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2020年1月3日金曜日

映画 「悪徳」

1955年 アメリカ。





『チャーリー・キャスル』(ジャック・バランス)は、ハリウッドで成功した映画スター。


壮大な邸宅に住み、専属トレーナーもいる優雅な暮らし。


だが、その見た目の華やかさとは裏腹に、内ではいくつものトラブルを抱えていた。


「やっかいなのが来たぞ!」

チャーリーが外でトレーニングをしていると、広報の『バディ・ブリス』(ポール・ラングトン)が血相をかえてやって来た。


女記者『パティ・ベネディクト』(イルカ・チェイス)がやって来たのだ。



チャーリーが戻ってくると、早速、チャーリーを質問攻めにするパティ・ベネディクト。(何で、このオバサン、こんなに偉そうなの?)


「チャーリー、プロデューサーのホフとの契約更改が迫っているわよね?どうするの?」

チャーリーは上手くはぐらかそうとするも、パティ(クソババァ)は追求の手を緩めない。




「じゃ、奥さんのマリオンの事を教えて!離婚するの?しないの?別居してるんでしょ?」

「息子が具合が悪くて、静養に行っているだけさ」

「本当でしょうね!他紙で出し抜かれたら許さないから!!」(本当に何なんだ?、このクソババァは!)




パティは、話題を変えると、今度はそばにいるバディ・ブリスに目を移した。

「まだ彼をそばに置いているの?飲酒運転をして、事故をおこして、禁固10ヶ月の刑を受けたんじゃなかったかしら? あなたは彼の為に保釈金まで払って………そんな価値が彼にあるのかしら?」


目を伏せているブリスに、チャーリーはかばうように、

「それは終わった事だ。それに彼も罪は償ったんだ」と言うが、パティは煮え切らない答えばかりのチャーリーに、「フンッ!」とばかり。




そこへ2階の螺旋階段から、妻の『マリオン』(アイダ・ルピノ)が降りてきた。



いないはずのマリオンの登場にチャーリーは驚くが、パティは「してやったり」とばかりに、今度はマリオンを質問攻めにする。


だが、マリオンは「私生活に干渉しないで!」とピシャリ。


パティ(クソババァ)は「覚えておきなさい!」と言い捨てると、プンプン顔で帰っていった。


誰もいなくなり、チャーリーと二人きりになると、今度はマリオンが切り出した。


「スタンリー・ホフと契約しないで!契約したら7年は縛られるのよ!低俗で堕落した彼の映画の為に、自分のキャリアを棒にふらないで!」


これにも、チャーリーはどっちつかずの返事。
マリオンの顔も苦々しく変わっていく。(元々、この人も美人じゃないけど)


「契約するなら離婚するわ。私、ハンクという人に結婚を申し込まれているのよ」

離婚を盾に詰め寄るマリオンに、チャーリーの心も揺らいでいく。




でも、マリオンも知らない事がある………。



実は飲酒運転をして事故を起こしたのは チャーリー本人 だったのだ。

スタンリー・ホフは、身代わりとして広報のブリスを差し出し、罪を肩代わりしてもらったのだ。


そんなホフに逆らえるのか ………



案の定、『スタンリー・ホフ』(ロッド・スタイガー)の怒声がとぶ。


「妻が夫の仕事に口をだすもんじゃない!私を怒らせるな!さぁ、私の言うことを素直に聞いて、このペンでサインするんだ!」

高圧的なスタンリー・ホフと妻マリオンの板挟みで、チャーリーは頭を抱えるのだった ………





監督ロバート・アルドリッチの初期の作品である。


この映画、もともと舞台劇だったので、場面は、ほとんどチャーリーの屋敷の中で話が進んでいく。



ジョセフ・L・マンキーウィッツが撮った『イヴの総て』が舞台の裏側で、こちらは映画スターの裏側なのだが、『イヴの総て』のような爽快さはない。



ただ、苦悩する主人公にどんどんイライラしてくる具合だ。(外見は強面なのに、このジャック・パランスときたら …… 本当に情けない)



それにしても女たちは、どれもこれも可愛げのない女たちばかり。



最初の女記者ベネディクトも、ふてぶてくして、とんでもないクソババァだし、

妻のマリオンも夫を責めてばかりの厄介な性格。(途中からアイダ・ルピノの顔が、スター・ウォーズのヨーダのように見えてくるのは私だけ?)



