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2025年7月30日水曜日

映画 「殺人者(1946)」

 1946年  アメリカ。





「スイード、お前を狙って殺し屋たちがやってくるぞ!すぐに逃げるんだ!!」


『スイード(親しい人にだけの通称)』(バート・ランカスター)と一緒に近くのガソリンスタンドで働いている同僚のニックは、たまたま殺し屋二人組に遭遇した。二人がスイードの命を狙っている事を知ったのだ。


そうして、命からがら逃げおおせて先回りすると、スイードの住むアパートへ知らせにやって来たのである。


だが、肝心のスイードは慌てず騒がず、まるで動じる風でもない。

むしろ《殺される事に大歓迎!》って感じなのだ。呆れたニックが、トボトボ帰っていくと、入れ違いに殺し屋たちがやってきた。



そうして ズドン!💥スイード目がけて8発の弾丸が発射される。

スイードは簡単に殺された。


翌日から保険調査員『リアダン』(エドモンド・オブライエン)がスイードの過去を調べはじめる。

たいした抵抗も命乞いもせず殺されたスイードは、数年前、一度きりしか会った事もないホテルの老メイドを受取人に、2500ドルの生命保険を掛けていたのだ。



(これは何だか裏がありそうだぞ …… )


オマケに通称は『スイード』だが、この街では『ピート・ラン』を名乗り、数年前ボクサーをやっていた頃は『ケリー・ジム』のリングネーム、そうして本名は『オリー・アンダーセン』なのだという。(あ〜、ややこしや)


それにスイードの幼なじみである『ルビンスキー警部』は、情婦『キティ』(エブァ・ガードナー)の犯罪(窃盗)を庇った罪で、スイードを一度逮捕していた。

逮捕歴のあるスイードは、かなり怪しい存在。


こうしてルビンスキーの計らいで田舎に埋葬されたスイードの遺体。


「他にも案件があるんだぞ!もういい加減にしろ!」なんて上司に言われながらも、リアダンは、スイードの事件にドンドンのめり込んでいく ……




以前、私が挙げた映画『らせん階段』や『幻の女』でお馴染みの名匠、ロバート・シオドマク監督の初期作品である。


この映画『殺人者』は初視聴だが、非常に難解な作品だった。

なにしろ一回観ただけでは話をつかみきれない。


それもこれも前述に書いたとおり、『スイード』(バート・ランカスター)の名前のせいである。


いったい、いくつ名前があるんじゃい?!ってな感じで、こうして文章を書くにしてと確認につぐ確認なのだ。(コレ、今の時代だからいいけど、一回で理解できた人いるの?)




それでも、この『殺人者』はバート・ランカスターのデビュー作。

主演のエドモンド・オブライエンの存在が霞むほど、ランカスターには見せ場が数多く用意されている。(開始早々殺されてしまうのに。いくつかの回想シーンが挟まれている)


花形ボクサーだった彼は右手を負傷して引退。

その次、出会ったのが美しい『キティ』(エヴァ・ガードナー)である。



でも、このキティの中身は邪悪そのもの。


キティの罪を庇って刑務所に入るなどしてスイードの運命はどんどん悪い方へ、悪い方へと流れてしまう。



そうして3年ぶりに出所できたと思ったら、暗黒街のボス『コルファクス』(アルバート・デッカー)の発案で《帽子会社の給料強奪計画》なんてのに誘われる始末。


しかも、あの愛しいキティは、スイードを裏切って、コルファクスの愛人に治まっていたのだ。




それでも愛しいキティの為に25万ドル強奪計画に、のってしまうスイード。(馬鹿だなぁ〜)



上手く強奪が成功しても、その後にある、悪女キティの裏切りに次ぐ裏切り。

スイードは、ほとほと疲れてしまいましたとさ(だから殺される時も無抵抗だったのかも)




保険調査員リアダンは、そんなスイードの敵討ちとばかりに、真相に迫ってゆく ……





まるで《峰不二子》ばりに、次から次に男を手玉に取り続ける『キティ』(エヴァ・ガードナー)。(そんなに良い女かねぇ?)


(でも、この女の悪運もどこまで続くのかねぇ〜 …… )と思っていたら、映画のラスト、ようやっと溜飲の下がるようなシーンで幕。



そう、そう。世の中、何でも自分の思うどおりに行きません。(甘い汁の後は苦い汁が待っておりまする)



それでも、この映画はバート・ランカスターエヴァ・ガードナー、無名の二人を一気にスターダムに押し上げた記念碑的作品。



今後、この二人の出演作を追うのなら観ておいても損はないでしょ!、って事で星☆☆☆。

でも早送りなんて止めて、ゆ〜くり確認しながら観る事をオススメしときますね。




2021年7月17日土曜日

映画 「カサンドラ・クロス」

1976年 イタリア・イギリス・西ドイツ・フランス・アメリカ合作。





やっと、この『カサンドラ・クロス』を観た。


と、いうのも、この映画、自分の中ではけっこう、それまで敷居が高かったといわれる映画なのだ。


なんせ、当時のスターといわれる方たちが、わんさと出演している。


リチャード・ハリス、

ソフィア・ローレン、

バート・ランカスター、

エヴァ・ガードナー、マーティン・シーン、O・J・シンプソンなどなど………他にもまだまだ続く。


この映画の事は知っていても、これを簡単に観て、ここに取りあげて「ハイ、終了!」にするのも勿体ないなぁ~、と思っていたのだ。



そこで、


「まずは、この映画に出ているスターたちの主演作や出演作を何本か観てから……」


と自分ルールを決めていたのだ。(無知な自分は、それぞれ名前は知っていても、ほとんど、この映画に出ているスターの映画を観てこなかったので)


特に、この映画において主要になる、リチャード・ハリスソフィア・ローレンバート・ランカスターの映画は何本か観てから、のぞむことに決めていた。(けっこう真面目でしょ?)


