2021年11月28日日曜日

映画 「里見八犬伝」

 1983年  日本。





私は昔から薬師丸ひろ子が好きである♥️



ハッキリ言って美人でもない丸顔や低い鼻を持つ彼女。

背も低いし、見た目は平均のアイドルよりも、だいぶ下回る。



つまり、どこにでもいるような女の子なのだ。



だが、ひとたび声を発せれば、独特なクリスタル・ヴォイスが超音波☄️となって、たちまち大勢を虜にする。


だから、薬師丸ひろ子の歌う曲は、どれもコレも名曲ばかりのラインナップがズラ〜リと並ぶ。(ひろ子の声質が、名作詞家や作曲家を引き寄せる効果もあるのだ)



こんな薬師丸ひろ子の歌は、好きな自分なのだけど……こと、芝居の方になると好き嫌いは両極端、真っ二つに分かれてしまう。


これは自分の趣向の問題が大きいのだけど、監督や共演者によっては敬遠するモノも、かなり多いのだ。



あの、「快感!」のフレーズでお馴染みの『セーラー服と機関銃』だって、そう。




歌の方、『セーラー服と機関銃』もヒットしていたし、「1度くらい本編の方も観ておこうか……」くらいの軽い気持ちで観始めたのだけど………


コレが、おっそろしく、つまらなかった。(自分には)


原作はユーモア・ミステリーの巨匠、赤川次郎なのに、「どこに赤川次郎のテンポの良い《ユーモア》があるの?」と言いたくなるほどだった。


監督が相米慎二。(この人の監督作で斉藤由貴の『雪の断章』も観たのだけど、これまた同じように駄作。つまんなかった)


とにかく、エンディングテーマが流れるまでは苦痛以外の何モノでもない。


女優の演技開眼に定評のある相米慎二監督で、薬師丸ひろ子も、斉藤由貴も、

「あの時、監督にしごかれた時間があったからこそ、こうして女優を続けてこられた」

なんて回顧するインタビューを見るけど、それとコレとは話は別。


観る側にとっては、無関係。


要は「面白いか!、面白くないか!」だけなのだ。(私はつまらなかった。ゆえに相米慎二の映画は、それ以後パスしている)




お次は、同じ赤川次郎原作の『探偵物語』。


コレを私、観ていないのだが面白いんだろうか?


共演者が、私の苦手な松田優作というだけで、今日に至るまで完全スルーしてきたのだ。(歌は勿論知ってるけどね。これまた名曲)



松田優作の何が苦手って、あの独特な《セリフまわし》。


ぶっきら棒に早口で「さっさとセリフを言い終わってしまおう!」っていう、あの喋り方。


ゆえに、いつもふてくされているようにとれて、昔から、この人のドラマや映画は苦手なのだ。(コレが「カッコいい!」って人もいるけど……今だに良さが分からん)



透明感あるクリスタル・ヴォイスの薬師丸ひろ子と、いつもの様にぶっきら棒な芝居をするだろう松田優作……想像しても不釣り合いな気がして、これまた当時観る気がしなかった。




そうして、この後に、この『里見八犬伝』がやってくる。


巨額の制作費を投じて、SF超大作時代劇を1983年の暮れにぶつけてきたのだった。



お話は簡単。


100年前、妖怪『玉梓(たまづさ)』の呪いや恨みで滅ぼされ続けてきた里見家。


その最後の生き残りである静姫は、因縁を断ち切るため、伝説である8人の《犬士》を集めて「打倒!妖怪たち!」を誓うのである。



もちろん、ヒロインの静姫役には薬師丸ひろ子


そして相手役には、当時、そのハンサム具合とキレのあるアクションで、世の女性たちを「キャアーー!キャアーー!」言わせていた真田広之




何気に芝居が上手い真田広之の登板に、(オオッ!この映画は面白くなりそうかも……)と期待を膨らましていたら、他の脇をかためる俳優たちも、これまた凄い面子が、ジャンジャン並びはじめてくる。


同じジャパン・アクション・クラブの志穂美悦子大葉健二(宇宙刑事ギャバン)。


そうして御大、千葉真一。(これだけ揃えれば、アクションに関しては「大丈夫!」だと、ほぼ太鼓判を押されたようなモノだ)




重鎮、寺田農や『必殺仕事人』でブレイクする前の京本政樹もいたりする。


オマケに、妖怪で悪の本元『玉梓(たまづさ)』には夏木マリが扮しているのだ。(若さを保つため血の池に浸かる玉梓にゾゾッ〜!)




原作と脚本は『男女七人夏物語』の鎌田敏夫さんで、監督は『仁義なき戦い』や時代劇アクションを知り抜いた深作欣二



これで面白くならないはずがないじゃないですか!


映画は当然、大、大、大ヒット!した!!(メガ・ヒット)


オマケに当時発売した高価なビデオさえも何万本も売れたという。(ビデオなんて当時は1万円以上の値段。それがバカ売れなんて角川事務所は、もうウハウハ状態。笑いが止まらなかったろう)



かくいう自分も、ここへきてやっと、薬師丸ひろ子の映画で「チョー面白かった!」と素直に思えたほどだった。(とにかく次から次への妖怪たちとの死闘は大迫力。魅せる!魅せる!)



『静姫』(薬師丸ひろ子)が、

星よ、導きたまえ!って矢を射るポーズ、流行ったなぁ~。



ただ…………



この映画に一つだけ難癖をつけるなら、薬師丸ひろ子に、着物が似合わないことに気づいてしまった。



もう、可哀想なくらいにチンチクリンなのである (笑)。



冒頭の弓を構えるひろ子を見ても分かるように、背の低さ、首や手の短さは、着物を着れば一目瞭然。



本当に酷な言い方をするなら、

ちょっと可愛らしい《バカボン》って感じなのだ(笑)。(着物って、誰でも着て似合うもんじゃないのだ、と知る)



それでも、このblogを書きながら、懐かしさゆえ、こっそり『里見八犬伝』を借りてきた私は、今から記憶保管に観賞する予定。


皆さまも、どうぞ、楽しんでご覧あそばせあれ。

星☆☆☆☆☆。


※《後記》やっぱり数十年ぶりに観ても面白さは変わらなかった! 


この映画は「傑作!」だと、改めて思った次第である。(薬師丸ひろ子の着物姿も、「コレはコレで良いのかも……」なんて寛大に思うようになったのも、自分が歳をとって充分にオッサンになった?からなのかな?(笑) )



2021年11月26日金曜日

映画 「白い肌の異常な夜」

 1971年  アメリカ。




この映画を観れば、ドン・シーゲル監督や、クリント・イーストウッドの見方は180度変わるかも。(『ダーティハリー』しか観てない方は特に)


かくいう自分も、その昔、何の予備知識も無しに観て、かなりの衝撃をうけた。


ガビーーーン!何じゃ、こりゃ?!


