した、あの《欠点》もだいぶ影を潜めている)


それからも静かなる快進撃は続き ……


2015年には、小説家であり作詞家でもある、なかにし礼(没2020年)のトリビュートアルバム『なかにし礼と12人の女優たち』にも参加。



かつて、なかにし礼が作詞して大ヒットした名曲の数々の中から、それぞれセレクトして、《女優たちに歌ってもらおう》ってコンセプトの企画アルバムである。(これは評判が良かったのか、最初からそのつもりだったのかは知らないが、翌年2016年にも第2弾『なかにし礼と13人の女優たち』ってアルバムも発売されている)


この両方で、南野陽子も歌唱しているのだけど、どういった経緯でこうなったのか?(それにしても、なかにし礼のこのデレっぷり様よ(笑))


2015年版では、菅原洋一さんの『知りたくないの(1965年)』、

2016年版では、いしだあゆみさんの『あなたならどうする(1970)』を、それぞれカヴァーしていた。


これも一部の関係者たちやフアンを、驚かせてザワつかせる結果となる。

「南野陽子って、こんなに歌が上手くなっているの?!」と。(ここへきて、やっと世間的に実力が少しは認知されたか)


そうして、この30周年コンサート&追加公演である31年目コンサートである。



長く続けていると、こんなご褒美ももらえたりするのだ。


このコンサートの副題は、アルバム曲にもある『シンデレラ城への長い道のり』。


本当に、本人にしても、ここまでの道のりは長かったはずだ。

年齢と共に声には《艶(つや)》がでて、歌唱は安心して聴いていられるような安定感まで備わった。


なんなら、『秋からもそばにいて』なんて曲は、昔よりもずっと良い出来栄えだ。


同世代のアイドルとして、これからも応援していきたい。

フレー!フレー!ナンノ!!である。



※《蛇足》これを書き始めた頃、またもや最新ニュースが飛び込んできた。


2025年7月、NHKホールにて、南野陽子40 周年記念コンサートが行われるのであ〜る。(我ながら先見の妙が当たりすぎて、たまに恐ろしくなる)


とうとうNHKさんも、今のナンノの実力をお認めになった(?)のかしらん?

まぁ、私のようなフアンにしたら「10年遅いんだよー!」と言ってやりたいところだけどね(笑)。

2022年6月6日月曜日

ドラマ 「香港迷宮行」

 1992年  7月。




『工藤麻砂美(まさみ)』(南野陽子)は、退屈な日々を過ごすだけの地味なOL。(最近、上司の金田明夫と酔った勢いで、一夜だけの不倫もあったが)




そんな麻砂美の元へ、香港から、手紙と一緒に《ハイネの詩集本》が送られてきた。


宛名は、昔別れた恋人『岩館(いわだて)』(山下真司)からである。


『昔、君に借りていた詩集本をお返しします。近く日本に帰ってきたら、また連絡します』


「やだ …… 」

《嫌だ》と言っても、麻砂美の心は弾んだ。

会社のお昼休み、屋上で、これまた地味〜にハイネ本を読んでいるような麻砂美に、優しく声をかけてくれたのが岩館だったのだ。(本当に地味だ(笑))


岩館の転勤で別れた二人だったが、今頃になって、どうして ……?


(とにかく、こうなりゃ香港へ、直接会いに行ってみよう!)


たまたま、香港へのパックツアーに空きを見つけた麻砂美は、めいいっぱいオシャレして、それに参加した。


香港ツアーは、現地の香港人『陳(ちん)』(平田満)がガイド役である。



他の参加者は、貫禄充分なマダム『小野田たま子』(二ノ宮さよ子)や派手な身なりの『柳田邦子』(村上麗奈)。



そして、会社の出張で安いパックツアーを利用してやってきたという『小原友成』(長谷川初範)など、見知らぬ面々が揃う。


ただ …… 調子の良さそうな男『小原』にだけは、どこかで見覚えがあるような気がする麻砂美なのだが ……


そして、ホテルにチェックインすると、即座に岩館に電話する麻砂美。(心はルンルン気分)


