2020年4月18日土曜日

ドラマ 「仮面ライダー W」

2009年9月~2010年10月。







一年中、風がそよいでいる町、『風都』。


そんな町の、あちこちに立てられた『風都』のシンボルである風車は、風に煽られて、常に回り続けている。





その町の一角に『鳴海荘吉』(吉川晃司)の経営する『鳴海探偵事務所』がある。



ダンディーで、格好いい、「これぞ!男の中の男!」ともいうべき宗吉は、一番弟子の『左翔太郎』(桐山漣)にとっては、まさに憧れの存在だ。



「俺も、『オヤッサン』みたいな、格好いい、ハード・ボイルド探偵になる!」



そんな想いの翔太郎だったが………1年前(2008年)、鳴海宗吉とふたりして、高層ビルから、ひとりの少年を救い出す任務の途中、鳴海宗吉は、謎の敵が放った凶弾に倒れた。




「オヤッサーン!!」




からくも救い出した少年と脱出を試みる翔太郎に、少年(菅田将暉)が、ある、特殊なメモリを取り出して囁いた。



「どうだい?悪魔と取り引きするつもりはないかい?」と………。





そして、1年後…………。


宗吉が亡くなり、名前も記憶もない少年に『フィリップ』と名付けた翔太郎は、鳴海探偵事務所を引き継いで、守っていた。(ハードボイド好きの翔太郎ゆえ、レイモンド・チャンドラーの小説に出てくる名探偵、『フィリップ・マーロウ』にあやかって、呼び名にしたと思われる)



(この『風都』の町は、オヤッサンの意志を継いで、俺が守る……)

そんな決意の翔太郎なのである。




だが、そこへ突然、現れた一人の少女。


大阪からやって来た、鳴海宗吉の一人娘、『鳴海亜樹子』(山本ひかる)が、土地の権利書片手に、ズカズカ乗り込んできたのだ。


「お父さんはどこよ?あんたたち誰?!ここは私の土地よ、今月中に引き渡してもらうからね!」


コッテコテの関西特有のノリツッコミを振りかざす亜樹子に、ニヒルを気取る、翔太郎の調子も狂いがち。



それに………(オヤッサンが死んだ事を、どう説明してよいのやら……)と、ひとり悩む翔太郎。



そんな想いの翔太郎に、

「なにカッコつけとんじゃい!」と、亜樹子は、全くお構い無し。


どこから持ってきたのか………便所スリッパを取り出しては、翔太郎をハタくという、古典的なツッコミを繰り出す。(今どき、こんなモノを持ち歩くなんて………これが仮面ライダーのヒロイン??(笑))




そんな時、事務所に、ひとりの依頼者が。


「翔ちゃん、助けて!」

切羽つまった表情の依頼者に翔太郎の顔つきも変わる。



「安心しな!町の平和は俺が守ってみせる!」
(ふっ、キマッタぜ!……)なんて、いちいち自分に酔いしれるポーズの翔太郎。



翔太郎が、聞き込みの為に出ていくと、それを亜樹子も追いかけてゆく。(やっぱりスリッパ持参で)


「待ってよ!私も着いていくわよ!」






『風都』の町には、人を怪人に変えてしまう『ガイヤ・メモリ』なるモノが出回っていて、そのたぐいの事件が、頻繁に起きていた。



(多分、これも『ガイヤ・メモリ』が関わっているのかも………)



早速、情報を得るため、動き出す翔太郎なのだったが…………。




子供の頃に観ていた『仮面ライダー・シリーズ』。



『ストロンガー』くらいまでは、たまに観ていた記憶が、かすかにあるが、内容は全く覚えていない。(もう、この頃は『Gメン』やら、『横溝正史シリーズ』やらの、刑事ドラマや、ドロドロ愛憎劇に夢中だった為)




自分が『仮面ライダー』を、とっくに卒業してからも、昭和から平成にまたぎ、シリーズは、ポツポツ続いていた。



たまに、見かける事もあったが、「まだ、やってるのか………」くらいの感想。




でも、たまたま観た、この『仮面ライダーW』には、ドハマリした!



見事に!



いい歳になって、今更、『仮面ライダー』にハマるなんて、恥ずかしい気もするが、この『W』に限っては、充分、大人の観賞にも耐えうる作品だと思うので、ここに取り上げた次第である。




『W』は、「二人で一人の《仮面ライダー》」をコンセプトに、原点回帰をめざした、シンプルなデザイン。




半身、色が違うだけの仮面ライダーとなっている。(『キカイダー』にも似てるし、二人で一人の『バロムワン』も思い出させる)



スッキリしている。(これで充分、格好いいのだ。最近のゴテゴテ飾り立てて、キィー!キィー!うるさいベルトや、意味のない変身を繰り返すライダーが映ると、それだけで嫌悪感。すぐさまチャンネルを変えてしまう)



『左翔太郎』と『フィリップ』が、それぞれベルトを装着し、メモリをはさむと、フィリップの意識はなくなり、翔太郎の体へと移行。



そして、両手を広げた翔太郎の体を、いくつもの微粒子が集まっていき、半身色違いの『W』へと変貌させる。



「キャアアーッ! 二人が半分こ怪人にぃー!! わたし聞いてないぃぃー!」(by 亜樹子)







『W』の見た目がとにかくいい。



いくつかの変身バリエーションもあるのだが、デザインがシンプルなので、どれもこれも見た目、格好いい。

戦い方も、その特性をいかして戦うので、それを観ているだけで超楽しい。



これはアイデアの勝利だろう。



敵の『ドーパント』といわれる怪人にも、個性やそれぞれの特性があり、毎回、「次はどんなドーパントなんだろう?」とワクワクさせてくれた。






それに、この『W』はドラマ部分が優れている。



全49話なのだが、2話を使って、一つの話が完結する構成。(最終回49話だけがエピローグ的な位置つけ)



だから、ドラマ部分が充実しているのは当たり前で、単純に一時間ドラマ24話と30分エピローグなんて風に思っておけばよい。(劇場版も傑作!)



カッコつけの翔太郎、変わり者のフィリップ、コッテコテの関西人亜樹子の3人のキャラクターも分かりやすいし、親しみやすい。(このスリッパツッコミには、最初ドン引きしたが、観続けると、それも慣れてくるものである)



それにしても、このフィリップ役の菅田将暉が、こんなにブレイクするとはねぇ~。



この時、誰が予想しただろう………。


山本ひかるちゃんも『科捜研の女』で頑張ってるし。


桐山漣くんも……うん、それなりに頑張ってるよね(笑)。(この人の仮面ライダーに対する情熱を知ってから、実は陰ながら応援してるのですよ。何とかブレイクしてほしい~)





大人の観賞にもたえうる、『仮面ライダー W』。



この機会に、一気観をオススメしておきます。




「さあ、お前の罪を数えろ!!」( by 翔太郎&フィリップ )




今までの人生、罪だらけの自分は「ドキッ!」(笑)


星☆☆☆☆☆。