おまけに、この映画の監督はジョルジュ・P・コスマトス


シルベスター・スタローンの『ランボー 怒りの脱出』や『コブラ』を監督された、これまた凄い方なのだ。(いずれも傑作)


俄然、この映画にしても、期待値はグ~ンと上昇するというものだろう。




ある日、スイスはジュネーブの国際保健機構本部に、3人のテロリストたちが侵入した。


目的は爆破活動だったが、すんでのところで、ガードマンが犯人の一人を射殺。

もう一人は流れ弾に当たって負傷し倒れた。



だが、残りの一人が、実験室に逃げ込み、栽培中の液体を浴びたまま逃走する。


その液体は、アメリカ政府が極秘裏に開発中だった、極めて感染力の強い、徐々に死に至らしめるような病原菌だったのだ。



逃げた犯人は、ジュネーブ発ストックホルム行きの大陸横断列車へ、コッソリと乗り込んだ。(はた迷惑な)


大勢の乗客たちと謎の病原菌に感染した犯人を乗せて、列車は走り出す。


「これは大変な事になったぞ」

アメリカ陸軍の『マッケンジー大佐』(バート・ランカスター)は、保健機構本部で指揮をとりながら、医療のエキスパート『エレナ・シュトラドナー博士』(イングリット・チューリン)に助力を頼んだ。


負傷したテロリストは、病原菌に感染して、手当ての甲斐もなく、呆気なく絶命する。


「早く列車をとめてちょうだい! 犯人を隔離すればいいのよ!乗客たちの命が大事だわ!!」


心配してエレナが助言するも、マッケンジー大佐は首を縦に振ろうとしない。


「もし、犯人が列車内をうろついていて、すでに乗客たちに感染してたらどうする?列車は止められないんだ!」


「そんな……」


そんな事情を知らない列車は、勢いを増して、どこまでも続く線路を進んでいく。


様々な事情を持つ乗客たちを乗せて………




こんなハラハラ、ドキドキの冒頭でつかみはO.K!



ここから先は、個性豊かな乗客たち(スターたち)について、簡単にちょこちょこ書いてみようと思う。



リチャード・ハリス……飛行機嫌いで、偶然列車に乗り合わせた高名な医師『ジョナサン・チェンバレン』役。


実質、大勢いるスターたちの中で、この映画では、この人が主役だといっていいかも。


映画『ジャガー・ノート』でも活躍したように、この映画でも医者として乗客たちの手当てをしながら、八面六臂の大活躍をしていく。(スイスにいる『マッケンジー大佐』(バート・ランカスター)と無線で連絡をとったり、列車内でリーダー・シップをとっていくのも、この人である)


それにしても、やっぱり《おじいさん顔》のハリスは老けてるなぁ~。(額は、もうシワシワ)


年老いたバート・ランカスターに、老けてるリチャード・ハリスは貫禄負けしてないのだから、それはそれで凄い事なのかも。


ソフィア・ローレン……『ジョナサン』(リチャード・ハリス)の元奧さまで、女流作家『ジェニファー・リスポリ』役。


何度も、ジョナサンと結婚離婚を繰り返しても、やっぱり『ジョナサン』(リチャード・ハリス)のことが好きなのか……この大陸横断列車にまで追いかけてくる。


そんなジェニファーの事を、まんざら嫌でもなさそうなジョナサン。(じゃ、何で別れる?分からない夫婦だ)


このトラブルでも、ジョナサンを手助けして大活躍。最後はジョナサンの愛をも取り戻す。


ソフィア・ローレンの魅力も、この頃になって、やっと分かってきた感じである。(派手な造りの顔もなれてきた)


特に、このジェニファー役のソフィアは可愛げがあるし、リチャード・ハリスが無下にできない気持ちも分かる気がする。


老け顔のリチャード・ハリスと派手顔のソフィア・ローレン、中々お似合いの二人です。



エヴァ・ガードナー ……若いツバメの男『ナバロ』に夢中。そんな愛人と列車でランデブー中の『ドレスラー夫人』役。


若い頃のエヴァ・ガードナーはお綺麗で、遠い昔に、グレゴリーペック主演の『キリマンジャロの雪』でお見かけした記憶がある。


ソフィア・ローレンと並ぶと、あまりにも中年然としていて、ちと可哀想かな。(この髪型がマズイよ)



マーティン・シーン……女ったらしの『ナバロ』役。


それも、ただの女ったらしじゃなく、ドレスラー夫人との旅行を利用して、《麻薬の密売》なんかをしている。(やっぱり、ゲス野郎役だ)