「離婚!離婚!」をちらつかせるマリオンなのだけど、「どうぞ勝手に離婚したら?」と思ってしまった。(ものすごい美人が、このセリフを言うのなら、頭を抱えて悩むところだけど、このアイダ・ルピノじゃねぇ …… )




もうひとり、ブリスの妻『コニー・ブリス』(ジーン・ヘイゲン)も夫がいるのに尻軽だし、アタマからっぽだし。(チャーリーがスターなもので呼ばれたらホイホイ)



ロバート・アルドリッチを男性映画の監督と言ったのは誰だったか………、魅力的な女性なんてのは、期待してはダメだという事か。(遺作の『カリフォルニア・ドールズ』は良かったけどね)


ジャック・パランスは頑張って演じているけど、この映画は興行的にも失敗したし、自分もアルドリッチらしさに、少々かけているような気がする。


ジャック・パランス&アルドリッチのコンビで、本領を発揮するのは、次の『攻撃』なのかな?

それに期待しておきたい。(まだ観てない映画は沢山あるしね)

2019年12月30日月曜日

映画 「特攻大作戦」②

《①の続き》

そして、いよいよ囚人たちの紹介である。(これも豪華な面々が揃う)




チャールズ・ブロンソン………ジョゼフ・ワラディスロー。

囚人の中でも、かなり教養があり、そして人一倍冷静な判断力を持つ男である。


やがてライズマンの右腕になるような才覚をみせていく。(さすがブロンソン!)



髭のないブロンソンの出演は貴重だが、やはり、この人には髭があった方がお似合い。

この後に、映画『デス・ハント』で再び、リー・マーヴィンとタッグを組んでいる。(まるでリー・マーヴィンを中心に広がる友達の《輪》)





ドナルド・サザーランド………ピンクリー。

終始おどけているようなアホな囚人役。


まだデビューして3年目の初々しいサザーランドに、最初気がつきませんでした。(こんな時代もあったのね)


ドナルド・サザーランドは、ニコラス・ローグ監督の『赤い影』が有名である。(不気味なサスペンス)






ジョン・カサベテス…………フランコ。

威勢だけは、一丁前の囚人。(喧嘩になれば、簡単にのされてしまう、このヘタレっぷりよ。)


ジョン・カサベテスが、俳優をやっているのを初めて観た。


だってカサベテスといえば、監督として有名ですもん。


奥さまのジーナ・ローランズを主演にした『こわれゆく女』や『グロリア』などは、超有名。

でも、調べてみると、このお方、コンスタントに俳優もやってらっしゃるのですね。



リー・マーヴィンの『殺人者たち』にも出ているという。(ここでも広がるリー・マーヴィンの友達の《輪》である。)







テリー・サバラス…………マゴット。

そして、そして、サバラスである。


とんでもなくイカれている囚人。


人種差別は当たり前。強姦殺人の死刑囚役。


この見た目のビジュアルが、この映画では、特に不気味で、恐ろしく思えるほど。(こう見えても実際のサバラスは、コロンビア大学で心理学を専攻したほどの知性派なのですよ)


この方の代表作といえば、海外ドラマ『刑事コジャック』。

ピーター・フォンダの映画『ダイヤモンドの犬たち』でも大活躍している。


スキンヘッドは、その見た目だけで、相当に破壊力のあるビジュアル。





と、まぁ囚人役で気になったのは、こんなところかな。(後、8人いる。他ははあまり知らないけど)


それでも、これだけの豪華な面子が揃えば、集団劇でも見分けるのは、とても楽だ。(大人数になるほど、脚本や監督の力量が試される気がする)



それにしても、リー・マーヴィン、アーネスト・ボーグナイン、ジョージ・ケネディ、チャールズ・ブロンソン、ドナルド・サザーランド、テリー・サバラスなんて名前がズラズラ並ぶと、まるで自分が、この1年で書いてきたblogの総決算のような気がしてくる。



