2018年12月2日日曜日

映画 「必殺 THE HISSSATSU」

1984年 日本。







テレビドラマ『必殺仕事人Ⅳ』放送時につくられた劇場版。





八丁堀同心『中村主水(もんど)』(藤田まこと)。



昼間は、姑の『せん』(菅井きん)と嫁の『りつ』(白木万理)に毎度イビられる日々。


※なぜ?『せん』と『りつ』だと思います?
続けて読めば『せんりつ』=『戦慄』になるからなのだ。(豆知識)





北町奉行所でも、上司の筆頭同心『田中』(山内としお)に嫌味タラタラ。


「中村さん、しっかりしてくださいね!」(妙にヒステリックオカマ調)



だが、夜になれば、刀さばきは超一流の、闇の《仕事人》。


頼み料をもらって、晴らせぬ恨みを代わりに晴らしてくれるのだ。





そうして、こんな主水と組んで、闇の仕事をするのが、




   『三味線屋の勇次』(中条きよし)… 三味線の糸を首に巻きつけて吊るして殺す。





   その母、『おりく』(山田五十鈴)… 三味線の撥(ばち)で悪人の喉元を往復で、切りつける。





   『飾り職人の秀』(三田村邦彦)…… 髪飾りを敵の後ろに回り込んで、首もとに突き刺す。




 
 『 何でも屋の加代』(鮎川いずみ)と学生の『順之助』(ひかる一平)……… 順之助が開発した投石器が武器である。(時代考証なんて全く無視)




こんな面々が、毎度毎度、八面六臂の大活躍をする。





劇場版では、江戸の町に興業公演にやってきた有名な人形使いの『朝之助』(当時、片岡孝夫)が絡んでくる。




大スター朝之助の来演に、中村家でも、『せん』と『りつ』は大興奮。もう夢中である。


「キャ~朝之助さまぁ〜!」ってなものである。(ミーハーなオバサマ方)




そんな賑わいとは別に、不審な殺人も連続して続いていた。


口に《六文銭》をくわえさせられて殺される死体が、続々と現れだしたのだ。




その六文銭の事件になぜか?心当たりがあるのか……


『おりく』は、「あたしは、ちょっと上州へ行って調べてくるよ」

と言って、こっそり江戸を離れた。




そうして、江戸に残された主水と他の仲間たち。



江戸の町は祭りに浮かれていた。

次々とお神輿が担がれて、あちこちで、

「ワッショイ!ワッショイ!」の掛け声。



だが、町中で、主水や勇次、秀、加代、順之助たちの顔は晴れない様子。




それぞれに、とうとう《六文銭》の文が投げ込まれたのだ。



(今度、狙われるのは我々の誰かかもしれない ……… )



警戒する主水たちの前に、異様な御輿を担いだ仮面を被った集団が現れた。



そんな主水たちの目の前で、次々と御輿に興じて、別の仕事人たちが無惨に殺されていく様を見せられるのだ。



「何て野郎たちだ……」(他の町民たちは、そんな殺しに全く気づきません)




しばらくして川のそばに行くと、黒い御輿が流されていて、『六文銭』を加えさせられた死体が、いくつも転がっていた。


「ギャアー!」と叫び驚く『かよ』。

その側で、『順之助』が、

「まだ一人息があります!」皆に叫ぶ。




仕事人の『政』(芦屋雁之助 by 裸の大将)が、かろうじて生きていたのだ。(「ぼ、ぼ、ぼ、ボクはまだ死んでないんだなぁ~」(笑))




『おりく』が、上州から戻って来ると、六文銭たちの企みが分かった。


『庄兵衛』という男を筆頭にして、江戸の『仕事』全てを請け負う為に、邪魔な他の仕事人たちを陰で始末していたのだ。



主水たち仲間は、命懸けで戦う決意を固める………






もう、この後は、華麗な仕事人たちの闘いを楽しむだけである。



主水の剣が、バッサ、バッサと敵を切り裂き、勇次の三味線の糸が狙った獲物を縛り上げ、秀が水中から、屋根の上からと縦横無尽に駆けめぐるのだから。



「悪い奴らは許しちゃおけねぇー!」


単純な事に映るかもしれないが、これがどんなにスカッ!とするものか。






でも、コレも、平凡な日常もあって、その裏で嘆き哀しむ人々を、ちゃんと描いているからこそ。



それらが絶妙なバランスで成り立ち、怒涛のクライマックス、《殺し》のシーンを最大限に盛り上げるのだ。



本当に奇跡のようなドラマなのである。




これをタイムリーに観れた自分たちは、「本当に幸運だったんだな〜」と、今更ながらに思うのだ。





この『必殺!』シリーズ、夜間のシーンになれば、まるでフィルム・ノワールでも観ているような錯覚をおこすほど、白黒の陰影がハッキリと浮かび上がるような稀な撮影方法をとっている。



また、それが綺麗だし、特に格好いいんだよなぁ~



オススメしとく。

星☆☆☆☆☆。



※ちなみに、近年のジャニズに乗っ取られた『必殺シリーズ』は全くダメダメ。


本家と比べれば、まるでお遊戯会を観せられてるようなもんである。(容赦なし!ぶった斬っておく)