『白い家の少女』にしても『ある戦慄』にしても、《ゲス野郎》といえば《マーティン・シーン》の安定したイメージ。



O・J・シンプソン……そんなナバロを逮捕しようとして、神父を名乗りながらも、実は麻薬捜査官の『ハリー』役。


O・J・シンプソンは、ピーター・フォンダの『ダイヤモンドの犬たち』でも観ている。


当時、けっこう重要な役を割りふられていたシンプソンも、後年あんな事件を起こさなければねぇ~(詳しくは『O・J・シンプソン事件』でお調べください)



この映画、他にもアリダ・ヴァリ(第三の男)やら、ジョン・フィリップ・ロー(バーバレラの盲目の天使役)やら、あんな顔、こんな顔と知っている顔がズラズラ~と出てくる。(チョイ役は可哀想な気もするが)



そして、



バート・ランカスター……『マッケンジー大佐』役。


映画『大空港』から数年経って、ランカスターも歳をとり、元々、強面(こわもて)だった顔は、さらに恐ろしい顔に変わっている。


政府の命令と乗客たちの命の間で苦悩する表情は、ずっと苦虫を潰した顔をしていて、ちょっと気の毒になるくらい。(でも、ハッキリ言って怖い)



そうして、とうとう、非情な決断に踏みきるマッケンジー大佐。



ジョナサンたちの努力の甲斐があって、感染症から次々に乗客たちが回復の兆しをみせてきても、

「このまま乗客たちを帰すわけにはいかない……」なんて思いながら、人知れず決意する。(政府のために口封じするつもりか? 珍しく悪役)



列車はやがて、ポーランドの断崖に架かっている橋《カサンドラ・クロス》に近づいていく……。


「あの橋は長年の老朽化で崩落寸前なんだぞ! あの橋のそばには、もはや誰も住んでいないはずだ!」


乗客の一人が言い出し、ジョナサンは、マッケンジー大佐にその事を伝えると、


「あの橋の安全は完璧だ!二年に一度、定期的に点検しているとポーランド政府も言っている!」の返事が返ってくる。(ウソ八百)


ジョナサンは、マッケンジー大佐の言葉を、即、疑った。

「何とかせねば……このままでは、列車ごと真っ逆さまに転落だ……」(ウソバレてるやん)



そうしている間にも刻々と近づいてくる、死の橋《カサンドラ・クロス》……


ジョナサンやジェニファー、他の乗客たちは、無事に助かることが出来るのだろうか…………




こんな風に、ラストにむけて加速するように、ハラハラ、ドキドキ感も最高潮に高まってくる。


そして期待を裏切らない見事なラスト。


完璧!チョー面白かった!!



『ランボー 怒りの脱出』や『コブラ』で、アクション映画の醍醐味を見せてくれたジョルジュ・P・コスマトス監督ですもの。

この映画でも、ビックリするような凄い絵面を我々に観せてくれる。



ちなみに、タイトルでもある《カサンドラ》とは、ギリシア神話に登場するイリオス(トロイア)の王女の名前。


《悲劇の未来》だけが見えるという、特殊な予言者として伝えられている。


その予言は、結局誰にも信用されなかったけど。(まぁ可哀想な人)



カサンドラ自体が《悲劇》の象徴的存在なのである。


それが《クロス》……重なるのだから、《カサンドラ・クロス》とは『悲劇の交差』なんていう意味と受けとめていいんだろうか。


そんな解釈をしてみると、映画の内容にもマッチしていて、よくよく考えられたタイトルだなぁ~、と、また感心してしまう。



それぞれの出演者たちを知らなくても充分楽しめるが、自分のように、ある程度出演者を知ってから観れば、尚、楽しめるかも。


たまには、こんなやり方で、映画を楽しむのも、また乙なモノであ~る。

星☆☆☆☆☆。


2021年2月22日月曜日

映画 「大空港」

1970年 アメリカ。




シカゴのリンカーン国際空港は、10年に一度の豪雪に見舞われていた。

そんな中、旅客機が雪に埋まって立ち往生する事故が起きた。



帰り支度をしていた空港長の『メル・ベイカースフェルド』(バート・ランカスター)は、急遽呼び戻される。


メルは妻に「こういう事情で今夜は帰れないかも……」と電話するも、毎度毎度の空港トラブルで帰宅しない夫に、電話の向こう側では憤慨のキィーキィー声。もうカンカンだ!!


そんなメルを地上勤務員の『タニヤ』(ジーン・セバーグ)は優しく気遣う。


空港の激務を理由に、メルの気持ちは、とっくにヒステリックな妻から離れていたのだ。



目の前の優しいターニャ、そう、こんな人が側にいてくれたなら……


いかん!いかん!今はこの状況をなんとかせねば!!


