1982年3月〜1983年2月。
80年代初頭は、まさに《特撮番組》の危機だった。
この時期、長年続いていた『仮面ライダー・シリーズ』が一旦終了し(『仮面ライダー スーパー1』が1981年に終了)、他の特撮番組も続々と無くなっていった。(原点回帰として再び『仮面ライダーBLACK』が始まるのが1987年である)
特撮番組といえば、今も続く『戦隊ヒーローモノ』だけが、辛うじて一本残っている状態。
(この状況を打開するにはどうしたら良いのか?!いまや御家芸となっている日本の《特撮》をこのまま廃(すた)れさせていいのだろうか …… )
東映では会議が開かれ、試行錯誤の末、内容は《宇宙》+《刑事》モノ。
タイトルを『宇宙刑事ギャバン』として、この作品で再起をはかる事になった。(主人公《ギャバン》の名前が、フランスの俳優 ジャン・ギャバンからきているのは有名な話である)
そうして、主人公ギャバン役には大葉健二さんが抜擢される。
千葉真一に憧れ、《J・A・C(ジャパン・アクション・クラブ)》に入り、数々のスーツアクターやら脇役やらをこなしてきた彼も、この時、既に芸歴10年を超えていた。
ここへきて、ようやく念願の《主役》である。
大葉健二さんは燃えた🔥!
どんなに危険なスタントだって、これまでの下積みや経験を活かして、どんどん挑んでいく。(おかげで後に続く後輩たちが苦労するんだけど(笑))
それに続けとばかりに、制作サイドも次々と新しいアイデアを実践していく。
このギャバンへの変身シーンなんてのは、当時、画期的だった。
天空に右手を上げて「蒸着(じょうちゃく)!」と叫ぶと、あら不思議!
一瞬でメタル塗装をほどこした『ギャバン』の姿になってしまうのだ。(大気圏外で待機している宇宙船から、粒子状のレーザーを照射して、それが外形を覆うような《コンバットスーツ》になるのだ)
シルバーメタリックのギャバンは、ひと際格好良い。
それに加えて、ギャバンの相棒になる『ミミー』役に叶和貴子さんを抜擢したのには、さすがに驚いた。
なんせ、この叶和貴子さん、いくら同じテレビ朝日系列とはいえ、一年間のヒーロー番組『ギャバン』に出演しながらも、同時期に、江戸川乱歩の美女シリーズでは、何度も大胆な濡れ場やフルヌード♨を披露するんですもんね。
両方観ていた私なんかは、(あの『ミミー』が、こんなあられもない姿をお見せしちゃって良いのかしら …… )と、ハラハラ、ドキドキやら …… (今じゃ絶対に有り得ない話だ)
そりゃ、当時も口うるさい連中の投書もあっただろうが、《東映》という会社は一切動じず。
それどころか、東映では、ギャバンも最後までしっかり務めさせて、次作『シャリバン』、『シャイダー』にも出演させるのだから、
「さすが!天下の東映さんは肝が据わっているなぁ~!」と、変に感心した思い出がある。
とにかく思春期の私などを巻き込んで『宇宙刑事ギャバン』は大ヒットし、『メタルヒーロー・シリーズ』は当分の間、続く事になる。