もちろん星☆☆☆☆☆である。


「悪を知った者しか、悪に立ち向かえない」と言ったのは誰の言葉だったか……。



男たちの熱い闘いを、どうぞご覧あれ。


そして、みなさま良いお年を。(お粗末さま)

2019年12月29日日曜日

映画 「特攻大作戦」①

1967年 アメリカ。






1944年、アメリカ陸軍の『ライズマン少佐』(リー・マーヴィン)は、突然、お偉方が集まる本部へと呼ばれた。


破壊工作のプロとして、その実力は認められていたものの、型破りな方法をとるライズマンは、軍でも異質な存在。



「ったく!何の用なんだ!」とふてくされているライズマンを、「まぁ、まぁ……」と、なだめる昔馴染みの『アンブラスター少佐』(ジョージ・ケネディ)。


ライズマンが本部の応接室に入ると、待ち構えていたように、ギロリと睨む幹部たち。




その中でトップの『ウォーデン少将』(アーネスト・ボーグナイン)が立ち上がると、ライズマンに対して新しい任務を告げた。(このボーグナインの顔を見るだけで、「ププッ!」と笑いをこらえるのが大変)



「君にやってもらう事は、ノルマンディー上陸作戦の前に、ドイツ国防軍の高級将校たちが集う保養所を襲撃することだ!」



ライズマンが黙っていると、ウォーデンは、次に、とんでもない条件を突きつけてきた。



「ただし、この作戦に従事する者は、アメリカ《陸軍刑務所の囚人たち》から選ぶように!」



な、何だって?!



囚人たちに戦争をさせようっていうのか?!

無茶苦茶な!!



「そんな馬鹿な提案に、アイツらが素直に首を縦に振るとは思いません!なにか見返りがなければ……」


そこは、ウォーデンも多少、譲歩して、作戦成功の暁には、囚人たちの恩赦を約束してくれた。




ライズマンとウマが合わない『ブリード大佐』(ロバート・ライアン)は、ウォーデンの提案に、あきらかに面白くなさそうである。



(それにしても、こんな突飛な作戦が上手くいくのか………。)





ライズマンは翌日、刑務所を訪ねた。


この中から12人の囚人を選抜するのだ。



戦争で死ぬか、刑務所で死刑を待つか、それとも戦争で勝ち抜いて無事に生き残るか……選択肢は3つ。


はてさて、ライズマンのお眼鏡にかなって、選ばれた囚人たちは……





やっと観れた、『特攻大作戦』。




面白かった!


監督は、ロバート・アルドリッチ



それにしても、スゴイ顔ぶれを揃えたものだ、この映画。



これは、ぜひぜひ、順をおって紹介しなくては!






まずは、



リー・マーヴィン………ライズマン少佐。

さすがの貫禄である。やはり一癖も二癖もあるような囚人たちを束ねるのは、この人以外に適任者はいない。


囚人たちにも気迫負けなんてしてしない。


「なんだ!文句があるならかかってこい!」なんて言いながら、一対一で正々堂々と対決する。(かるく背負い投げ!)



でも、自分の部下として認めはじめると、囚人だろうが、命がけで守ろうとする。(カッコイイねぇ~、男だねぇ~、憎いねぇ~)


いちいち横槍をいれてくる嫌~な『ブリード大佐』たちには、容赦なく機関銃乱射をおみまいしたりする。


まぁ、何をしても痺れるくらいカッコイイのがリー・マーヴィン様なのだ!







