1973年 アメリカ。
タイトルだけは、昔から知っていたし、主演が『リー・マーヴィン』なのも分かっていた。
でもストーリーや内容なんてのは全く知らない。
若い時には、このリー・マーヴィンの顔も、
(何だか年老いた牛のような顔の人だなぁ~)
と思ったり、パッケージのアーネスト・ボーグナインの顔もクドイ顔に見えたりして、見かけても素通りしてました。(スミマセン)
(何だか年老いた牛のような顔の人だなぁ~)
と思ったり、パッケージのアーネスト・ボーグナインの顔もクドイ顔に見えたりして、見かけても素通りしてました。(スミマセン)
話の内容なんてのもひどいもので、勝手に、
「タイトルが『北国の帝王』なんだから、きっと雪山か何かの話で、リー・マーヴィンが、そこで有名な登山家か、雪山ガイドなんだろうな~」
くらいの決めつけ。
そんな『北国の帝王』でありましたが、後年、あのロバート・アルドリッチが監督しているのを知ると、俄然見方が変わってしまう。
そして観てみると、相変わらずの勘違いで、全然内容は違ってました。(笑)
時は1933年の世界恐慌の時代。
あちこちの町では、『ホーボー』なんて言われている人々で溢れかえっている。
『ホーボー』って何じゃろ?
『ホーボー』とは、基本的には金を持たない失業者たちのこと。
そして遠くに働きに行くにしても無賃乗車をして鉄道などに、無断で乗り込んだりする人々の事でもある。(横文字にすると、何だか格好いいような気もするが、やってる事はねぇ~)
今日も、そんな『ホーボー』たちが、減速してきた列車の隙をついて、後部車両に乗り込んできた。
でも、生憎、乗った列車が悪かった。
ホーボーたちの間でも怖れられている『19号車』。
鬼車掌『シャック』(アーネスト・ボーグナイン)が管理する列車だったのである。
「俺の列車で無賃乗車なんて許さん!」
シャックはトンカチ片手に、後部車両に移動すると、乗り込んで安堵しているホーボーを滅多打ちにした。
哀れ、年老いたホーボーは、線路に落ちて、列車の下敷きになる。
「ざまぁ、みろ!ハハハー!」
ホーボーなんてものを、虫けら同然に見ているシャックにとっては、一人死のうが、殺そうが関係ないのだ。
(恐ろしい …… )
列車が通りすぎるのを草むらの蔭から見ていた、他のホーボーたちは震え上がった。
そんな『19号車』がしばらく走っていると、山道の草むらで野営をしている男がいる。
年老いているが眼光鋭い、『エース・ナンバーワン』(リー・マーヴィン)。
エースが、どこから調達したのか、食糧の鶏を調理しようとしてると、浮浪者らしき男と少年が、それをまた草むらから、唾を飲み込みながら見ていた。(ゴックン!)
「狙え!」
男たちは、エースに襲いかかってきた。
だが、それを意図も簡単に毛散らかすエース。
エースは、そのまま走り去る『19号車』に乗り込んだ。
そして、浮浪者の若者『シガレット』(キース・キャラダイン)も後を追った。
二人が乗り込んだのは、干し草を積んだ車両。
その車両の上部入口に隙間を見つけたシャックは、厳重に閉めると関貫をかけた。
エースとシガレットは、完全に閉じ込められてしまう。
「ちくしょう!出しやがれ!」(自分で乗り込んだくせに)
若いシガレットは、閉じ込められた車両で、バタバタもがいているが、エースは余裕綽々。
鶏を片手に、葉巻に火をつけると、「プーッ!」と吹かしてみせた。
(な、なんで、こいつ落ち着いてやがるんだ ?…… )
そう、彼こそが、ホーボーたちの間でも尊敬されている『北国の帝王』と呼ばれる男だったのである。
この映画って、笑っていいのやら、それともマジメ~に観たらいいのやら ……
そもそも、この《エース・ナンバーワン》って名前も変だし。(なぜ?誰もツッコまないんだ?)
そうして、このエースの渾名(あだな)が《北国の帝王》???(只の無賃乗車の常習犯に(なぜ?)こんな英雄視するような渾名がついたのか? そもそも、このエースは北国出身なんだろうか??)
全く意味分かりません。
リー・マーヴィンの威厳と雰囲気だけで、形だけは真面目そうなアクション映画に仕上げようとしているのだが。(とても真面目に観れるものですか!)
大体、シャック役の『アーネスト・ボーグナイン』のクドイ顔が、映画の中で観ると、さらに超 クドく仕上がってて、観客を笑わせる気、満々なのだ。(笑)
ボーボー眉毛に、目ん玉が飛び出るくらいのデカい目。
これまた、デカい裂けたような大きな口には、すきっ歯が並んでいて、これはもう、一種の顔芸である。
これを、平静に笑わずに見られる人がいるのだろうか。(笑)
こんなシャックの『19号車』から、いとも簡単に乗ったり、脱出したりするエース。
シャックは、それに「キーッ!」と悔し顔。
「今度こそ、『北国の帝王』に負けてたまるか!」
ヒステリックに喚き散らして、周りに当たり散らして。
それでも無賃乗車犯と車掌の闘いは、果てなく続いてゆく ……
映画は、真面目さを装いながらも、現代の我々が観れば、最後まで「何じゃこれ?」の連続。
でも、この馬鹿馬鹿しさが、観ているうちに、段々と癖になってくる。(最高なのだ!)
それにしても男って奴は、くだらない事に命をかける、馬鹿な生き物でやんすねぇ~。
ロバート・アルドリッチ様、この映画って笑っていいんですよね?
星☆☆☆☆☆である。