2019年3月15日金曜日

ドラマ 「刑事コロンボ」

1968年~2003年。






1968年といえば自分が生まれた年で、それが、つい数年前制作されていた事を考えると驚異的である。




「刑事コロンボ」のレギュラーは、主役のピーター・フォークしかいない。

脇のサブ・キャラクターもまったくでない。


よくコロンボの口癖で「うちのカミさんが~」なんてセリフがあるが、長いシリーズで、Mrs.コロンボが出演した事もない。




ゆえに、全てはピーター・フォークが出演するか、しないかだけの問題で、それをクリアすれば、何も問題なく撮影が開始できるわけなのだ。


長期シリーズも納得である。




それにしても、ピーター・フォークもよく、この「コロンボ」だけではなく、様々な映画にも出演しながら、俳優業を全うしたものだ。




ピーター・フォークの右目は義眼である。


3歳の時、腫瘍ができ、摘出手術をしている。


子供のときからとはいえ、片目で台本を読み、覚え、演じる事の困難さや、大変さを思うと尊敬してしまう。






またまた脱線したが、話を「コロンボ」に戻そう。


「コロンボ」は倒叙ミステリーである。



「倒叙(とうじょ)ミステリー」とは、真犯人が最初から分かっていて、完全犯罪を目論み、それを警察や探偵が、アリバイ崩しや、決め手になる証拠で、追いつめていく手法である。



最後に、あっと驚く真犯人が明かされるクリスティーの小説とは、真逆の手法をとっているミステリーなのだ。


でも、「最初から犯人が分かっていているミステリーが面白いのか?」って思う人もいるに違いないが、

それが、ツボにハマればけっこう「面白い」んです。


視聴者に、冒頭、頭の良い犯人の殺人をじっくり見せてからの、細心のアリバイ計画。

(よし!これで完璧だ!完全犯罪だ!)

愚鈍な警察さえも騙せると、胸をはって「いつものように普通の生活をおくっています!」の演技をする犯人。



そこへ「コロンボ」!



ヨレヨレのコートに身を包み、モジャモジャアタマをかきながら、冴えない風貌の「コロンボ」が現れる。


この身なりに犯人は、一旦は堅いガードを解くのだが、「コロンボ」の中身は、食らい付いたら、決して離れない刑事魂の塊のような人物なのだ。


あちこち歩き回り、質問し、些細な事に疑問をもち、また質問を繰り返す。



質問が終わり、コロンボが帰ろうとして、ホッと胸を撫で下ろす犯人。(やっと、このしつこい男からを解放された)


その時、コロンボがドアの前で、Uターンして、振り向き様に、


「あの~もうひとつだけお訊きしてよろしいでしょうか?」

と言って戻ってくる。


もう、この時の、犯人のイライラした様子。


(またかよ?いい加減しつこい!さっさと帰れよ!)という、犯人の内なる声が、観ているこちら側にも聞こえてきそうで笑ってしまうのだ。


そして結果は、コロンボの粘り強い作戦勝ち。


馬脚を現した犯人の完全犯罪は、脆くも崩れ去るのである。



このパターンをおさえながらシリーズは続いていく。




シリーズは2003年まで69本あり、NHKが以前アンケートをとったが結果はごらんのとおり。


1位、「別れのワイン」

2位、「二枚のドガの絵」

3位、「忘れられたスター」

4位、「溶ける糸」

5位、「パイルD-3の壁」

6位、「祝砲の挽歌」

7位、「ロンドンの傘」

8位、「構想の死角」

9位、「歌声の消えた海」

10位、「逆転の構図」……と続く。



個人的にはジャネット・リーの「忘れられたスター」が入った事やレナード・ニモイ「溶ける糸」は嬉しかった。



ヴェラ・マイルズの「毒のある花」やアン・バクスターの「偶像のレクイエム」やマーティン・ランドーの「二つの顔」も捨てがたい。



有名俳優、女優たちが「こんな役で?!」も、このシリーズの楽しみでもある。


それに、どこから観ても楽しめる。こんなシリーズも珍しいだろう。


もちろん星☆☆☆☆☆をつけさせて頂きます。