2024年4月14日日曜日

映画 「燃える勇者」

 1981年  日本。





アフリカで育った野生児・『ジョー』(真田広之)は、死んだ両親の遺骨を日本に納めるためにやって来た。(お金が全くないので、取りあえず密航で)


「アフリカの動物たちが俺を待っているんだ!」


すぐにでもアフリカに戻りたいジョーは、神戸から出る船(もちろん密航)に乗りこみたくて、神戸行きの列車(もちろん無賃乗車)に忍び込んだ …… 

のだが! 


列車はまるっきり反対方向の東北に辿り着いてしまう。


(困ったなぁ~。さて、これから飯のタネを探さなくちゃ …… )←(一文無しでも全然困った様子でもないジョー)


そんな折、町中を全速力で通り過ぎていく暴れ馬に遭遇。


(これこそ俺の出番!)とばかりに、簡単に馬に飛び移り静めたジョー。


この馬の持ち主で年老いた『坂本和平(かへい)』(佐野浅夫)は、ジョーにおおいに感謝した。


あっさり、坂本の牧場で厄介になる事が決まったジョーは超ラッキー。

和平と一緒に住んでいる孫の『和代(かよ)』(伊藤かずえ)も、とても嬉しそうである。


《↑『不良少女と呼ばれる』前のまだ初々しい伊藤かずえ。この時14歳》



《↑『3代目水戸黄門』様になる前の佐野浅夫さん。いかにも善人って感じ》




そうして、その夜は、たまたま和代の15歳の誕生日。

3人でささやかながら誕生日祝いをしていると、ジャーナリストをしている和代の兄・文男が、ぶらりと現れた。

「和代、コレ、誕生日のプレゼントだ!」


包み紙を開いてみるとオシャレな鏡が出てきた。

「ありがとう、兄さん!」


だが、兄を見たのはそれが最期。

翌朝、和代の兄・文男は泥酔した状態で、そのまま車で海に飛び込み、水死体として発見されたのだった。



「こんな …… 兄さんが泥酔して自殺なんかするはずがないわ!」

和代の嘆きを、ただ側で聞いてあげるしかできないジョー。


そこへ文男の昔からの友人で、同じジャーナリストの『西条』(勝野洋)がやって来た。


「和代ちゃん、兄さんから何か預かったモノはないか?! 文男はどうやら町一番の権力者・大矢グループの会長や《大矢建設》の事を独自に調べていたらしいんだが …… 」


かねてから、きな臭い噂がある《大矢グループ》。

この事件の裏には、きっと大矢グループが関わっているはずだ!


西条は相当自信がある様子で、 そんな風に断言するのだが ………




真田広之主演の映画第3弾。(第1弾『忍者武芸帖 百地三太夫』、第2弾『吠えろ鉄拳』は既に、このブログでも取り上げてあります)


で、たまたま観れたこの映画なんだけど ……



まぁ、ハッキリ言って、ど~でもいいような場面ばかりが続いて、本当に イライラさせること!💢(笑)



原因は分かってる。


冒頭にも書いたように、【悪の組織《大矢グループ》の証拠が、妹・和代(伊藤かずえ)の誕生日プレゼントの鏡の中に隠している】事は、観ている人なら誰でも察しがついて、ピーンとくるはずなのだ。


この映画は尺が90分しかないのに、映画の半分以上を使って、そこまでを、まぁ、引っ張ること!引っ張ること!


後半近くになって、和代が腹立ち紛れに鏡に八つ当たりして、割れた鏡の裏から《毒ガス製造法》の科学式を収めたフィルムを見つけるのだが ……「あぁ、やっぱりね」って感じで、既にゲンナリ気分。


それと同時に、こんなのに誰も気づけないなんて、「登場人物たちは皆、 アホ か!」って即座に思ってしまった。(この映画自体、脚本がとにかくお粗末。今の小学生でもこれよりマシな話が書けるはずである)



この映画は、他にも有名人たちがゾロゾロ出演しているのだが、まるで本筋には関係ない人物ばかりなので、ただ、映画の尺を埋めるためだけのような ……


当時『ダンシング・オール・ザ・ナイト』が大ヒットしたもんたよしのりやら、もんた&ブラザーの面々たちが、金で雇われた《不良バイカー》の役で登場するのだが、けっこうなポンコツ具合。(何度か登場しては真田広之一人に、簡単にボコられております)


大御所・若山富三郎なんて、大矢建設の雇われ運転手役で、不良バイカーとジョーたちのいざこざに、要らぬお世話でトラックで割って入ってくるだけ。(その後、留置所送り。これにて出番は終了である)


《↑必要?》


そうして、当時、jacの次世代スターとして期待されていた黒崎輝が『吠えろ鉄拳』に続いて、またもや(バーターで)登場する。



白いギターを抱えて町から町へ。

いつしか、この事件に自ら首を突っ込んでしまい、狙撃までされて痛手を負う『三浦勝』(黒崎輝)。


それでもジョーや西条にくっついて敵の本拠地に乗り込んでいこうとするのだが。(↓行く前からこんなんですもん。悲劇的な末路は、な〜んとなく想像できる)





とにかく、ここまで(1時間過ぎ)が異様に長く感じてしまい、「ハァ〜」なんて溜め息で、視聴を何度か中断したくらい。


それにしても、この映画『燃える勇者』に、他の人は(どんな評価をつけているんだろう? …… )と調べてみると、けっこうな✨高評価✨である。



えっ?なんでぇーーー?!



その疑問は最後まで、この映画を辛抱強く観た者にだけ分かる。



山の上、広大な土地を切り開き、創り上げられた、まるで要塞のような敵の本拠地。


秘密裏に毒ガスを製造して、外国に輸出しようとしている【大矢鉱山】がそこにある。








こんな場所をよくぞ探してきたよ。


こんなトンデモない場所でのアクション・シーンなら、ハラハラ、ドキドキしないはずがない!


映画は、もう、ラストまで、アクションにつぐアクション 怒涛の快進撃💥💥💥!(「今までのつまらなさは何だったのー?!」と思っていたら、アクション監督として千葉真一の名前が。流石である)



敵にさらわれた和代を救い出せ!

列車で運び出される毒ガスを守るのだ!


立て!立つんだー!ジョー!(いつの間にか作品が変わってる?(笑))



私の評価は、前半(マイナス)と後半(プラス)で、星☆☆☆でございます。






※尚、この舞台となった場所は、秋田県鹿角市(かづのし)にある【尾去沢鉱山】である。




大昔から砂金✨が取れたことで有名で、持ち主を変えては拡張していき、ご覧のように巨大化していったらしい。(1978年に閉山。映画は、そのタイミングで即、撮影されているのだ)


今(2024年)でも、その形は何とか残されていて、史跡扱いになっている。(拝観料を払えば見学もできるのかな?)


今じゃ、こんな撮影許可も簡単にはおりないだろうし、そういう意味では、この映画は希少な記録映画でもあるのだ。





実際に見にいってみるのもいいかもね。(「あ〜、ここで真田広之が撮影したんだなぁ~」って感慨深くなったりして)


お粗末さま。