2003年 アメリカ。
フロリダ州の小島 バニアンキー。
自然豊かな原生林に囲まれた田舎町の警察署。
夜、一人で署長の『マット』(デンゼル・ワシントン)は足を放り出して呑んでいる。
そこへ突然電話が鳴った。
「助けて!強盗が入ったの!」
「すぐに向かいます」ひとり現場にかけつけるマット。
目的の家にたどり着くと、女が出てきて迎えてくれた。
『アン』という女性に質問するマット。
「どんな強盗でした?」
「背丈はあなたくらいよ、肉付きもあなたくらい」
そのまま寝室にいくふたり。(?)
「私が寝室で寝てたら迫ってきたのよ」
「こんな風に……?」
二人は、そのままベットに転がり込んだ。(なんじゃ、この二人の小芝居は…)
アンには、暴力夫のクリスがいて、マットも8ヶ月別居している妻がいる。
流行りのW不倫である。(流行りなのか?(笑) )
次の日、署に妻の『アレックス』(エヴァ・メンデス)が、「荷物を運び出したいから、家の鍵を貸してちょうだい」とやってきた。
アレックスは、上昇志向のエリート。主に刑事事件を扱う捜査官である。
「早く鍵をちょうだい!」
マットは、不倫でアンと付き合いながらも、美人妻アレックスにも未練タラタラなので、鍵を出し渋る。(おいおい、調子が良すぎだろ)
そばで、お節介な検視官の『チェイ』(見た目マイケルムーアみたいなコメディリリーフ)が、
「机の上だよ」というと、すかさず鍵をとって、さっさと出ていくアレックス。
「この野郎…」マットはチェイにブツクサ悪態をついた。
それから、しばらくして、不倫相手アンにガンがみつかる。
マットは一緒に病院に付き添って(兄だと偽って)主治医に会うと、どうも相当悪い末期ガンらしい。
スイスに行って手術し治療するには、莫大な費用がかかるとか、なんとか。
アンは高い生命保険をかけていて、ある会社に、生前買取り(そんな事ができるのか?)をして、治療費にあてようと試みるが、断られてしまう。
だが、保険金の受取人を夫のクリスからマットに変えるつもりだと言う。
同情して、みかねたマットは、署に麻薬からみで押収し、管理していた48万ドルの現金を当座の治療費にあててほしいとアンに渡した。
(おいおい、犯罪じゃねぇか)
「控訴審までは何年もかかるし、所轄の署が預かる金だ、大丈夫。 それから荷物をまとめて俺のところに、夜11時に来るんだ!」(もはやアンに対する愛情で、モラルもへったくれもないマットである)
だが、夜になってもアンは、マットが待つ署にやって来なかった。
我慢できずに、とうとうアンの家まで車を走らせるマット。
だが誰の気配がない。
家の周辺をうろつくマット。
近所の婆さんが、そんなマットを不審そうに窓からみているので、堪らず、マットはそこを引き揚げた。
だが、それから数時間後、クリスとアンの住むコテージの家が、火事で燃えていると通報がはいる。
次の日、全焼の煤けたコテージの前で愕然とするマット。
焼け落ちた家の中には、焼死体が2つ転がっていた。クリスとアンだろうか……。
警察官のアレックスも駆けつけてきた。
放火殺人の疑いもあるので捜査に乗り出してきたのだ。
デンゼル・ワシントンが、最高にダメダメ署長に扮して、面白かったです。
つい最近の映画のつもりでも15年も前だったのか。
デンゼルワシントンも、この時48歳、若い若い。
不倫相手と密会しては色男ぶりを発揮してる(笑)。(さすがに最近は歳をとったなぁ~と思うが)
エヴァ・メンデスという美人妻がいるのにね。
でも、この後、次から次へとマットを災難が襲い続ける。
目撃者の婆さんには、
「近所をうろついていたのは、あの男よ」、と名指しされるが(ドキッ!)、
「婆ちゃん、あの人は署長さんよ」となだめられて、婆さんは完全に痴呆扱い。(可哀想に)
麻薬取締り官が、48万ドルを返却するように言ってくれば、(ドキッ!ドキッ!)アタフタ冷や汗が…(心の中ではどうしよう、どうしよう。焦りまくりのマット)。
それに妻のアレックスの目を盗んで、先回りして、次々隠ぺいしなければならないので、もう落ちつく暇さえない。
《タイム・リミット》は、刻々と近づいてマットを焦らせて追いつめていくのである。
この映画も、前回のように擬装死を取り扱っているが、笑いとアクションのさじ加減がうまいので、あまり粗が目立たないし、うまく消化していると思います。
監督のカール・フランクリンは、それ以前も『青いドレスの女』でもデンゼル・ワシントンと組んでるし、息もピッタリ。(この映画も良いです傑作)
親友の検視官チェイの協力を得て(コメディリリーフは重要で必要です)、なんとか最後はハッピーエンドです。
完璧で正義感の役が多いデンゼル・ワシントンですが、たまにはこんなおバカな役の映画もいいですよね。
星☆☆☆☆です。