2021年5月19日水曜日

映画 「サイレント・パートナー」

1978年 カナダ。




気がつけばエリオット・グールドの出演作を追い求めて、たま~に観てみる私。


不思議な人だ。


長~い顔に、さらに長~いアゴを持つエリオット・グールド


濃い髭そり跡に、モジャモジャの黒々した髪の毛で、こんな見た目のグールドは、お世辞にもハンサムとはいえない顔立ちだ。(失礼だけど)



それじゃ演技の方はどうかというと、これも、ごくごく普通な感じがする。


こんな《普通の人》であるエリオット・グールドの主演する映画が「大ヒットした!」なんて話を聞いたこともないのだけど、不思議と主演作や出演作は途切れない。


で、今日に至るのだ。



派手なハリウッドの世界で、エリオット・グールドは《すき間産業》を地でいくような、お人なのである。(こんな《普通さ》が、かえって逆に目立つのかもね)



そんな《普通の人》エリオット・グールドは、この映画では、これまた、ごくごく普通の銀行員役🏦。(一応、主任だけど)



真面目が服を着ているような『マイルズ・カレン』(エリオット・グールド)なんだけど、取りあえずは同じ銀行で働く意中の女性『ジュリー』(スザンナ・ヨーク)がいたりもする。


でも、相手には見向きもされないけど。(目下、ジュリーは銀行の支店長と不倫中)



家に帰れば、趣味で集めた水槽の熱帯魚をボ~ッと眺めるだけの味気ない日々。(熱帯魚集めが趣味とは……とことん地味である)



マイルズの勤める銀行は、いくつものテナントがならぶ、巨大なショッピング・モールの中にある。



もうすぐクリスマス🎄が近づいていて、プレゼントを買い求める客たちで、店内は埋め尽くされている。


そんな状況なので、モールの中にある銀行も大繁盛。


金を預ける人や引き出す人の群れで、連日ごった返しているのだ。(まだ、ATMなんてのが無い時代ですから)



そんな折、マイルズは銀行の閉店間際、捨てられた小切手用紙に、指でなぞられた奇妙な文字を見つけてしまう。


銃を持ってるぞ!金を全部出せ!!🔫


(何だ?こりゃ?!誰かのイタズラか?!…)


特徴のある羽上がった《G》のアルファベットの文字は……はて?この文字をどこかで見た覚えがあるぞ………


そうだ!思い出した!!


エレベーターの側にいつも立っているサンタクロース🎅の扮装をした男が持っていたプラカードだ!!


あの《G》の文字にそっくりなのだ。


(それじゃ、あのサンタクロースの格好をした男が、目の前にある、うちの銀行を襲うつもりなんだろうか?………)



見た目は普通に見えても、機転がきくマイルズは、その日から、そのサンタクロース🎅にジッと目を光らせはじめた。


そうして、とうとう、ある日、あのサンタクロースの男が、用紙を片手に銀行の窓口にやって来たのだ。


それもマイルズいる窓口に!



そっと差し出した用紙には、案の定『銃を持ってるぞ!金を全部出せ!』の文字が書かれている。


サンタの男は、右手をポケットにつっこんでいて(銃を握りしめているぞ!🔫)とマイルズに合図してきた。


マイルズは店内にいる他の客たちに気づかれないように、札束を取り出すとサンタは、それを慌ててポケットにしまいこむ。


「下にある金もよこせ」


小声でサンタがマイルズに耳打ちすると、マイルズは受け付け下のドル札の一枚を、そっと抜き取った。


それと同時に、赤い警報ランプ🚨が点滅する。


警備員が気がついて、「強盗だー!!」と叫びだした。


驚いたサンタは、目くら滅法に発砲すると、人混みをかぎ分けて、一目散に走り去っていった。



その夜、サンタクロース強盗のニュースは、瞬く間に世間に広がり、大々的に放送された。


「恐ろしかったでしょう?大丈夫でしたか?」


「えぇ、まぁ……」


襲われたマイルズの顔がテレビ画面に映し出され、《サンタ強盗が盗んでいった4万ドルの行方は、今、いずこへ?》なんてアナウンスが流れている。



大勢の人々が、そんなマイルズ・カレンに同情的になるのであった。


ただ、一人をのぞいては……


「冗談じゃない!俺が掴まされたのは、はした金だ! あの野郎が俺に罪をきせて、上乗せした大金をネコババしやがったんだ!!