アーネスト・ボーグナイン………ウォーデン少将。

ここでは、リー・マーヴィンの上官役だが、映画『北国の帝王』でも共演しているボーグナイン。


『北国の帝王』を先に観ているためか、ボーグナインが画面に出てくるだけで、不謹慎だが、笑いそうになる。


1度見たら忘れられない、この顔面の破壊力。

「ニカッ」、と笑うと見える、デカイ口に並んだ沢山の歯。



そしてギョロリとした飛び出しそうな目よ。(『北国の帝王』でも同じような事を書いた気もするが、毎回違う役でも顔面のインパクトがスゴくて、ボーグナインといえば、それなのだからしょうがない)







ジョージ・ケネディ………アンブラスター少佐。

ライズマンとウォーデンの間で、右往左往するような中間管理職。(だいぶライズマンの味方になってくれてるけど)


この映画でも、人の良さが、にじみ出ているようなジョージ・ケネディである。




けっこうジョージ・ケネディが出ている作品を観ている自分。


以前、このblogでもあげた、オードリー・ヘプバーンの『シャレード』や『超高層プロフェッショナル』、『エアポート´75』、イーストウッドの『サンダー・ボルト』や『アイガー・サンクション』なんてのもあったっけ。


ハリウッドで、誰にでも好かれていたケネディは、もちろん名バイブレイヤーである。






★ロバート・ライアン……ブリード大佐。

ライズマンに対するライバル兼、悪役。

ネチネチと嫌味ったらしく、イケすかない野郎を演じております。


ロバート・ライアンは、あちこちの映画で有名らしいが、初めてこの映画で見かけた人。


今後、有名な作品、『罠』や『ロリ・マドンナ戦争』などにも出演しているらしいので、いずれ観てみたいと思う。






なんだか、こうやって、ダラダラと紹介していくと長~くなりそうなので、本日はここまで。



②へ続くとする。
(名優たちが続々出ているので、とてもこの紹介を中途半端でやめられそうもない。この気持ち、どうぞお察しくださいませ)

2019年9月8日日曜日

映画 「北国の帝王」

1973年 アメリカ。






タイトルだけは、昔から知っていたし、主演が『リー・マーヴィン』なのも分かっていた。


でもストーリーや内容なんてのは全く知らない。


若い時には、このリー・マーヴィンの顔も、

(何だか年老いた牛のような顔の人だなぁ~)

と思ったり、パッケージのアーネスト・ボーグナインの顔もクドイ顔に見えたりして、見かけても素通りしてました。(スミマセン)




話の内容なんてのもひどいもので、勝手に、


「タイトルが『北国の帝王』なんだから、きっと雪山か何かの話で、リー・マーヴィンが、そこで有名な登山家か、雪山ガイドなんだろうな~」

くらいの決めつけ。


そんな『北国の帝王』でありましたが、後年、あのロバート・アルドリッチが監督しているのを知ると、俄然見方が変わってしまう。




そして観てみると、相変わらずの勘違いで、全然内容は違ってました。(笑)





時は1933年の世界恐慌の時代。


あちこちの町では、『ホーボー』なんて言われている人々で溢れかえっている。



ホーボー』って何じゃろ?



『ホーボー』とは、基本的には金を持たない失業者たちのこと。


そして遠くに働きに行くにしても無賃乗車をして鉄道などに、無断で乗り込んだりする人々の事でもある。(横文字にすると、何だか格好いいような気もするが、やってる事はねぇ~)




今日も、そんな『ホーボー』たちが、減速してきた列車の隙をついて、後部車両に乗り込んできた。


でも、生憎、乗った列車が悪かった。



ホーボーたちの間でも怖れられている『19号車』。


鬼車掌『シャック』(アーネスト・ボーグナイン)が管理する列車だったのである。



「俺の列車で無賃乗車なんて許さん!」


シャックはトンカチ片手に、後部車両に移動すると、乗り込んで安堵しているホーボーを滅多打ちにした。


哀れ、年老いたホーボーは、線路に落ちて、列車の下敷きになる。



「ざまぁ、みろ!ハハハー!」


ホーボーなんてものを、虫けら同然に見ているシャックにとっては、一人死のうが、殺そうが関係ないのだ。


(恐ろしい …… )

列車が通りすぎるのを草むらの蔭から見ていた、他のホーボーたちは震え上がった。



そんな『19号車』がしばらく走っていると、山道の草むらで野営をしている男がいる。



年老いているが眼光鋭い、『エース・ナンバーワン』(リー・マーヴィン)。




エースが、どこから調達したのか、食糧の鶏を調理しようとしてると、浮浪者らしき男と少年が、それをまた草むらから、唾を飲み込みながら見ていた。(ゴックン!)



