2021年2月1日月曜日

映画 「フランス式十戒 ①」

1962年 フランス。





久しぶりのジュリアン・デュヴィヴィエ監督。



私の好きな監督ゆえ、「さぁ、観るぞ!」と勢いこんで、観はじめたのだが……またもや、私の苦手なジャンルとは……。


私、オムニバス映画なるモノが、本当に苦手。


この映画も、7本の短い話で出来ている。(最後には最初の1話目に戻ってエピローグの結びとなる)


オムニバス映画が苦手なのは、それぞれの登場人物を、やっと覚えて、徐々に気持ちがノッてきた頃に、「ハイ、おしまい!」ってな感じで、《プツン!》と終わってしまうため。


次の別の話を……なんて、すぐに気持ちの切り替えが出来ないのだ。(私の場合は)


(これは長期戦になるぞ……)と覚悟して観たのだけれど……やっぱりダラダラと観る結果に。


それでも、大好きなデュヴィヴィエ監督ゆえ、ここに、できるだけ書き記したいと思う。


さぁ、第1話からのスタート!




《1話目》

お堅いシスターたちがいる修道院で、年老いた雑用係で働く『ジェローム老人』(ミシェル・シモン)は、お人好しだが、ちょっと、オッチョコチョイ。


失敗すれば、「神さん、ナムサン…」の言葉がついつい口癖で出てしまう。


「神の名をやたらと唱えるなんて………ここは修道院なんですよ!なんて分別のない! それは神を冒涜する行為です!!」と院長に毎度叱られる始末。


そんな修道院にある日、司教様がやって来るというので、修道院は緊張感でピリピリ状態。


(どれどれ、どんな司教様なんじゃろ…)と興味本意で覗いてみると…


「ありゃー!あれはワシの子供の頃の幼馴染みじゃないかー!!」


喜ぶジェロームは、司教に強引に話しかけ、司教様もビックリ。


二人はシスターたちのジト目をよそに、昔話に花が咲きはじめる。


そんな、ジェロームのペースにスッカリのせられて、司教様も徐々にお堅い仮面を外して、ヤンチャな子供の頃の地が出てしまうのだが……。



名前と顔だけは知っていた、このミシェル・シモンさんの出演している映画を観たのは初めてだったかも。


もう、本当に独特なお顔の方。


この決してハンサムとは言えない(失礼!)お顔で、若い頃は相当苦労したという。

《若い頃のミシェル・シモン》


でも、歳と共に身に付けたおかしみやユーモアは、唯一無二。


おっちょこちょいのじい様を嬉々と演じてくれて笑わせてくれる。(バート・ランカスターとも共演しているらしいし、多分、これから他の映画でもお目見えする事だろうと思う)





《2話目》

美人ストリッパー『タニア』(ダニー・サヴァル)に恋して、店に通いづめていたオタクの青年。


突然店を辞めた彼女を探して、なんとか住まいを訪ねてみると、何と!タニアにはアパートの管理人である旦那がいた。


いたたまれず、帰ろうとするも旦那に呼び止められて、そのうちタニアも、ひょっこり帰って来る。(旦那は嫁の仕事がストリッパーとは知らない)


「キャー!わざわざ来てくれたの!あなた私のフアンでしょ?私の踊りを見て!見て!」


部屋で、レコードをかけて、ノリノリで、次のストリップの実演をはじめるタニア。


明け透けで、下品な彼女を目の当たりにして、オタク青年の熱も徐々に冷めていく。


「ここで、胸の貝殻を放り投げるのよ!今度は下の貝殻もよー!キャハハー!!」(本当にお下品)



(これが本当の彼女か……)


青年の恋は儚く終わり、トボトボと帰っていった。


だが、旦那の方は今まで知らなかった妻の一面を見てしまい、逆に大興奮!


青年が帰っていった後、「さぁ、私の前で実演してくれ!」(ハァ、ハァ)


管理人部屋には、《本日は休業》の立て札をかけるのだった………。



このストリッパー役のダニー・サヴァルもどこかで観た覚えがあると思っていたら、このblogでも以前に挙げていた『アイドルを探せ』に出ておりました。


フランス語でも、この人の声も超独特。(ものすごく響くキンキン声で、まくし立てる)


黙ってれば充分美人さんなんだけどねぇ~(オタク青年が夢から覚めるのも、この人なら妙に納得。分かる気がした(笑) )





《3話目》

神学校に通う『ドゥニ』(シャルル・アズナブール)の元へ、妹から遺書の手紙と手帳が届いた。


それと同時に、妹カトリーヌの遺体が、身投げした川から引き揚げられたという知らせがくる。


妹は悪党に麻薬浸けにされ、ボロボロにされて自殺したのだった。


手帳には、その詳細が書かれており、読み進むうちに、悪党(リノ・ヴァンチェラ)へ怒りを抑えきれなくなってくるドゥニ。


「我々は神に遣える身。後の裁きは警察に任せるべきだ!」


神父は忠告するも、ドゥニは、とうとう決意する。


「私は私のやり方で、あの悪党を裁いてやる!」と……。



このオムニバス7本の中で、一番の悲劇話。(他がそんなに重くない話ばかりなので、特にこの1本だけは異色かも)


思い詰めて復讐を誓うドゥニを、あの有名歌手シャルル・アズナブールが演じている。


でも、話には全く関係ないんだけど、「シャルル・アズナブールって、こんなに小さかったんだ~!」と改めて気づいてしまった。(『アイドルを探せ』では、あまり気にならなかったのだけどね)



神父役の人と画面に並べば、それがハッキリと分かる。


まるで子供みたいな低い身長。

それに痩せていて貧相な体つき。


リノ・ヴァンチェラとも並んでみても、やっぱり小さいシャルル・アズナブール。


こんな体から、あの、大ホールに響き渡るような声が出るのか~。(人は見かけじゃ分かりません。なんか別のところで、妙な感心をしてしまいました)




リノ・ヴァンチェラの方は、いつもの安定の悪役。(本当に可哀想なくらい、いつも悪役ばっかり)


でも、話自体は、あんまり私好みじゃないかもしれない。(アズナブールには気の毒なんだけどね)





こんな感じで書いてみて、やっと3話分が終了。


そして、取りあえず今回はここまで。



簡単に書いてもいいのだが、なんせ、この映画、有名なスターが、この後もめじろ押しに出演なさってるのだ。


粗略に扱うのも、なんだか気がひけてしまう。


長々と②にまたがる事、どうかお許しを。(だからオムニバス映画は苦手なのだ (笑) )


②へと続くのであ~る。