2018年9月29日土曜日

映画 「シーラ号の謎」

1973年 アメリカ。






ある晩、パーティーの帰りに、轢き逃げ事故で亡くなった『シーラ』。





結局、犯人は見つからずに、1年がすぎた頃、あの時、パーティーに参加していたメンバーたちに、それぞれ1通の招待状が届いた。


シーラの夫だった『クリントン』(ジェームス・コバーン)からである。


『豪華ヨット《シーラ号》で、船旅を楽しまないか?』

という誘い文句だった。



ヨットに、わざわざ死んだ『シーラ』の名前をつけるなんて………



だが、映画プロデューサーであり、大富豪のクリントンの誘いは、それぞれのメンバーたちにとって渡りに船。

「もしかして大きな見返りがあるかも…」と、俄然期待してしまうのだ。



売れない脚本家の『トム』と妻の『リー』は、クリントンの陰険な性格には辟易しながらも、

「もしかしたら仕事にありつけるかも?」

と期待して、しぶしぶ参加する。



そして、他のメンバーたちも、また同じような考えで、引き寄せられるように集まってきた。


女経営者の『クリスティン』(ダイアン・キャノン)、

映画監督の『フィリップ』(ジェームズ・メイソン)、

女優の『アリス』(ラクウェル・ウェルチ)、

その夫でマネージャーの『アンソニー』も、皆が右へならえだ。



ヨットの前で写真を撮らされる6人たち。


乗船すると、各自、一人一人に、なにか秘密が書かれたカードが配られた。


「そのカードには、それぞれ違う《秘密》が書かれてある。誰にも見せてはいけないぞ!たとえ夫婦でもだ!」


いったい、何がはじまるんだ?

ざわつくメンバーなど、お構いなしにクリントンの説明は続く。


「この船は、順番にある場所へ停泊していく。そこには、それぞれのカードのヒントが隠されているのだ。《誰が何の秘密をもっているのか?》、それを先に暴くゲームをしようじゃないか!」


クリントンの提案に、皆が心の中では、


(何で、そんな事、しなきゃならないんだ?!)


と心の中では思っていても、口を開いた言葉は、

「面白そうね」

「やろう!やろう!」だった。(忖度)



かくしてゲームが開始!




だが、この瞬間に、この中の内の一人だけは、穏やかでない決意をする。


『このゲームを利用して、《アイツ》の命を狙ってやろう!』と………


はたして、《誰》が《誰》の命を狙っているのか………





この映画、共同脚本家に有名な『サイコ』のアンソニー・パーキンスが参加している。


そして、けっこう有名な俳優たちも出演している。


ジェームス・コバーン(『荒野の七人』などのアクション・スター)

ジェームズ・メイソン(言わずと知れた名優)

ラクウェル・ウェルチ(『恐竜100万年』などのセクシーを売りにしてる女優)

ダイアン・キャノン(ケーリー・グラントの元奥さんで、叫び声が超うるさい女優)


こんな面々が顔を揃えている。(他の俳優たちは知らないが、きっと本国じゃ有名なんだろう)




オールスターを集めた映画のはしりなのかもしれないが、この1年後に作られた、『オリエント急行殺人事件』のキャストに比べたら、少しばかり地味な印象かな。



でも、この映画は脚本が抜群に良い。

小道具や謎のトリックなどは、いずれもミステリーマニアを充分にうならせるものばかりで、ミステリー好きの間では、カルト的な人気を誇っているのである。




特に、島の廃墟と化した暗い修道院での謎解きゲームのシーンはスリル満点。


皆が黒い僧衣を着せられて、誰が誰やら判別できない。



だが、そんな中で、異様な黒衣姿の人物が一人。



僧衣をめくり上げると、長い髪のカツラをかぶっていて化粧までバッチリ。


まるで似合わない女装をしているジェームス・コバーンがいるのである。(ゲゲッ!元々、歯がでかいので、口紅なんて塗ると、まるで『笑うセールスマン』にしか見えないコバーンである)



そして、こんな不細工なコバーンは、女装姿のまま、あっけなく殺されしまう。


あぁ~哀れ!コバーン……犯人が狙っていた人物は、やっぱり君だったのかー!(白々しい (笑) )




さあ、誰がどうやって殺したのか?



残ったメンバーたちは、集まって(あ~でもない、こ~でもない)とディスカッションをしはじめる。




そうして、やがて明かされる真実。


その後に、またもや、もう1つある《どんでん返し》の結末。



オリジナルの脚本で、これだけミステリーの醍醐味を堪能させてくれる映画も、そうそうないと思う。


ミステリー・マニアを自負する方なら、1度はご覧あれ!

星☆☆☆☆。


※でも、女装姿のジェームス・コバーンには、あまりドン引きしないでね。くれぐれもご注意を(笑)