「狙え!」

男たちは、エースに襲いかかってきた。



だが、それを意図も簡単に毛散らかすエース。




エースは、そのまま走り去る『19号車』に乗り込んだ。



そして、浮浪者の若者『シガレット』(キース・キャラダイン)も後を追った。


二人が乗り込んだのは、干し草を積んだ車両。


その車両の上部入口に隙間を見つけたシャックは、厳重に閉めると関貫をかけた。



エースとシガレットは、完全に閉じ込められてしまう。



「ちくしょう!出しやがれ!」(自分で乗り込んだくせに)


若いシガレットは、閉じ込められた車両で、バタバタもがいているが、エースは余裕綽々。



鶏を片手に、葉巻に火をつけると、「プーッ!」と吹かしてみせた。



(な、なんで、こいつ落ち着いてやがるんだ ?…… )



そう、彼こそが、ホーボーたちの間でも尊敬されている『北国の帝王』と呼ばれる男だったのである。






この映画って、笑っていいのやら、それともマジメ~に観たらいいのやら ……



そもそも、このエース・ナンバーワンって名前も変だし。(なぜ?誰もツッコまないんだ?)


そうして、このエースの渾名(あだな)が北国の帝王》???(只の無賃乗車の常習犯に(なぜ?)こんな英雄視するような渾名がついたのか? そもそも、このエースは北国出身なんだろうか??)


全く意味分かりません。



リー・マーヴィンの威厳と雰囲気だけで、形だけは真面目そうなアクション映画に仕上げようとしているのだが。(とても真面目に観れるものですか!)




大体、シャック役の『アーネスト・ボーグナイン』のクドイ顔が、映画の中で観ると、さらに超 クドく仕上がってて、観客を笑わせる気、満々なのだ。(笑)




ボーボー眉毛に、目ん玉が飛び出るくらいのデカい目


これまた、デカい裂けたような大きな口には、すきっ歯が並んでいて、これはもう、一種の顔芸である。



これを、平静に笑わずに見られる人がいるのだろうか。(笑)



こんなシャックの『19号車』から、いとも簡単に乗ったり、脱出したりするエース。


シャックは、それに「キーッ!」と悔し顔。



「今度こそ、『北国の帝王』に負けてたまるか!」


ヒステリックに喚き散らして、周りに当たり散らして。




それでも無賃乗車犯と車掌の闘いは、果てなく続いてゆく ……




映画は、真面目さを装いながらも、現代の我々が観れば、最後まで「何じゃこれ?」の連続。




でも、この馬鹿馬鹿しさが、観ているうちに、段々と癖になってくる。(最高なのだ!)




それにしても男って奴は、くだらない事に命をかける、馬鹿な生き物でやんすねぇ~。




ロバート・アルドリッチ様、この映画って笑っていいんですよね?

星☆☆☆☆☆である。

2019年5月11日土曜日

映画 「カリフォルニア・ドールズ」

1981年 アメリカ。






町から町へ……。


ポンコツ車に乗りながら、旅する一人の中年男、そして美女2人。


女子プロレスラーのマネージメントを請け負う『ハリー』(ピーター・フォーク)。


『カリフォルニア・ドールズ』のコンビ名でタッグを組む、ブラウンヘアーの『アイリス』(ヴィッキー・フレデリック)とブロンドの『モリー』(ローレン・ランドン)。



3人の夢は大きく『世界チャンピオン』になってスターになる事だ!



