ラベル 俳優:蟹江敬三 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 俳優:蟹江敬三 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年5月28日金曜日

ドラマ 「沙粧妙子 最後の事件」

1995年 7月~9月。




人間というものがいる限り、この世界から悪意が消滅することはあり得ない。そして悪意は、目に見えないものとは限らない……


大層な言葉で始まる、このドラマなんだけど、裏を返せば「人の悪意は目に見える!」って事を言いたいだけ。


んな事は、毎日流れているニュースで、世界中が知ってる事だし、あらためて言われなくてもねぇ~。



1991年に『羊たちの沈黙』が公開されて大ヒットし、アカデミー賞を総なめにすると、猟奇殺人犯やら犯罪プロファイリングやらの映画が、後を追いかけるように、この時期、ジャンジャン量産されていた。


そうして、この手のモノが、とうとう日本のドラマでも作られてしまう。



それが、この『沙粧妙子 最後の事件』。




IQが高い天才『梶浦圭吾』(升毅(ますたけし))は、恋人『沙粧妙子』(浅野温子)、それに同期の『池波壮一』(佐野史郎)、他にも何人かのメンバーを加えて、《犯罪プロファイリング・チーム》を結成した。


だが、犯罪者のデータをとりながら、接見するうちに、リーダー梶浦は犯罪の魅力に、どっぷり取りつかれてしまう。(ミイラ取りがミイラになってしまう)



とうとう、犯罪プロファイリングのメンバーを殺害して梶浦は(スタコラ)逃亡した。


そして、自ら犯罪を犯すだけじゃあきたらず、マインド・コントロールを駆使して、犯罪者になれる素養のある者を探しだしては、その育成に乗り出したのだ。


そんな梶浦が作り出した犯罪者たちを追いかけながらも、かつて恋人だった沙粧妙子は、刑事課に移動して、梶浦の足取りを探そうとするのだが………。




こんなのが、『沙粧妙子…』の基本のあらすじ。



たまたま、このドラマの第1話にチャンネルを合わせてしまったので、当時はズルズルと最後まで観てしまったのだけど ……… 扱う素材はシリアスでも、ワタクシ、このドラマを全然、真面目な気持ちで最後まで観れなかったのでした。



それというのも、なんせ、主役が浅野温子さん。



ワタクシ、この人を勝手に命名して、


『オーバー・リアクション・アクトレス』と呼んでいるのです。(笑)



この人の、お芝居を昔から観ているけど、何を演じても常にオーバー・リアクション。


明るい役では作り声でハイテンション! 

周りがドン引きするくらい大はしゃぎしてみせたりする。(『あぶない刑事』、『サザエさん』)


良い女風の役では、背中を向けていきなり立ち止まると、突然、長いワンレングスの髪の毛をブルン!🌀ブルン!🌀と振りまわしながら、まるで歌舞伎のような大見得をきったりする。(『101回目のプロポーズ』)



こんな人間を現実には見かけないし、街中でこんな人に遭遇したりすれば、


「ちょっとヤバイんじゃないのか?…… 」


とか、


「なるべく近づかないで、ソッとしときましょ …… 」と思って、普通の人なら、そそくさとその場から離れて遠目で警戒してしまう。



でも、そんな演技をしてしまうのが《浅野温子》さんなのだ。(それはそれで面白いんだけど)



ゆえに、この人の芝居は、いつも周囲から浮きっぱなし。


一人だけコントをやっているように、自分には昔から見えてしまうのである。(失礼なんだけど (笑))



そうして、この『沙粧妙子 … 』でも、そんな浅野温子さんのオーバー・リアクション・演技は、「我が道を行く!」が如く、全開で突き進み続ける。



犯人や相手役とは、もう、距離を縮める限り縮めて、首元や、頬っぺたがくっつくような距離で低音で凄んでみせる。(ソーシャル・ディスタンスなんか無視。コロナ渦の現代とは、まるで反したような芝居である)



でも、こんな浅野温子さん、いつもなら一人だけ浮きっぱなしになるのだが、このドラマに限っては珍しくそうはならなかったのだ。



なぜなら、浅野温子さんをのぞく、他の出演者たちが揃いも揃ってアクの強い《強者》(つわもの)ばかりだったのである。


さらに上をいくような個性派俳優たちが、

「主役がこんな演技をするのなら …… 」とエンジン全開で挑んできたのである。



柳葉敏郎は、見ているだけでクソマジメな暑苦しい芝居をするし。(熱血~)


佐野史郎は、抑揚のない一本調子で早口でまくし立てる。



香取慎吾は魚の腐ったような目つき。(素がこんな感じに見えるけど)



そして、とどめは、あの蟹江敬三さん!


