2018年12月11日火曜日

映画 「料理長殿(シェフ)、ご用心」

1978年 アメリカ、イタリア、フランス、西ドイツ合作。






ロンドンのグルメ雑誌を主催し、自他共にグルメ評論家を名乗る『マックス』(ロバート・モーレイ)は、極度の肥満(おデブさん)だった。


これまで、世界中の珍味や美味しい食べ物を食べ尽くしてきたので、当たり前といや当たり前のお姿なのだが。


それでもマックスは変わらず。

料理に関して一切の妥協を許さず、一流といわれるシェフたちの料理だけを愛して、堪能する日々を送り続けていた。



だが、そのツケは、いつかまわってくるのだ ……



ある日、医者から、

「痩せなければ、これ以上、命の保障はできないよ!」

と宣告され、ダイエットするように言い渡される。(自業自得)




そんな時、ロンドンに一人の女性がやってきた。



マックスが主催する王室晩餐会が開かれ、そこで振る舞われる料理の為に、有名なデザートシェフ、『ナターシャ』(ジャクリーン・ビセット)が呼ばれたのだ。



そんなナターシャを、先回りして待ち伏せしていた者がいる。


元夫の『ロビー』(ジョージ・シーガル)。


自分が立ち上げたオムレツチェーンを、ヨーロッパ中に広げる為に勧誘しにきたのだ。(それと、あわよくば、なんとかナターシャと、よりを戻したい)



だが、ロビーは、けんもほろろ。(全然懲りずに、この後も、何度もナターシャの前に現れるが)


ナターシャは、厚かましいロビーを袖にすると、目的の場所、料理会場のバッキンガム宮殿に向かった。





バッキンガム宮殿の厨房では、晩餐会の為に集められた、さまざまな国の料理人たちで、ごった返している。


まさに、戦争。てんやわんやだ。



そんな中で、鳩料理のエキスパート、『ルイ』(ジャン=ピエール・カッセル)と『オーギュスト・グランヴィリエ』(ジャン・ロシュフォール)が、些細な事からケンカになり、料理を投げ合う場面もあったりなんかする。(どんな厨房だ!)



そんな、すったもんだがあったのだが、なんとか王室晩餐会は成功して、無事終了。



特に、ルイの鳩の包み焼きの料理と、ナターシャの作ったデザートのボンブ・グラッセ(爆弾の異名をもつアイスクリーム)は、女王陛下から、お褒めの言葉をもらい大絶賛された。





舞い上がった二人は、意気投合!


その夜は、そのままベットで、食事をしながら、そのまま《イン!》した。(あらら)




次の日の朝、ナターシャは、ベットで、昨日の余韻にひたりながら、幸せそうな笑顔で、まどろんでいる。


そこへ、ほんのりと漂う良い香り。


「ルイが、朝御飯を作っているのかしら?」


匂いに誘われて厨房に行ってみると、火のついたオーブンの中で何かが焼かれている。



「キャアアーーッ!!」


大型オーブンの中では、あのルイが焼かれて死んでいたのだった。







豪華絢爛な料理と悪趣味な殺害方法のミステリー映画。


有名シェフたちが次々と何者かに殺されていき、その殺され方が、そのシェフの得意料理を連想させるという、何だか手間のかかる殺害方法。


「犯人は誰か?」ってな感じで、ヒロイン、ナターシャ(ジャクリーン・ビセット)と元旦那のロビー(ジョージ・シーガル)が素人探偵ヨロシク事件に首を突っ込んでいく。


何だか二時間サスペンスで、よくある設定で、重くもなく、映画自体の味付けはコメディー・サスペンスってところかな?



そして、一応、その手の映画として、最後に真犯人の自白があるのだが、この映画はここで最大の(大チョンボ!)失敗をしている。




この《真犯人》が自供しても、だいぶ設定上無理があるのだ。


ゆえに、謎解きミステリー映画としては及第点をあげられない。(※多少のネタバレになるが、この犯人では体力的にも絶対に不可能とだけ言っておきます)





豪華な出演者たちだけは、よかったです。



ジャクリーン・ビセット………この方、『オリエント急行殺人事件』や『ブリット』に出てました。

どことなく由美かおるにも似てます。

キュートな美人さんで、私、この人目当てで、この映画を観賞しました。



ジョージ・シーガル………映画『ジェット・ローラー・コースター』などに出演。

面の皮が厚い、調子のよすぎる男の役が多くて、それが得意なのか、それとも地なのか………(ちと苦手なタイプかも)



ジャン=ピエール・カッセル ………『オリエント急行殺人事件』の車掌さん。

この映画では、全裸に裸エプロンで、即殺されてしまう。(なんて、あられもない姿)


あの有名なヴァンサン・カッセルは、この人の息子である。




ジャン・ロシュフォール………『タンデム』『髪結いの亭主』『タンゴ』などパトリス・ルコント作品常連。


この映画では、マックスの選ぶ《世界4大料理人》に選ばれずに始終イライラしていて不満をもて余す。




フィリップ・ノワレ………いわずとしれた名作『ニュー・シネマ・パラダイス』の映写技師役で有名。


4大料理人に選ばれて殺されてしまう。(完全にトホホ…な役である)



ジジ・ブロイエッティ………『SEX発電』なんて、とんでもないキワモノ映画に出演。(逆に観てみたい)


監督や俳優、声優もこなす多彩な方である。

映画では、事件の捜査にたずさわる飄々としたラヴェロ刑事役。




そして、音楽はヘンリー・マンシーニ。『ピンクパンサー』『ティファニーで朝食を』で有名。




監督は、テッド・コッチェフ

後年、あの『ランボー』の監督をするので、これまた有名である。



まぁ、これだけ各有名人たちが携わっているのも珍しいし、一見の価値はあるかな?


料理のきらびやかさと、美しいジャクリーン・ビセットのお姿にウットリするのもいいかも。


まぁ、ムズカシイ事考えずに、お気楽に観れる一編である。


星☆☆☆。