2018年9月29日土曜日

映画 「アウェイクニング」

2011年 イギリス。





第1次大戦後、戦死した家族をなくした人々は降霊会になぐさめを見いだしていた。


だが、どれもこれもインチキなトリックを使っていて、さも幽霊がいるように演出しているだけのまがい物。




「そんなインチキは許せない!」


『フローレンス・カスコット』(レベッカ・ホール)は、女性ながらも、その『嘘』を解明する仕事をなりわいにしていた。



そんな、ある日、ルークウッド寄宿学校から『ロバート・マロリー』(ドミニク・ウエスト)という教師がやってくる。



校内を、少年の幽霊がただよってるというのだ。


数週間前にいじめで自殺した少年ウォルターの霊が……




「あなたのお力が必要なんです!よろしくお願いします、カスコットさん!」



熱心なマロリーに説得されて、心動かされたフローレンス(まぁ、マロリーがハンサムだものね)。




そして、はるばる遠い距離から列車に乗ってやってきたフローレンス。


深い、鬱蒼とした森に囲まれた広大な敷地。




そこに、そびえ建つ頑丈そうな石造りの建物。
そう………ここは『ルークウッド』………。







夜の学校は、ほんと怖いですよね。


昼間、あんなに人で溢れてる校内が、薄暗くなると、ガラ~ンとしていて、ほんと何かが、ヒョイ!と出てきてもおかしくない恐ろしさがある。


ましてや、イギリスの寄宿学校なんてものは、日本の学校なんて比べ物にならないくらい怖そう。

この雰囲気や空気感は、サスペンスやホラーの舞台としては、最適なのである。







この映画は、私の好きな要素がたくさんつまっている。



『フローレンス』(レベッカ・ホール)は、まるで女シャーロック・ホームズ並の頭脳明晰な推理を、次々披露してくれる。



フローレンスが、冒頭、インチキ降霊会の嘘を、暴いていくのは痛快だし、何よりレベッカ・ホールが自分好みの美人さんなのが、特に良い。(ここ重大ね)





そして、登場人物たちも何かしら意味ありげな過去をそれぞれ抱えている。




幼い頃、両親を謎の死で亡くし、そして、また恋人までも亡くしたばかりのフローレンスはもとより、

戦争で傷をおった脚を痛めつけるロバートも、何か秘密のトラウマを抱えている。(そして何故か?風呂に入るロバートを、覗き穴から盗み見するフローレンス(笑))




兵役逃れの番人ジャッドも、何か秘密を抱えていそう。(後半、フローレンスをレイプしようとしたりもする。そんだけ力が、有り余っているなら戦争に行ったらよかったのにね)




寮母モード・ヒルも不気味な雰囲気を漂わせて、校内をさまよう。(『家政婦は見た』ならぬ、『寮母は見た』か……この人は何でも知っていそう)



………などなど。


登場する人物たちが、どれもこれも個性的で、一気に引き込まれてしまう。





この、ゴシックホラーの世界に、ちょっぴり変態チックな登場人物たち。


謎解き、森の中の英国の学校、幽霊………あぁ、本当に好きな要素ばかり。


ワクワクものである。


最後に明かされる謎解きにも、素直に感動してしまった。


近年、稀にみる傑作。


星☆☆☆☆☆。

映画 「シーラ号の謎」

1973年 アメリカ。






ある晩、パーティーの帰りに、轢き逃げ事故で亡くなった『シーラ』。





結局、犯人は見つからずに、1年がすぎた頃、あの時、パーティーに参加していたメンバーたちに、それぞれ1通の招待状が届いた。


シーラの夫だった『クリントン』(ジェームス・コバーン)からである。


『豪華ヨット《シーラ号》で、船旅を楽しまないか?』

という誘い文句だった。



ヨットに、わざわざ死んだ『シーラ』の名前をつけるなんて………



だが、映画プロデューサーであり、大富豪のクリントンの誘いは、それぞれのメンバーたちにとって渡りに船。

「もしかして大きな見返りがあるかも…」と、俄然期待してしまうのだ。



売れない脚本家の『トム』と妻の『リー』は、クリントンの陰険な性格には辟易しながらも、

「もしかしたら仕事にありつけるかも?」

と期待して、しぶしぶ参加する。



そして、他のメンバーたちも、また同じような考えで、引き寄せられるように集まってきた。


女経営者の『クリスティン』(ダイアン・キャノン)、

映画監督の『フィリップ』(ジェームズ・メイソン)、

女優の『アリス』(ラクウェル・ウェルチ)、

その夫でマネージャーの『アンソニー』も、皆が右へならえだ。



ヨットの前で写真を撮らされる6人たち。


乗船すると、各自、一人一人に、なにか秘密が書かれたカードが配られた。


「そのカードには、それぞれ違う《秘密》が書かれてある。誰にも見せてはいけないぞ!たとえ夫婦でもだ!」


いったい、何がはじまるんだ?