沙粧妙子の上司の刑事役なのだが、もう「こんな刑事が本当にいるのか?」ってな具合の、結果、マッド・サイエンティストな刑事になってしまったのである。



突然、「ナハハハハーッ!」と大声で笑ってみせたり、


沙粧に小馬鹿にされたら、「ちきしょう!この野郎!!💢」と、当の沙粧妙子に当たらないで、腹いせに他の部下の刑事を殴ったり蹴ったりする!(もう八つ当たりの度を越えてる。こんな刑事は即、解雇だろう (笑) )



『高坂警部』(蟹江敬三)は、そんな沙粧を見て、「可哀想な女だよ、お前は!頭が良すぎるんだよ!ハハハッー」と、笑いを浮かべて皮肉たっぷりに言ってみせるが、相手の方が一枚上手。


『沙粧妙子』(浅野温子)は、そんな高坂警部をジーッ!と凝視してみせる。


そんな沙粧の反応にたまらず、

「何だ?!言いたい事があるならハッキリ言え!!」と荒々しく声をあげると、


「怖い顔 …… 」の一言。


小馬鹿にされて、高坂警部の血圧は一気に急上昇。


カーッ!💢となって、またもや、そこらじゅうのモノに当たり散らしはじめるのだ。(もう、まるで、お約束のコントを見ているようである)



こんなアクの強い俳優たちが、アクを全開で、「誰に合わせようと知ったことか!」で、それぞれの芝居をやり始めるんですもの、マトモな普通の芝居をしようとする者は、めっきり霞んでしまうというもの。



妙子の妹役の墨谷友香なんて、まぁ悲惨なモノでした。(あまりにも普通過ぎて)



こんな感じの出演者で物語を動かしていくので、シリアスになればなるほど妙な苦笑いが漏れてしまう。(ドラマは、できるだけ真面目に、マジメ~に進行したいのにね)



このドラマを本気で「恐ろしい~」だの言う人の気がしれない。



私には、全てが現実離れして見えてしまって、これは、平成の歴史に残された珍ドラマとして、深く記憶に刻まれたのでございました。(DVD化されております。)


未見の方にオススメしておきます。

星☆☆☆。


※そうして、一番上部に貼ってみた浅野さんの三白眼の顔、今観てもやっぱりオモシロ怖くて、私の考察もあながち「ハズレではない!」と思いますけどね。(笑)

2019年7月19日金曜日

映画 「スケバン刑事」

1987年 日本。








「お京やろう!うちらの手で《地獄城》の生徒たちを救いだそう!」(by 麻宮サキ = 南野陽子




テレビシリーズ『スケバン刑事 Ⅱ  少女鉄仮面伝説』のヒットをうけて、満を持しての劇場版。


原作者の和田慎二も浮かれて♪、ヨーヨー売りの店主役で出演したが、自分の熱気も頂点だった。


「これは、ぜひとも観に行かなくてはなるまい!」





『麻宮サキ』(南野陽子)は、壮絶だった戦いが終わり、大学受験の為に受験勉強をしていた。

(テレビシリーズで、本名の『早乙女志織』という名前が判明したのに、映画では、やっぱり『麻宮サキ』を名乗ってて、「んん?」だったのだが、高校生活が終わるまで手続きが単にめんどくさかったんだろう)




『スケバン刑事』の任も解かれ、悠々自適に普通の女子高生の生活を満喫するサキ。


仲間の『お京』(相楽ハル子)は進学なんてのは、はなからする気もなくバイト中。


『雪乃』(吉沢秋絵)は、留学の準備中だ。




そんなある日、サキは、『地獄城』と言われる軍事訓練学校から脱走してきた『和夫』(坂上忍)と知り合う。(放っておけばいいのに、サキの正義感がメラメラ)



