2019年2月14日木曜日

映画 「コピー・キャット」

1995年 アメリカ。






カリフォルニア州サンフランシスコ。



大学の講堂では、『犯罪心理学』の講義が行われていた。


壇上の中央に立って、さっきから自信満々に喋っているのは赤いスーツの女性だ。

犯罪心理学のエキスパート、『ヘレン・ハドソン博士』(シガニー・ウィーバー)である。



「さあ、男の人たち皆立って!」

ヘレンは、壇上のマイクで客席の男たちを強引に起立させた。



「その中で20歳以下と35歳以上は座ってちょうだい!」

そうして、再びヘレンの声かけに、まばらに座る男たち。




「次にアジア系とアフリカ系は座って!」

さらに座る男たち、立っている者も段々と少なくなってきたようだ。


そうして、残った男たちを見渡しながら、ヘレンは、トンデモない発言を言い切った。



「今、立っている、20〜35歳の貴方たちのような白人男性が、およそ9割の連続殺人事件の《犯人》といえるタイプなのです!」(こんなにキッパリ言い切っていいのか?)



ヘレンは、それに該当するような犯人の名前を、次々と読みあげる。



すると、その時、客席の中に《あの男》を見つけたのだ!




客席の中央で、うす笑いをしながら首を切り裂くジェスチャーをしてみせる、あの《男》の姿を。



「ダリル……」ヘレンの顔からは、たちまち自信の笑顔は消えうせた。



だが、もう一度見渡すと、その顔はいなくなっている。


(きっと … 何かの見間違えよ … )




連続殺人鬼『ダリル・リー・カラム』(ハリー・コニック・Jr.)……この異常な犯罪者を、ヘレンは心理分析の為に面談したのだ。


異常すぎるこの男の心理を、少しでも理解し、探究したいが為の行為だったのだが、それがダリルの衝動に火をつける結果になってしまった。


結果、ダリルはヘレンに関心をもち、執拗になった。そして、隙をみて脱獄したのである。


そして、その日から、ヘレンはダリルに襲われる危険性ありとして、常にボディーガードの護衛に守られていたのだった。




講義が終わるとヘレンは急にトイレに行きたくなった。(そりゃ、自然現象には逆らえませんから)


「ちょっと誰もいないか見てきます」

護衛が中に入って見渡すと、洋式トイレの閉まったドアの下の隙間に、黒いハイヒールが見えた。


「大丈夫です、女性が一人いるだけです。」

安堵してトイレに入るヘレン。護衛はトイレの外の廊下で待機中だ。



ヘレンはトイレット・ペーパーを長く引き出して破ると、中便座の上に折り曲げて、ご丁寧に敷きはじめた。(潔癖症なので)




隣のトイレでは、黒いハイヒールを脱いでいる足下が見えている。


パンティーを下ろして座ろうとしたその時、隣の壁の上から、鉄のワイヤーの輪をもったダリルの顔が、ヌーッ覗いて現れた。


「ダリル!!」


それはあっという間だった!!



ダリルはワイヤーの輪をヘレンの首にかけると、天井の水道管に通して、思いっきり引き上げた。


首を吊り上げられながら、ヘレンは、なんとか首を絞められているワイヤーを両手で、必死につかんでいる。




足下は爪先だけが、ギリギリ便座に届いているような状態だ。


ワイヤーを固定したダリルは、トイレから出てくると、イカれた表情で笑いながら吊られたヘレンを見ていた。

恐怖と吊られる息苦しさで声さえあげれないヘレン… 。



だが、そんなヘレンの声にならない声が届いたのか …… 廊下にいた護衛が中の異様な様子に、銃を構えて入ってきたのだ。


「動くな!!」

ぐるりと見渡せど、トイレには吊られたヘレンしかいない。



だが、いつの間にかダリルは音もたてずに護衛の後ろに回り込んでいた。


ナイフをもった手は、素早く護衛の喉元を切り裂いた。



そして、護衛の銃を奪うとトドメとばかりに発砲した。

倒れこんだトイレの白いタイルに、どんどん広がっていく赤い鮮血 …… 。


目の前で笑いころげるダリルを見ながら、ヘレンの意識は、だんだんと遠くなってきた。


(もう …… ダメだ ……… )


遠のく意識。

そして、暗闇がヘレンを包んでいった
…… 







―  そして、暗闇の中でヘレンはバタッ!と目覚めた。


激しい呼吸とひや汗をかきながら、自宅のベットの上で。




あの悪夢のような出来事から、既に13ヶ月たったのだった。


すんでのところで、ヘレンは助け出され、銃声を聞いた他の護衛たちにダリルは取り押さえられた。


ダリルは再び刑務所に戻されて死刑囚となったのだが、今も、まだ生きている。




だが、あの事件でうけたヘレンの後遺症は深く、パニック障害と屋外恐怖症を患っていた。


今でも、時折、夢にみる悪夢は過呼吸をおこし、薬が手放せない状態。


家からは一歩も出られずに、外界との接触はネットとテレビや新聞のみ。


大柄の助手アンディの支えで、身の回りの世話をしてもらいながら、やっと生活していたのだった。




だが、接触をたった外界では、再び異様な連続殺人事件がメディアを賑わしている。



絞殺した後、首にストッキングを蝶結びにする死体。



今日もサンフランシスコ市警の『M・J・モナハン警部』(ホリー・ハンター)が部下を引き連れて現場に向かう。


警察も手がかりすらない事件に、苦戦している様子だ。


自宅にひきこもりながらも、メディアを通して事件に関心をもったヘレンは、心理分析学者としての欲求をおさえられなくなり、ついに電話をとるのだが ………





スミマセン、観ることが困難な映画は、ついつい自分の脳内の記憶で再生しながら、書いているので長くなります。



この映画も初期にDVDが出て、それっきりパッタリ姿を見なくなったもので。



再発もなければ、レンタル店にもないし、だんだん幻の映画と化している今日この頃。



80年代猟奇ホラーがはやり、90年代のこの頃は、なぜか猟奇犯罪者のもたらす事件のサイコサスペンス映画が、次から次に作られていた。


ブラッド・ピットの『セブン』、ジョディ・フォスターの『羊たちの沈黙』などなど。


日本でも『沙粧妙子 最後の事件』なんてのもあったっけ。



異常犯罪者の意識に寄り添い想像し、分析するなんてことが、果たして健常な人間に可能なのか、どうか。

現代では、もう、あまり語られなくなってきた。




「誰も結局分からないのだ!」と悟った現代では、『あくまで犯罪者は断罪せよ!』なのだ。(当たり前だけど)




冒頭で、ヘレンがツラツラあげる犯罪者のタイプには、全然賛同できない。

近年では、年齢は関係なく事件はおこり、人種さえ意味もない事を我々は充分に知っているから。




ただ、この映画が公開された時、自分は演じる俳優たちの、アンバランスな配役に面白みを感じた。



エイリアンと闘った大柄なシガニー・ウィーバーが襲われてトラウマを抱える被害者???


小柄で低身長のホリー・ハンターが、それを解決して守る刑事???(逆ならわかるのだが)



後、ジャズピアニストで当時イケメンの代名詞だったハリー・コニックjr.に猟奇犯罪者の役をふるなんて …… 。(多分、本人には何のメリットにもならなかっただろうに)




この変わった役の印象が、強く残っていて、今でもここまで覚えているほどだ。


たまに思い出すと、もう一度観てみたいなぁと思うのだが … 。


再発は難しいのかな~。(なんせ、これだけ偏った考えの犯罪心理学じゃ〜ねぇ~)


星☆☆☆です。