だが、電話を受けた岩館の方は、予期せぬ麻砂美の旅行に驚く。


「とにかく、今夜、そっちのホテルに行くよ」と約束するも、どうも様子がおかしいぞ。



妙なサングラスをかけた男たちに追われながら、香港中を逃げ回る岩館には、何か秘密がありそうだ。


それに加えて、ツアーの参加者たちも様子が、かなり変である。



その夜、参加者でテーブルを囲みながら食事をしていると、回転テーブルの上に酒のグラス🥃が載せられた。


小野田たま子の瞳がキラリと光る。


そのグラスの一つをとって、飲んだ小原が慌てて、ペッ!と吐き出した。


「何だ?!コリャ!変な味がする」

途端に気分が悪くなった小原は、ホテルへ駆け込んだ。


幸い助かった小原だが、なにやらグラスには《毒物☠️》みたいなモノが入れられたのか?



その夜、今度は、ガイドの陳(ちん)が、柳田邦子の部屋へと訪れた。

重厚な《ピストル》を邦子に押し付けてくる陳(ちん)。

「これで上手くやるんだ!」



そう、このツアーは、借金で首がまわらない者たちを集めて、人殺しをさせるという、殺人ツアーだったのだ。(ゲゲッ!)



報酬は、それぞれにかけられた保険金《三千万円》。


そんな陳(ちん)の計画につられて、小野田たま子も、柳田邦子もやってきたのである。(ドジな二人はことごとく失敗するが)




一方、麻砂美はなんとか岩館と会う事ができるのだが、後日トンデモない事を、ある女性から聞かされる。


『ジョイ』と名乗る香港女性が、いきなり来て、

「ワタシ、イワダテのオクサン。ハヤク、そのホン、ワタシにワタスね!そうしないとイワダテ、命がアブナイ!」


こんな事をいきなり聞かされて、麻砂美はビックリ仰天!目が点になる。(´⊙ω⊙`)!



なんと!岩館は、会社の裏金 10億円 を横領して貸金庫に隠していたのだ。


その金庫の鍵を《ハイネの詩集》本の背表紙に隠し、ほとぼりが冷めるまで日本にいる麻砂美に預ってもらおうと、送りつけてきたのだ。



誤算だったのは、そんな麻砂美が《ハイネの詩集》片手に、わざわざ香港までやってきてしまった事だ。



目の前にいる、妻と名乗るジョイの存在や、こんな事実を聞かされて、麻砂美はパニック。


いたたまれず、その場から逃げ出した。



だが、こんな大金の匂いに、金の亡者である悪党『陳(ちん)』(平田満)が気がつかないわけがない。



人里離れた廃屋に岩館とジョイを監禁すると、ホテルに戻った麻砂美に、陳が直接電話をしてきた。


「その《詩集》を、すぐに持ってくるんだ!!」


複雑な思いを抱えて麻砂美は指定の場所である廃屋へと、急いで駆け付けるのだが ………






一気にクライマックス近くまで書いてみた『香港迷宮行』。


原作は『花園の迷宮』で有名な山崎洋子さんであるのだが ……… (原作を読んだ事がある私は、この内容に「???」)


原作では、登場人物は他にも出てくるし、主人公である麻砂美も《殺人ツアー》のゲームに参加してるのだ。(でも、これはこれでスッキリ改変されているし、まぁ良しとするかな)



脚本を担当するのはベテラン、土屋 斗紀雄さん。

『スケバン刑事』シリーズの脚本も書いている土屋 斗紀雄さんは、何かとナンノと縁があるようだ。



こんなナンノ目当てに観た『香港迷宮行』だったけれど …… 前述のあらすじを読んでも分かるとおり、登場人物たちのほとんどが、清々しいほどの クズっぷり!(笑)



マトモな人間なんて、主人公の『麻砂美』(南野陽子)と『小原友成』(長谷川初範)しかいやしません。




あ〜、そうそう、長谷川初範さんは、本社から横領の件で調査にやってきた調査員なのでした。(だから、なんとなく麻砂美も見覚えがあったのね)


