1946年 アメリカ。
「スイード、お前を狙って殺し屋たちがやってくるぞ!すぐに逃げるんだ!!」
『スイード(親しい人にだけの通称)』(バート・ランカスター)と一緒に近くのガソリンスタンドで働いている同僚のニックは、たまたま殺し屋二人組に遭遇した。二人がスイードの命を狙っている事を知ったのだ。
そうして、命からがら逃げおおせて先回りすると、スイードの住むアパートへ知らせにやって来たのである。
だが、肝心のスイードは慌てず騒がず、まるで動じる風でもない。
むしろ《殺される事に大歓迎!》って感じなのだ。呆れたニックが、トボトボ帰っていくと、入れ違いに殺し屋たちがやってきた。
そうして ズドン!💥スイード目がけて8発の弾丸が発射される。
スイードは簡単に殺された。
翌日から保険調査員『リアダン』(エドモンド・オブライエン)がスイードの過去を調べはじめる。
たいした抵抗も命乞いもせず殺されたスイードは、数年前、一度きりしか会った事もないホテルの老メイドを受取人に、2500ドルの生命保険を掛けていたのだ。
(これは何だか裏がありそうだぞ …… )
オマケに通称は『スイード』だが、この街では『ピート・ラン』を名乗り、数年前ボクサーをやっていた頃は『ケリー・ジム』のリングネーム、そうして本名は『オリー・アンダーセン』なのだという。(あ〜、ややこしや)
それにスイードの幼なじみである『ルビンスキー警部』は、情婦『キティ』(エブァ・ガードナー)の犯罪(窃盗)を庇った罪で、スイードを一度逮捕していた。
逮捕歴のあるスイードは、かなり怪しい存在。
こうしてルビンスキーの計らいで田舎に埋葬されたスイードの遺体。
「他にも案件があるんだぞ!もういい加減にしろ!」なんて上司に言われながらも、リアダンは、スイードの事件にドンドンのめり込んでいく ……
以前、私が挙げた映画『らせん階段』や『幻の女』でお馴染みの名匠、ロバート・シオドマク監督の初期作品である。
この映画『殺人者』は初視聴だが、非常に難解な作品だった。
なにしろ一回観ただけでは話をつかみきれない。
それもこれも前述に書いたとおり、『スイード』(バート・ランカスター)の名前のせいである。
「いったい、いくつ名前があるんじゃい?!」ってな感じで、こうして文章を書くにしてと確認につぐ確認なのだ。(コレ、今の時代だからいいけど、一回で理解できた人いるの?)
それでも、この『殺人者』はバート・ランカスターのデビュー作。
主演のエドモンド・オブライエンの存在が霞むほど、ランカスターには見せ場が数多く用意されている。(開始早々殺されてしまうのに。いくつかの回想シーンが挟まれている)
花形ボクサーだった彼は右手を負傷して引退。
その次、出会ったのが美しい『キティ』(エヴァ・ガードナー)である。
でも、このキティの中身は邪悪そのもの。
キティの罪を庇って刑務所に入るなどしてスイードの運命はどんどん悪い方へ、悪い方へと流れてしまう。
そうして3年ぶりに出所できたと思ったら、暗黒街のボス『コルファクス』(アルバート・デッカー)の発案で《帽子会社の給料強奪計画》なんてのに誘われる始末。
しかも、あの愛しいキティは、スイードを裏切って、コルファクスの愛人に治まっていたのだ。