1979年 アメリカ。
ニューヨーク郊外に建設中の超高層ビル。
その鉄骨組立工事を請け負う『ルー・キャシディ』(ジョージ・ケネディ)は、違反で免停になった運転手を後部座席に乗せて、代わりにハンドルを操り、今日も現場へと向かっていた。(どんな運転手だ)
見上げるビルは、地上から、何百メートルの高さだろうか…56階建ての州一高いビル建設に、ルーの意気もあがる。
年をとったが、
「まだまだ、若い者だけに任せておけるか!」
と先陣を切って進んでいくのだ。
ヘルメットをかぶり、いざ現場に行くと、ボスとして若い荒くれ者たちのいざこざを、簡単におさめてしまうルー。
そんな時、ルーの弟『エディ』が、ノコノコとやって来た。
鉄骨の資材運搬の仕事をしているのだが、この不肖すぎる弟は、隙あらば兄のルーの会社を乗っ取ろうとしているのだ。
雑な仕事ぶりで、以前、粗悪な資材で事故をおこしたりと、ルーには頭の痛い弟である。
「あんまり邪険にすんなよ、兄貴。俺も今じゃ兄貴のパートナーみたいなもんなんだぜ」
エディが馴れ馴れしくいい放つと、
「調子にのるんじゃねぇぞ!、エディ!!」
ルーが、相手にせずに一喝して追い払った。
エディはブツクサと悪態をついている。
ルーは、工事用エレベーターで最上階まで一気に上がると、作業員たちに指示をだし、自ら鉄骨によじ登って鉄骨の溶接作業を手伝い始めた。
長い鉄骨の幅は30~40cmくらいしかない。
『納期は3週間しかない、それまでに何とか最上階まで組み上げなければ……』
ルーの作業を下で、昔馴染みで相棒のモーランが、ヒヤヒヤしながら見ている。
その時、溶接用の酸素ボンベが突然、爆発した。
爆発からの業火は、たちまち黒い煙を放ちはじめる。
突然の爆発に、鉄骨の最上で作業をしている若いトミーは、ガタガタ震えだし、身動きできない。
ルーは幅の狭い鉄骨を、なんとかつたいながら(このシーンだけで恐ろしい事)、トミーのところまでたどり着くと、
「大丈夫だ、トミー!今、助けるぞ。安心しろ!」
と慰める。
だが、ボンベの爆発は、タンクに引火し、ものすごい爆風が、ルーを鉄骨から吹き飛ばした。
高層から真っ逆さまに落下していくルー……。
それは、スローモーションのように見えたが一瞬だった。ルーは地面に叩きつけられ絶命した。
次の日、ルーの葬儀が行われた。
一人娘の『キャス』(ジェニファー・オニール)が喪主をつとめる中、叔父のエディがニヤニヤしながら、
「俺が力になってやる!」
と近づいてきた。
父の生前から聞かされていた悪評を知るキャスは、「結構よ」と撥ね付けた。
「私が父の夢を受け継ぐ…」
決心したキャスは、父の親友『モーラン』に助言を求めた。
「まず、現場監督がいる。、それにうってつけの男がいる」モーランは以前知っていた、伝説の鉄骨職人『マイク・キャット』(リー・メジャーズ)の名をあげた。
今は、引退して長距離トラックの運転をしているマイク。
キャスは、現場監督になってもらえるようマイクを説得に、みずから出向いて行くが……。
やっと観る事が叶った映画。
名前だけは知っていて、いつか観たいと思ってました。
SFでもない、ピストルをぶっぱなすアクション映画でもない、異色の映画。
この映画は、怖い怖い…。
生理的に訴える恐さだ。
自分も高所恐怖症ではないが、幅30~40cmの鉄骨の上を、サーカスの綱渡りのように、風に揺られながら、進み、作業する様子にガクガク、ブルブル鳥肌がたった。
ましてや50階に近い建物の高さのビル。
CGなどない時代の映画で、この撮影は、相当命がけだったろうと思うのだ。
カメラが、ビルの頂上から下界を映す時、クラクラとしためまいに似た感覚を、観ている我々も体感するくらいである。
俳優の方々もほんとうに凄いし、尊敬する。
主演のリー・メジャーズはTVシリーズ「600万ドルの男」で有名になり、「チャーリーズ・エンジェル」ファラ・フォーセットの元旦那さま。
この映画では、大型トラックを乗り回したり、大型ショベルを操ったり、高い鉄骨の溶接作業をしたりと、「これぞ、男の中の男」というくらい縦横無尽に大活躍する。
それに、重機を操る男って、ヤッパリ男から見ても、超格好いい~!のだ。
他の作業員役の俳優たちも格好よく見えてくる。
こんなに男たちが、痺れるくらい格好いい映画も、そうそうないと思うのだけど。
エディたちの数々の妨害や悪天候に負けず、納期に間に合わせる為、最後に徹夜で働く男たち。
最後の鉄骨をなんとか溶接し、アメリカ国旗を、頭上に掲げる作業員たちに素直に感動してしまった。
星☆☆☆☆です。
額に汗して働く男たちは素晴らしい。