でも、毒物を飲まされて殺されそうになったり、邦子の撃った銃が暴発して足をかすめたりと、もう散々な目に会う。(それでも死なないので、ある意味強運なのかも(笑))



私が、このドラマで一番注目したのは、(ナンノの可愛さは元よりだが)やっぱり 平田満(みつる)さん。


完全に現地の人にしか見えないほど、成り切っております。(元は日本人で中国残留孤児らしいが)


クライマックス、銃口を突きつけながら淡々と話す『陳(ちん)』の独白は、このドラマの最大の見せ場である。




中国人に育てられた『陳』と弟は、陳が16歳になった時、海を渡って香港に行く事にしたのだった。


だが、途中で弟は溺れ死に、残された『陳』だけが、命からがら香港へと辿り着いたのである。


でも、何のツテもない『陳』は、香港でもスラム街と呼ばれる『九龍城(クーロンじょう)』で暮らすしかなかったのだ。(薄汚れた廃屋のような狭小住宅地)


それでも10年かけて、必死にお金を貯めて、日本に戻ってきた『陳』もとい、本名『岡本康明(やすあき)』。


そんな日本では、既に実の両親は亡くなっており、親戚たちにも邪険にされてしまう始末。



「ワタシ、逃げるように《香港》に帰ってきたよ。でも《香港》、後5年で中国に返還されるね。ワタシ、また中国人にされてしまうのか?ワタシ真っ平よ!!」


自分が《何人》なのか …… 長年、流浪の旅を続けてきた『陳』。

そして、そんな『陳』が、もはや信用できるモノは、たった一つ。

莫大な《金》だけなのだ。




『陳』(平田満)の、こんな独白は、妙に鬼気迫るような説得力がある。



この迫力に、『麻砂美』(ナンノ)は、本気で震えあがっているようだ。(そりゃ、そうだ。これぞ名演技というものだろう)




渋々、麻砂美が鍵を渡すと、『陳』はそれを持って、喜び勇んで廃屋から出ていった。


残された岩館は「なぜ?鍵を渡したんだぁーー!」と絶叫する。(オマエが言うか?(笑))



その時、麻砂美が取り出したる 別の《》🗝️


《鍵》の存在に気づいていた麻砂美は、ココに来る前に、こっそりとすり替えていたのだ。


『陳』に渡したのは、只のコインロッカーの《鍵》なのでした。(機転がきくナンノ)



そんな『陳』は、香港マフィアに捕まり、嘘の鍵だとバレてしまうと ……… ああ、哀れ。


次の日、香港のゴミがプカプカ浮かんでいるようなドブ川に、遺体として流されていたのでした。(これをスタントじゃなく、本人、平田満さんが演じているとしたら、凄い役者根性である。)



散々、騙されてきた麻砂美は、岩館に怒りの平手打ちをすると、奥さんのジョイに鍵を渡して去っていった。



そうして、麻砂美が日本に帰国して数日後 ……



あのジョイから、麻砂美宛てに手紙と、例の《鍵》が同封されて送られてきたのだ。


手紙には、「その後、岩館が交通事故で呆気なく死んでしまった」ことが書かれていた。(ザマ〜みろ)



まさに《悪銭、身につかず!


小原に鍵を返した麻砂美は晴れやかな笑顔。

こんな教訓を残して、ドラマはエンド・マークを迎えるのである ………



こんな『香港迷宮行』、面白かったー!