『暗闇司令』(長門裕之)や『西脇』(蟹江敬三)に相談するも、まるで知らんぷり。



「もぉー、ええっちゃ!うちが、一人でなんとかする!」




それでも、やっぱり仲間は必要だ。


お京に相談すると、即座にO.K ! (ビー玉は常に携帯している)

雪乃以外の仲間を集める事にしたサキ。




そして、なぜか?仲間たちを無人の石切場に集めたサキ。(何で、また、こんなところで、わざわざ待ち合わせするのかね)


そこへ襲ってください!とばかりに、機関銃を乱射するヘリが飛んできた。(それみたことか)



逃げまどうサキたち。



そんな時、岩場の陰から助っ人参上!


3代目スケバン刑事『風間唯』(浅香唯)の登場だ。


唯の投げたヨーヨーは、ヘリの脚にひっかかり抜けなくなった。(ドジ)


ヘリに吊り上げられて、振り回されて、
「コラー!止まれ!アァーーー!」(ほんとコイツ何しにやって来たんだ(笑))



唯が振り回されると、担いできた風呂敷からは重合金ヨーヨーが落っこちた。それを拾うサキ。


(やれやれ、何てドジな『スケバン刑事』なんじゃ。ヨーヨーとは、こう使うものぜよ)、と思ったのか、どうか分からないが、サキが投げたヨーヨーは流石にベテランだけあって、一発でヘリに直撃!(クリーン・ヒット!)


ヘリは真っ逆さまに墜落して、大爆発したのだった。





だが、『和夫』(坂上忍)は、呆気なく殺されてしまった。( ……… )


「許さん!許さんぜよ!《地獄城》!」


またもや、サキの怒りがメラメラ。(殺されたのが坂上忍なら、そこまで怒らなくても ………(笑))




こうなりゃ雪乃も呼んで《地獄城》に殴り込みよ!じゃない、捕まっている他の生徒たちを助けるぞ!


エイ、エイ、オー!(あの~、私、留学したいんですけど …… by 雪乃。)





サキと仲間たちは《地獄城》の生徒たちを無事に救いだし、学園には火の手が …… 。




そこへ、

「よくも、俺の野望を打ち砕いてくれたな!このドブネズミめ!楽には殺さんぞ!」と悪の総大将『服部』(低音ボイスの伊武雅刀)の姿。



サキはヨーヨーを突き出すと、パカン!と蓋が開き、桜の大門が露になった。



「梁山高校3年B組 麻宮サキ。またの名は『スケバン刑事』!!」(ババァーン!!)



「服部!この《大門》は、おまんに青春を、もてあそばれた者たち、全ての怒りの《大門》なんじゃ!、この《大門》ある限り、おまんのまやかしの理想、必ず打ち砕いちゃる!!」

(この長セリフを、攻撃もせずに言い終わるまで、ひたすらおとなしく待っていてくれる優しい伊武雅刀(笑))




服部が、(ふふん)不敵な笑みで手袋を取ると、そこにはサイボーグの義手が ……(キリッ、キリッ、キリッの音に、ゾゾッ!)




なんの、こっちには新しい武器がある。


超密度合金製ヨーヨーが!



普通の重合金ヨーヨーの4倍の重さよ。(ただ、投げすぎると骨が砕けて再起不能になるが……って、ちょっと、それって粗悪品じゃないか!(笑))



左手にヨーヨーを構えると、右手で左手首を握りしめ(チョー重いので)満身の力を込めて投げるサキ。



そして、そのヨーヨーはドリルのような高速回転をしながら相手めがけてとんでいくのだった。(ヒィーッ!(笑))