ざわつくメンバーなど、お構いなしにクリントンの説明は続く。


「この船は、順番にある場所へ停泊していく。そこには、それぞれのカードのヒントが隠されているのだ。《誰が何の秘密をもっているのか?》、それを先に暴くゲームをしようじゃないか!」


クリントンの提案に、皆が心の中では、


(何で、そんな事、しなきゃならないんだ?!)


と心の中では思っていても、口を開いた言葉は、

「面白そうね」

「やろう!やろう!」だった。(忖度)



かくしてゲームが開始!




だが、この瞬間に、この中の内の一人だけは、穏やかでない決意をする。


『このゲームを利用して、《アイツ》の命を狙ってやろう!』と………


はたして、《誰》が《誰》の命を狙っているのか………





この映画、共同脚本家に有名な『サイコ』のアンソニー・パーキンスが参加している。


そして、けっこう有名な俳優たちも出演している。


ジェームス・コバーン(『荒野の七人』などのアクション・スター)

ジェームズ・メイソン(言わずと知れた名優)

ラクウェル・ウェルチ(『恐竜100万年』などのセクシーを売りにしてる女優)

ダイアン・キャノン(ケーリー・グラントの元奥さんで、叫び声が超うるさい女優)


こんな面々が顔を揃えている。(他の俳優たちは知らないが、きっと本国じゃ有名なんだろう)




オールスターを集めた映画のはしりなのかもしれないが、この1年後に作られた、『オリエント急行殺人事件』のキャストに比べたら、少しばかり地味な印象かな。



でも、この映画は脚本が抜群に良い。

小道具や謎のトリックなどは、いずれもミステリーマニアを充分にうならせるものばかりで、ミステリー好きの間では、カルト的な人気を誇っているのである。




特に、島の廃墟と化した暗い修道院での謎解きゲームのシーンはスリル満点。


皆が黒い僧衣を着せられて、誰が誰やら判別できない。



だが、そんな中で、異様な黒衣姿の人物が一人。



僧衣をめくり上げると、長い髪のカツラをかぶっていて化粧までバッチリ。


まるで似合わない女装をしているジェームス・コバーンがいるのである。(ゲゲッ!元々、歯がでかいので、口紅なんて塗ると、まるで『笑うセールスマン』にしか見えないコバーンである)



そして、こんな不細工なコバーンは、女装姿のまま、あっけなく殺されしまう。


あぁ~哀れ!コバーン……犯人が狙っていた人物は、やっぱり君だったのかー!(白々しい (笑) )




さあ、誰がどうやって殺したのか?



残ったメンバーたちは、集まって(あ~でもない、こ~でもない)とディスカッションをしはじめる。




そうして、やがて明かされる真実。


その後に、またもや、もう1つある《どんでん返し》の結末。



オリジナルの脚本で、これだけミステリーの醍醐味を堪能させてくれる映画も、そうそうないと思う。


ミステリー・マニアを自負する方なら、1度はご覧あれ!

星☆☆☆☆。


※でも、女装姿のジェームス・コバーンには、あまりドン引きしないでね。くれぐれもご注意を(笑)

2018年9月28日金曜日

映画 「サンジャックへの道」

2005年  フランス。






監督はコリーヌ・セロー

フランス映画界が世界に誇れる、有名女性監督さんである。




母親の遺言状により遺産相続のため、フランスのル・ピュイからスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラまで1500kmの巡礼の旅に参加する事になった3兄弟。




長男『ピエール』は、神経質で薬が常に手放せない会社経営者。(妻はアルコール依存症)


長女『クララ』は口が悪い学校の教師。


次男『クロード』は福祉の世話になる働いた事もない呑んだくれのプータロー。(こいつが一番ダメダメ)


