1992年 アメリカ。
ネバダ州リノにある、ナイトクラブ『ムーンライト・ラウンジ』。
今日もステージに立ち、歌う『デロリス』(ウーピー・ゴールドバーグ)だが、客の受けはさっぱりだ。(もう少し美人ならねぇ~(笑))
ガックリして控え室にもどると、愛人で、マフィアのボス、『ヴィンス』(ハーヴェイ・カイテル)からプレゼントのコートが届いていた。
「やったー!見て!見て!紫のコートよ!」
喜ぶデロリスだが、途端にブスッとした表情。
「あいつ、奥さんのお古を私に持ってきたんだ!どういうつもりなの?!」
いくら2号さんでもデロリスにもプライドがある。
完全にぶちギレた。
(こんな物、つっかえしてやる!)
頭にきたデロリスは、ヴィンスのもとに向かった。
「ちょっと!あんた!どういうつもり………」
そこで、デロリスが、まさにドアを開けた瞬間だった…………ヴィンスの部下が、裏切り者を射殺する場面が目に飛び込んできたのは。
しばし唖然のデロリス。
「何だ?どうしたんだ?デロリス」
床下に転がった死体にも平然としているヴィンス。
それを目にしてパニックになりながらも、デロリスは、なんとか取り繕って、やっとのおもいで言葉を発した。
「な、何でもないのよ。ただ……このコートのお礼を言いたくてね」
「何だ、そんな事か」
「えぇ、ありがとう」
デロリスは静かにドアを閉めた。
そして、一目散に走り出した。
(早く逃げなきゃ!ヒィーッ!!殺される!!)
そんなデロリスの様子に、ヴィンスもすぐに部下を向かわせた。
「見られたからには、しょうがない。殺せ!」と。
逃げろや、逃げろ。
追われながらも、命からがら逃げおおせた彼女は、やっとここさ警察に保護された。
それでも裁判の日まで重要参考人として、身を隠すことになった。
絶対に見つからない場所はないか……。そうだ!「修道院」がある!
「こんな格好嫌よー!、まるでペンギンじゃないの!」
修道服に身を包んだデロリス。
それをジロリと見ながら、修道院長(マギー・スミス)が一喝する。
「ここで暮らす限りは、ここの規律に従ってもらいます。いいですね?」
これまで自由三昧に生きてきたデロリス、はてさて、修道院の厳しい暮らしに耐えられるのか………。
ウーピー・ゴールドバーグの大ヒット作。
あの、ウーピーに、修道服を着せて(これだけでも異質だ)そして、歌わせるのだから、当時はすごいインパクトだった。
デロリスのキャラクターも面白い。
殺人の目撃者なんだけど全然怯えていないし、身を隠した修道院でも、規律なんてなんのその。
いつもはみ出すくらいの個性がウズウズして我慢できない。
そうして、ついつい、本来のお世話ずきが、高じて、大改革をおこしてしまう。
閉塞な讃美歌を、アレンジして、抑揚をつけさせたり、手拍子させたり、果ては、周りのシスターたちに、歌って踊らせたりと。
「歌うことは、自分たちが楽しむことなんだよ!」
と映画でデロリスは、声で、身振りで、全身で我々に語ってくれている。
太っちょで陽気なシスターのパトリックや、
気の弱いシスター見習いメアリー・ロバート、
それに年長シスターラザラスも、デロリスに影響されて、歌うことはもとより、日々の修道院の生活を楽しむようになっていく。
そして、最後に一番堅物で厳格だった修道院長さえも、氷解させてしまうのだ。
たまに思い出して観ると、「あ~面白かった」と鬱がふっとぶような晴れやかな気分になる。
何度観ても、皆が、元気を貰える奇跡のような映画じゃないだろうか。
星☆☆☆☆☆
※でも、ひとつ疑問。
何でウーピーは眉毛を描かないんでしょうかねぇ~?(笑)
※でも、ひとつ疑問。
何でウーピーは眉毛を描かないんでしょうかねぇ~?(笑)