頭を切り替えて、メルはベテラン整備士の『パトローニ』(ジョージ・ケネディ)に電話した。


「すぐにこちらに来てくれ!大至急だ!」




そんなメルがバタバタと駆けずりまわる中、今夜ローマ行きの旅客機を操縦するパイロット『ヴァーノン』(ディーン・マーティン)がやって来た。


「だから、除雪の為に設備投資するべきなんだ!ちゃんとローマに飛べるんだろうな?!」


「たまに降る雪の為に馬鹿な投資ができるか! 我々は今の設備でやっていくしかないんだ! それに君のとこのパイロットが近道しようとしたせいなんだぞ!」


「フン!」


イヤな奴、ヴァーノン……こんな奴が妹の旦那なんて……オマケに女ぐせも悪いときてる……(メルの妹と結婚してるヴァーノン。いわば義弟なのだ)


ヴァーノンは、嫌悪するメルに目もくれず、空港の中へさっさと入っていった。



メルの察したとおり、ヴァーノンは同じ旅客機に搭乗するスチュワーデスの『グエン』(ジャクリーン・ビセット)と、もっかお熱い中だった。

だが、ヴァーノンは浮気相手のグエンから思いもよらない話を聞かされる。


「子供が出来たの……私……産むかもしれない」

搭乗する前に、こんな話で(ガーン(゚Д゚;))一気に青ざめるヴァーノン。



同じ頃、メルをオフィスで待っていたタニヤの元へ、係りの者が老婦人を引っ張ってきた。


「えっ?!こんな人が飛行機のタダ乗り?!」


にこやかに笑う『クォンセット婦人』(ヘレン・ヘイズ)はタニヤの前のソファーに品良く腰かけた。


「初めてのタダ乗りじゃないのね?」


「もちろんですよ。娘が結婚してニューヨークに住んでるのよ。往復で利用しているわ。オタクの飛行機が一番いいわね」


全然、反省もなく悪びれてもないクォンセット婦人は、無賃でタダ乗りするカラクリをペラペラと喋りだした。


呆気に取られるタニヤ。

そこへ、メルが帰ってくると、「あなたからも、この御婦人に説明してちょうだい!タダ乗りは《犯罪》だって言うことを!」とお願いする。


「あ~、ダメですよ、タダ乗りは! それにしても腹が減ったな~」と、メルは説教をそこそこに、目の前のサンドイッチを手に取りパクついた。


それを物欲しげにジーッ!と見つめるクォンセット婦人。

そんな目線に気づいたのか、メルは「どうですか?一口でも…」と薦める。


「まぁ、ありがとう。機内食にガーリックが入っていて食べれなくてねぇ~。年寄りにガーリックはダメですよ。」

婦人はメルにお礼を言いながら、にこやかにサンドイッチにかじりついた。


その光景を見ていたタニヤの呆れ顔。(ダメだ、コリャ!)

婦人は次の便で送り返される事になると、それまで厳重に見張りをたてて監視される事になった。



こんな、次から次へとスッタモンダが続くリンカーン国際空港。


空港のカウンター口では、次のローマ行きの受け付け手続きがはじまり、乗客たちが列をつくっている。


ベテラン税関職員の『ハリー』(ロイド・ノーラン)は、その中の乗客の一人に、明らかに不審そうな目を向けていた。


その人物は手続きを済ますと、アタッシュ・ケースを大事そうに抱えて、機内のゲートへと歩いていった。


「どうしたの?」近くを通りかかったタニヤが、そんなハリーに声をかける。


「今、入っていった男…何だか様子が変なんだ。あの定まらない目付き……」


「カウンターで調べてみましょうか」ベテランのハリーの勘を信用しているタニヤは、受け付けで男の身元を調べさせた。


「名前は《ゲレロ》。搭乗前に保険をかけています」


「そう……」タニヤも気にはなったが、それ以上は何も言えない状況で、他のお客の搭乗手続きの邪魔になると思い、その場をはなれていった。



そんな隙に、先程の、あのクォンセット婦人が、ひょっこりと現れたのだ。


見張りの監視人を巻いたクォンセット婦人は、ローマ行きの受け付けカウンターをすり抜けると、そのままゲートへ向けて、スタコラと歩いていく。



そうして、旅客機はローマに向けて、雪降る大空へと飛び立っていったのだった。


パイロットのヴァーノン、スチュワーデスのグエン、不審な男ゲレロ、タダ乗りのクォンセット婦人を乗せて……。



それから、しばらくして無人になったターミナルに、一人の中年の女性がフラフラと現れた。


タニヤは、その青ざめた女性のただならぬ様子に、すぐさま駆け寄った。


「どうかなさったんですか?」

女性は、先程不審そうな素振りを見せていた乗客ゲレロの妻、『ゲレロ夫人』だった。


「夫の様子が、どこかおかしくて……」


聞けば、ゲレロは元土木技術者で失業中。作業現場からはダイナマイトが紛失していたのだ。


(搭乗する前にかけていた保険金……まさか、あのアタッシュ・ケースには 爆弾 が…? 機内で爆発騒ぎを起こして、ゲレロは保険金をせしめるつもりなのか?!)


タニヤは、ゲレロ夫人を係りに引き渡すと、一目散にメルの元へ走っていった。


(大変なことになったわ……!!)