こんな3人は、口を開けば、お互いを罵りあう喧嘩が、即、はじまってしまう。




その3人と同行するのが、気楽な山歩きと思って参加した女子高生『エルザ』と『カミーユ』。


カミーユの事が好きなアラブ系の少年『サイード』は、友人『ラムジー』を誘って、こっそりと、この旅に参加した。(すっかりメッカに行くと思って騙されているラムジー君。気立てはいいけど、まるで字が読めない失読症の少年である)



一人で参加した、頭にスカーフを巻いている女性『マチルド』さん。(つい最近ガンを克服したばかり。よって毛髪がない)


そんな、面々をまとめるのが、アラブ系の案内ガイド『ギイ』である。(ダンディーなオジサマ)




この9人が一緒に旅をするのだが、道はつねに険しい。



「この~!ズルしないで、ちゃんと歩きなさいよ!!」

坂道を歩くのに、携帯で部下の車を呼びつけてズルしようとする兄ピエールに、途端に激怒するクララ。


「うるさい!黙れ!デブ女!!」


「何を~!💢」

大の大人が、人目もはばからず殴りあいの大喧嘩。(バチン!バチン!)


「やめなさいぃー!!」

こんな風に度々喧嘩をしては、ガイドのギイが怒鳴って止める始末。




それに怪訝な顔をする者もいる中、三男のクロードは我関せず。(呑んだくれでグータラですから。)


たまに口を開けば、こんなセリフ。

「あ~、この辺りにbarはないのかな? 後、ちょっとお金を貸してもらえるかな?!」(返す気もない癖に……本当にこんなのが、一番タチが悪い (笑) )




始終こんな感じなのだから、道行きは前途多難である。(も~、ガイド役も大変だ)




それでも、激しい心臓破りの坂道や山道を、ひたすら歩き、歩き、歩き続ける……





牛の群に逢い、川のせせらぎを聞きながら、緑あふれる木々を過ぎて、ひたすら歩く……


時には激しい雨に降られながらも、ひたすら歩く、歩く、歩く……






そして、次第に、旅のはじめにリュックにギュウギュウにつめこんだ荷物などを捨てていく。(「手鏡やら、ドライヤーなんて、余計な荷物だったわ!」女子高生の必需品さえも、ためらいなく捨て去るエルザとカミーユたち)




まるで、それは、それぞれの《見栄》や《虚飾》をおろすようでもある。



教師のクララは失読症のラムジーに道すがら、字を教えはじめたりする。



ピエールさえも薬を手放し(精神安定剤?)、三兄弟は団結しはじめて、次第に他の者たちの気持ちまで……



ただ山歩きをする事が、人の気持ちを軽くして、健全に変えてゆくのである。




それは、時折、笑いを交えながら、決して説教くさくもなく、ただ淡々と………



さぁ、皆が一致団結しはじめた。


ゴールのサンティアゴまで、後、もう一息………




この映画は、一瞬で自分を魅了した。



キャストから、ロケーションの山々、音楽……何もかもが、自分の感性にピッタリ合った。


こんなんですから、もう、文句なんかつけられるものですか。



この映画の全てを私は愛しております。



だから、何度でも観てしまう。(たぶん50回以上は観てます)



その度に、なんだか癒されてしまう。(日々のストレスや疲れを感じた時なんか、全てを綺麗に洗い流してくれるような感覚におそわれるのだ)





それは、まるで毒出し効果、ヒーリング効果ともいえるかもしれない。


映画を観て、こんな風な気持ちにさせられたのは、後にも先にも、この映画が初めて。


これは、そんな不思議な、とっておきの映画なのです。



もっとコリーヌ・セローの映画が観たい気がするが、それ以降輸入されてこないのは、なぜ?なんだろう…



もうすこし評価されてもいい監督なんですけどね。



派手派手しいハリウッド映画もいいけど、フランス映画の魅力を再確認するなら、この映画はうってつけ。


超オススメしておく。

星☆☆☆☆☆。

2018年9月27日木曜日

映画 「ジュマンジ / ウェルカム・トゥ・ジャングル」

2017年 アメリカ。






高校生の『スペンサー』、『フリッジ』、『マーサ』、『べサニー』の四人は、それぞれ罰として、地下室の掃除を言い渡された。


(なんで俺らが……こんな事を……)なんてブツブツ文句も出てくる。



そこで見つけた、ジュマンジのゲーム機。



早速、四人は、テレビにつないでゲームをはじめようとするのだが………あら不思議。


あっという間に、四人はテレビ画面に吸い込まれてしまったのでした。



そして気がつくと、全く違う姿になっている自分たちに驚いてしまう。



「何じゃこりゃ~?!」

気の弱いヒョロヒョロした青年『スペンサー』は、ジュマンジ世界では、筋骨粒々ムッキ、ムキ!のドウェイン・ジョンソンの姿に。(禿げてるけど)




美人の『べサニー』なんて、超最悪!