今、観るとツッコミどころ満載の、この映画を当時は夢中で観てたんだよなぁ~。


時代の空気と熱気が、うまい具合に思春期の自分を揺り動かしていたのだ。



凛とした佇まいで、美しかった南野陽子に、ただ、ただ夢中になった日々……… 。



そう思うと、この映画は自分の青春の一頁であり、忘れられない想い出の聖典(バイブル)なのだ。



『南野陽子』、『スケバン刑事』、

そして『楽園のDoor』。




世界中が他人事(ひとごと)なら、傷つかずに過ごせるけど~


心ごと生きてゆきたくて、楽園のドアから、ひとり ……




まさに、映画の中の『麻宮サキ』(南野陽子)の心情をそのまま歌ったような、名曲中の名曲なのである。


星☆☆☆☆☆をつける自分を、どうぞ許してくださいませ。

2019年7月9日火曜日

ドラマ 「スケバン刑事Ⅱ 少女鉄仮面伝説」

1985年11月~1986年10月。








暗闇指令(長門裕之)がブスッとした顔をしてふんぞり返っている。


麻宮サキが生死不明になり、エージェントたちは、2代目探しに奮闘していた。



だが、次から次に、連れて来られる、スケバン女子高生たちが全く役立たず。



『スケバン刑事』の基準に達しないレベルの者たちばかりだった。(でも、何故に?女子高生じゃなきゃダメなんだろう?男子高生でもいいような気がするが……そこは暗闇指令の趣味なんだろう……)




「実はひとり心当たりが……」

エージェントの西脇(蟹江敬三)がポツリと呟く。




スクリーンに映し出されたのは、奇妙な鉄仮面を被った女子高生。


「本名、五代陽子。バスト80、ウェスト56、ヒップ82………」(な、何をいきなり言い出すの?蟹江さぁ~ん!(笑))



「面白い、この鉄仮面連れてこい」


西脇のプロフィール紹介に気を良くした暗闇指令。(サングラスの下のニタリ顔が想像されるようだ。)




拉致されるように、連れてこられたスケバン鉄仮面『五代陽子』は、簡単に凄腕エージェントたちをけちらかす。


そして、


「仮面の額を狙え!そこにロック解除の電子キーがある!」

「ラジャー!」

西脇が投げた重合金製のヨーヨーは、陽子の仮面の額に見事、的中!



そして、左右に割れた仮面が足元に落ちると、見事な、長い黒髪の美少女、『五代陽子』(南野陽子)の姿が現れたのだった ……




最初、この第1話を観た時、初めて見た『南野陽子』を何とも思わなかった。


(整った顔をしているけど …… ふぅ~ん、これが斉藤由貴の後釜かぁ~)

くらいの感想だったくらいだ。




自分の評価が、ガラリと変わったのは、第2話を観てからだった。


長い髪の両サイドを後ろで結んで、腰まで流している黒髪。

前髪は少しだけ、ふんわり眉にかかるくらいの長さ。



この顔立ちが、はっきり浮かびあがった髪型にした、『南野陽子』を見て、一瞬で「オオッ!」と唸ってしまったのだ。(可愛い♥、キレイ♥、何て美少女なのだ♥!)




本当に女性は髪型1つで、ガラリと変わるものだ。



ポニーテールの斉藤由貴とも違う、こんな髪型もあるのかぁ~と、当時、高校生の自分には、ちょっとした衝撃だった。(だいぶ後で知ったが《ハーフテール》と言うのだそうです)




そして、番組を見続けると『南野陽子』の魅力も分かってきた。


『土佐弁』を喋っても、戦っていても(本人は大の運動オンチだったらしいが)、常に女性らしい女性なのだ。


本人がもともと、関西人だったせいもあるだろうが、なんだか、『しっとり』とか『はんなり』って言葉が似つかわしい。




佇まいや所作に、なぜか気品や上品さが見え隠れするのである。



どんなに荒々しい啖呵、

「おまんら、許さんぜよ!」

なんて台詞を言っていても、それは変わらないのだ。





そんな具合で、ますます、『スケバン刑事 Ⅱ 』にハマっていった自分。



それにしても、このエンディングの歌は下手くそだなぁ~(笑)。



南野陽子も歌は下手なのか……と思っていたら、最初のエンディング曲って、吉沢秋絵が歌ってたのね。(主人公がエンディングを歌うとばかり思ってたので……何か当時は、事務所の力関係が微妙に働いていたらしい。16話より~、南野陽子の曲に変わったが)。




2代目麻宮サキとなった南野陽子をサポートする仲間も、もちろん良かったですよ。







琴の爪と袱紗が武器の『矢島雪乃』(吉沢秋絵)は、おっとりしたお嬢様(この人、最後まで演技も歌も上手くならなかったなぁ~(笑))


ビー玉のお京こと『中村京子』(相楽ハル子)は、ちゃきちゃきの江戸っ子スケバン。(演技上手かったのに引退して残念)





