2019年11月5日火曜日

映画 「リトル・ダンサー」

2000年 イギリス。







1984年のイギリス北部の炭鉱町に住む『ビリー・エリオット』(ジェイミー・ベル)は11歳の男の子。


父と歳の離れた兄、認知症の祖母と4人で生活している。

母親はビリーが幼い頃に亡くなってしまった。




父と兄は町の炭鉱夫として働いているが、もっか労働組合のスト中で揉めている。




そんな中で、父親(ゲイリー・ルイス)はなけなしの50ペンスで、ビリーにボクシングを習わせている。


「男は男らしく、強くならなければいけない!」が、父親のモットーなのだ。



だが、ある日、ボクシングジムの隣でバレエ教室が始まると ……


楽しそうに踊るバレエが気になってしょうがないビリー。



そんなビリーに、バレエ講師の『ウィルキンソン夫人』(ジュリー・ウォルターズ)が声をかけてくれた。


「ちょっと、バレエを踊ってみない?」



(ええ?ぼくが?でも、なんか楽しそうだし、やってみようかな ……… )


リズムに合わせて体を動かしていくと、何もかもが一瞬で吹き飛ぶほど、心が弾む。



チョー楽しいーー!!




それからも、どんどんバレエの魅力にのめり込んでいくビリー少年。



だが、ある日、とうとう父親にバレてしまった。


「男が、バレエなんかするんじゃない!!」


頑固オヤジは、激怒して、もちろん反対する。



(男が女みたいに踊るなんて ……… )

頭の固いオヤジには、全く想像もできない世界なのだ。←(田舎じゃ、こんな偏見もしょうがないか)




それでも、ウィルキンソン夫人は、ビリーの才能を見抜いて、なんとか続けさせようとする。





ビリーのバレエへの情熱はドンドン高まっていく。



ウィルキンソン夫人は、

「是非、ロイヤルバレエ団の試験を受けさせたい!」と、父親を説得しはじめた。


「あの子には才能があるんだから!」



はじめは、全く聞く耳をもたなかった頑固親父も、ビリーが懸命に踊る姿に何かを感じはじめたようだ。




ある日、父親は決心した。

「ビリーの試験の学費をつくるんだ!」



ストを断念して、炭鉱の行列に並んだ父親。

それを、ストのリーダーで、ビリーの兄が見つける。


「止めてくれ、オヤジ!みっともないだろ!!」と、連れ戻そうとするのだが、


「許してくれ!金がいるんだ!ビリーの夢を叶えてやりたい!あの子には大事な未来があるんだ!!」



自分の信念を捻じ曲げてまでも、泣きながら兄に懇願する父親。(このあたり、観ている方はウルウル。涙腺崩壊である😭)





こんな父親の姿を見た事ない …… 


兄もビックリ仰天して、弟ビリーの為に協力を約束してくれた。


なんとか、試験の費用を工面する事が出来た親子。(ホッ!)





そうして、運命を決める試験日。



何人もの面接官の前で、ビリーは懸命に踊りぬく。


「踊ってる時はどんな気持ちがするの?」


踊り終わって、(ハァ、ハァ ……)息の荒いビリーに、一人の試験官が訊ねる。



「分からないけど、なんだか、カラダの中に電気みたいのが走るんだ!」(この答え、いかにも天才の答えだ)



はてさて、ビリーは、見事試験に受かるのか?







だいぶ前に観た時は、夢を叶えようとするビリーを応援する気持ちで観ていた。


でも、こうして何年かして観ると、ビリーの親父の気持ちと同化している自分に、びっくりする。


「年老いた自分は、もう夢を追えない」

夢をみても、世の中には乗り越えなければならない高いハードルある事を、イヤというほど知ってしまったからなのだ。


もはや、そのハードルに立ち向かっていくパワーすらもない。



だからこそ、その夢を《若い力》に託したいのだ。

父親の気持ちが痛いほど分かります。




そして、いつしか、

「ガンバレー!」と、応援する気持ちで見ておりました。




ビリーは試験に 合格 する。(やはりね。分かってても嬉しいものだ)




それから時は過ぎて ……… 



25歳になって、ロイヤルバレエ団の華形になっているビリー青年。



客席には、年老いた父と兄、それに友達が、ビリーの登場を「今か、今か!」と待ちわびている。



舞台袖から、大喝采を浴びて、大きくジャンプしながら飛び出していくビリー。



それは、ビリーの夢も、父の夢も無事に叶った瞬間なのだった。


星☆☆☆☆。

この映画、素直に感動いたしますよ。

オススメ!