太っちょ教授のジャック・ブラックの姿になっている。(これは可哀想だろ)



元の姿に戻るには、この世界で『ジュマンジ』ゲームをクリアしなくてはならない。



仕方なく、四人は、ゲーム世界をさ迷いながら、慎重に歩を進めていくのだが……







なんだか、この濃い面子が揃っただけでも、この映画はある程度の成功を約束されたと思っていたのだが……


でも、ふたをあけてみれば、『スター・ウォーズ』を抜き去って、とんでもない高収を打ち立ててしまう。



自分自身は、そこそこ楽しめたかなと思うのだが、いくらなんでも「そこまでヒットする?」って感じかな。(まぁ、『スター・ウォーズ』が、あまりにも期待ハズレだったんだろう)



人には、「まぁ、普通に面白いよ」くらいの感じで、気軽に薦めるのがいいかもね。




それにしても、ここ最近のドウェイン・ジョンソンの活躍はめざましい。



この、ムキムキマッチョなプロレスラーあがりの男が、今現在、ハリウッドでもっとも稼ぐスター俳優にまで君臨するとは……



こんなの誰が予想しただろうか?



この人を見ると、昔のシュワルツェネッガーのような《滑稽さ》や《おかしみ》を思い出させて、自分なんかは、妙に懐かしい気持ちになってしまう。



マッチョで強面でも、自然に醸し出してくる《親しみやすさ》。



こんなのを持っている俳優は本当に強い。



何をしても、皆に好かれてモテはやされるからだ。



まだ、まだ上昇気流にのって活躍しそうな勢いのドウェイン・ジョンソンに、これからも大注目である。


星☆☆☆。


※でも、ドウェイン・ジョンソンのキスシーンをちょっとだけ《グロいなぁ~》と思ったのは自分だけだろうか?


キスされる相手の女性が、何だかドウェインに食べられてしまいそう。(いや、呑み込まれそうに見えてしまう)



こんなに、見た目、全然ロマンチックじゃないキスシーンも、また珍しいものである。(笑)



2018年9月26日水曜日

映画 「サスペリア PART2 (紅い深淵)」

1975年  イタリア。






ある夜、イタリアの会場で超心理学についての講演が行われていた。


物珍しさで集まった大勢の人々。



特別ゲストとして、テレパシストの『ヘルガ・ウルマン』なんて女性が招待されている。


次々と、客たちの思っている事を言い当てるヘルガに客たちは驚いて拍手喝采。



だが、次の瞬間!


「キャアアーーー!」


ヘルガが、突然叫び声をあげて、口に含んでいた水を、《ジャー!》と吐き出した。(汚ねぇ~)




「怖い …… 怖いわ」

客席の中に、邪悪な殺人鬼の意志を察知したのである。




その殺人鬼の過去や考えが、湯水のようにヘルガの頭の中に入ってきて、ヘルガは恐ろしさのあまりパニックになったのだった。



講演が終わるとヘルガは急いでサッサと帰宅した。





その殺人鬼に後をつけられているとも知らずに ………(テレパシストなのに尾行には、全く気がつかないヘルガさん)




そんなヘルガの住むアパートの近くで、ピアニストの『マーク』(デヴィッド・ヘミングス)は、同じピアニストでアル中の『カルロ』と帰宅中だった。


「飲み過ぎだぞ、カルロ!」


マークの忠告を無視して、帰り際にも酒を煽り続けるカルロはベロンベロンで千鳥足。


「へへへ、大丈夫、大丈夫 …… 」

カルロは、ふらつきながらも、やっとこさ帰っていった。



「やれやれ …… 」呆れるマークが、自分もアパートに戻ろうとした瞬間、


「キャアアァーーーー!!」


暗い深夜の通りに、耳をつんざくような絶叫が響き渡る。





その声がどこから聞こえたのか …… 辺りをキョロキョロ見渡すマーク。



通りをはさんで建っている、もしや、あのアパートの2階なのか?