そして、なんといっても蟹江敬三さん。




ダメ教師と凄腕エージェントを演じ分けて、見事に、この番組では爪跡を残した。(あの『Gメン』の殺人鬼、望月源治のイメージをやっと払拭したのではなかろうか)





これらの登場人物たちの魅力や、鉄仮面の謎、死んだ両親の謎、そこに絡んでくる巨悪の敵などで、これまた、前回を上回る人気を得たのだった。



そして、シリーズ中、一番好きなのも、この『Ⅱ』である。


文句なしに、星☆☆☆☆☆。


そして、女子高生のスカートは、現代の短いのよりも、膝より長めの方が好きである。

それを改めて確認できた作品でもある(笑)。





2019年5月29日水曜日

ドラマ 「ヤヌスの鏡」

1985~1986年。






古代ローマの神《ヤヌス》は、物事の内と外を同時に見ることができたという。


この物語は《ヤヌス》にもうひとつの心を覗かれてしまった少女の壮大なロマンである。


もし、あなたに、もうひとつの顔があったら……………






主人公・『小沢裕美(おざわ ひろみ)』(杉浦幸)は、厳格な祖母・『初江』(初井言榮)と気弱な養父母『一樹』(前田吟)と『みどり』(小林哲子)の四人家族。



実母・由紀子は高校生の時に、ある男と知り合って妊娠。

周囲に大反対されるも、それを押しきって17歳の若さで裕美を出産した。



だが、案の定、男には棄てられて海で入水自殺。



産まれたばかりの裕美は、由紀子の兄で、子供のいない『一樹』と『みどり』夫婦の養子になるも、同居する祖母の『初江』に厳しくしつけられて育てられてきたのだ。





ー  そして、17歳となった裕美。


高校生になれば周囲は恋愛に浮かれ騒ぎ、あちこちでカップルになる同級生たちもいる。



そんな中で裕美にも………。




何ですか?!裕美!この手紙は?!


仏壇の前、ユラユラと煙るお香を焚きながら、正座させられた裕美の目の前で、険しい顔の祖母・初江が仁王立ちになっている。



「知らないんです、おばあちゃま!いつの間にか鞄の中に入っていて …… 」


おだまりなさい!!

問答無用とばかりに初江は竹の物差しで叩いて折檻した。


鞄の中に入っていたのは《ラブレター》…… 生徒会長・進藤哲也(宮川一朗太)がおくったものだった。



「お前に隙があるから、こんな手紙を入れられるんです!」

初江の怒りは収まらず、なおも竹の物差しが、裕美の背中や腕を打ち続ける。



「許して、おばあちゃま!許して!」


「お前には母親の由紀子と同じ『淫らな血』が流れている! 裕美!お前も母親と同じ運命を辿りたいのか?!」



初江の折檻は、なおも続いていく。

初江に打たれながら、正座させられて、膝に置いた両手を、ギュッ!っと爪が食い込むくらい握りしめながら、裕美は必死に耐えていた。




こんな日々が何度繰り返されてきただろうか ………



全てが監視され管理されて、裕美に自由は全くなかった。


あまり笑顔のない、暗い影のおとなしい少女 ……

そんな風に裕美が成長するのも無理はなかった。




だが、学校に行けば、


「おはよう、裕美!」(???)

同級生たちが気楽に声をかけて暖かく迎えてくれる。(おかしい?…… 普通ならこんな陰気な子、いじめの対象になってもおかしくないのだけど)




同級生役に、


河合その子……おニャン子クラブ。

長山洋子……今じゃ演歌の重鎮。

竹内力………まだ、爽やかな『竹内力』、今じゃ、こんな極悪顔になるなんて誰が想像しただろうか(笑)



校長先生には、

中条静夫……この方も『赤い衝撃』などで、昔から大映ドラマを支えています。


教師役には、

賀来千賀子……『少女に何が起こったか』では小泉今日子をイビるライバル役だった彼女が、このドラマでは良心的な女教師。(でもイヤ~な感じがするのは何故なんだろう?(笑) )


などなど……学校では良い人たちに囲まれて、すばらしく恵まれた環境で過ごしていた裕美。(今、考えると、豪華な共演者ばかりだ)




そして、そんな中で、担任の熱血教師『堤邦彦』(山下真司)もまた、おとなしい裕美を何かと気にかけていた。




そんなある日、裕美が乗っていたバスが、衝突事故を起こしてしまう。



倒れこむ乗客たち、血を流している者もいる。


幸い無傷の裕美だったが(なんて運の良い奴)、目の前でバスの窓ガラスが砕け散るのを目撃する。




その時、何かが裕美の中で爆発した!



