1991年 アメリカ。
『トイ・ソルジャー』を観たのだけれど……。
テロリストに占拠された全寮制の男子高校で繰り広げられる青春アクション映画。
その中に主要な悪タレ生徒5人組がいて、知恵と勇気で、テロリスト相手に闘うのだが………如何せん、生徒の区別がつきにくくて、誰が誰やら最後までさっぱり。
取りあえずは、主人公の『ビリー』(ショーン・アスティン)と黒人の少年だけは、区別がついて分かるのだが、後は誰だっけ?ってな感じで、1回観ただけじゃ分からない。
もう少し、一人一人に性格描写があれば、この映画は傑作になったであろうに……惜しい。
『スタンド・バイ・ミー』のウィル・ウィートンも出ていたらしいが、見終わって調べてみたら、「あぁ、この子がウィル・ウィートンだったのか……」と分かったくらいで、これまた印象薄い。
後の二人の少年なんて、どっちがどっちだっけ?ってな感じで何度観てもこんがらがるくらいである。
とにかく、この主人公のビリーを演じているショーン・アスティン自体も、印象が弱すぎる。
もともと、押せ押せの性格でもなく、姿形も、何だか大人しい印象のショーン・アスティンは、あまり主人公の柄ではないのだ。(決して悪い俳優さんではないのですよ。『ロード・オブ・ザ・リング』ではイライジャー・ウッド助ける従者サムを演じているのだから)
お母さんは、あの『奇跡の人』でヘレン役を演じ、最年少の16歳で、アカデミー賞助演女優賞を授賞した『パティー・デューク』。
お母さんの、あの強い個性に比べたら、ショーンはいつもどこか遠慮がちな、でも人柄だけは良さそうな感じである。
このビリー役も、悪ガキのリーダーなのだが、全然悪ガキそうには見えないし、何だか精一杯無理している感じ。
教頭先生役のルイス・ゴセット・jr.にも、完全に迫力負けしている。
二人が並んだ時には、どうしてもルイス・ゴセット・jr.の方に目がいってしまうし、
テロリスト役の『アンドリュー・ディヴォフ』と並んだ時も、やはりディヴォフの方を先に見てしまう。
やはり、主人公になるには、皆を最後まで引っ張るような牽引力や、何か特別な個性が必要なのだ。
これを、当時のスター、『リバー・フェニックス』あたりが演じていたなら、この映画は後世にも語り継がれる傑作になっただろうに。(たとえ脇役の印象が薄くても)
お話は面白いのに、キャスト選びで損している。
それに、何だか《主人公になるための条件》みたいなものを、つくづく考えさせられた、そんな映画でした。
星☆☆。