それに興味深く、色々と考えさせられてしまった。


と、いうのも、あれから数十年経った現在、《香港》の凋落ぶりを、何かにつけて我々は目にしてきたからなのだ。



《香港返還前》、富裕層の人々は、中国支配を怖れ、とっととアメリカや他の国へと逃げ出した。

あれだけ賑わした『香港映画』は廃れてゆき、ジャッキー・チェンや数々の著名人たちも、ハリウッドへ活路を見いだそうとして、去っていく。



そうして案の定、返還後は、映画を作ろうにも中国政府の厳しい検閲が始まる。


自由に映画なんて作られなくなってしまった現在の《香港》。(今でも細々と作られているらしいが、まるで話題にもなりゃしない)



日本からも《香港ツアー》なんて企画で、ジャンジャン旅行客が押し寄せていたけど、そんなモノさえ、最近じゃ聞かなくなってきた。




この『香港迷宮行』は、あのタイミングだからこそ、ギリギリ作る事が出来た奇跡の作品なのだ。(今じゃ、絶対無理だ)


そう考えると、2時間ドラマとはいえ、歴史的な希少価値。(凄い持ち上げよう)



星☆☆☆☆である。


あの頃の《香港》の風景も、一緒に楽しんで欲しいと思う。


長々、お粗末さまでした。

2022年5月25日水曜日

ドラマ 「時をかける少女」

 1985年  11月4日放送。(月曜ドラマランドにて)






「へ〜え、こんなのがあったんだ」

こんなドラマがあった事さえ、ごく最近まで知らなかった。



ムリもない。

南野陽子が、まだ『スケバン刑事 Ⅱ 少女鉄仮面伝説』で大ブレイクする、以前のドラマ。



『スケバン刑事 Ⅱ …… 』が、スタートしたのが1985年11月7日(木曜)。



ドラマ『時をかける少女』は、南野陽子にとって、フジテレビが仕掛けた前座的な役割りなのだ。


同じ週の4日後に始まる『スケバン刑事 Ⅱ …… 』の為の、《南野陽子・入門編》といったところに位置する。(まだまだ、この時は無名だったので)



それにしても、当時、あまり知られていなかったアイドルを《トップ・アイドル》に持ち上げるにしても、フジテレビの仕掛けたお膳立ては、今考えても親切丁寧だ。



あの、斉藤由貴にしても『スケバン刑事』がスタートする前、同じ枠内で『野球狂の詩』が放送されているし、

浅香唯にしても『スケバン刑事 Ⅲ …… 』前、これまた同じ枠内で『一休さん』が放送されてる。(なぜに?浅香唯だけ『一休さん』?(笑))



《月曜ドラマランド》って、そういう意味ではトップアイドルへ登り詰める為の貴重な第一歩、登竜門的なモノだったのかもしれない。(こういう放送枠が、今じゃ無くなってしまったのは、ことごとく残念である)


その後、ビデオレンタル時代には、ビデオ化されてレンタル店にもひょっこり並んでいたという(気づかなかった)


そして、例により長い間、全くDVD化もされない日々が続いていき ……


もはや諦めていた頃 …… またもや、最近になって運良く視聴する機会に恵まれたのだ!(ラッキー!どこまでもツイてる奴)


「へ〜え、こんな感じなのか …… 」



この2年前、原田知世主演・大林宣彦監督版の『時をかける少女』は、誰もが知るほどの名作である。


筒井康隆の原作がある以上、あらすじはほぼ一緒なのだけど、ドラマはドラマとして、なんとか差別化を図ろうとしているのが、アリアリと伺われる。(まぁ、どうしても傑作と呼ばれている映画の方と比べてしまうわなぁ~)


それにしても南野陽子演じる主人公『芳山和子』の性格は、素のナンノに近いのか、超絶お気楽で明るい!(笑)


偶然手に入れた《タイム・トラベル》能力に、最初こそ戸惑うものの、《何かの割れる音が、タイム・トラベルをする》というカラクリを知ってしまえば、それを利用してジャンジャン楽しんじゃう!


「やったー!私、《タイム・トラベラー》よ!!」

(良いのかなぁ~? それにしても映画じゃ《タイム・ループ》と呼ばれた能力が、ドラマじゃ安易に《タイム・トラベル》?!)