視界は万華鏡ようにクルクル変化して、何故か?遠くに引っ張られるような感覚。



(消える ……… 私が消えていく ………… )


次の瞬間、顔をあげると、そこには気弱そうな裕美の姿は消えていて、ふてぶてしくて凶悪そうな顔が現れた。



魔性の少女《大沼ユミ》の誕生だった。







こんな感じが、『ヤヌスの鏡』の第1話だったと思う。




何故か?ふと、大映ドラマの事を思い出してしまった。


アクの強い登場人物、次々起こる怒濤の展開 ………


ありきたりの台詞のドラマに飽き飽きしている自分は、こんなドラマを、今、欲しているのかもしれない。



そんな大映ドラマの中でも、この『ヤヌスの鏡』は特に印象深いのだ。




最初この漫画を読んだ伊藤かずえ(当時、大映ドラマの顔)が、

「是非、このドラマをやりたい!」と自ら持ち込んだ企画だった。



だが、急遽「ポニーテールは振り向かない」の主演が決まり企画は宙ぶらりんになり棚上げされてしまう。





それが巡りめぐって、デビューしたばかりの新人・杉浦幸に白羽の矢が立った。

さあ、いざ、ドラマ撮影が始まると、プロデューサーは頭を抱えた。




杉浦幸のあまりにも酷い棒演技に!



おとなしい裕美は、杉浦幸の本来の顔立ちから何とかカバーできても(おとなしいゆえに台詞も少ない)、だが魔性の少女・大沼ユミはボロボロだった。



メイクや鬘(かつら)で誤魔化しても、演技なんていえるもんじゃないくらい、超のつくほどの下手くそ演技


(何とかしなければ、とても放送なんてできない …… )



考えたこんだスタッフたち。(「だったら、なんで最初に演技テストでもしなかったのだ?」と思うのだが、そこは日本の芸能界。色々なシガラミがあったのだろう …… と推測される)




ユミの台詞は代役がアテレコを行う事になった。(後年、この事実を知って大ショックだった)



そして、脇を有名俳優たちでガッチリ固めて、名声優・来宮良子さんのナレーションが助ける。


こんな努力で、なんとか、この第1話が完成されたのだった。




放送されると、すぐさま『ヤヌスの鏡』は、ヒットして話題になった。(スタッフも、ホッと胸を撫で下ろしただろう)





それにしても、杉浦幸の演技は今観ても超下手くそである。(回を重ねてもいっこうに上手くならない)



だが、それが、かえって『大映ドラマ』の変な世界では、幸か不幸かマッチしていたので不思議なものである。





このドラマの立役者は、今観ても思うのだが、『初井言榮(はついことえ)』さんだろう。




ドラマでは恐ろしい祖母を演じていたが、実際は真逆で、裕美を打つシーンなどは、「とてもできない!」と二の足をふむくらいだったらしい。


それでも、やはり名女優。


祖母の初江が裕美を虐めれば虐めるほど、我々は裕美に同情して、変身したユミの大暴走を痛快に観ていたんだから、ドラマのヒットは、この人の貢献なくしてはなかった!と思うのだ。




ドラマ後半、裕美(ひろみ)=ユミだと知ってしまった初江は、変身したユミの前で、「あぁ、…… 情けない …… 」とへたれこむ。




そこへユミが、


泣くのはやめな、ババァ! 『ババァが泣けば足元から蛆(うじ)が沸く』っていうだろう?  どいつもこいつも辛気臭い顔しやがって、見てられねぇよ!!

(スゴイ台詞!よくこんな脚本を書けるよ)




おだまりなさい!!