この映画を観た後なんて、しばらくの間は、この二人に関しては変な色眼鏡が抜けきれずに、「映画は映画として……」なんて割り切れなかったほどだ。


そのくらい、この映画は、エロティックであり、残酷なモノに満ちあふれている。


ドン・シーゲル、イーストウッドの師弟コンビが、若い時のノリで、思いっきり《変態性》を突き詰めた異色作。


それが、『白い肌の異常な夜』なのであ〜る。




時は、南北戦争終わりの頃、森の中でキノコ採りをしていた12歳の少女『エミー』は、瀕死で倒れている北軍の伍長『ジョン・マクバニー』(クリント・イーストウッド)を発見した。


(死んでるのかしら?……いや、生きてるわ!それに脚を怪我してる、この人!)


幼いエミーにそれ以上の事が出来るはずもなく………エミーは森を抜けた自分が住んでいるファーンズワース女学院へと助けを求めて走った。


しばらくして、気を失っているジョンが、ふと目を覚ますと、自分は担架の上に載せられていて、それを左右から見知らぬ女たちが大勢で取り囲みながら運ばれている。


(誰なんだ?この女たちは……俺をどこへ連れて行くつもりなんだ?!)


《ファーンズワース女学院》……そこは『マーサ・ファーンズワース』を校長として、森の中で自給自足をして女たちだけが住む女学校なのだ。


教師も女なら、エミーのような小さな生徒から思春期の生徒たちまで、全てが女性。

黒人奴隷で学院につかえているのも、これまた女性なのである。



こんな女だらけの巣の中に、突然、男が一人やって来た。


怪我をしていて動けないとはいえ、《男》は《男》なのだ。



案の定、その日から、女たちは始終ソワソワしはじめる。


気にならないはずがないのだ。(しかも若くてハンサムな男ときてるんだから)



ある日、17歳の女生徒『キャロル』は、授業を抜け出して、こっそりジョンが寝ている部屋へ忍び込むと、自ら大胆にキスしてくる始末。(ワァオー!)


清楚な女教師『エドウィーナ』もジョンの魅力に抗えずメロメロになっていく。




やがて介抱のかいあって、ジョンが松葉杖で歩けるようになると、南軍に引き渡そうと考えていたマーサもすっかりジョンの虜になって、

「どうかしら?ここに住んで畑仕事を手伝ってみては?」なんて提案をしてくる。



そんなマーサに「しめた!」と思ったジョンは、「この期を!」とばかりに、年増のマーサにまで手を出してしまう。



こうして色々な女たちと愛欲の日々を過ごすジョン。


まさに、ジョンにとっては、ここは《ハーレム》か《天国》。


あっちの女、こっちの女と行き来して、女たちの欲求に応えていく。



だが…………世の中、そう簡単に上手くいくのか?


やがて、女たちの間では、不穏な空気が流れはじめ、最悪の事態がジョンを襲うのだった………(アララ……やっぱりね)




こんなモテ男を演じたクリント・イーストウッドと、それを監督したドン・シーゲル


この『白い肌の異常な夜』は、あの『ダーティハリー』と同年、1971年の作品なのだ。


で、結果は『ダーティハリー』の方が世間的に大ヒットしたのは、皆の知るところなのだが、ドン・シーゲルにしてもイーストウッドにしても、この『白い肌の異常な夜』の方にこそ、思い入れが、かなりあるらしい。


なんせ、後年になっても、

「自分が監督した作品で何が好きか?」

と聞かれると、ドン・シーゲルなんて真っ先に「『白い肌の異常な夜』!」と答えているのだから。(まぁ、『ダーティハリー』は、皆が嫌がって無理矢理押し付けられたモノだしね)


イーストウッドにしても、この映画の撮影では「こんなカメラアングルで撮った方が効果的なんじゃないか?」なんて、どんどん自分の意見を発信していたらしい。


シーゲルも、それを「うん!うん!」と受け入れてくれたのだから、この映画は二人にとってはエポック的な作品なんだろうと思う。



たとえ、映画が、《残酷》で《変態》みたいな内容でも……(笑)




この後は、案の定、ジョンが若いキャロルと情事にいそしんでいるのを、女教師エドウィーナが目撃して修羅場。


エドウィーナは松葉杖のジョンを階段から突き落としてしまう。(ヒェ~!)


治りかけていたジョンの脚は、複雑骨折で、もうメチャクチャだ。


そんな光景を見ながら、マーサが冷淡に告げる。


「この脚はもうダメね……切るしかないわ」


イヤだぁぁぁーーー!

ジョンの叫びも虚しく、ギーコギコ(ギャアーー!(鳥肌モノ) )




脚を失ったジョンを今後どうするのか……


憎さはあれど、ジョンの肉体に完全に溺れていた女たちは集まって話し合う。


その結果、「皆でジョンを《共有する》」事になる。(いわばタネ馬みたいなもんである)



だが、こんなのに当のジョンが堪えられるはずもなく、すきをついたジョンはマーサの銃を盗んで、逆に脅してきたのだ。


(この男はやっぱり危ない……学園の平和の為にも、ここは決心しなければ……)


その夜、ジョンには、美味しい《毒キノコ》の料理がふるまわれたのでした。


メデタシ、メデタシ……。(メデタシなのか?)



ドギツくて、変態的で、なんとも言えないような内容の映画でしょ?


冒頭、少女がキノコ採りに行って、見つけたのは、食べられないけど立派な《キノコ》を持った男なのでした。


キノコではじまり、皆が《キノコ》を求めて、毒キノコで終わる。


なんだかキノコ尽くしの映画。


この映画は、こんな解釈でいいのかな?(失礼!(~_~;) だいぶ口が滑りました (笑) )


長々、お粗末さま!


