2018年10月27日土曜日

映画 「ザ・パッセージ/ピレネー突破口」

1978年  イギリス。






やっとDVDで観れた。




その昔、1983年 日曜洋画劇場で放送された、幻の迷作。


あの時の邦題は『パッセージ/死の脱走山脈』だった。





アンソニー・クイン(道、ナバロンの要塞)、


ジェームズ・メイソン(北北西に進路をとれ、シーラ号の謎、夜の訪問者)、


マルコム・マクダウェル(時計仕掛けのオレンジ)、


クリストファー・リー(吸血鬼ドラキュラ)
名優たちの競演。





監督はナバロンの要塞の J・リー・トンプソン。



放送当時、残酷なナチスの指揮官マクダウェルのインパクトが、一度みたら忘れられないくらい凄くてトラウマになるくらいだった。


で、何十年ぶりに、記憶をたどりながら観ても、やっぱり残酷なモノは残酷でございました。






山で羊飼いをしているバスク人。(アンソニー・クイン … 名前がないので、後記《バスク》とする)


山を知り尽くしている事をかわれて、ユダヤ人科学者『ベルグソン』(ジェームズ・メイソン)と、その妻『アリエル』、そして息子『ポール』と娘『リア』の家族たち4人の救出を、バスクは依頼された。




時代は、第二次世界大戦中のナチスに支配されているフランス。


フランスからピレネー山脈を越えて、スペインへと逃げる計画だ。



家族は、常にナチスの監視下におかれていて、『アラン』という男の手引きで、なんとか救出に成功。



だが、手引きしたアランは、ナチスに捕まり、指揮官『ベルコフ』(マルコム・マクダウェル)に拷問される。




ベルコフの拷問は、凄惨極まりなく、まな板に両手の指を留められているアランを、笑いながら、●●するくらいだ。(このシーンのゾッとする事。●●の部分はご想像下さいませ)




バスク老人と一家を連れて、フランスのトゥルーズ駅から列車に乗り込むのだが、どこまでも執拗に追うナチス親衛たち。


列車は簡単に爆破されて、命からがら脱出する。





翌朝、運よく、ジプシー(現在はロマと呼ぶ、ジプシーは差別用語)の幌馬車が通りかかると、バスク老人は『ロマの長』(クリストファー・リー)と交渉。


ロマの長は、気持ちよく、家族たちを幌馬車にのせる事を了承してくれた。




だが、またしても、幌馬車隊はナチスの検問に引っ掛かる。


それでも、なんとかバスク老人と一家は、やりすごす事ができたのだが………ジプシー娘に変装したリアだけが、こともあろうに、あの!ベルコフ指揮官に気に入られてしまい、ナチスの軍隊にさらわれてしまった。



その夜、リアをレイプする為に、あのゲスなベルコフ指揮官は、パンツ1枚の姿に。(ゲゲッ!パンツにまで、ナチスの鉤十字のマークとは!)





バスク老人は、次の朝、隙をみてリアを救出する。(遅いよ)


そして、家族は再び合流して、険しい山越えを決行。




だが、別れたロマの幌馬車隊が、またしても、ナチスたちに捕らえられてしまう。



「ベルグソンたちは、どこに逃げたんだ?!」

激しく続けられる長(おさ)への拷問に、たまらず目をそむける他の者たち。



たまりかねたロマの息子が、ベルグソンの行き先を白状するのだが、非情なベルコフは奇妙な薄笑いを浮かべる。



「これでお前らに用はない!」と、ロマの長を、ためらいもなく焼き殺してしまう。(ここまでするか?普通)




そのうえ機関銃の乱射で、残ったジプシーたちも全て皆殺し!!(もう、完全に狂ってる!)




ベルグソン家族たちの命をかけた山越えは、果たして上手くいくのだろうか………







もう、なにからなにまで、悲惨凄惨なベルグソン一家と、それに巻き込まれる人々の悲劇の物語である。




アンソニー・クインは老いていぶし銀の貫禄をみせている。

本当に頼りになる男である。(でも主役なのに、何で名前がないの?)



私には、この時代のアンソニー・クインが、必殺仕事人の『藤田まこと』と重なるのだが……と思っていたら、後年、アンソニー・クインが演じていた『その男、ゾルバ』を藤田まことも舞台で同じように演じておりました。(やっぱりね、何か雰囲気が似てるもんね)





狂気、変態、冷酷、非情の総デパート『ベルコフ』役を、マクダウェルは嬉々と演じている。(ゆえに、憎たらしい事この上ない)



この後も、逃げても、逃げても、どこまでも執拗に追ってくるベルコフ指揮官。(本当にしつこい)



そうして、やっと雪山の頂上に見つけたバスク(アンソニー・クイン)の姿。




だが、バスク老人の方が一枚上手だった。


「おーい!こっちだ!ここだぞぉー!」

頂上のアチコチから、わざとバスク老人は顔を出しはじめたのだ。



それを、よせばいいのに、雪山の下から頂上にいるバスク老人めがけて、ベルコフは銃を乱射し続けた。


そう、バスク老人はわざとベルコフに銃を撃たせるように仕向けているのである。




で、雪山の中で銃を乱射すると、どうなるかというと………


銃声の衝撃は、アチコチの雪山に木霊となって響き渡り、深く積もり積もった雪を一気に崩れさせたのだ。


落ちてくる大量の雪崩が、もの凄いスピードでベルコフに襲いかかってくる。



「ギャァァァーーーッ!!」

断末魔の悲鳴を上げて、ベルコフは雪崩にのみ込まれていくのだった。(本当に浅はかでアホな奴)




まぁ、その後も、やっぱり生き残っているベルコフなんだけど……(もう、コイツ、悪党のくせにゴキブリ並の生命力。どんだけ運がいいんだか (笑) )




こんなドギツイ映画を、昔は地上波で、平気で放送したのだから、今更ながらに驚く。



とにかく、B級戦争アクション変態映画をDVDにしてくれたメーカーさんに感謝しかないです。


星はつけられませんけど、さすがにね。(でも、こっそりオススメしときますね)