幼なじみのゴローちゃんは、ドラマでは理髪店の息子に変えられていて、坊主頭に眼鏡姿。一気に地味〜な印象だ。(この学校では、男子は珍しく学帽まで被ってる)



このゴローちゃん役が伊藤康臣って人。(その後、あっさり俳優を辞めたそうな。どうりで知らないはず)



で、問題は、2660年の未来からやって来た『深町一夫』役なのであるが、それを誰が演じているかというと …… それが『中川勝彦』って人。


上の写真を見ても誰だが知らない人もいる?)


この中川勝彦さん、このドラマの当時は、こんな風に高校生役を演じながらも、もう立派に成人を過ぎた23歳。


しかも、既に、奥さん までいて、このドラマの同年、1985年の5月には 子供まで産まれていたそうな。(ゲゲッ)



そんな裏事情は所属事務所によって、もちろんひた隠しに隠される事となる。(まぁ〜ねぇ~、イケメンのビジュアルで、まさに売り出そうという時に、妻や隠し子の存在はタブーでしょうよ)



オマケに、この方、映画『ねらわれた学園』では、薬師丸ひろ子の相手役オーディションで、あの高柳良一さんと競い合ったそうなのだ。


もちろん、薬師丸ひろ子の相手役は高柳良一さんになり、中川勝彦さんは落選するのだけど …… 


それにしても、その後、映画『時をかける少女』で高柳良一さんが演じた《深町一夫》役を、ドラマの方でこうして演じる事になるとは、なにやら、この二人には因縁みたいなモノを感じてしまう。

写真左、高柳良一



このドラマ版に話を戻すと、タイム・トラベル能力で『芳山和子』(南野陽子)は、銭湯の男湯の浴槽の中にセーラー服で突然現れてしまったり、『深町一夫』(中川勝彦)は、女湯に出てきたりと、もう、ヒッチャカメッチャカな展開になる。(これって、ドタバタコメディー?)



映画版の真面目な純愛ドラマに心うたれた人には、とても受け入れにくいかもしれないが、コレはコレで、お気楽〜に楽しませて頂きました。


神がかっているナンノの美しさと可愛らしさは、この時から抜きん出ている。

星☆☆☆。


※《補足 ①》

エンディングテーマで流れる曲は、南野陽子の『接近〜アプローチ〜』である。


コレが最後に流れると、「んん??」

ちょっと驚くし、それに確か、この曲は『スケバン刑事 Ⅱ 』が終了された後にリリースされた曲だったはずなのだ。


実は、この『接近〜アプローチ〜』、デビュー曲の『恥ずかしすぎて』の次、セカンドシングルとして、本来ならリリースされる予定だった曲。


だが、もろもろの事情により、先延ばしにされたそうなのである。(歌詞も違う)


それなのに(何の因果か)コレが先もってドラマには使用されている。


この『接近〜アプローチ〜』を聴くと、なんだか不思議な気分に襲われるのだった。


《補足 ②》

先程から出ている中川勝彦さんについて。


彼は不幸にも32歳の若さでお亡くなりになっている。(急性骨髄性白血病で)


そして、この時産まれていた子供なのだが、今じゃ知らない人はいない有名な方!

皆が知ってるマルチタレントの


 中川翔子(しょこたん)なのだ!!(ビックリ!驚き! (´⊙ω⊙`)!)



何かの番組で、ドラマ『時をかける少女』を観て「おとーちゃんが出てるぅー!」と叫ぶ中川翔子

南野陽子に「おとーちゃんの事、覚えています?」と訊ねると、「もちろん、覚えているわよ」と即答するナンノ。


こうして、二人仲良く記念撮影なんかもしてくれちゃったりする。


それにしても、南野陽子にとっても、この出会いは不思議な因縁だったろう。


(あの時、産まれていた相手役の子供が、こんなに大きくなって、同じように、また芸能界にいるなんて …… )


これは、まさに、長い長〜い、時をこえた《タイム・トラベル》のようなモノ。


ドラマ『時をかける少女』の世界観は、2020年を過ぎた今も、不思議な縁で、ずっと継続中だったのである。


長々、お粗末さま。(これにて)