2021年11月16日火曜日

人物 「アラン・スミシー」

 活動期間1968年〜2000年。





《活動期間》なんて、こんな書き方をするのも変な話かも。



だってアラン・スミシー』なんてのは、元々《この世には存在しない人物》なのだから。



それでも、長い映画の歴史の中で『アラン・スミシー』の名前はちゃんと残っている。


何本か、映画を監督した名前として。


『アラン・スミシー』は、その昔、映画界が勝手に創り上げた架空の監督名なのである。


こんなアラン・スミシーの名前を私が知ったのは、デニス・ホッパージョディ・フォスターが共演した映画『ハートに火をつけて(1991年)』を観た時だった。




偶然、殺しの現場を見てしまったジョディ・フォスターに殺し屋が差し向けられるのだが、その殺し屋デニス・ホッバーが彼女に一目惚れしてしまう、ちょっと変態チックなお話。


私、当時、コレを観たんだけど、まぁまぁ面白かった気がする。


でも、「誰だ?この『アラン・スミシー』って?」と聞いたこともない監督に「無名の監督か?」と思ったくらいだった。



結局、後年、この映画は、主演兼監督もしたデニス・ホッパーが、勝手に編集した映画制作会社に激怒してしまって、


「監督のクレジットから外してくれ!」


と、猛烈に激怒した為、架空の監督である『アラン・スミシー』をたてた経緯を知る事になるのだけど……




でも、時はビデオからDVDに移行する時代……


あらたにデニス・ホッパーが再編集して完成させた『バック・トラック(改名)』が世に出ると、瞬く間に、この『アラン・スミシー』の事も世間にバレバレになってしまう。



そうして驚くなかれ!

この映画、その後に更に《完全版》が出来ていたらしい。


『ハートに火をつけて(99分)』

『バック・トラック(108分)』

『バック・トラック』完全版(180分)』(ゲゲッ!3時間も!)。


こんな長〜い、変態殺し屋の恋愛サスペンスを、誰が観るねん!(笑) 



でも、映画界にしてみれば、『アラン・スミシー』は、昔から一部の映画関係者だけが知る、それこそ、タブー化されていた秘密。


こんなのを誰も彼もが知って、監督スミシーの名を見れば、

「あっ、この映画はなんかトラブルがあったんだな!」なんてのが容易に分かってしまう。


すると、この『アラン・スミシー』の偽名も段々と使い辛くなってくるのだ。



その後は、ご多分に漏れず、『アラン・スミシー』を茶化す輩(やから)まで現れはじめた。


とうとう、アラン・スミシーを題材にした『アラン・スミシー・フィルム』なんてタイトルで映画が作られてしまうのだ。(こういう馬鹿なウケ狙い。どこにでもいるよねぇ~)



そうして2000年。全米監督協会は『アラン・スミシー』使用を、完全に取りやめる事となったのでありました。




こんな色々な因縁のある『アラン・スミシー』映画は以下の通り。


★『夏の日にさよなら(1968)』主演、バート・レイノルズ。


★『ガンファイターの最後(1969)』主演、リチャード・ウィドマーク。


★『学生の死体(1981)』


★『ハリー奪還(1986)』


★『クライシス2050(1990)』(日本出資の駄作として悪評判)


★『ハートに火をつけて(1991)』


★『ヘルレイザー4(1996)』


★『アラン・スミシー・フィルム(1998)』


★『美しき家政婦  ウーマン・ウォンテッド(2000)』出演兼、実際の監督、キーファー・サザーランド。



まぁ、いろんなジャンルがあることよ。



その中で、私が、今、観てみたいのが『ガンファイターの最後』。


主演のリチャード・ウィドマークと監督のロバート・トッテンが対立して、結局監督が降板。


その後、あの有名なドン・シーゲル監督(ダーティハリーなど)が請け負うも、トッテンもシーゲルも、

「監督で名前が載るのは、絶対ヤダヤダ〜!」

とゴネて、アラン・スミシー名義になった、これまた、いわく付きの作品。



でも、何気にこの映画、評判が良いのだ。(ドン・シーゲルの力?)



愚作もあれば、良作もあるアラン・スミシー映画の数々。


ネタに、1度はご覧になってみるのもいいかもしれない。


※ところで、映画会社も、今はどんな架空の監督名を使っているんだろう?(まぁ、それがバレちゃしょうがないんだけどね (笑) )

2021年11月11日木曜日

映画 「マスク・オブ・ゾロ」

 1995年  アメリカ。




『ディエゴ・デ・ラ・ベガ』(アンソニー・ホプキンス)は、美しい妻『エスペランサ』と産まれたばかりの娘『エレナ』の3人で幸せな暮らしを営んでいたが、彼にはもう一つの顔があった。


スペインによる植民地支配で苦しむメキシコの市民たち。


それを陰ながら救いたい!


黒いマスクとマントに身を包んで悪漢たちを成敗する。そう!彼こそは正義の味方ゾロなのである。



「おのれぇ~!ゾロめ〜!!」

そんなゾロの活躍に苦虫を噛み潰しているのが、カリフォルニア総督で、悪の大ボス『ドン・ラファエル・モンテロ』(スチュアート・ウィルソン)。


農民を囮にしてゾロにひと泡吹かせよう策を練るも、ゾロを助けた幼いホアキン&アレハンドロ兄弟の邪魔だてで、今回も大失敗する。(「チクショー!」by ラファエル)



「ありがとう…」

ゾロはそんな兄弟に感謝の気持ちをこめて、自身のメダルを贈った。



そうして、その夜、ゾロのマスクをとって愛しい妻子の元へ帰ったディエゴ。



だが、なんと!ラファエルとその部下たちが、その後をつけていたのだ。


「お前がゾロだったのかぁ~!」

憎きゾロの正体がディエゴだったのもショックだったが、ひそかに横恋慕していたエスペランサを妻にしているのにも、Wショックのラファエル。


もう、腸が煮えくり返るようで、憎さは数千倍である。


ラファエルの部下が、ディエゴに銃口を向けた。


それを咄嗟に庇って、身代わりに撃たれた妻エスペランサ。


「エスペランサァァーーーーッ!」


エスペランサは亡くなり、ディエゴは呆然。

敵であるラファエルも(ガ~ン!)大ショックである。


だが、ラファエルはすぐに気持ちを立て直すと、「エスペランサの残した娘だけでも……」と幼いエレナを奪い去った。(人さらい)


