2021年4月5日月曜日

人物 「ロジャー・ペンローズ」

(1931年~ イギリス)





知ってる人は知っている。

興味のない人には、まるで知られてないかも。



それでも彼は現代の偉人であり、大天才!


それが《ロジャー・ペンローズ》様なのである。


2020年度のノーベル物理学賞は、このロジャー・ペンローズ様が受賞した。


コロナ禍の中で、ノーベル賞の受賞式も、今回、ひっそりと行われていたけど、ペンローズ様の受賞は「やっとか…」と思うほどで、やや遅すぎる感じもしていたほど。


凄く過剰な持ち上げようだと思うだろうが、凄いお方なのだからしょうがない。



実は白状すると、無知な自分は、ペンローズ様の存在すら、ごく最近まで知らなかった。


私、昔から、版画家のマウリッツ・エッシャーのフアンだったので、エッシャーを通じて、知った次第なのである。



マウリッツ・エッシャー(1898~1972年)



エッシャーといえば《騙し絵》


美術にあまり興味がない人でも、エッシャーの騙し絵は、必ず、どこかで見たことがあるはず。(そのくらい超有名)



たとえば、この有名な代表作《滝》


頭上から落ちて流れる滝の水は、流れ流れて、重力なんてのを無視して、また元の頭上にまでたどり着き、また、同じように流れ出でる。


目で追いながらも、延々繰り返される、こんな不可思議な絵に、最初見た時は、心底おったまげた。


……まるで、脱け出せない迷宮に迷い混んだような気持ちにさせてしまう。



この名作《上昇と下降》も同じ。

昇っても、昇っても、永遠にたどり着かない、堂々巡りの階段。(何やねん、これ)



こんな摩訶不思議な空間を、緻密な計算で、しかも版画で描いてしまうエッシャーさん。


どれもこれも、一度見たら素通りなんてできない程、「ジーッ」と見入ってしまう傑作ばかりである。(あ~《エッシャーの個展》があれば見に行きたいなぁ~)



こんなエッシャー、

「私は芸術家ではない、ただの版画家だ」と謙虚なコメントをしている。


(随分、遠慮深い人だなぁ~……)と思っていたら、その理由もやっと分かってきた。



エッシャーの絵には、元にある図案が、そもそもあったのだ。


絶対に有り得ない《不可能図形》……その図形を考案したのが、何を隠そう、

ライオネル・ペンローズ』と、その息子である『ロジャー・ペンローズ』の親子だったのである。(Oh!!( ゚ロ゚)!!)



親子で大天才の二人。


父親のライオネル・ペンローズは精神医学、医科遺伝学、小児科学、数学などなど……(他にも色々ある)の権威。(どんだけ頭が良いの?)


その子供たちも、やっぱり大天才たちばかり。


そんなライオネルの四人の子供たちの中でも、このロジャーは、特に別格。(他の兄妹たちも凄いんですよ)


ロジャーは数理物理学、数学、科学哲学に秀でているという大天才に成長していくのだ。



こんな親子は、(どういう頭をしているのか?)共同で、今まで見たこともないようなトンデモない図形を完成させて発表する。



それが《ペンローズの三角形》だったり、《ペンローズの階段》だったりするのだ。


《ペンローズの三角形》




《ペンローズの階段》


現実世界では、絶対に有り得ない不可能な図形。


他にも、親子が考案した図形はまだまだある。(《ペンローズ・タイル》なんてのもある)



エッシャーの版画は、このペンローズ親子が考案した図形に想像を膨らませたモノ。


しかも、ペンローズ親子はエッシャーの絵のアドバイザーでもあったのである。(あ~、だから謙虚なコメント。それでもエッシャーの残した版画の傑作たちが、決して色褪せることもないのだけれど)



こんな発明だけでも、もはや大発見なのに、天才と言われる人は、これだけでは終わりません。



今度は、ロジャー・ペンローズは、かの有名なアインシュタイン博士に、真っ向から対決を挑み、そして勝利するのである。


《アインシュタイン博士》



それが、

《相対性理論によってブラックホールの形成が証明されることの発見》なのだ。


 

相対性理論とは、アインシュタインが創始した理論なんだけど、一言で言うと時間空間に関する理論。(まぁ、凡人の自分には何が何やらチンプンカンプン)



ある日、天体物理学者のシュヴァルツシルト博士が、相対性理論のアインシュタイン方程式を解いてみると、その結果、《特異点》なるモノが存在することに気づいたのだった。



当時、アインシュタイン自身はこの《特異点》(ブラックホール)について、


「あくまで理論的な計算の結果出てきたもので、実在するものとは無関係」と判断してしまい、そして、1939年に発表した、自身の論文では、ブラックホールの存在を完全に《否定》したのである。



それに「待った!」をかけたのがロジャー・ペンローズ。



そんなアインシュタインが導き出した《ブラックホール否定説》を、同じように、相対性理論を生み出した方法や同じ計算方法を使って、ガラリと覆して見せたのである。


「特異点、つまり《ブラックホール》は相対性理論から、自然に導き出せるのだ!」と。



星の大きさが、一定の重さになると、その星が崩壊(大爆発)する。


すると、そこには《特異点》が誕生するのだ。



それが《ブラックホール》


あらゆる物質や光さえも呑み込み、一度入ると脱け出せない漆黒の穴。


それをアインシュタインの相対性理論を逆に使って、立派に証明してみせたのである。



もう、相対性理論やら方程式やら、天才同士の頭の中はどうなっているのやら……


とにかくロジャー・ペンローズはアインシュタイン相手に堂々勝利した。



そうして、今までの功績を認められて、ノーベル物理学賞を受賞したロジャー・ペンローズ様なのである。



自分たちが、目にするSF映画などにも、こんな物理学者たちの発見は大きく関わっているはず。


凡人の自分は、天才ペンローズ様の足元にも及ばないのは充分承知。

でも、その偉大さだけは、多くの人に知ってほしい。


こんなblogに記しておくことで、知るきっかけになった人ができたなら、これ幸いである。(おしまい)



※この文章を書くために、ここ数日間、ペンローズの三角形やらエッシャーの騙し絵やらを、ずっと考えていたせいか、トンデモない悪夢を見てしまった。


これが凡人である自分の限界なのかもね。

あ~、それにしても疲れたビ~。