1953年 イタリア。
グ~タラ5人組の若者たち。
職にも付かず、毎日がグ~タラ暮らし。(あ~これぞ、青春って感じ)
女の尻ばかりを追いかけまわしてばかりいる、根っからのスケコマシ野郎『ファウスト』(フランコ・ファブリッツィ(写真左手前))。
姉と母親がいるのに、自分は働かずに享楽にふけってばかりいるオッサン顔、『アルベルト』(アルベルト・ソルディ(写真右))。
劇作家志望でメガネ君、『レオポルド』(レオポルド・トリエステ(写真中央))。
美声で歌うのが大好きな、こちらもオッサン顔、『リッカルド』(リッカルド・フェリーニ(写真上右))。
そして、仲間内では最年少の『モラルド』(フランコ・インテルレンゲ………仲間では一番のイケメンさん(写真上左))。
こんな5人組は、田舎町のイベント、ミス・コンテストにやってきた。
だが、天候が怪しくなっきて、突然の稲光。
皆が、近くの建物の中に引き揚げていくと、雷鳴とともに外は大雨になった。
そんな中、優勝者のサンドラが突然ぶっ倒れた。
「キャアアーッ!サンドラ!!」側にいた母親が叫び、皆が騒然としている時、アレレ?……ファウストの姿がいないぞ。
ファウストは急いで帰宅すると、荷造りをしはじめた。
雨の中、急いで帰宅した息子を怪しむ父親。
「何なんだ?お前、いきなり帰ってきて!」
「頼む!親父、5000リラ貸してくれ!今から働きに行くから!」
「働きに行くって、こんな雨の中?」
そんな会話の途中、モラルドがやって来た。
「ファウスト、妹は《妊娠》していた……」
「へ~そうか、おめでとう」(しらを切るファウスト……明らかに相手はお前じゃないか)
立場がまずくなるのを見越して、ファウストはトンズラしようとしていたのだ。
そんな会話を戸口で聞いていたファウストの父親はカンカン。
「どこにも行かせないぞ!責任をとってお前はサンドラと結婚するんだ!分かったな?!」
父親の怒声に、もはや観念!と、トホホ顔のファウスト。
雨上がりの外には、仲間のアルベルトやレオポルド、リッカルドもやって来て、はやし立てた。
「頑張れよー!ファウスト!!」
「おめでとさ~ん!!」
人の事だと思ってコイツら……
そして、後日、教会でリッカルドの美声が高らかに響く中、ファウストとサンドラの結婚式は、執り行われたのであった。
「パパ、結婚して良かったよ~」(コイツ~)
浮かれて騒いで、皆に祝福されるとファウストも、その気になって、不意に、そんな言葉が洩れた。
花嫁花婿は、列車で新婚旅行。ローマへ旅立っていき、それを見送る仲間たち。
だが、人間そんなに直ぐに変われるものか?
根っからのスケコマシ、ファウストの性格は環境が変わっても、変わらずに………。
フェデリコ・フェリーニの『青春群像』をやっと観れた。
これも、長年、「観たい、観たい」と、切に思っていた映画。
この翌年には、あの名作『道』が公開される。
この映画も評価が高く、あのスタンリー・キューブリック監督が、「一番好きな映画」として、これをイチオシしているのも知っていた。
こんなのを頭の片隅に入れていたので、観る前から、俄然、この映画にも期待してしまう。
で、観た感想………
カル~いし、みんなアホだし、
「今日が楽しければそれでいい。明日は明日の風が吹く」なんてのを地でいくような人物たち。
泣いても、怒っても、それを次の日までズルズル引っ張らない。
カラッとしてる。
これが、この時代の人間の特徴。
この時代から数十年が経ち、こんな人間たちを、ほぼ見かけなくなった。
かくいう自分にしても、ひとつの事にジメジメ囚われて、明日も、次の日も、ずっとズルズルと考えてしまう。
イヤだ!イヤだ!
今の窮屈そうで、がんじがらめの世の中とは、まるで真逆のような大らかさ。
こんな映画を観てしまうと、「昔は良かったんだなぁ~」とつくづく思わずにはいられない。
こんな映画を観てしまうと、「昔は良かったんだなぁ~」とつくづく思わずにはいられない。
最後、浮気を繰り返すファウストに、ウンザリしたサンドラは、乳飲み子を抱えて家を飛び出す。
サンドラに家出されて、やっと自分の愚かさに気づいたファウストは、あちらこちらを探してまわり……
結局は、サンドラは、ファウストの父親の家に赤ん坊を連れて身を隠していた。
「サンドラ~!」
やっと見つかったサンドラにホッ!とするファウストだが、このままですむはずもなく………
怒りの父親の折檻が待っている。
ファウストの父親は、ズボンからベルトを抜き取ると、サンドラと子供を部屋から追い出した。
「お前という奴は……そこへなおれ!!」
ベルトで、バッチン!バッチン!30男の息子をムチ打つ父親。
「ヒィーーーッ!やめてくれぇー!父さん!!」
部屋中を逃げ惑うファウスト。(この場面、相当可笑しくて笑ってしまう(笑) )
愛するファウストが打たれる声にたまらず、サンドラが、「もう、やめてー!」と声を荒げて喧嘩はオシマイ。
二人は抱きあってハッピー・エンド。
「ごめんよ、サンドラ……」
帰りには父親とも抱きあって和解するファウストとサンドラ。
怒りは一時のもの。そして、それを許すのも簡単なのだ。
こんな痴話喧嘩や、仲間たちのグ~タラぶりを見ていた一番若いモラルドは、「自分もこのままじゃいけない……」と街を去る決心をする。
一人、汽車に乗って、旅立とうとするモラルドに手を振る駅で働く少年。
「元気でねぇ~モラルド!」
モラルドを乗せた汽車は、遠い線路の向こうへと消えていくのである………。
フェリーニの『道』も傑作なのだが、この映画を観てしまうと、私個人は、この『青春群像』の方が好き。
適度に青春のバカさ加減がつまっていて、不安もあって、でも、毎日を明るく生きてる人々。
星☆☆☆☆☆であ~る。
※リッカルド役のリッカルド・フェリーニは、もちろん監督フェデリコ・フェリーニの実の弟さんである。
他の出演者たちの経歴を、少しずつ調べてみるのも、また今後の楽しみかもしれない。