爆弾魔の情報は直ちに、空港のメルから、上空を飛んでいる旅客機のパイロット、ヴァーノンに連絡される。


パイロットや、スチュワーデスのグエンたちにも緊張感がはしる。


機内を見てみれば、窓際にゲレロがアタッシュ・ケースを膝に置いて鎮座している。


その真横のシートでは、あの!クォンセット婦人が何食わぬ顔をして編み物を始めているのだった………。




こんなに長い文章、はたして読んでくれる人がいるのか……相変わらず、長くなってごめんなさい (笑)。


個人個人の役の事情を語るのに、この映画では、こんな風に、全編137分の中、90分以上を、自分が書いてみたようなモノに費やしているのだ。(これでもメルの妻が空港に怒鳴りこんでくる場面や、ゲレロとゲレロ夫人の会話など、無駄だと思うシーンはだいぶ割愛している。それでも文章にすればこんな長さですもんね)


ゆえに、スピーディーな展開になれきった現代人たちには、少しだけイライラするかもしれない。


それでも、当時、この映画は爆発的な大ヒットを叩き出した。(なんたって興行収益は制作費の10倍以上の利益ですもん)



原題名『airport』。


そう、『エアポート 』シリーズの第1作目なのである。



とにかく、この後にもジャン!ジャン!作られていく『エアポート・シリーズ』。


『エアポート´75』、

『エアポート´77』、

『エアポート´80』……(ここまではユニバーサル映画)


で、これで終わりにはならず、アルバトロス映画に変わって、同じような航空パニック映画が作られていくと、日本では勝手に《エアポート》の冠がつけられて、全然無関係なエアポート・シリーズとなっていく。


コンスタントに、「これでもか!これでもか!」と、近年まで作られていくエアポート・シリーズ。(ここまでくるとさすがにへき易。もう、「オエーッ」って感じもするのだが)



そのくらい続くエアポート・シリーズなので、当然、この第1作目の『大空港』は傑作であるはずなのだと思い、今回、初めて観ることにしたのだ。


そうしたら、またもや主演は、あの『バート・ランカスター』。(この人の強運は70年代になっても、全く衰え知らず。それどころか、どんどん勢いを増していく)


1913年生まれのランカスターも、もはやこの時、57歳。


若い時のような《魅せる》アクロバットを売りにも出来ない年齢。


だが、この人は着実に、年齢を重ねながらも重厚な演技力を磨いてきたのだ。(『空中ぶらんこ』でも、その《悲哀》みたいなモノを見せてくれる)


全く、写真や画像だけを見れば本当に厳めしい顔のランカスターなのだけど、映画の中で、動いて喋るランカスターを観てしまえば、その印象は180度、ガラリと変わってしまうから不思議だ。



だが、この『大空港』は、幾多の大スターたちが、軒並み出演する集団群像劇。

いくらバート・ランカスターとはいえ、平均的に描かれる群像劇ではいつもの映画とは勝手が違う。



なんせ、他の俳優女優たちがスゴい面子ばかり。


☆ディーン・マーティン……『底抜けシリーズ』で有名。後、歌手としても超有名な方。(何でこんなに日焼けしてるんだろ?ゴルフ焼け?)


☆ジーン・セバーグ……『悲しみよこんにちは』のセシルが、すっかり大人の女性に。(この髪形がスゴいけど)


☆ジョージ・ケネディ……言わずと知れた名バイブレイヤー。


☆ジャクリーン・ビセット……『ブリット』、『料理長殿、ご用心』、『オリエント急行殺人事件』などの美人女優さん。



その他にも何人かの有名なスターたちが出演している。(ごめんなさい、後は勉強不足で知らないけど)


ただ、その幾多のスターたちの中で、今回、抜きん出て活躍したのは……ひとりのお婆ちゃん女優だったのだ。



ヘレン・ヘイズ……サイレント映画の時代から(古い~)活躍している女優さんで、その時代をさすがの私も、ほぼ知らないが、この人には見覚えがあった。


昔、日曜洋画劇場で放送されていた、アガサ・クリスティー原作の『カリブ海殺人事件』(DVDでは『カリブ海の秘密』に改名)で、名探偵ミス・マープルを演じていた人なのだ。


ドラマはだいぶ改変させられていたが、品の良い、穏やかで親しみやすそうなマープル役でございました。


最初から、お婆ちゃんのヘレン・ヘイズしか知らない私なのだけど、なんだか、この醸し出す雰囲気に終始、好印象を抱いていたと思う。



この映画でも、他の人たちが深刻な顔をしている中で、ヘレン・ヘイズだけが素っ頓狂な笑いを振り撒く。


それゆえに、とても《目立つ》のだ。


そして、結果は他のスターたちを押し退けて、アカデミー賞助演女優賞を受賞してしまう。(御年70歳で)


パニック映画としてのハラハラ、ドキドキ感を、この映画に、あまり求めてはいけないかも。(危険な場面もあるにはあるのだけど…今の目で見ると、あんまり大した事ない)


ヘレン・ヘイズ婆ちゃまのホンワカした雰囲気を楽しむことをオススメしておく。

星☆☆☆。


2021年2月18日木曜日

映画 「空中ぶらんこ」

1956年 アメリカ。





ごく最近、このblogでバート・ランカスターの大活劇『真紅の盗賊』を挙げてから、しばらく経った後、こんな画像を偶然に見つけた。


そう、これはバート・ランカスターと相棒のニック・クラヴァットが、サーカスにいた時に、鉄棒で大車輪をしている様子を写したものらしいが……


それにしても、スゴイ画像!


