2018年10月22日月曜日

映画 「ジェーン・エア」

1943年 アメリカ。






孤児の『ジェーン』は意地悪なリード夫人と、その息子に虐げられながら、9才まで育った。


そして、とうとう厄介払いに慈善学校に送り込んだリード夫人。(とにかく9歳まで育ててやったんだから、「ありがたく思え!」ってなもんだ)



そして、ジェーンが送り込まれた学校は、慈善とは名ばかりの場所。


情愛すら持ち合わせていない『ブロックハースト校長』が全てを取り仕切っていた。


ジェーンは『ヘレン』という友達ができるが、ある日、校長に逆らい、二人は罰として何時間も雨の中を行進させられてしまう。(※このヘレンが子役時代のエリザベス・テイラーなのである。写真右。)




結果、ヘレンは肺炎で、次の朝死亡。(これ、幼児虐待もいいとこだろ!)



校長を憎むジェーン。

だが、(教養や知識を得る為なら…)と、ジェーンは、自分の感情を押し殺して学校にとどまる決意をした。



(いつか、こんな所出ていってやる!!)



やがて、成人した『ジェーン』(ジョーン・フォンティン)。


そんなジェーンを、ブロックハースト校長は、学校の教師として、わずかな薄給で、そのままこき使おうともくろんでいたのだが……。



だが、そうは問屋がおろさない!


ジェーンは、内緒で家庭教師の仕事を見つけ出していたのだ。


「この恩知らず!」怒りでブルブル震えるブロックハースト。


「なんの恩がありますか? 私は、こんなところ出ていきます!!」


ブラックハーストに、ピシャリ!と啖呵をきるジェーン。(よくぞ、言った!)



外の世界へ! そして自分で自分の道を歩くのだ!




広大な《ソーンフィールド》という館では、人の良い『フェアファックス』という家政婦と召し使いたち、可愛い『アデール』という少女が待っていた。


アデールは、ジェーンがやって来て大喜び。


(可愛い、おしゃまなアデール……なんて素晴らしい場所かしら、ここは……)




当主のロチェスターは、外国を飛び回って今はいないらしい。

しばらくは、アデールと楽しい時を過ごすジェーン。




そんな日々が過ぎ、ある朝、ジェーンは、何気に霧の深い庭先を散歩をしていた。



すると、突然、馬が飛び出してくる。



すんでのところで事なきを得たが、馬に乗った男は、謝るどころか緩慢で無礼な態度で、逆にジェーンにくってかかった。


(なんて、イヤな感じの男なの …… )


だが、この男こそ、久しぶりに帰ってきた、当主『ロチェスター』(オーソン・ウェルズ)だったのだ。



皮肉屋なこの男を、フェアファックス夫人は、

「傷ついた心を持つ、この屋敷で安らげない人 …… 」

と憐れむが、ジェーンは、この男を好きになれずにいた。(顔が強面だし)



そんなロチェスターが帰ってきて、ある夜の事、ジェーンは薄気味悪い笑い声で目が覚めた。


(こんな夜中に誰なの?…… )

声のある方へ走っていくと、ロチェスターの寝室から、炎と黒煙が……!



誰かが放火したのだ!


慌ててロチェスターを起こして、消火するジェーン。

しばらくすると炎は鎮火して、なんとか大惨事にはならずにすんだ。




だが、ロチェスターは、

「この事は、誰にも言わずに、しばらく黙っていてくれ!」と言う。


不審に思うジェーンだったのだが ……






イジワルな叔母に、イジワルな従兄 ……

冷酷な校長の下で、長い間堪える日々 ……

それが終わったかと思ったら、奇妙な館での許されない恋愛や、幽閉されている謎の人物の不気味な行動に、毎夜毎夜、振り回される。



ジェーンの行くところ、次から次に災難続き。


これでもか、これでもか、なんていう怒濤の展開に、「これって大映ドラマ?」と素直に思ってしまった。


アメリカ人にも、こんな試練に堪え続けるヒロインなんてのがウケるのかねぇ~。




原作は1847年に発表されたシャーロット・ブロンテの長編小説。


これが一番最初の映画であり、このあとに、1970年、1983年、1996年、2006年、2011年と6度も映画化されている。(やっぱり好きなんだ、アメリカ人も)




この原作の何にひかれるのだろう。


メロドラマであり、ゴシック・ミステリーであり………


ようするに多面的で間口が広いところが、万人に受け入れやすいんだろうか。




そして、そんな運命に翻弄されるといったら、ヤッパリこの人、《ジョーン・フォンティン》である。



こんなジェーン役に、ジョーン・フォンティンはピッタリ。


ヒッチコックの『レベッカ』でも堪え忍ぶ役だったが、美人でも、どこか幸薄い印象ですものね、この人。



自分自身の資質に合った役で、これまたジョーン・フォンティンの、これも代表作といえるのではないかな?


星☆☆☆です。(オーソン・ウェルズの演技だけが、ワタクシちょびっと苦手なものでして …… )