「その男は牢獄にぶちこんでおけ!」

部下に命じてディエゴを投獄させると、自身は、エレナを連れてカリフォルニアへと引き揚げていくラファエル。



こうして正義の味方《ゾロ》は町から消え去り、暗い牢獄生活。


愛しい妻は殺されて、娘までもさらわれてしまったディエゴの心は空っぽ。


長い20年の年月が過ぎてゆく………………




だが、ある日、牢獄で過ごすディエゴの耳にとんでもない噂が入ってきた。


「カリフォルニア総督ラファエル様がお帰りになるらしいぞ!」


それまで空っぽだったディエゴの心に、メラメラと灯りはじめる復讐の炎🔥。


「奴と刺し違えてもいい……」


ディエゴは脱獄し、帰還したラファエルの姿をとらえる……だが、その隣には若くて美しい娘の姿が。


「エレナ?……あれは私の娘エレナなのか?」



美しく成長した『エレナ』(キャサリン・セタ・ジョーンズ)は、何も知らされず育てられて、完全にラファエルを父親だと思いこんでいたのだった。


エレナの出現に、すっかり出鼻をくじかれたディエゴは、すんでのところで復讐を思いとどまった。



一方、その昔、ゾロからメダルを貰ったホアキン&アレハンドロ兄弟も成人へと成長していた。


軍の圧政に苦しむ時代ゆえ、兄弟は盗賊稼業に勤しむ毎日だったが。


だが、金品強奪に成功したのも束の間、冷徹な軍隊長『ラブ大尉』に、兄ホアキンの方は殺されてしまう。


「チクショー!」

ホアキンがゾロから貰ったメダルを自分の首にかけて、弟『アレハンドロ』(アントニオ・バンデラス)は復讐を誓う。



そんなアレハンドロに、ディエゴは町の酒場で偶然出会ってしまう。


「その首のメダル……もしかして、昔、私を助けた兄弟の片割れか?」


「あんたが《ゾロ》?!」

兄を殺されて、やけ酒をあおりながら復讐話をするアレハンドロに、ディエゴは同情しながらも、(まぁ、今のコイツが乗り込んでいっても返り討ち合うのが、せいぜいだろう……)と思うのだが、ディエゴにはもう一つの考えが浮かんできた。


(だが、私がこの青年を鍛え上げれば、もしかして……)


「ついて来い!」


ディエゴはアレハンドロを伴うと、ある秘密の隠れ家へとやってきた。


「何なんだ?ここは?!もしかしてゾロの隠れ家なのか?!」


キョロキョロするアレハンドロに、剣をさし向けるディエゴ。


「今から、私がお前を鍛え上げてやる!!」



そう、剣術も武術も、私の全てを叩き込んでやる!


それにしても、この身なりも相当にヒドイ……紳士としてのマナーも1から教えてやらねば……トホホ……


こうして《初代ゾロ》ディエゴが、《2代目ゾロ》アレハンドロを特訓する日々が始まるのだった………。




またもや、長々と書いてみた『マスク・オブ・ゾロ』の序章。(読んでくれる人いるのか?)


でも、ここまでは、どうしても丁寧に書きたかったので、どうかご容赦を。



この『マスク・オブ・ゾロ』、当時『デスペラード』で勢いづいていたアントニオ・バンデラスや、『羊たちの沈黙』で賞を総なめしたアンソニー・ホプキンスなどの出演で、観る前から期待値はおおいに上昇していた。(ヒロインのキャサリン・セタ・ジョーンズも綺麗だし)



オマケに監督は『007 ゴールデンアイ』を撮ったマーティン・キャンベルですもん。


アクション部分も「大丈夫だろう!」と期待は膨らむばかり。



で、当時、観た感想だけど……やっぱり面白かった。


「良く出来てるなぁ~」と、期待を裏切らない仕上がり具合に感心した記憶がある。



もちろん、出演者や監督も良いんだけど、この『マスク・オブ・ゾロ』、脚本がとにかく素晴らしいのだ。(脚本には3人の人物が関わっているらしいが)


冒頭に書いたモノを読んでみても分かるように、それぞれの登場人物たちの過去や背景、行動の動機なんてのが、「これでもか!」ってくらい、初めて観る人にも親切丁寧で分かりやすく描かれている。


敵役のラファエルにしても、その複雑な心情などが観ていて分かるのだから、相当に練りに練られた脚本だったんだろう。



だから、こういう映画は、何度でも繰り返し観るごとに発見があるし、長い年月にも耐えられるのだ。



初見では主役である『アレハンドロ』(アントニオ・バンデラス)の気持ちで観るのもいいだろうし、次に観る時は『ディエゴ』(アンソニー・ホプキンス)の想いに寄り添って観るのも良し。


女性なら、数奇な運命に振り回される『エレナ』(キャサリン・セタ・ジョーンズ)に感情移入だってできる。


悪党『ラファエル』(スチュアート・ウィルソン)の気持ちで観るなら、その叶わぬ恋に同情したり、本当の父親でもないのに、エレナを育てながら芽生えてくる父性に、複雑な気持ちを垣間見ることもできるだろう。



《ゾロ》の闘いをはさみながらも、これは良質な《人間ドラマ》なのである。



そんな中でも、面白いと思う部分は、やっぱり『アレハンドロ』が徐々に成長して、変わっていくところ。


粗野で汚い身なりをして、マナーも剣術も何も知らない無作法な男が、ディエゴを指南役にして、変わっていく様(さま)は痛快である。



そうして、エレナの前に現れたアレハンドロは、もう立派な紳士のイケメンさん。




《ゾロ》の強さを手に入れて、ついでに恋人もゲットしてしまうアレハンドロの姿に、男ならきっと憧れてしまうはずである。(この頃のバンデラス、カッコ良かったなぁ~)



続編の『レジェンド・オブ・ゾロ』も面白かったし、これ以降《ゾロ映画》が作られなくなったのも、やっぱりコレが最高峰の《ゾロ映画》だと、誰もが認めているからなのかもしれない。



星は、もちろん☆☆☆☆☆。


やっぱり男でも《変身》するのって楽しいよね。


2021年11月10日水曜日

人物 「レア・カイル」

 活動期間2020年〜現在。






アニメの中で、一瞬にして変身する少女たちは、昔から今に至るまで、少女たちの憧れである。


男だってそう!

仮面ライダーの「変身!」に心踊らせてしまうのは、いつの時代も同じ。



最近じゃCGで、実写でもそれが可能になってきたが、所詮、それも大勢のスタッフの力を借りて、時間をかけて、編集して、それらしく見せているだけである。



「こんな風に一瞬で変身できたらいいなぁ~……」

なんてのは、現実世界では到底無理な話なのは幼い子供でも、ちゃんと分かっている事なのだ。


そうして、大人になればなるほど、それは《夢物語》だと割り切ってしまう。



だが、こんなのを可能にしてしまうお方が遂に現れた。


2020年を過ぎた今、皆の夢を実現させるために、この方は、突如として降臨する。



それが、フランスはボルドー出身のマジシャン『レア・カイル』嬢である♥️。(皆さん、知ってる?)



私がこのお方を知ったのは、たまたま偶然だった。


YouTubeで何気なく、「一瞬で変身」なんてワードで検索していたら、カイル嬢の動画にぶち当たったのだ。


もう、観てみて、ビックリ!


何なんだ?コレは?!


この人は魔法使いなのか?それとも大天才なのか✨?!



