2019年1月10日木曜日

映画 「トットチャンネル」

1987年 日本。








昭和28年、新聞の求人欄を見ながら、『柴柳徹子』(斉藤由貴)はブツブツ言っていた。


「細面(ほそおもて)、細面(ほそおもて)、細面(ほそおもて)……なんで日本人って、みんな細面が好きなのかしら」


新聞の《委細面談》の部分を、顔の《細面》だと勘違いしてしまう、すっとんきょうな徹子。



「あら、これ細面(ほそおもて)じゃなくてもいいのかしら?」


NHKの求人欄を見つけた徹子は、早速、履歴書を下手くそな字で書いて送った。(字がヨレヨレ)




そして、面接の日。


面接会場を間違えた徹子は、ギリギリで、すべりこみセーフ。


台本を使った演技も最悪。(審査員のクスクス笑い)


ペーパーテストにいたっては、まともに解答欄を埋められず、隣の席の『黒沢』(高嶋政宏)に、


「あの~見せて頂けません?」と言う始末。

「ダメです!」黒沢もピシャリ(当たり前だっつーの)




だが、徹子は、(どんな奇跡が起こったのか?)1次審査を受かってしまった。



喜び勇んで教室に行く徹子に、教員の『岡山』(植木等)が声をかける。


「あのね、柴柳さん、あなたのお点すご~く悪かったんでございますよ。でもテレビジョンの世界も始まったばかりですし、かえってなんにも知らない、こんな子が一人くらい居てもいいんじゃないか?っていう事で採用になったんでございますよ。」(こんな理由で受かるとは、スゲ~時代だ)



そう言われても、なぜか嬉しさがこみ上げてくる徹子は、

「ありがとうございます。」と元気よく挨拶したのだった。



でも、試練ははじまったばかり。


1次審査にパスした大勢の者たちは、ここから何人残れるのか ……… 数々の課題に挑戦しながら、ふるいにかけられてゆくのだ。




NHK専属タレントへの道は、とてつもなく厳しい〜







原作は黒柳徹子の自伝。


それを大森一樹が監督した。




そして、主演は、あの斉藤由貴だ。


黒柳徹子の原作もあるだろうが、この映画は斉藤由貴だからこそ、成功したんじゃないかと思う。



普通の人じゃ、冒頭に書いたあらすじを見て頂いてもお分かりのように、絶対に採用なんかされない。(だって0点ですよ)



この後も、失敗続きの『徹子』(斉藤由貴)なんだけど、(どういうわけなのか?)全てが良い方向へ、良い方向へと流れていく。


愛敬と調子の良さだけで、2次審査、3次審査を簡単にパスしていく徹子の強運は、まるで漫画のヒロインみたいな展開である。(んな、アホな!)



でも、こんな人が、この広い世の中、稀に存在してるのだ。




そして斉藤由貴も、また《強運》に守られている、その中の一人なのだと思っている。




斉藤由貴 ……… 本当に不思議な女性である。



東宝の準グランプリに選ばれ、ミスマガジンになると、すぐに歌手デビュー。


デビュー曲『卒業』は大ヒットし、『スケバン刑事』、朝ドラの『はね駒』とトントン拍子の活躍。

『はね駒』なんてのは、今じゃ考えられないほどの高視聴率40%を叩き出して、もはや伝説として語られている。




その後も、歌とドラマでコンスタントに活躍していく斉藤由貴。



幾多のスキャンダルがあっても、世間には許されてしまう。


そして結婚して、子供を産んで女優と歌手業は続き……



また、最近もマスコミを騒がせても、またまた世間には許されて、ケロッと、どこ吹く風で、にこやかに笑う斉藤由貴。


この映画の中の徹子の強運が、周囲に妬まれる事なく、面白おかしく爽やかに感じられるのは、主演が《不思議ちゃん》、斉藤由貴だからなのだ。




で、こんな斉藤由貴が嫌いかって?


大好きですよ!!



この冒頭に貼り付けた画像、「ヤバイ、見つかっちゃった」っていうような、なんともいえない顔をご覧あれ。



何か失敗しても、見てるこっち側は、なんだか許しちゃう気持ちになるじゃございませんか。(たま~に身近にもいるんだよなぁ~、こんな生まれ持った愛嬌の持ち主)



こんな不思議な雰囲気を漂わせる斉藤由貴。


すっとぼけて、ホワワ~ンとした空気感で、彼女は不死鳥のように、これからも世間を渡りあるいてくんだろうなぁ~。



高校生の頃、映画は楽しく観ました。

星☆☆☆☆です。