2019年11月12日火曜日

映画 「天使にラブソングを」

1992年 アメリカ。


ネバダ州リノにある、ナイトクラブ『ムーンライト・ラウンジ』。


今日もステージに立ち、歌う『デロリス』(ウーピー・ゴールドバーグ)だが、客の受けはさっぱりだ。(もう少し美人ならねぇ~(笑))



ガックリして控え室にもどると、愛人で、マフィアのボス、『ヴィンス』(ハーヴェイ・カイテル)からプレゼントのコートが届いていた。


「やったー!見て!見て!紫のコートよ!」

喜ぶデロリスだが、途端にブスッとした表情。
ヴィンスの奥さんの名前が刺繍されているのを見つけたのだった。(ガーン!)



「あいつ、奥さんのお古を私に持ってきたんだ!どういうつもりなの?!」


いくら2号さんでもデロリスにもプライドがある。

完全にぶちギレた。

(こんな物、つっかえしてやる!)

頭にきたデロリスは、ヴィンスのもとに向かった。


「ちょっと!あんた!どういうつもり………」

そこで、デロリスが、まさにドアを開けた瞬間だった…………ヴィンスの部下が、裏切り者を射殺する場面が目に飛び込んできたのは。


しばし唖然のデロリス。


「何だ?どうしたんだ?デロリス」

床下に転がった死体にも平然としているヴィンス。


それを目にしてパニックになりながらも、デロリスは、なんとか取り繕って、やっとのおもいで言葉を発した。


「な、何でもないのよ。ただ……このコートのお礼を言いたくてね」

「何だ、そんな事か」

「えぇ、ありがとう」

デロリスは静かにドアを閉めた。


そして、一目散に走り出した。

(早く逃げなきゃ!ヒィーッ!!殺される!!)


そんなデロリスの様子に、ヴィンスもすぐに部下を向かわせた。

「見られたからには、しょうがない。殺せ!」と。


逃げろや、逃げろ。


追われながらも、命からがら逃げおおせた彼女は、やっとここさ警察に保護された。


それでも裁判の日まで重要参考人として、身を隠すことになった。


絶対に見つからない場所はないか……。そうだ!「修道院」がある!


「こんな格好嫌よー!、まるでペンギンじゃないの!」


修道服に身を包んだデロリス。


それをジロリと見ながら、修道院長(マギー・スミス)が一喝する。

「ここで暮らす限りは、ここの規律に従ってもらいます。いいですね?」

これまで自由三昧に生きてきたデロリス、はてさて、修道院の厳しい暮らしに耐えられるのか………。

ウーピー・ゴールドバーグの大ヒット作。



あの、ウーピーに、修道服を着せて(これだけでも異質だ)そして、歌わせるのだから、当時はすごいインパクトだった。


デロリスのキャラクターも面白い。


殺人の目撃者なんだけど全然怯えていないし、身を隠した修道院でも、規律なんてなんのその。

いつもはみ出すくらいの個性がウズウズして我慢できない。



そうして、ついつい、本来のお世話ずきが、高じて、大改革をおこしてしまう。


閉塞な讃美歌を、アレンジして、抑揚をつけさせたり、手拍子させたり、果ては、周りのシスターたちに、歌って踊らせたりと。


「歌うことは、自分たちが楽しむことなんだよ!」

と映画でデロリスは、声で、身振りで、全身で我々に語ってくれている。



太っちょで陽気なシスターのパトリックや、

気の弱いシスター見習いメアリー・ロバート、

それに年長シスターラザラスも、デロリスに影響されて、歌うことはもとより、日々の修道院の生活を楽しむようになっていく。


そして、最後に一番堅物で厳格だった修道院長さえも、氷解させてしまうのだ。

たまに思い出して観ると、「あ~面白かった」と鬱がふっとぶような晴れやかな気分になる。


何度観ても、皆が、元気を貰える奇跡のような映画じゃないだろうか。

星☆☆☆☆☆

※でも、ひとつ疑問。

何でウーピーは眉毛を描かないんでしょうかねぇ~?(笑)