(1904~1989年 スペイン)
♪《ダリ》だ!《ダリ》だ!《ダリ》だぁー!!(ガッチャマン風に)
《サルバドール・ダリ》である。
このblogも3年を過ぎると書いてる自分も、ややマンネリ気味。
今回はガラリと目先を変えて(読んでくれる人がいるか、どうか分からないけど)、シュールレアリストの画家《サルバドール・ダリ》について、チョコチョコっと書いてみようと思う。
その前に《シュールレアリズムとは》について、かいつまんで説明すると、
『理性による監視を全て排除して、美的・道徳的なすべての先入見から離れた、思考の書き取り』なのだそうだ。(Wikipedia参照)
まぁ~難しい言い回しだこと。
要するに、有名なピカソやら、岡本太郎のような、凡人たちが見ても「何じゃこりゃ?!まるで訳の分からない!!」のが、シュールレアリズムの画家たちが描く絵。
現実世界から離れた、自分の思い付きや考えを、第3者の目なんか気にせずに、キャンバスに描いていくのが、シュールレアリズムが目指す世界なのだ。
描く方も、そんなのを念頭に描いているのだから、見る側も、受けとり方は「どうぞご自由に!」って事を言いたいんだと、自分は解釈している。
でも、こういうジャンルの絵って「素晴らしい!」と大絶賛する者もいれば、「どこが良いのか全然分からない!」と毛嫌いする者もいたりして、評価は真っ二つに別れやすい。
かくいう自分も、この手のジャンルの絵画は、ちと苦手。
だが、そんな中で、《サルバドール・ダリ》の絵だけは別格に思っていて、わりと好きな方なのである。
有名なサルバドール・ダリの代表作、『記憶の固執』。
整然とした空間の中に、歪んだ時計が溶けるように垂れ下がっている、一見奇異な絵なんだけれど、綺麗な色使いや繊細なタッチで、全体的に落ちついた様子。
他のシュールレアリストたちのハミ出すような荒々しさとは、まるで違う……(案外、この人、繊細で常識人なのかも…!)なんて思わせてしまうのだ。
写真を見れば、目ん玉をひんむいて、長く伸ばしてあるカイゼル髭を、おっ立てたりして(水飴で固めてるらしい)、せいいっぱい道化てみせるダリなんだけど、これも何か複雑な気持ちの裏返しだったりして。
そんなダリの生い立ちを知ってみると、この道化ぶりも、複雑怪奇な絵も、何となくだが分かるような気もしてくる。
ダリには兄がいたらしいが、ダリが産まれる9ヶ月前に亡くなっていたらしい。
そして、ダリが産まれると親は、死んだ兄の名前をそのままダリに名付けたのだ。
「お前は死んだ兄の生まれ変わりなんだからな!」(まぁ~なんてドライな親なんでしょ)
ガーン!( ̄▽ ̄;)
(俺は死んだ人間の代わりか……それなら俺の存在理由って何なんだ?……)
こんなドライな親から産まれたとは思えないほど、生まれつき繊細な性質のダリは、こんな十字架を生涯抱えることになり、ひとり思い悩む。
美術的な才能はあっても、埋められない心の中にポッカリ空いた穴……。
有名な美術学校に入って、その才能が頭角を表しても、教師と対立して、とうとう放校処分にまでなってしまう。(荒れてた時期もありました)
そんな悶々とした気持ちをもて余す日々を送るダリだったが、ある日、運命の女性が目の前に現れた。
「この女性(ひと)だ! この人こそが自分が求めていた運命の女神!!」
その女性の名は『ガラ』……だが、このガラさん、すでにダリの友人と結婚している、れっきとした人妻だったのだ。
それでも諦めきれないダリは「好き!好き!」攻撃。
そんなダリの情熱にほだされて、ガラさんの気持ちもユラユラ揺らぐ。(まるで昼メロの世界 (笑) )
ドロドロの愛憎劇やスッタモンダがあった末、とうとうガラさんは離婚し、ダリが30歳になったとき、二人は、やっとこさ結婚したのだった。(ガラさんはダリより10歳上。姉さん女房である)
こんなダリは、ガラが1982年に亡くなるまで(ガラさん享年88歳)、ガラひとすじの猛烈な愛情だったらしいが、肝心のガラさんは若い男が好きで、たまにフラフラする時があったらしく、ダリは年中ヤキモキしていたとか。
で、その注目を集めるガラさんなのだが………
………………ごめんなさい!
欲目に見ても美人だとはいえないような容姿(アララ…ガックリ⤵)。
片や、サルバドール・ダリの若い頃は、「まるで映画スターじゃないか!」と思えるほど絶世の美男子なのである。
こんな美男子が、なぜにこんな女性に夢中になるのかねぇ~(まぁ、人の好みはそれぞれなんだけどさ~)
とにもかくにも、女神(?)を手に入れたダリは、それから本業である画家の仕事も絶好調!
次から次へと、後世に残るという傑作を産み出していくのである。(このガラさんが、ダリにとってはインスピレーションの源になるらしいのだから、ある意味、やっぱり幸運の女神だったんだろうな)
そして、こんな本業で絶好調なダリだが、意外にも、まるで畑違いな映画の世界でも大活躍しているのだ。
古くは1929年に公開された映画『アンダルシアの犬』は、有名なルイス・ブニュエル監督との共同制作。(私、この映画を怖くていまだに観れない。わずか21分の短編映画なのだが、●●を剃刀で切り裂く場面があると知ってしまい、想像しただけで「ゾゾーッ!」と震え上がってしまう。●●は牛の吹替を使ったらしいのだが、それでも生理的に、やっぱりダメだ)
ヒッチコックが監督した『白い恐怖』(1945年)でもサルバドール・ダリは協力している。
主人公グレゴリー・ペックが記憶喪失になって、その記憶を探ろうとして夢に出てくる場面は、ダリがデザインした摩訶不思議な空間である。(当時としては大がかりなセットだ)
いかがだったろうか?
自分の稚拙な文章でも、こんなサルバドール・ダリに興味を持っていただけただろうか。
少しでも興味を持っていただければ、これ幸いである。
幻想的なサルバドール・ダリの残した傑作に触れてみるのも、たまにはいいかもしれない。
ただ、シュールレアリズムの絵は、自宅に飾る絵じゃないなぁ~(こんなのを壁に飾った日には落ち着かないに決まってる (笑) )
長々、お粗末さまでございました。