動画はアメリカのテレビ番組なのだろうか……一芸に秀でた者が次々に出演する。

審査員と大勢の観客を入れての大会みたいなモノである。



その舞台上に颯爽と現れたのが、レア・カイル嬢。


ポップな音楽に合わせて、次から次に《早着替え》をするのだ。


でも、もはや《早着替え》なんて、レベルのモノじゃない。



1秒すらかからない高速の衣装チェンジは、まるで変身》✨!

間近で魔法を見せられているようなのである。



審査員たちも、こんなの見せられて口あんぐり。

観客たちも大興奮!



服がビュン!と飛んできては貼りついて一瞬でチェンジしたり、パラパラとパズルのピースが落ちるように衣装が変わったり……


オマケに履物まで一瞬で変わるなんて。



いったい全体ど~なっての、コレ????



私の下手な文章で上手く伝わりづらいかもしれない。


とにかく、『レア・カイル』で検索すれば、必ず出てくるはず。(くれぐれも『レアコイル』じゃないですよ。レアコイルはポケモンですからね(笑) )


コレは断然!一見の価値ありなのであ〜る。


どうぞ、ワクワクしながらご覧あれ!(オッサンの自分なんか、ただビックリポン!である)


※それにしても、こんなモノを見てしまうと、昨今の日本のテレビ番組が、急にクダラなく思えてしまう。


何時間ものワイドショーやら、芸人たちの大食いやら、食レポやら……最近こんなのばっかり。


このレベルの違いよ……トホホ……


こりゃ、日本のテレビ離れが、ますます進むはずだわ。


2021年11月5日金曜日

人物 「松尾嘉代」

 活動期間1959年〜1997年。




いつの頃から、パッタリ!その姿を見かけなくなってしまった 松尾嘉代(まつおかよ)さん。(昭和生まれしか知らんだろうな)


完全に女優を引退しちゃったんだろうか。


俳優、女優の引退って、なんか素っ気ない。


主役級の大物俳優なら「次の作品で最後にする!」なんて大見得を切れても、その下に位置するような俳優たちには、そんな機会も与えられず、人知れず静かにフェード・アウトしていく感じがする。



歌手のようにフアンの前で《サヨナラ・コンサート》も出来ない。


精一杯、映画やブラウン管で演技をして楽しませてくれても、そんなフアンの感謝の言葉なんてのも、中々、本人たちには伝わりにくいものなんじゃないかな。


インター・ネットも存在しないような大昔なんて特にそう思う。


俳優や女優さんにとっては、演技する事も、孤独な作業の繰り返しで、時には堪らない気持ちを、ずっと抱えていたんじゃないのかな……なんて、自分なんか勝手に想像してしまうのだ。



だが、こんな松尾嘉代さんが出演した数々の作品たちは、ちゃんと、この世に存在していて、残してくれてるのだから、少しは救いもあるか……。



とにかく、よく観ていた《土曜ワイド劇場》には、主役級から脇役まで幅広く、松尾嘉代さんが出ずっぱりの時期があった。



片平なぎさを『サスペンスの女王』なんて呼称で呼んでいたものだが、《真》の女王は、この人をおいて、後にも先にも存在しないと思っている。



悪女役から汚れ役、時には裸身さえいとわない妖艶な美女。

かと思えば、ケタケタと笑うような明るい主人公まで……なんせ幅が広いのだ。


そんな松尾嘉代さんの演技に魅了されて、土曜ワイド劇場に出ていれば、いつしか釘付けになって観ていたものである。



《土曜ワイド劇場》からは『整形復顔サスペンス』なんて4話入ったBOXが出ていて、その内の2篇に松尾嘉代さんは出演している。


『整形復顔未亡人』

『整形復顔 女流デザイナー殺人事件』。(『整形復顔』なんて今考えれば、スゲ~!タイトル)


でも、まだまだ、こんなもんじゃないはず。



森本レオとコンビをくんだ『密会の宿』シリーズ(全8作)もあるし、『女たちの華麗な闘い斗い)』シリーズだってあるはずなのだ。


特に『女たちの華麗な闘い(斗い)』のタイトルがつけられたモノは、今でも、たまにウズウズと観たくなってしまう。



●『女相続人の華やかな斗い! 看護婦が仕組んだ注射殺人 “婚姻届は知っている…”』(1985年)



●『アスレチッククラブ華麗な女の斗い スイミング・エアロビクス…女の園に紅い血が散る!』(1986年)



●『テニススクール 女たちの華麗な斗い!! 東京~南紀勝浦 豪華フェリー殺意の旅』(1989年)



●『マリンスポーツクラブ 女たちの華麗な闘い! 沖縄・久米島、さんご礁に殺意の罠』(1992年)


※コレ、ごく最近観ることが出来ました。

ラストに石田ゆり子と北詰友樹がモーターボートで去って行った後、松尾嘉代さんが一人残された砂浜で「チクショー!、チクショー!」と砂を握りしめながら叫び続けている。

そのまま海にズカズカ入ってくのが、なんとも印象的なドラマでした。(流石〜!)



●『ゴルフスクール 女たちの華麗な斗い 湯けむり山代温泉ツアーに殺意の影が忍びよる』(1993年)



病院、アスレチック・クラブ、テニス・スクール、マリン・スポーツ・クラブ(こんなクラブ、今もあるのか?)、ゴルフ・スクール………


このラインナップを見ただけで、まぁ楽しそうである。



女同士の戦いは、欲望を絡めた本音を隠して『裏の顔』で微笑みながら、陰で牙をむく……血みどろの戦い。(何となくニュアンス的には伝わるかしらん?土曜ワイド劇場的に言うなら、こんな感じである)



土曜ワイド劇場は、こんな功労者である松尾嘉代さんの為にも、

松尾嘉代  土曜ワイド劇場傑作選 DVD-BOX》を発売するべきである。


今だに出ていないのが不思議なくらいなんだから。


こんな私のようなマニアックな変わり者は、大勢いて、かならず需要はあるはずだなのだ。(言い切る)



最後に「あの頃の土曜ワイド劇場、カムバ〜ック!!」と、叫んで終わりたいと思う。(まぁ、無理か (笑) )


2021年11月4日木曜日

映画 「サバイバル・アイランド」

 2005年  アメリカ、イギリス、ルクセンブルク合作。





彼女こそ美の女神✨。


彼女こそ神が21世紀に創りだした最高傑作✨。


君はケリー・ブルックを見たか?!



