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2025年7月19日土曜日

ドラマ 「ちょっとマイウェイ」

 1979年10月〜1980年3月(全25話)。





代官山にあるレストラン《ひまわり亭》は、今や存続の危機。

従業員は近くのレストラン《スター》に次々と引き抜かれて、残ったのはヤル気のないウェイトレス『野村和子』(左時枝)だけ。


とうとう、浅井家の次女で実家兼レストランに住んでいる『大石伸江』(結城美栄子)(既婚)は、この場所に見切りをつけて、「売ってしまおう!」と言い出した。


そこへ、

「あたしは反対ですよ!」

二度の結婚に失敗して出戻りの長女『浅井朋子』(八千草薫)が声を荒げる。(ノンビリ屋でほとんど無能な長女のくせに)


昔から水と油の姉妹は喧嘩ばかり。


こうなりゃ「三女・『なつみ』(桃井かおり)の意見を聴きましょうよ!」と近くに住んでいるなつみのアパートに乗り込んだ。


最初は、「あのレストランを売る?いいんじゃないの〜」と軽く言っていた『なつみ』だが、実際、実家に戻ってみると妙な想い出が次から次へと押し寄せてきて ……


しまいには

「アタシがこの《ひまわり亭》を立て直してみせるわよ!」と奮起しはじめていた。(朋子は大喜び、伸江は反対。でも後に渋々了承する)


こうして、従業員を募集すると、早速、腕は立つ料理人・『堀田康吉』(緒形拳)が現れた。(気性が荒いシングル・ファーザー。ゆえに小学生の息子を連れては、あちこちの店を転々としている)


伸江の夫『大石定夫』(犬塚弘)の弟で近くのアパートに住んでいる『大石常夫』(赤塚真人)もコック見習いとしてやってくる。(ちとギャンブル狂い)


『米沢誠』(秋野太作)と『牧野真弓』(岸本加世子)は、ちょっとお間抜けなカップルで、これまた住み込みでコック見習い、ウェイトレスとして雇われた。


大石家の三男・『満』(神田正輝)は信用金庫に勤めていて、経営難である《ひまわり亭》の経営アドバイザーとして加勢する事になる。


そこへ、『なつみ』の親友である『川村かつ子』(研ナオコ)も乗り込んでくるのだから、もう大変。


毎回毎回スッタモンダがある度に、『なつみ』が半笑いで、今日も声をはりあげる。


んもぉぉ〜、やんなっちゃうぅ〜」(または、「んもぉ〜、やだぁぁ〜



だいたいが、こんな設定で、この中の所要キャラに毎回、問題が起こる度に、みんなして気をもんだり、主人公の『なつみ』(桃井かおり)が奔走する話である。


このドラマ、放映当時も何度か観たはずだが内容は完全に忘れていた。

記憶に残っているのがオープニングのPAL(パル)が歌う《夜明けのマイウェイ》って曲と、少女漫画家・倉多江美のイラストだけというお粗末なモノ。


今回、改めて観る機会があったのだが、感想は(オヨヨ …… 案外、面白いんじゃねーの!)だった。(それだけ自分も大人になったってことか … )




放映当時は小学生だった事もあるが、桃井かおり研ナオコは、ともかく、正直言うと他の出演者たちが、私、あまり好きじゃなかったのだ。


緒形拳は、得体のしれない怖さばかりが先行して、子供心に嫌いだった。(映画『鬼畜』を観よ!トラウマもの😱


八千草薫百恵ちゃん主演のドラマ『赤い疑惑』を降板してからは当時、大嫌いになっていた。(その理由も今なら納得するが、当時は熱狂的な百恵フアン)


結城美栄子も、どのドラマに出ていてもヒステリックに怒っている役ばかり。(まぁ、このドラマでもそうだが)


赤塚真人にしても秋野太作にしても、子供が憧れるような二枚目でもなければ、振り切った笑いをとるような三枚目でもない。万人ウケじゃないんだよなぁ〜、と思っていた。(大人になってやっと良さが分かる)


私がこのドラマを「面白い!」とか「あ〜、なんとなく分かる」なんて思うまでには40年以上かかって当然なのかも。


このドラマの主題歌『夜明けのマイウェイ』の歌詞の中でこんなフレーズがある。


 ♪ 悲しみをいくつか乗り越えてきました〜

 ♪ ふり返るあなたの後ろに、ほら虹がゆれてるでしょう


《↑PALの四人組》



長い人生良いことばかりじゃない。

悲しい別れや苦しさを経験しないと分からない事もあるのだ。そうして、ちょっとした人の気遣いや優しさに救われる事もある。



このドラマの出演者たちは皆んな仲が良かったそうな。(だろうな、今回観直してみて、それは実感した)


主演の桃井かおりは、あまりにも仲が良すぎて、このドラマが終わった後、しばらく出演者たちと連絡をとるのを断ったそうである。


「そうでもしないと次の作品に進むことが出来ない!」と案外、真面目な桃井かおりは思っていたそう。(本当に俳優のお仕事も大変よ)