次の瞬間、気を取り直した初江が、スック!と立ち上がるのである。






こんな面白いドラマ、忘れようったって忘れられませんよ(笑)


DVDは、ところどころ台詞が無音になる箇所が数ヶ所あるらしい。(なんでも現代では差別用語になるらしくて)


かたい事言わないで、完全版を出してくれないかなぁ~(ドラマの始まる前に『おことわり』って形でいいんじゃないの?)



何にせよ、自分の中では、今でも印象に残るくらいのドラマなのであ~る。


星☆☆☆☆。



※《後記》そうそう、このドラマには、あの蟹江敬三さんが出演していた。


大沼ユミ逮捕の執念に燃える刑事役である。(『スケバン刑事Ⅱ』の刑事役をはじめとして、この時期の蟹江さんは、とにかく、次から次に刑事役を連発しておりました)


ただ、張り切りすぎてしまい、どんどん変な方向にいってしまうのだけど (笑)。


この《常識を逸した刑事役》は、その後、別のドラマにて最高潮(クライマックス)を迎えるのだが ………


それは、また別の機会で、ゆっくりと語りたいと思うのであ~る。




2019年5月22日水曜日

ドラマ 「Gメン´75」

1975年~1982年。







「ハードボイルドGメン´75熱い心を強い意志でつつんだ人間たち………」



芥川隆行の名調子のナレーションが耳に心地よい。





広大な滑走路を7人の刑事たちが、颯爽と歩いてくる。


主役の黒木警視(丹波哲郎)をセンターに、地面からユラユラともれてくる陽炎のような空気の中を、まるで、テレビを観ている視聴者に、これから挑戦でもするように、ずっと真正面を見ながら、つき進んでくる……。


一人、一人がズームになり、役柄が紹介されると、カメラは途端に、遠く退いた画面になる。


そして、跳び跳ねるような白地のアニメーションロゴ『Gメン´75』が黒い画面に、ひときわ映えるのだ。




OPは、確か、こんな感じだったと思う。




刑事ドラマの全盛期で、見るもの見るものが、画期的で楽しく、視聴者をくぎ付けにしていた、そんな時代。


その時、自分は小学生になったばかりくらいか。



周りの同級生たちは「太陽にほえろ!」などに夢中になっていたが、なぜか?変わり者の自分は『Gメン』を欠かさず観ていたのだった。


凶悪犯が事件をおこして、若い熱血漢の刑事が走りながら追いかけて、毎度毎度、カッコイイ殉職を繰り返す「太陽にほえろ!」は、それはそれで面白かったかもしれないが、自分にはピンとこなかった。


どのエピソードが面白かった?と聞かれても、たまにテレビの特集で流れたりする殉職シーンしか、特に印象にないのである。



ところが、『Gメン』に限っては、小学生の頃の遠い記憶でも、数十年たった今でさえ、覚えているのだから不思議である。




一般の警察組織が追えない事件を追う。


それが『Gメン』であり、警察の中の警察組織でありながら、異種的な役割を担う組織なのだ。

それゆえに、当然、扱う事件も間口が広がり、多種多様。


国内だけに収まらず、海外にまで、またがるようなスケールの大きな事件も頻繁になってくるのである。




そして、やはり印象に残っているのは、草野刑事役の倉田保昭が香港のスター、ヤン・スエと死闘を繰り広げる『香港カラテシリーズ』。


最初、このヤン・スエを見たとき、その見た目にビックリした。



脇が、キチンとしまらないほど、盛り上がった筋肉モリモリの肩や腕。

胸筋なんて、胸にエアバックが入っているんじゃないかくらいの盛り上がり方。



それが、動けば、「キリ!キリッ!」、「バキッ!バキッ!」と変な擬音が響きわたるのである。




顔面もまるで、凶器のようなゴツい顔。

眉が薄くて、顔も筋肉で鍛えられているような、ゴツゴツした顎と頬骨、それに、ぶ厚い唇。



こんな、見た目、恐ろしい人間に出くわしたら、自分なら一目散に逃げるだろうが、倉田保昭は、それに単身ぶつかっていくのだ。(どう見ても勝てる気がしないのだが)


最後は、倉田の空中を舞う、華麗なライダーキックのような技が仕留めたような記憶がある。






後、初期で印象にあるのは、響圭子刑事役の藤田美保子



バス通学の女子高生が、通り魔に殺されてしまうのだが、その女子高生と、たまたま仲の良かった刑事の藤田美保子が、被害者の遺族に、一方的に責められるなんてお話もあった。