…………のっけからゴメンなさい。


ここ最近、その存在を初めて知ったわけでして……(何事にも大袈裟になってしまうのがオッサンの悪い癖)


一目見て、その美貌とプロポーションに心臓バクバク。

B99 W63 H91……これぞ、まさにボン!キュッ!ボン!の完璧なスタイル。


顔も自分好みで、私なんかひと目で「惚れてもうたぁ~!♥️」次第である。(ああ単純)


こんな美の化身ケリー嬢を世の男たちが素通りできるはずもない。


なんと!彼女、あのジェイソン・ステイサムの元カノだったのである。


当時、ステイサムの方が彼女に首ったけでメロメロ状態。(だろうな~、分かる気がする)


でも、こんな人を彼女にしたなら、終始気が気じゃないだろうなぁ~。


案の定、悪い予感は当たって、二人はお別れすることになる💔


その原因が、この映画『サバイバル・アイランド』だったんじゃないのかぁ~?と、素人ながら推察してしまうのだ。




実業家の『ジャック』(ビリー・ゼイン)と妻の『ジェニファー』(ケリー・ブルック)は、船長や船員たちを従えた豪華ヨットで海原の上。クルージングで楽しんでいた。


だが、ヨットがちょいとした船員のボヤから大火事になり、大炎上。


命からがら、船員の『マニュエル』(ファン・パブロ・ディ・ペイス)とジェニファーは近くの無人島へと辿り着く。


しばらくして、夫のジャックも何とか無人島へ辿り着き、マニュアルの助けもあって無事に救助された。



「ありがとう……」最初こそ感謝の言葉をマニュエルに投げかけるジャックだが……この男のジェニファーを見る目つき……




(コイツは妻を狙っているんじゃないか?……)と疑心暗鬼になってくる。


もちろん、ジャックのその勘は当たっていて、ヨットの中でジャックとジェニファーが愛を営んでいる最中の《あの声》に聞き耳たてていたマニュエル。(「もう、辛抱たまらん!」って感じ)


無人島に漂着して、目の前には、眩しい肢体をさらけ出しているジェニファーが間近にいるのだ。


そうしてジャックが海にもぐって狩りをしている間に、マニュエルとジェニファーはとうとう………




こんな感じのサバイバル感なんて、全く薄〜い、エロティック全開のサスペンス映画が『サバイバル・アイランド』である。


冒頭に書いたように、ダダ漏れるセクシー感満載のケリー・ブルック嬢ゆえ、男二人が取り合いになるのも充分に分かる。


それにしても、「ここまでやっちゃっていいの?」って心配になるくらい、ケリー・ブルック嬢は大胆不敵。


ヨットの中では、ビリー・ゼインとの激しいシーン。


無人島についてからも、ファン・パブロ・ディ・ペイスと、波打ち際での大胆な濡れ場。(これぞ濡れ場って感じ)




この映画は、そんなケリー・ブルック嬢を愛でるためだけのモノなのでB級感アリアリでも、そんなモノは完全に無視しましょうね (笑)。



で、この映画がキッカケなのか、ケリー嬢は、なんと!ジェイソン・ステイサムを捨てて、ビリー・ゼインに乗り換えちゃうのだ。(エエーッ!)



ジェイソン・ステイサムを振るなんて……


それにしても、ハゲからハゲに乗り換えるなんて《ハゲ》た男がよっぽど好きなのかしらん?(笑)。(失礼!)


まぁ、現在じゃ、そのビリー・ゼインとも、とっくに別れて、他の男に鞍替えしてるらしいけど……。



美しき蝶は1箇所の花に留まっていられないのだ。


花から花へと渡り歩いていく。(決してハゲからハゲへじゃございませんよ (笑) )


映画は大甘で星☆☆☆。

男なら、1度はケリー・ブルック嬢の美貌や肢体をご覧あれ。(オススメ!)


2021年11月3日水曜日

映画 「夢の中の恐怖」

 1945年  イギリス。





建築家の『ウォルター・クレイグ』(マーヴィン・ジョンズ)は、ある屋敷の改装工事を頼まれた。


そして打ち合わせを兼ねて、初めて訪れた屋敷は、どこか見覚えのある場所。


さらに、出迎えてくれたフォークナー家の子息に案内されて屋敷の中に入って行くと、大広間に集まっている客たちにも全て見覚えがあるのだ。


「思い出した!私は夢の中で、この屋敷や貴方たち全員に会っているのです!」


「そんな馬鹿な!」


何人かは口々にそんな言葉を吐いたが、一人が「そういえば……私もクレイグさんのような不思議な体験をした事ありますよ」と言い出した。


「私もあるわ」と更に次の声も。


客の精神科医は、そんな話をまるで一介にしないのだが、他の者たちは、クレイグの夢の話に刺激されてか、それぞれ自分の身に起きた《不思議体験》を語りだすのだった………





こんな感じで始まる『夢の中の恐怖』である。


客たちの話が全部で5本……そう、コレも5話を繋げたオムニバス・ホラー映画となっております。


オムニバス自体、苦手なジャンルなので、当然つまづきながら観るだろうな、と思っていたら、1話1話が数分で終わる小話なので、思いの外サクサクっと観終われました。(ホッ)


第1話『死の運転手』。

負傷したレーサーの命拾いした不気味な体験談。(ラストは当時としては、けっこう大掛かり)


第2話『クリスマス・パーティー』。

ある広い屋敷のパーティーで、大勢集まった子供たちが隠れんぼして遊んでいると……隠れた部屋には見知らぬ男の子の姿が……。


第3話『お化け鏡』。

骨董品店で見つけた中古だが立派な鏡。女性は愛する恋人にプレゼントするのだが、……その鏡には見知らぬ情景が映し出される。

やがて、恋人の様子もドンドン変わっていき……いわく付きの鏡には御用心ってお話。



そうして、ジャジャアァ〜ン!




第4話『ゴルフ狂物語』。


あの『バルカン超特急』や『ミュンヘンへの夜行列車』で活躍した凸凹コンビ、ノーントン・ウェインベイジル・ラドフォードが、満を持して登場する。(このコンビ、私、大好きである。それにしても↑写真右のベイジルは、オッサンのくせに、なんか乙女チックで、この画像だけでも笑えてくる)


『ジョージ・パラット』(ベイジル)と『ラリー・ポッター』(ノーントン)は、二人とも美女の『メアリー・リー』にメロメロ。


メアリーの方も、どちらにも好意を持っていて一人に決められない様子だ。


「こうなりゃ、《ゴルフ》で決着をつけようじゃないか!勝った方がメアリーと結婚する!恨みっこなしだ!」


お互い同意して、結婚を賭けたゴルフ対決が始まるのだが………さて、軍配はどちらに挙がったのか?


勝ったのは『ジョージ』(ベイジル)の方。(ズルをして)


それを知らない『ラリー』(ノーントン)の方は(ガ~ン)大ショック!