この画像を見るだけでも、二人の並外れた身体能力が伺いしれるというものである。



そうして、話は変わるが、だいぶ前に、このblogで、映画『マーティ(1955)』を取りあげた事があった。


アーネスト・ボーグナイン演じるモテない男マーティが、奮起して彼女をゲットするまでのお話。


テレビドラマの『マーティ』を映画化する際、制作に関わったのは他でもない、このバート・ランカスターだったのだ。


「こんな醜男の恋愛話なんてヒットするはずもない…」と誰もが期待していなかった。



だが、そんなモノは裏切られて、結果は各国で絶賛されて大ヒット!!


アカデミー賞では主演男優賞、作品賞、監督賞、脚色賞の4部門を制覇し、カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールまでも受賞する偉業を成し遂げたのだった。




先見の明があるのか、それとも、元々アタマが良い人なのだろうか……


とにかく、運動神経が良いだけのバート・ランカスターじゃなかったのは確かである。(こんな風に後年、知れば知るほどバート・ランカスターにドハマリしていく私。若い時に『泳ぐ人』で見切るなんて、本当にバカバカ!)



そして、『マーティ 』がヒットすれば、制作に関わったランカスターにも、それなりにガッポガッポと入ってくる。(やな言い方だけど)


「この収益を元手に、自分の経験を生かしたサーカスの映画を作ろう!」


そうして、出来た映画が、この『空中ぶらんこ』なのである。




空中ぶらんこ乗りの花形スター『マイク』(バート・ランカスター)は、演技中、落下して、思わぬ事故にあってしまう。


それきり、杖をつきながら、何とか歩けるものの不自由な生活。


かつての栄光はどこへやら。

今じゃ、サーカスの道具係にまで落ちぶれてしまったマイクなのである。



そんなマイクの元へ昔の相棒の息子である『ティノ』(トニー・カーティス)が弟子入り志願にやってきた。


「俺に、あんたの十八番の《3回転》を教えてくれ! 《空中ぶらんこ》を習うなら、あんたに教われ!と言われて来たんだ!!」


目の前の若い青年は希望に燃えている。まだ、空中ぶらんこの危険や人生の苦渋さえも知らない、この青年……


マイクの返事は、「NO!断る!」だった。


だが、何度断っても食らいついて諦めないティノに、マイクもとうとう根負けして、二人はペアを組んで空中ぶらんこに挑戦する事になる。



(でも、俺にもう一度出来るだろうか…)


不安な足の問題を抱えて、それでも再起にむけて練習をはじめたマイク。



そんなマイクとティノの練習風景を横目で見ながら、アクロバットの美女『ローラ』(ジーナ・ロロブリジーダ)の目がキラリと光る。


(あの二人の《空中ぶらんこ》に、私も混ぜてもらえれば有名になれる! これは絶好のチャンスだわ!!……)


サーカスの団長に取り入ると、ローラは無骨な男マイクを、たらしこもうと、これまた色仕掛けで接近してきた。


だが、軽~く、マイクにあしらわれて失敗するローラ。(「もぅ、なんて男なのよ!プンプン!」ってな感じ)



ならば、と相棒の若い青年ティノに近づくローラ。(これは簡単だった。たちまちティノはローラにメロメロ。夢中になる)



団長とティノを上手くたらしこんだローラは、翌日から《空中ぶらんこ》の練習を、勝手にはじめていた。


その光景を見て激怒するマイクだったが、団長にねじ伏せられて、渋々、3人トリオの空中ぶらんこを受け入れる事になる。


男二人に美女が一人……


さぁ、ドロドロの三角関係の男女が、《空中ぶらんこ》を上手く成功させる事が出来るのか?…………



巨大な広場に、巨大なテント……昔は、子供の頃、自分の町にもサーカスがしょっちゅうやって来ては、楽しませてくれた。


平成に入ってからは、とんと、その存在すらも見かけなくなったが。(どっかの抗議団体のせい?)



サーカスの映画というと、チャールトン・ヘストンの『地上最大のショウ』が有名だが、私、この映画の事は全く知らなかった。


調べてみると、監督は、あの『第三の男』で有名なキャロル・リードじゃございませんか!(本当になぜ?長らくビデオにもDVDにもならなかったんだろう? 権利関係?)