今日もリングに上がると、日本女子レスラー相手に火花を散らす。


試合が終わった後、感心して観ていた日本人のプロモーターから名刺を渡されるハリー。



「あの子たちは日本に来たら、きっとスターになる!その時は連絡をどうぞ!」


ハリーは、二人を誉められルンルン気分。


ご機嫌で、今日の日雇いプロレスのギャラを貰いに、興行師のエディ・シスコ(バート・ヤング)の元を訪ねた。


用心棒に見守られながら、応接室では、エディが出張の美容師を呼んで髭剃り中だ。


「ギャラはそこにある」


目をつむりながら、気持ちよさそうに髭をあてられているエディは、ハリーの顔も見ずに呟いた。



ハリーが机の金を数えると20ドル足りない。

「タオル代を貰ったぜ、それを持って、とっとと出ていきな!」


エディが言う。



「あの子たちにとっては、20ドルは大金なんだ!ちゃんと払うものは払ってくれ!」

ハリーはカンカンだ。


だが、用心棒がハリーの前に立ち塞がった。悪党エディは続けて言う。


「俺はこの辺りの興行すべて、取り仕切ってるんだぜ!それで満足して、とっとと失せるんだな!」

ハリーは追い出された。



駐車場にハリーが行くと、ポンコツ車の前では、アイリスとモリーが待っていた。


「どうだった?ちゃんとギャラは貰えたの?ハリー?」

ハリーは二人の言葉に答えず、ポンコツ車からバットを取り出すと、辺りを見渡しながら、エディの車を探しだした。


そして、おもいっきりバットを振り上げると、エディの車をボッコボッコになるまで殴り続けた。


「何するのよ?!、ハリー!!」

アイリスとモリーが驚くが、ハリーは、今ので気が済んだのか、平然とした顔だ。


「乗れ!次の町に行くぞ!」


3人の旅は続く………。





ロバート・アルドリッチ監督の遺作。

それまで、ドロドロの愛憎劇「何がジェーンに起こったか?」とか、男の熱い戦い「北国の帝王」、「ロンゲスト・ヤード」を得意としてきたアルドリッチが、最後に選んで録ったのが、この「カリフォルニア・ドールズ」だったのに驚いた。


女子プロレスラーの世界とはいえ、ハートウォーミングな王道の青春映画とは……。



今では、すっかりプロレス人気も下降して廃れてしまったが、一時期は、日本でも熱狂的な人気で、試合という試合はゴールデンタイムで放送されていたものだ。(時代なのか……その証拠に、この映画でも日本人レスラー役で、ミミ萩原が出演していたりする。)


でも、私、この映画をプロレス映画とも、王道の青春映画とも考えず、別の事を考えながら観ておりました。



このハリー役のピーター・フォークは、役得だなぁ~、と思いながら……。



本当にモテること、モテること!(うらやまし~)


何でこんな中年がモテるの?

いったい秘密は何だろう?、と考えながら……。




旅先では、ゆきずりの女との一晩過ごしたり。

モーテルで、ハリー(ピーター・フォーク)の部屋をアイリスが訪ねると、バスルームからは、あっけらかんと金髪のお姉ちゃんが、素っ裸で出てくる始末。(「あ~ら、お邪魔さま」とからかいながら出ていくアイリス。)



でも、そんなアイリスの心は、とても複雑だ。


ハリーが、無理に決めてきた泥レスリングの試合に「嫌だ!嫌だ!」と言いながらも、相方のモリーと出演したりする。


泥にまみれながら、取っ組み合いをして、上に着ているものは破けて、裂けてしまう。


恥も何もかなぐり捨てて、観客の笑い声や冷やかしの言葉の中で、精一杯ファイトする。


でも、試合が終わった後、モーテルに帰りつくと、さっきの恥っさらしの光景が頭の中から離れない。



アイリスはハリーに当たり散らす。

「お客は皆、笑っていたわ!なんでこんな仕事をさせるのよ!みんな、みんな、あんたのせいよ!!男としてもマネージャーとしても最低!あんたなんて男のクズよ!クズ!クズ!クズ!」


泣きながらハリーに拳をあげ続けるアイリスに、ハリーの1発の平手うち(バチンッ!)