ゴルフ場の沼に、そのまま入水自殺する。(ちょっと可哀想過ぎる)



さぁ、これで邪魔者はいなくなった。


晴れてジョージはメアリーと付き合いはじめ、ウキウキ気分だが………そこへ、なんと!幽霊の姿でラリーが、ひょっこり現れたのだ。(ゲゲッ!)


「何だ?お前は死んだはずだろう!今頃何の用なんだ?!」


「うるさい!天国に行って分かったんだ!お前ズルして勝っただろう?メアリーの事は諦めろ!じゃないと、こうやってお前の周りで一生まとわりついてやる!!」


「冗談じゃない!さっさと消えてくれ!!」


幽霊と人間の押し問答は延々続き、とうとうジョージも根負けしてきた。


「分かったよ、メアリーの事は諦める。だから、さっさと目の前から消えてくれ」


「最初から、そう素直ならいいんだ。じゃあな!」

ラリーは、後ろを向くと腕で十字をきったり、なんやかんや、妙なジェスチャーをしはじめた。


そして、「おっかしいなぁ~、こうだったっけか?」とブツブツ独り言を言っている。


「お前何をブツクサ言ってるんだ?」


「ヤバい!天国で教えてもらった《消え方》のジェスチャーを忘れてもうたぁーー!」


ぬあぁ〜にぃ〜?!


かくしてメアリーにこんな状況を説明できないジョージであるからして、結婚話はあれよあれよという間に、トントン拍子で進んでいく。


そうして、ジョージの横には、ジョージにしか見えない幽霊のラリーが、消える事もできず、常にチョロチョロしているのだった………。



ある意味、この4話が一番の異色作かも。


ノーントン・ウェインベイジル・ラドフォードの力もあるだろうが、笑える幽霊話なんてのを、ぶっこんでくるのも、また珍しい。(他の話が全部「怖がらせよう!怖がらせよう!」とするモノばかりなんですもん。俄然目立ってしまう)


贔屓かもしれないが、5話の内で私は一番コレが好きである。



そして、この映画『夢の中の恐怖』で、1番評価が高いのが、次の5話目。



第5話『腹話術の腹話術』。


『フレル』(マイケル・レッドグレーヴ)は、大人気の腹話術師。

人形『ヒューゴ』を操って、その人形のあまりにも巧みな話術は、連夜、観客たちを賑わせていた。


そんな同業者である『キー』が、たまたま舞台を観ていると、人形の『ヒューゴ』に気に入られて楽屋を訪ねる事に。


だが、操っていた『フレル』の方はというと、完全に無愛想な態度。


どっちも同じフレルの意志のはずなのに、訳のわからないキーは、とっとと追い出されてしまう。


フレルは二重人格なのか?


だが、操る人形の部分がしまいには肥大化していくと、最後には………



マイケル・レッドグレーヴの名演技で、とっても不気味な印象を残す一編である。


同じような腹話術師の映画『マジック』(1978年 / 主演アンソニー・ホプキンス)の方を先に観ていたせいか、何となく結末も予想していたら、やっぱりその通りでした。(こっちの方が年代的には先なので、『マジック』の方が、だいぶ影響をうけてるはずである)



こんな風に、客たちが奇妙な話を全て語り終えると、舞台はフォークナー家の広間に戻る。


だが、突然に広間は暗闇に包まれて、とんでもない結末へと流れこんでいく。


まるでメビウスの迷宮にのまれていくような……(けっこうインパクトのある結末なので、ここはボカしておこうと思う)



それにしても、それぞれ監督が違うのに、よくまとめてあるよ。


脚本がしっかりしているのか……まるで最後までブレる事もないんだから。(『ワンダとダイヤと優しい奴ら』で有名なチャールズ・クライトン監督も参加しておりますよ)



見た目で驚かすアメリカ映画とは、やっぱりひと味違う。


ホラー映画にしても、イギリス映画は、緻密な脚本、緻密な構成、緻密な計算で成り立っているのだ。(完璧で、少しのスキもない)


日本人も充分に几帳面なんだけど、ともすれば目移りして流されやすいのが日本人。


イギリス映画を観る時は、やはり襟を正せねば!ウン!


星☆☆☆☆。


2021年11月1日月曜日

ドラマ 「ガーゴイルズ 生きていた怪獣」

 1972年  アメリカ。




頭から突き出た鋭い角を持ち、鋭利な牙をたくわえた、この顔。


顔だけ見れば充分に怖そうだが、全身像になれば、(アララ……)途端にオマヌケさんに見えてしまう (笑) 。



この、《ガーゴイルズ》とは何ぞや???



そもそも『ガーゴイルズ』とは悪魔の末裔らしいのだが、はるか遠い昔に、神との闘いに敗れて、暗い地底へと逃れて細々と生活していた種族らしい。


やがて、地上には神に創られた人間たちが繁栄を築き始める。



だが、ガーゴイルズも黙っていない。


600年に1度の孵化(ふか)のタイミングで仲間が一挙に増えた時、地上を侵略しようとする…………のだけど、産まれたばかりのガーゴイルズに、『戦術』なんて知恵があるはずも無く、人間たちに、ことごとく粉砕されてしまう。(お馬鹿さん?(笑) )


ああ、憐れ、ガーゴイルズよ。


生き残った何匹かは、またもや地底の穴ぐらへ帰って隠匿生活。


不気味なビジュアルのインパクトで、地上では、その伝説だけが細々と語り継がれていく。


「チクショー!今にみておれよ!今度こそ侵略してやるぅーーー!」(by ガーゴイルズ怒りの決意)



………そうして、またもや長い時は流れて………



地上では20世紀をむかえた頃、ある親子がニューメキシコの砂漠を何時間もかけて、車をとばしていた。


運転しているのは『マーサー・ポリー博士』(コーネル・ワイルド)で、隣に座るのはピチピチギャルの一人娘『ダイアナ』(ジェニファー・ソルト)である。



ポリー博士は、悪魔研究で有名な著名人。


離婚した妻と暮らしている娘が、久しぶりに訪ねてくると、その娘を連れて取材先へと向かっているのだ。


悪魔に関する有力情報あり!』の手紙は、即座にポリーの好奇心を揺り動かしたようである。(こんな不気味な仕事じゃ離婚されてもしょうがないかも。それにしても若い娘がよく嫌がらないなぁ~)



そんな親子は、なんとか砂漠のド真ん中にある目的地『ウイリーおじさんの博物館』なるオンボロ小屋にたどり着いた。


「今まで誰にも見せた事がない……それをお見せしよう。その代わり、本が出版されればワシも権利を頂く」(がめついジジイ)