確か、死んだ女子高生の祖父だったと思うが、加藤嘉(よし)(昔から、その老けた見た目でおじいさん役を専門にしている俳優さん)が、物凄い鬼の形相で、唾をとばしながら、藤田美保子に向かって逆恨みの言葉を発していたのを、覚えている。(そのくらい、おっかない、おじいさんとして子供心にインプットされていたのだろう。)



それと、沖縄の事件もあったっけ。


アメリカ人が、沖縄に住む人々を無惨に殺しながらも、裁かれないでいる様子に、心を痛めて、一人苦悩する響圭子刑事(藤田美保子)なんて回のお話も、なんとなく覚えている。


なんか藤田美保子といえば、言われもない事で、いつも責められていたり、追い込まれていたりして可哀想って印象だった。






後、若林豪も印象深い。



それまで、単発のゲスト出演が何本かあったが、Gメンが2年目を過ぎた頃、立花警部役でレギュラーを勝ち取る。


見た目、外人みたいな彫りの深い顔に、大人の男のダンディズムを備えた若林豪は、すぐにGメンの中でも、丹波哲郎につぐNo.2の座にのしあがってしまった。




そして、立花警部といえば、島かおり演じる片桐千草や、蟹江敬三演じる望月源治を思い浮かべてしまう。

立花警部は、初登場で妻子を殺されてGメンに加入するのだが、しばらくして同僚の片桐警部の妹、片桐千草と知り合い、お互いに惹かれていくのである。




その片桐警部を殺すのが、稀代の殺人鬼、望月源治(蟹江敬三)なのだ。




何人もの女子大生を、手斧で殺しまくる望月源治。


そんな望月源治を追い詰めた片桐警部も、彼の刃によって、やがて殺されてしまう。





同僚の立花警部は、望月の犯行を暴き、やがて一対一の決戦。




望月源治が、草むらから突然現れて、


「立花ぁぁ~!!死ねぇぇ~!!」


と手斧で襲いかかってくる。



やたら、めったら手斧を振りかざしながら、立花めがけて切りつけてくる。


それをすんでのところで、かわしながら手斧を振り払い、血だらけになりながら、なんとか手錠をかける立花。


「チクショー!チクショー!!」逮捕されても望月の狂気は治まらない。


生まれついての殺人者なのだ、この望月源治という男は……。





そして、しばらくすると、またもや、望月源治の回のお話が始まった。


護送車から脱走するのだ。


そして、一緒に脱走した仲間の囚人も、手斧を手に入れると、躊躇なく殴り殺す。(ほんと、怖い、怖い。寒気がするくらい怖いのだ)



「立花ぁぁ~!お前に復讐するまでは、絶対に生き延びてやるぅ~!!」






この『望月源治』のシリーズもしばらく続いた。


望月源治が死んだと思ったら、殺人鬼の兄が、出てきたり。


それが死んだと思ったら、望月源治の生き別れの双子がいて、そいつも殺人鬼だったりと次から次へと、続いた。



もちろん、その双子も演じるのは、若き日の蟹江敬三。





この望月源治の印象が、子供心に強烈で、恐ろしくて、恐ろしくて、夢にまで見たくらいだった。



この望月源治=蟹江敬三の印象が抜けなくて、後年、この人が、善人の役をしていても何か違和感があり、しばらくは馴染めなかった。



断崖絶壁の場所で、恋人の片桐千草役の島かおりの手をひきながら、若林豪が逃げるのだが、それを、手斧をもって殺そうと、狂気の顔で叫びながら、どこまでも追いかけてくる望月源治。



「死ねぇ~!立花ぁぁ~!!」




本当に、こうして書きながらも、あの場面が映像のように、鮮明に脳裏に甦ってくる。


あの時、小学生だった自分が、こうして40年以上たった今でも、ここまで記憶しているという事は、本当に凄いドラマだったのだなぁ、と今更ながら思うのである。



もし、機会があるのならご覧あれ。


あの時代の熱気やトラウマを封じ込めたDVDも、現代においては観ることは可能なのだから。


『Gメン´75』……星☆☆☆☆☆である。