もう、怒りまくりのサンタ強盗=『ハリー・レイクル』(クリストファー・プラマー)。


そう、強盗ハリーの推理どおり、マイルズは銀行強盗の騒ぎを利用して、4万ドルの金をチャッカリと自分の懐に着服したのだった。


それを自分の働いている銀行の貸金庫に隠すと、今度は金庫の鍵を、自宅の冷蔵庫のジャムの瓶の中へと、ポトン!(まぁ、気が利いてるし、用心深いことよ)


(俺にこんな大胆な事が出来るなんて……)


すっかり変な自信?がついたマイルズは、心なしか他の事でも積極的になり、ジュリーにも大胆にアプローチしはじめてくる。


「あなた、なんだか雰囲気が変わったわ」


そんなマイルズに、とうのジュリーの方も満更イヤではなさそうな様子である。(不倫中なのに簡単になびいてくる、この女もいかがなものか?)


だが、こんな状況に、あの強盗犯ハリーが黙っているはずもなく……




この映画、とんだ拾いモノだったが、まぁまぁ面白かった。

面白かったんだけど、当時ヒットしたのかな?これ?(今まで知らなかったけど)


最初に書いたように、エリオット・グールドはハンサムな顔立ちでもないし、普通なんだけど、この映画のエリオット・グールドは、なぜか?超モテモテである。


最初はなびかなかった『ジュリー』(スザンナ・ヨーク)にも急に好かれるようになるし、


金の在りかを聞き出す為に、強盗犯ハリーが送り込んだ情婦でスパイの女性『エレイン』(セリーヌ・ロメス)さえも、ミイラ取りがミイラになってしまって、マイルズの魅力にメロメロ状態になってしまう💖。


そんなエレインなんか、「気をつけて!」なんて言いながら逆にマイルズの方へ寝返っちゃう始末。


おまけに、金は頂いてしまうは、機転が利いていて頭は良いわ………


ちょっと、あんまり「エリオット・グールドを持ち上げすぎなんじゃないの?」ってツッコミを入れたくなるほどである。




片や、この映画では準主役のクリストファープラマーはというと…



この人の顔こそハンサムと言っていいほど、整った顔をしてるんじゃないのかな。

金髪で彫りの深い顔立ちで。



つい最近、ダニエル・クレイグ主演の『ナイブズ・アウト』で富豪の小説家役をしていたプラマーも、その後亡くなってしまったけど(合掌)、若い時のプラマーは、中々のイケメンさんで、マイケル・ケインにも似た感じがする。(なんたって『サウンド・オブ・ミュージック』ではトラップ大佐役ですもんね)


この映画『サイレント・パートナー』で、それまでのイメージを払拭したかった、という事だけれど……結果、これが良いイメージ・チェンジになったのか、どうか…。



なんせ、この『ハリー・レイクル』という役が、まるでダメダメ最低人間なんですもん。



イライラして、鬱憤が溜まると平気で女に暴力をふるったり、足で女性の顔を踏んづけたり👣もする最低男。(ゲゲッ!)


おまけに、情婦のエレインなんかは、むごたらしく殺してしまうし。(まるでダリオ・アルジェントの映画みたい)



強盗犯で、DV男、それに殺人犯……。


これで知能犯として、少しでも頭さえ良ければいいのだが、この『ハリー』は、根っからの《トンマ》《お馬鹿さん》ときてる。



実際、この強盗の計画も、最初からマイルズに気づかれるようなドジをふんでいるし、そもそも計画自体がお粗末。


単独で変装して、「銃を持ってるぞ!金を出せ!」ってやり方も、素人目にみても「アホか」って話なのだ。


こんなハリーは、まるで学習能力がないのか…最後は女装して、もう1度同じ手口で銀行強盗に入るのだが、今度は警備員に撃たれて、あっけなく死亡。


醜い最期をさらして死んでいくのである。



悪役が、卑劣でも残忍でもいいけど、

お馬鹿さんだけは、いくらなんでもいただけないかも (笑) 。



でもクリストファー・プラマー本人は、この最低ダメ人間を演じてみて、その後の俳優人生に、ひとすじの光明でも見つける事ができたのだろうか。


今となっては知るよしもないが……。



この映画を観ると、俳優たちにとって、生まれた時代ってのは大事なんだ、とつくづく思ってしまう。


エリオット・グールド、クリストファー・プラマー、もし、この二人が、あと20年くらい早く産まれていたとしたら……



ハンサムでもないエリオット・グールドは、間違いなく主役にはなれないだろうし、


クリストファー・プラマーのイケメンぶりは、スターシステムが健在だったハリウッドの力で、グレゴリー・ペックやゲーリー・クーパーみたいな扱いになっていたかもしれない。(もちろん、こんなゲテモノみたいな役をするはずもない)



その時代の人々の趣向や価値観などが、俳優たちの配役や人生をも、大きく左右する。


そんな風な事を考えてしまった『サイレント・パートナー』なのでございました。


長々とお粗末さま!


星☆☆☆。

※この長~い顔も、見慣れてくると味わい深くなってくるから、ホント不思議だ。