こうして、時間が経つと、大昔の評価とガラリと変わってみえる作品もある。

高額なDVDーBOXも出ているらしいので、懐に余裕がある人は求めてみるのも良いかも。(今の自分にはその余裕が無いが)


あ〜、常夫(赤塚真人)のように、ここは大勝負に出てみようかなぁ〜(これはあんまり、皆さんにオススメできませんけどね(笑))


お粗末さま。



2018年10月11日木曜日

映画 「疑惑」

1982年 日本。








白河酒造の当主『白河福太郎』と、その妻『球磨子(くまこ)』(桃井かおり)の乗っていた車が、深夜、猛スピードで海に飛び込んでいった。



からくも球磨子は助かったのだが ……… 夫である福太郎の方は車中に残されて、海から引き揚げた車の中で溺死。

呆気なく死んでいた。



だが、福太郎には3億円の保険金がかけられていて、受取人はもちろん妻の球磨子。


しかも球磨子には前科があって、警察にしてもマスコミにしても、真っ先に球磨子に疑いの目を向けてくる。




記者会見でも、球磨子のスタンド・プレーは止まらない。



目の前の記者(柄本明)には、

「あんたみたいなのを《ペンこ●き》っていうのよ!」

もう、言いたい放題である。(※この言葉、《こじ●》、今じゃ立派な差別用語である。)





葬儀の夜、皆が悲しむ中、そんな球磨子が、ノコノコやって来る。



年老いた福太郎の母(北林谷栄さん)が泣き叫ぶ。


「球磨子さん!!最後だから福太郎の顔をよく見てやってください!」



球磨子は棺の中の夫を覗きこむと、たまらずに、

「オエーーー!」(あんまりやろ(笑))




そんな球磨子の有り様を《毒婦》と書き立ててマスコミは、またもや大騒ぎ。




やがて、とうとう裁判にかけられてしまう球磨子。



だが、弁護士にも逃げられて、やっと引き受けてくれた国選弁護士として『佐原律子』(岩下志麻)が留置場にやってくる。




そんな状況でも、余裕をぶっかまして薄ら笑いを浮かべる『球磨子』(桃井さん)。



「嫌いだなぁ~、あんたの顔ぉ~。あたしさぁ〜弁護士要らないのぉ。一人で闘うわぁ~」




そんな球磨子に全く動じることなく、さらに下げすんだ、氷のような目を向けてくる『佐原律子』(志麻姐さん)。



「死刑になりたければ、そうすれば? あーた、アタシが嫌いなら断れば?!」

※岩下志麻姐さんは、《あなた》を《あーた》と呼ぶのが特徴。





かくして、球磨子と律子は憎み合うのか、それとも共闘する気持ちになったのか …… もはや分からないまま  …… 

波乱含みの裁判は始まるのである。






この時期、野村芳太郎監督は、次々と松本清張の映画化を成功させていた。


その中で自分が一番好きなのが、この『疑惑』である。




とにかく、この映画は、桃井かおり岩下志麻が最高!


この映画の、どこか投げやりで下品な感じの桃井かおりは、今でもやってる清水ミチコのモノマネの原点じゃないのかな?

是非、比べて観てほしい(笑)。




岩下志麻も、触れると斬られるようなカミソリみたいなド迫力があった。(今は2人とも丸くなったが)





それに、この法廷に次々と証人として呼ばれる俳優人たちが、これまた豪華絢爛だ。



小沢栄太郎(鑑定人)、

森田健作(目撃者)、

鹿賀丈史(球磨子の情夫)、

三木のり平(桃屋ですよ(笑))




なかでも特に山田五十鈴(バーのマダム)は、圧巻である!





ネチネチ弁護する『律子』(岩下志麻)に、証言台にたったマダム(山田五十鈴)が、キッ!と睨みつけると、畳み掛けるように一気にまくし立てる。



「女が男をたらしこむのは当たり前だろ!


男だってそれを承知で遊びにくるんだよ。

あたしゃねぇ、30年、この商売やってるんだよ! 

男と女の事なら、あんたよりもよっぽど泥水飲んでんだよ! 


騙すも騙されるも《紙一重》! 


そんな事も知らないで、よく弁護士なんてやってられるねぇ〜 


うちに帰って、よく亭主に聞いてごらん!  そんな調子じゃ逃げられちまうよ!!」




この長台詞を気っぷのいい江戸弁で、スラスラと言ってのけるのだ。



とっくに夫に離婚されていた『佐原律子』(岩下志麻)には、まるで胸をえぐるような御言葉(グサッ!ズキ!ドキッ!)。


これには、ひと言も言い返せず、もうタジタジ(-_-;)である。





事件は、法廷で様々な証人を呼びながら、淡々と進んでいくのだが、中々これといった決め手が見つからない。



だが、志麻姐さんの偶然の運転トラブルが、事件を紐解く鍵となるのである。





今観れば、オモシロ可笑しい場面の連続。(マトモじゃないよ、この裁判劇)



でも、よっぽど日本人に愛されているのか、その後、何度も実写化されております。




でも、桃井さん、岩下姐さんの黄金コンビをおびやかすようなキャスティングは、まだまだ、現れず仕舞いなのである。



星☆☆☆☆☆。