監督がキャロル・リードと知ってみると、この映画の主題《男女の三角関係》も納得かも。(『第三の男』も男二人に女一人の三角関係ですもんね)



トニー・カーティスも若くてカッコイイです。(やっぱり、この時代のカーティスは別格)


ジーナ・ロロブリジーダは、この特長ある名前で聞いた事はあっても、映画で観るのは初めてだったかも。


キリッ!とした弓なり眉毛で、ハッキリした顔立ちの彼女。


スタイルも、ボン!キュッ!ボン!で妖艶な雰囲気をムンムン醸し出しております。


それに女性ながらも、立派な二の腕の筋肉。

やっぱり、この映画の為に、トレーニングして身体を仕上げたのか。


トニー・カーティスも均整のとれた身体を維持している。(後年、これがブクブク太って、だらしなくなるとは、誰が予想できたろうか)



もちろん、この二人はサーカスのプロじゃない。


危険なシーンでは代役を立てただろうし、合成シーンもあるだろうが、それでも二人供、身体をちゃんと作り込んでいて、そこは、「ホ~ゥ!」と素直に感心してしまった。



そして、バート・ランカスター。


もう、《空中ぶらんこ》なんて、ランカスターが、水を得た魚のような題材である。


冒頭の大車輪の画像を見てくれれば、その凄さは、お分かりになると思う。


この《空中ぶらんこ》では、ランカスターだけが、ほぼスタントなし。


自ら挑んでいるのは、どのシーンを観ても分かるし、素晴らしい身体能力。


あいかわらず、凡庸な自分は、『真紅の盗賊』と同じように、「スゲーッ!!」、「ヒェーッ!!」の声しか出てこないのである。



当時も、こんな映画が評価されないわけがない。


またもや、ベルリン映画祭で銀熊賞(男優賞)を受賞してしまうバート・ランカスター。


もう、この人の、華麗な経歴を調べれば調べるほど、改めて「本当に凄い俳優だったんだなぁ~」と感心しきりなのである。



映画は、星☆☆☆☆。


稀な俳優、ランカスターの妙技を堪能するには、もってこいの1本だと自信を持ってオススメしておきます。



2020年12月25日金曜日

映画 「真紅の盗賊」

1952年 アメリカ。





石のように広くて固そうな額。

両目は極端に離れていて、暗い影ができるほどの碧眼。


その間からスーッと伸びている大きくて長い鼻。

口は、これまた横に広がるほど、かなり大きい。


こんな独特な顔を持つ《バート・ランカスター》。


子供の頃に初めて写真で見た、こんなランカスターの顔は、ハッキリいって超怖かった。


顔のインパクトが凄すぎて、写真だけでも、こちら側に迫ってくるような妙な圧迫感を感じた覚えがある。


(こんな顔の人が向こうでは人気あるのか…)


イケメンとも思えず、ただ怖い顔のランカスターには、なんだか近よりがたい気がして、たまに映画雑誌に載っていても、なるべくスルーする事にした。(なんせ子供なもので)



バート・ランカスターの映画を初めて観たのは二十歳の頃だったか……。


レンタルビデオ全盛の時代に、なにかの間違いで、ランカスターの『泳ぐ人』を借りてしまったのだ。


予備知識もなく観た『泳ぐ人』は、ハッキリいって「???」とクエスチョン・マークが並ぶくらい訳がわからなかった。


なんせ、海パン一丁のランカスターが、あちこちにあるプールというプールを泳ぎ渡るという、珍妙な映画である。


「これ、面白いか?…」ってな感じで「バート・ランカスターはもういいや……」とあっさり退散したのだった。(なんせ、二十歳なもので。訳のわからないモノは、即スルーする)



そして、時が流れて数十年……


50代になって、久しぶりに観たランカスターの映画が《真紅の盗賊》なのである。




18世紀初頭、スペインでは現総督と、そのやり方に抵抗する共和派の反乱軍との闘いで、まさに一触即発状態だった。


そして、反乱軍のリーダー《エル・リブレ》には多額の賞金が政府によってかけられている。



そんな折、《真紅の盗賊》こと『バロー』(バート・ランカスター)は、仲間の海賊たちと協力して、航海中のスペイン船を襲った。


だが、襲った船には銃や弾薬ばかりで金目当てのモノすらない。


他の海賊たちからはブーイングの嵐。(ブーブー)


なんとか部下たちを鎮めようと、船長バローは考えた。


「そうだ!反乱軍たちに銃や弾薬を売りつければいい!ついでにエル・リブレを捕まえて引き渡せば賞金がもらえるはずだ!!ウッシッシ……」(そうそう上手くいくのかねぇ~)


海賊船とスペイン船を交換して、リブレがいるという《コブラ島》を目指した海賊一行。


コブラ島では反乱軍たちに警戒して、港では、衛兵たちが厳戒体制で待ち構えている。


「オマエらはここで待機していてくれ!俺はオホーを連れて二人でリブレを見つけてくるから。」


沖合いにスペイン船を停めると、口のきけない手下『オホー』(ニック・クラヴァット)だけをつれて小舟に乗り込むバロー。


二人を乗せた船は、静かに静かに、見つからないように、コブラ島へと進んでいくのであった……。




こんな冒頭で始まる『真紅の盗賊』。


一応、簡単に書いてみたけど……ここまでが、すごく単調。


途中でやめようかな~とも思ったくらいで「やっぱりランカスターの映画とはソリが合わないかも……」なんて考えもチラホラ。


それでも、辛抱して観続けていると、バローとオホーがコブラ島についてから、映画は様相をガラリと変える。


まるで急にエンジンがかかったように、俄然面白くなりはじめるのだ。




バローとオホーは島に上陸すると、はて?考えた。


どうやって共和党の反乱軍に近づけばいい?(なんだ、何も考えてないのかよ)


ええーい!出たとこ勝負よ!!