そして、ポカ~ンとしているアイリスを「わかったから……わかったから…」と言いながら、アイリスをおもいっきり、優しく抱き寄せて、キスをする。



アイリスの癇癪は一気に崩壊し、一瞬でハリーへの愛しさに変わり、涙、涙にくれながら、ハリーにしがみつくと、


「ハリー、昔からあんたの事が好きだったのよ!」

っとなるわけなのだ。(これを役得と言わず何と言うのか)




この女性を、その気にさせる手練手管は、どこかの女ったらしか、ジゴロ並みの凄技ある。



だからこそ、アイリスやらモリーも、この冴えない中年ハリーに文句を言いながらも付いていくのだ、と勝手に合点してしまった。



プロレスよりも、こんなシーンに、何だか、いちいち感心しながら、「フム、フム、男として勉強になるなぁ~」と思いながら観てしまった。


興業師のエディが言うのも分かる気がする。

「お前、若い女、丸め込むのは得意だろ!」

「このスケコマシ野郎が!」とか(いちいち納得である)




なんだか、自分の映画の見方が、すごく片寄っているような気もするが、…………それでも、中年の星ハリー(ピーター・フォーク)に女性の扱い方の指南術を学ぶのなら、この映画は最適かもしれない、と思うのである。



星☆☆☆

(気がつけば変な映画評である。あまり参考にならないので、初めて観る方はニュートラルな気持ちで観てくださいね。)

2018年12月17日月曜日

映画 「何がジェーンに起こったか?」

1962年 アメリカ。






1917年、『ジェーン・ハドソン』は、わずか6歳にして、ボードヴィルの舞台に立ち歌っていた。



その姿は、『ベイビー・ジェーン』とあだ名されるほど可愛らしく大人気。

金髪の巻き毛に大きなリボン、フリルがたくさんついたドレス姿で歌う様子は、皆を魅了した。


皆がジェーンを讃えてくれて、両親もなんでも言うことを聞いてくれる。

その人気は、ジェーンと等身大のそっくりな人形まで作られるほどだった。





だが、一人、面白くない人物がいた。

年の近いジェーンの姉、『ブランチ』である。



同じ子役でも、ブルーネットの髪をもつブランチには、誰も相手にせず、両親もジェーンばかりをチヤホヤしていた。


「この悔しさ死んでも忘れないわ!」


ブランチの子供時代は、世間から冷遇されて、ジェーンへの憎しみをたぎらせて、そんな風に過ぎていった。






1935年、時は過ぎ、ジェーンとブランチは、成人をすぎると映画界へと進んだ。


だが、ここで姉妹の立場は逆転した!



今度はブランチが、映画界で押しも押されぬトップスターとなったのだ。



逆にジェーンは、パッとしない端役を演じる日々。


だが、そんな姉妹を突然、悲劇が襲う。

自動車事故でブランチが、脊椎を痛め、下半身麻痺になってしまったのだ。


映画関係者の話では、泥酔したジェーンが運転していた為に、起こった事故なのではというが、……真相は分からずじまい。




――――  そうして、またまた時はかなり過ぎて、1960年代。




二人の姉妹も老境にさしかかり、車椅子に乗った『ブランチ』(ジョーン・クロフォード)、その世話を嫌々しながら過ごす『ジェーン』(ベティ・デイヴィス)は、閑散とした一軒家に、たった2人で暮らしていたのだった。



だが、次第に、酒に溺れ、昔の栄華を忘れられないジェーンは、少しずつ狂っていく。



ブランチに対しても、どんどん異常な行動がエスカレートしていき ………




監督は巨匠ロバート・アルドリッチ


そして、大女優ベティ・デイヴィスが起死回生、大復活した伝説の傑作である。


なんせ、このベティ・デイヴィスのお姿が、もの凄い!



これが、あの『イヴの総て』のベティ・デイヴィス?!



白塗りの化粧に、

真っ黒な濃いアイラインをひいて、

オバQのような口紅。



長い金髪を縦ロールにして、リボンをしたジェーンの姿は、まるで化け物か妖怪だろう。(失礼なんだけど……でも本人もそれを狙ってやってるんだから、「これぞ役者冥利につきる」ってところだろうか)



その老醜を晒した顔は、往年のフアンたちを驚かせ、一瞬で戦慄させたという。



こんな姿の『ジェーン』(ベティ・デイヴィス)が、車椅子の『ブランチ』(ジョーン・クロフォード)を、徹底的にいたぶり続けるのだから、また、もの凄いドキツイ話である。



ブランチの飼っている小鳥を殺して夕食に出したり、鼠を出したりと、やる事なす事えげつない。(ゲェー)