見上げれば窓ガラスに血だらけの女性の姿が映しだされている。


その背後からは、今、まさに、《斧》のようなものが、何者かによって降り下ろされたのだった!




絶叫と共に、窓ガラスが粉々に割れる音が響き渡り、遠く離れているマークの目にも赤い鮮血🩸が見えた。





マークはいつの間にか走り出していて、そのアパートの玄関を抜けると一目散に階段を駆け上がっていった。




2階には細長く続く狭い通路。


それは、いくつかに枝分かれしていて、壁には様々な額縁の奇妙な絵が飾られていた。



辺りを見渡しながら、慎重に歩を進ませるマーク。


そうして歩いていくと、奥の部屋には血まみれで倒れている、あの、先程のヘルガの遺体があったのだった。






しばらくして警察がやってくると、現場は大勢の人々で騒然としはじめた。



もちろん、第1発見者のマークも警察に質問攻めにあっている。


「駆けつけた時、遺体の彼女以外は見なかったんですか?犯人の姿も?!」


「ええ。でも ……… 何かがおかしかった。うまくは説明できないのですが ……… 」





そこへ、いきなり、『パシャッ!』のシャッター音。


ドア口にカメラをもった新聞記者の『ジャンナ』(ダリア・ニコロディ)が乗り込んできたのだった。



「おい!誰の許可を得て入ってきたんだ!」

「いいじゃないの。ねえ、彼が第1発見者なんでしょ?教えてよ!教えてよー!」



特ダネのためならどこまでも。

キャリア志向で食らいついたら離れない、まるでスッポンのような根性のジャンヌに、マークは呆れるのだった。





そして次の日、新聞にはデカデカと写真つきでマークの記事が載せられている。

「何なんだ、これは!?」



そこへ現れたのは、あのジャンヌ。

「これで、次に犯人が狙うのはあなたよ!でも大丈夫! 二人でこの難事件を解決するのよ!」


(やれやれ、厄介な事になったものだ……。)


好奇心旺盛なジャンヌにあおられて、マークは事件に首をつっこんでいくのだが………






監督はダリオ・アルジェント




日本では先に『サスペリア』という映画が公開され大ヒットした。


それ以前につくられた映画にもかかわらず、当時の馬鹿な映画宣伝部が、勝手に『サスペリア2』なんて邦題をつけて公開してしまった。(原題は、deep red)


内容も、オカルト映画『サスペリア』とは全く関係ないサスペンス謎解きスリラーなのにである。(あ~、不運な映画)





でも、謎やスリラー的な雰囲気はあっても、この映画、あんまり怖くない。


怖さよりも、所々で笑ってしまうのだ。



でも、これが《アルジェント印》の映画なのだから、しょうがないっていえばしょうがないんだけど。(笑)



何本も映画を撮っているのに、一向に上手くならないアルジェント。



怖がらせようと一生懸命に演出するのだが、なぜか?湧き出てくるB級感。





でも、こんなヘンテコな『アルジェント映画』にフアンは熱狂的になるんだけどね。(かくいうワタクシも大好きである)




だいたい、この犯人から変わっている。



わざわざ殺しをする時に、


レコードをかけたり(♪ラ~ラ~ラ~)、

気味の悪いオモチャの人形を、カタカタと走らせたりするのだから。(この労力だけでも大変なものだ)




そうやって、充分に相手をビビらせておいてから、「いざ、殺しましょう!」って。


どんだけ悠長やねん!(笑)って話だ。






マークとジャンナの会話も本筋から外れっぱなし。



「あなた女が怖いんでしょ?」

「はぁ?、ぼくは男だぞ。女が怖いわけないだろう!」

「じゃ、腕相撲しましょうよ」(なんで?)

腕相撲でアッサリ負けてしまうマーク。


「ズルしただろう?こんなので勝って嬉しいのか!もう1回だ!」




本当に、もう、どうでもいいエピソードである。(笑)






だが、こんなズレまくっている『サスペリア2』なのだけど、この映画には、それを補うほどの特別な仕掛けが施されているのだ。




それは映像でしか、なし得ない一発勝負の《映像トリック》。



こんな事をよく思いついたものだと、初めて観た時はビックリした。


それがアルジェントだけなのだと思うと、俄然、自分の評価は高くなってしまう。




映画が終わりました。


もう一度巻き戻して、ゆっくり観てみましょう。


ほ~ら、わかりましたか?