ウイリー老人は、二人を離れの納屋に連れていくと、厳重に中から鍵をする。


「陽が沈むと、この辺りは危ないんでね」


納屋の奥には天井から何かが吊られていて、布がかけられていた。


それを捲(めく)ると、そこに表れたのは……奇怪な角と翼がある《悪魔》のような骸骨標本。


「ハハ、素人が作ったにしては良く出来ているが………コレが見せたかったモノ? からかうのもいい加減にしてくれ!帰る!」


ポリー博士はプンプンしてドアに向かおうとする。


「待ってくれ!コレは本物なんだ!!この辺りには昔から妙な伝説があるんだ!」


ウイリー老人の懸命な叫びに、娘ダイアナも「話だけでも聞いてみれば?」と助太刀する。


ポリー博士も「ヤレヤレ……」と言いながら、なんとか思い直してとどまってくれた。



暗い納屋の中で、ダイアナが録音テープをセットすると、老人の口からは、ある言葉が流れ始めた。



ナカテカチンコ………」




ププッ。


老人が英語で何度もその言葉を連呼する度に、日本人の私なんかは、勝手に脳内変換されてしまい、妙に笑ってしまう。


ナカテカチンコ……ナカテカチンコ……』


決して卑猥な言葉ではないのでご勘弁を (笑) 。

コレ、この土地の先住民が悪魔につけた名前らしいのだ。



そんなウイリー老人が『ナカテカチンコ』を連呼していると突然納屋全体が揺れだし、悪魔の爪のようなモノが窓ガラスを打ち破って覗かせた。




ギャアアアーーーーッ、ギャアアーーーーーッ!!


納屋の外にまで広がるダイアナの絶叫。(こんな腹から声を出して力いっぱい叫ぶ大絶叫、久しぶりに聞いたわ (笑) )


柱は倒れて老人は下敷きになり、ランプの火はたちまち納屋全体に燃え広がる。


ポリー博士は、悪魔の骸骨標本の頭部だけを抱えて、娘ダイアナと命からがら納屋を脱出した。

それと同時に納屋は崩れ落ち、燃え盛る豪炎が包み込む。



二人は車に乗ると猛ダッシュで、暗闇の砂漠の道を走らせた。


だが、安心したのも束の間、走っている車の天井に、あの『ナカテカチンコ』が飛び移ってくる。


ギャアアアーーーーッ、ギャアアアーーーーッ!!(by ダイアナの絶叫芸)


ポリー博士は車を左右に振り回し、なんとか『ナカテカチンコ』を振り落とした。



そうして、しばらく車を走らせると、ようやっと見えてきたガソリンスタンドの灯り。


「車の修理を頼む!それと、この近くに泊まる所はあるかね?」


スタンドの従業員は無惨な車の状態に驚いたが、「隣りにモーテルがありますが……」と親切に教えてくれた。


親子はなんとか、未亡人が一人で経営しているモーテルの1室に落ち着いた。



二人は無事に『ナカテカチンコ』から逃げ延びる事ができたのか?


いや、いや、そう簡単に終わらないのが、世の常、人の常。


すっかり『ダイアナ』(ジェニファー・ソルト)の絶叫に聞き惚れてしまった💕悪魔は、ダイアナ目的で、どこまでも執拗に追いかけてくるのであった…………





こんなのが、『ガーゴイルズ』の序盤なのだけど、コレ、どうもテレビ映画として作られたみたいです。(『殺人ブルドーザー』といい、この時代、アメリカでも1時間半や2時間ドラマが大流行だったようだ)


日本でも放送された事があるようだが、多分1回きりだったのじゃないのかな?


それゆえ、知る人ぞ知るという幻の作品となっていたとか。(自分なんかこんなのがあった事さえ、最近まで全く知らなかった)


そんなのが近年、ひょっこりDVD化されるんだから、うかうかしてられませんよね。


『裸のジャングル』のコーネル・ワイルドの他の作品見たさで、たまたま、コレにぶち当たったんだけど、この『ガーゴイルズ』で、初めてジェニファー・ソルトの存在を知った次第である。



可愛いじゃないですか~💕


調べてみると、このお方、ブライアン・デ・パルマの『悪魔のシスター』なんて映画にも出ているらしい。(デ・パルマ映画が苦手なんで観てないけど、多分、ヒッチコック映画をドギつくしたようなホラー・サスペンスだろうと思う。『スーパーマン』のマーゴット・ギターも出ているとか)


この『ガーゴイルズ』でも、これだけの絶叫を見せてくれる彼女ですもん。きっと『悪魔のシスター』でも、腹から声を出す叫び芸があったりして。


そんな彼女、近年は女優をキッパリ辞めて、どうやら脚本家に転身なさったようである。(叫び疲れた? (笑) )




とにかく、そんなジェニファー・ソルトの絶叫に一瞬で惚れてしまった『ガーゴイルズ』の『ナカテカチンコ』さんは、とうとう拉致に成功する!




『ダイアナ』(ジェニファー)を抱えて、洞窟の洞穴へと連れ去ってしまうのである。



「娘がさらわれた!どうか、協力してくれ!!」


馬鹿な悪魔研究なんてのに、うつつを抜かしていたポリー博士も、やっと目が覚めたようだ。



地元警官二人に(頼りない)、不良のバイカーたちを助っ人に、ポリー博士はダイアナ奪還を目指す。(アレレ……ここに知った顔が。不良バイカーの中には、あの有名なスコット・グレン羊たちの沈黙)がいるじゃないですか!)



さぁ、夜の渓谷を舞台にして、人間VSガーゴイルズ、最後の死闘がはじまってゆく………




………まぁ、死闘と言っても、なにぶん当時のテレビ映画(ドラマ)なんで、だいぶハードルを下げてご覧あれ。



それにしても、不気味な姿の『ガーゴイルズ』が、一生懸命勉強して英語を話しだすと、怖さなんて微塵も無くなってしまうのは、ちょっと面白いかも。(「人間に勝つ為には勉強しなくては!」と、努力するなんて、悪魔も必死である)



その後も勉強を続けて、自分が人間から『ナカテカチンコ』なんて呼ばれていて、日本語も習得したなら、彼はどう思っただろうか?



顔を真っ赤にして、また洞穴へと帰っていっただろうか?


イジワルだが、聞いてみたい質問でもある(笑)。


星☆☆☆。


※《補足》歳をとってロマンス・グレーになったコーネル・ワイルド。


それでも肉体だけはキチンと管理していて、ご立派でございました。(モーテルの未亡人も誘ってくるはずだわ (納得) )