ジョーン・クロフォードが、追いつめられ恐怖する様も、またそれはそれで恐ろしいお顔なんだけど。(こっちも妖怪風。負けてない)




だが、この姉妹の愛憎劇には、最後に大ドンデン返しがあり、(ここでは語るまい)それまでの印象をガラリと変えてしまうのである。



この映画はヒットした。(何がうけるか分からないのがハリウッドの常)


ヒットして、アカデミー賞にまでノミネートされた。


そして、主演女優賞には、怪演が認められたベティ・デイヴィスがノミネートされる。




これに腹をたてたのが、相手役のジョーン・クロフォード。(あらあら、映画では気弱そうなのに。でも実際のジョーン・クロフォードの性格は、その真逆である)



クロフォードは、ベティに受賞させないように反対活動まではじめたのだという。



映画では、ベティに苛められる役だが、このエピソードだけでも、このジョーン・クロフォードの気位の高い性格の一端がみえてくる。




結局、受賞は逃したんだけどね。(この年は『奇跡の人』のアン・バンクラフトが受賞している)



監督のロバート・アルドリッチは、次回作の『ふるえて眠れ』も同じ、ベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォードで撮ろうと計画していた。



だが、撮影が始まっても、当のクロフォードが全く出てこない。



先の事(ベティ・デイヴィスがアカデミー賞にノミネートされた事)を彼女は根にもち続けて、ヘソを曲げていたのである。(大のオトナが …… )



果ては、

「ベティ・デイヴィスに嫌がらせをされ続けた!」

とか、なんとか言いだして入院(仮病?)。長期に撮影をすっぽかし続けたのだった。



困ったアルドリッチは、とうとう決断する。


それは配役変更。



ジョーン・クロフォードを降ろして、あの『不意打ち』のオリヴィア・デ・ハヴィランドを起用したのだ。(映画「不意打ち」はヒットしなかったが、ここでの熱演が認められた。おめでとう)



クロフォードは、これに、またもや憤慨して(キィーッ!)、大激怒したそうな。



「病院のラジオで交代を知った」とか「9時間も泣き続けた」とか、言ったとかどうとか ……


ベティ・デイヴィスとアルドリッチを生涯、逆恨みし続けたという。




ベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォードの生涯にわたる因縁。


もちろん、我の強さではベティ・デイヴィスもひけをとらないが、味方をするなら、私もアルドリッチ監督と同じように、ベティ・デイヴィス寄りかな。(撮影すっぽかしは、許せませんし)


「同じ女優なら、演技で勝負しなさいよ!」

なんて言ってのけるベティ・デイヴィスの声が聴こえてきそうである。


相撲なら、土俵に上がってこないクロフォードにグダグダ言ってのける権利なんて、はじめからないのだ。(撮影すっぽかしだし)



その後、ベティ・デイヴィスは、『ナイル殺人事件』や『八月の鯨』など晩年も亡くなるまで活躍し続けたが、ジョーン・クロフォードは、たいした作品にも恵まれず、どんどん衰退していく。



ジョーン・クロフォードは4回結婚して養子を5人もうけたが、養子の一人は戻され、養子の一人には、「虐待されて育てられた」という暴露本まで出版されてしまう。



ハリウッドという特殊な世界でも、やはり最後は性格の良さが、命運を決めるのだ!という事をこのエピソードは、教えてくれる。



演じる事に真摯で懸命な、ベティ・デイヴィスやオリヴィア・デ・ハヴィランドなどは、いくつもの色褪せない傑作を残した。



ジョーン・クロフォードには、この映画だけが色褪せず残された。(他にも色々出てるし、主演女優賞までとっているのだが、あまり現代ではパッとしないし、これ以外、全然聞いたこともない作品ばかり)



なんだか、この文章を書きながら、『Wの悲劇』の三田佳子のセリフが、頭の中にポン!と浮かんできた。


「女優!女優!女優!勝つか、負けるかよ!」(笑)



収拾がつかない結びでスミマセン。


星☆☆☆☆です。(この写真だけじゃ、本当に人の中身は分からないねぇ~、くわばら、くわばら ……… )