衛兵たちのいる前でいきなりバローは叫んだのだ!!

「俺たちは共和党だぁー!!」と。


その言葉を聞いた衛兵たちは、途端に顔色を変えて、「なぁにぃ~!!」とばかりに二人を捕らえようと、全速力で追いかけてきた。


バローもオホーも、(こっちの作戦どおり)と余裕綽々。


とうとう衛兵たちによって防波堤まで追いつめられた二人。


どうするか?と思っていたら、


なんと!!真下の砂浜(ゆうに高さは3m以上はあるだろうか)に、ポーン!とバック転。

そのまま着地すると、平気で走り去る二人。(もちろん、スタントマンではなく本人たち。時代ゆえCGなどない)


今度は街中に逃げてきた二人は衛兵の集団たちと、グルグル周りながら追いかけっこ。


スコップを見つけば衛兵たちに砂をかけて、階段まで上がってきた衛兵たちには、「えい!やぁー!」とばかりに槍を向けて、衛兵の集団をなぎ倒す。


街の店先の屋根のテントは、まるで二人には遊びのトランポリン。


ピョンピョン跳ね回り、追ってきた衛兵がいれば、剣でビリビリと屋根を切り裂いて、哀れ、衛兵たちは地面へと真っ逆さま。



もう、ビルとビルに掛けられた洗濯物を干しているロープなんて、二人には格好の遊び道具だ。

あっちのビルへ、こっちのビルへと、ロープウェイの如く、自由自在に移動する。



そして、今度は、ビルに突き出た鉄棒(多分、旗をかけるモノじゃないか)に、飛び上がる『バロー』(バート・ランカスター)。


それにぶらさがり、華麗に回転すると、手を離して、さらに真上にある鉄棒を「ガシッ!」と、つかんだ。


そのまま、またもや、勢いをつけて、ぐるりと回転。

そして、その鉄棒の上に、ピタッ!と立ったのだ。(やってることは、もはや体操の段違い平行棒と一緒である。)


『オホー』(ニック・クラヴァット)もバローの後を追うように、それに悠々と付いてくる。



そんな二人の所へ屋上から、スルスルと下りてきたロープ。


二人がロープを楽々昇っていくと、騒ぎを聞きつけた反乱軍たちが、二人を助けにやってきたのだった。


反乱軍たちのアジトまでたどり着くと、匿(かくま)われた二人。


やっと衛兵たちをやり過ごした二人は、反乱軍に合流する事が出来たのだった………。



ここまで書いてみて、観ていない人にも上手く伝わっただろうか?



本当に何者なのだ?!《バート・ランカスター》、君は!!(笑)



とても既存の俳優たちが持っているような身体能力なんかじゃない!


そんなモノなんかを遥かに凌駕している運動神経である。(オリンピックに出れば確実にメダルが取れるはず)


このオホー役のニック・クラヴァットにしても、並の運動神経じゃないのは確かだ。(もう、どっちも「化け物か!」ってくらい凄すぎる)



多少調べてみると、バート・ランカスターは元サーカスの花形だったみたいで、アクロバットなんてのはお手のものなのだ。


ニック・クラヴァットはその時の相棒なのである。(なるほど、それでこの運動神経……それにしても、もう見事としか言いようがない)




映画は、この後も、もちろん続いていき、リブレの娘コンスエロに恋してしまったバローの葛藤や、手下の裏切りなど……次から次へとストーリーは進んでいく。



それでも、活劇重視のこの映画は、決して深刻なムードにはならない。


「皆でこの映画を成功させるんだー!」みたいな、その時代の大きな熱気みたいなモノに満ち溢れているのだ。


これだけの人数を集めて、次から次へと繰り出す大迫力な活劇に、ただ圧倒されて、いつしか冒頭に感じた単調さなんかも、すっかり忘れてしまった。


もう、それくらい夢中になっていく自分に驚いてしまう。(それにしても、当時としてどれだけ巨額な制作費がかかっているんだろう?   知ると恐ろしい気もするが……)



なんせ帆船は破壊されるわ、城壁は大砲や爆薬で木っ端微塵にするわ。


そのうえ熱気球は出てくるわ、潜水艇は出てくるわ、の、まるでヤリタイ放題なんですもん。




監督は『らせん階段』や『幻の女』などフィルム・ノワールで成らしたロバート・シオドマク。(こんな監督が、なぜ海賊映画を?と思って、観た理由がそれだったのだが……)



映画も中盤をすぎれば、バート・ランカスターとニック・クラヴァットに、もはや目は釘付け。(バート・ランカスターも格好よく見えてくるし、頼もしい相棒ニック・クラヴァットのひょうきんさも大好きになってしまった)



ラスト、船上での対決シーンは、一歩間違えれば本当に命をおとすかも…と思わせるほど、これまた凄い迫力だぞ~。



本当に人は見かけによらない。


私の中では、一気に株が急上昇したランカスターである。



こんなモノを観てしまった日には、あの『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジョニー・デップなんて、ただのコスプレ好きの木偶(でく)の坊にしか見えてこない。


バート・ランカスターに酔いしれて……星☆☆☆☆ってところにしときましょうかね。


長々、お粗末さまでした。