これだけでも充分、コロンブスの卵のような映画といえると思います。



観た方はネタバレ禁止。(必須)


星☆☆☆☆☆を挙げておきます。

2018年9月25日火曜日

映画 「スリー・ビルボード」

2017年  アメリカ。





主演は『ファーゴ』のフランシス・マクドーマンド


この映画、アカデミー主演女優賞、助演男優賞を獲得してる。

昨今のアカデミー賞をあんまり信用してないので、期待半分。




あと、この映画の事は知ってたけど、あまりにも好き嫌いが別れてて、ずっと二の足をふんでました。





観た感想は、一言で言うと《変な映画》。


でも、これが、後生に伝えるアカデミー賞を獲れるほどの傑作とは、全く思えないけどね。




娘をレイプされて殺された母親ミルドレッドが、行き場のない怒りを、警察所長を名指しにして、3つの広告看板に町中に掲げる。


「娘はレイプされて焼き殺された」

「いまだ犯人はつかまらない」

「どうして?ウィロビー所長?」




ウィロビー所長というのが、人望もあって町中に好かれている人物。(オマケにすい臓ガンを患っている)

こんな看板で誹謗中傷された所長は、町中の人たちに「可哀想に……」なんて気持ちで、一気に同情が集まってくる。


皆が所長の味方なのだ。



一方、こんな広告を出した母親『ミルドレッド』(フランシス・マクドーマンド)は、周囲の人々を完全に敵にまわしてしまう。





でも、このミルドレッドも負けてはいない。


どこまでも強気で激しい気性の持ち主なのだ。



牧師の説得など、まるで意に介さない。


治療に行った歯医者が所長の味方なら、指を治療ドリルでつき刺したりもする。(この辺りから、なにやらミルドレッドに同情的になれないような、おかしくな方向になってくる……)






こんなミルドレッドに対抗するのが、所長崇拝も度を越えている悪徳警官『ジェイソン』。


ミルドレッドの友達を勝手にしょぴいて(有色人種というだけで)、警察の域を越えたやり方を平然とやりだす。(今時いるのか?こんな警官?)



まさに、《やったらやり返せ!目には目を!》を地でやりだすような二人なのだ。



この二人、所長がピストル自殺をしてしまうと、もうお互いのやりたい放題が、さらにヒート・アップしていく。



頭にきたジェイソンは、八つ当たりで、ミルドレッドの広告看板を出した業者を殴る、蹴る。

しまいには、2階の窓から放り投げたりもする。(相手は病院送りになる)



当然、警察はクビ。(逆に逮捕されないのか?)



ミルドレッドはミルドレッドで、看板を放火されると頭に血がのぼり、警察署に火炎瓶を投げ込んで全焼させる。(もう、やけくそ。理性なんかぶっ飛ばせ!だ)



ちょうどその時、辞めた警察署で、所長の遺書を読んでいたジェイソンは、火だるま状態で飛び出してくる。





この映画を嫌いな人は、誰一人感情移入できなかったという。



まぁ、そうだろうな。(自分も全然分からないし)



殺された娘にしても回想シーンで、ちょこっと出てくるけど、生意気で全然可愛いくない娘だしね。



ドラマとして素晴らしい傑作だったという人もいるけど、それもどうなんだろう。



ブラック・コメディー?(あんまり笑えないけど)




こうして、文章におこしてみても、まるっきり変な映画だ。



だって、ありえないような展開ばかりだし。



放火しても、傷害事件をおこしても、決して逮捕されないミルドレッドとジェイソンは、まさに七不思議である。(こんなのとっくに刑務所行きでしょ)



こんな二人は決闘でもなんでもして、二人きりで、とことんやり合えばいいのにね。(巻き込まれる人は、たまったもんじゃないです)



とにかく、完全に怒りの矛先を間違った方向に向けているミルドレッドには、とても同情はできないのでした。


星☆☆。(これでアカデミー賞は、やっぱりオカシイだろ)

2018年9月22日土曜日

最初に 「はじめまして」



ブログ初心者でございます。


映画、ドラマ……などなど、つれづれに書いてみたいと思います。


なぜ?『ジェミニ』かというと、blogのタイトルどおり、ワタクシが双子座生まれだから。(安易だなぁ~)


真面目に文章を書こうとすれば、頭の後ろで、別の自分がおちょくってくる……(けったいな性格)



どうぞ、気長によろしくお願いします。