2021年2月14日日曜日

映画 「ランボー ラスト・ブラッド」

2019年 アメリカ。




タイから故郷アメリカに帰省して11年………


『ジョン・ランボー』(シルベスター・スタローン)は、両親が残していたアリゾナ州の牧場を引き継ぎ、父親の代からの家政婦『マリア』と、その孫娘『ガブリエラ』(イヴェット・モントリオール)の3人で平穏な日々を過ごしていた。(こんな故郷があるなら、ベトナムの任務が終わった後に、さっさと帰ればいいのに。ずっと天涯孤独だと思っていたランボーの生い立ちに、いきなり(ズコッ!)拍子抜け)


たま~に、昔とった杵柄(きねづか)で、人命救助のボランティア活動にも勤しむランボー。(危険を求めて血が騒ぐのか?)


暇があれば牧場の地下を掘り進めて、とうとう立派な地下道まで作ってしまったランボー。(何だか、ランボーも自分の奥底から沸き起こってくる殺戮衝動を抑えようと必死なんだなぁ~)


それでも、何とか、ランボーは平穏な日常に馴染もうとしていた。



なんせ、近くには美しく成長した娘、ガブリエラが側にいるし。


そんな愛しいガブリエラを養女にして、いずれは牧場を継がせようとランボーは、勝手な夢を描いていたのだが……


年頃の娘は、そうそう思い通りにもいかず……ある日とんでもない事を言い出した。


「あたし、本当のパパの居所を見つけたのよ!メキシコよ!!おじさん、私、パパに会いに行ってみたいのよ!!」


マリアもランボーも、当然大反対。


「あの男は根っからの悪党なんだよ!お前やお前の母さんを捨てて……何を期待してもムダさ。絶対にあんな男に会いに行ってはダメだよ!!」


特にマリアの激昂は凄まじかった。


「友人の『ジゼル』が父親を探しだしてくれた」と言うと、これまたガブリエラの友達の事もクソミソに扱き下ろすマリア婆ちゃん。


「あんな最低の不良娘!あの娘が遠くに行ってくれて安心していたのに……まだ、あんな不良と関わっていたの?!」


ガブリエラの言う事、なす事、真っ向から猛反対するマリア婆ちゃんなのである。


もちろん、ランボーもマリアに同意している。



だが、これが、逆にガブリエラの反発心に火をつけてしまったのか…内緒でメキシコに旅立ってしまうガブリエラ。


ランボーは、愛しいガブリエラを救いだそうと、メキシコへ向けて後を追いかけるのだが………。




これで、本当に最後の『ランボー』シリーズ。



最後のランボーは、こんな導入部で始まるのだが…私、正直言って、この『ラスト・ブラッド』を観るのが、少しだけ恐ろしかった。



なんせ、前回の『最後の戦場』がアレですもん。


やたらめったら、情け容赦なく殺しまくるランボーに、寒気さえ覚えてしまったのだ。



これは自分の好きなランボーじゃない!


もはや《ホラー・アクション》になってしまったランボーに、拒否反応すら感じたくらいだったのだ。



『最後の戦場』の、何が自分を、ここまで震え上がらせたのか…。


それはランボーが殺しまくる為の《理由づけ》が、まるで見えてこなかったからである。


いくら医療ボランティアで美人の『サラ・ミラー』を救出するためとはいえ、知り合ったばかりの人。ましてや恋人関係でもないのに、この大量虐殺。


まるで『13日の金曜日』のようなジェイソンと化したランボーに、感情移入なんて出来るはずもなかったのだ。(ごめんなさい、私にはそう見えたんです)



その辺りの問題を、この『ラスト・ブラッド』は、どうクリアしたのか……恐る恐る観始めたのだけど……。



なるほど、これなら《ランボーの怒り》も納得する。


それにしても、予想通りの展開とはいえ、ガブリエラの辿る悲惨な運命には、ゾッ!とさせられるが。(クズの父親に会いに行って、さらわれて売春宿、麻薬漬けにされるのは、ちょっとエグすぎる)



瀕死のガブリエラを、なんとか助け出したランボーが、故郷の牧場に向かって、真夜中に車を走らせる場面では、もうウルウル。(オジサン涙腺崩壊である)


「眠るんじゃないぞ!起きてるんだ、ガブリエラ!! もうすぐ牧場に着くんだから!!」


そんな、ランボーの懸命な呼びかけも叶わず、車中で力尽きて死んでしまうガブリエラちゃん。(決して馬鹿な娘といえない。ただ、ただ父親の愛を追い求めただけなのだ!)



許せん……!!


愛しいガブリエラを殺されたランボーの悲しみと怒りは、観客にも自分にも充分に伝わってくる。



もう、好きにやっちゃってちょうだい!、ランボー!!(私が許す)


お前の力を見せる時がきたのだ!!



と、ここで再び「オオッ!」と唸ってしまう私。


マリア婆ちゃんを姉の元へ送り出すと、牧場の至る所に巧妙なトラップを仕掛ける為に準備に勤しむランボー。(こ、これは!)



そう、まるで、第1作目の、山の中で追ってくる警察たちに仕掛けられたトラップを思い出させて、シリーズをずっと観てきた自分にはニヤリとさせられる場面なのだ。


当然、冒頭の地下道にも幾多のトラップが仕掛けられる。



そして、準備は完了。

悪党たちを誘い出して、全員血祭りにしてやる!



もう、後はランボーの独断場の大暴れ。


面白いように、悪党たちは次々とランボーが仕掛けたトラップに引っ掛かって絶命していく。(ランボー最大の武器、あの《弓矢》もちゃんと出てくるしね)



多少、やっぱり殺し方にエグいシーンもあるにはあるが、私は今回だけは許す気になった。(なんせ、愛しいガブリエラの仇討ちって名目があるしね)



最後、悪党たちを倒したランボーは馬に乗ってどこかへと去っていく……。


エンディングには、第1作からの名場面のシーンがスライドされ、映し出されると、「あ~本当に終わりなんだぁ~、ありがとうランボー! 今までお疲れさま、ランボー!」と何だか感慨深くなってしまった。


シルベスター・スタローンも、吹き替え担当のささきいさおさんも、長い間ご苦労さまでした。



星は、もちろん☆☆☆☆☆。


『最後の戦場』でランボーに見切りをつけた方々には、この『ラスト・ブラッド』で是非に溜飲を下げてほしいと、特にオススメしておく。


※やっと書き上げた『最後のランボー・レビュー』に、取りあえず今は、「ホッ!」とする私なのである。