2019年2月6日水曜日

映画 「ゴーストワールド」

2001年 アメリカ。






高校を卒業したばかりの、『イーニド』(ソーラ・バーチ)と『レベッカ』(スカーレット・ヨハンソン)の全然、熱くならない青春映画である。




だれかれを、見つけては、それを馬鹿にして楽しんでいる悪趣味な二人組。


他の卒業生たちを、

「アホの大群じゃん!」

と切り捨てるのは、黒メガネでデコッパチの『イーニド』。(欲目にも美人といえない。見た目もブス。中身もブス。最悪である)





「ほんと、あのヒス女、よくあんなスピーチできるよね」

と、卒業生代表のスピーチをケチョン、ケチョンに扱き下ろすのは親友の『レベッカ』。(見た目は金髪で、超美人なのにね)




辛辣で毒舌、10年来の親友同士の二人の会話は、いつもこんな感じ。


だが、卒業しても、イーニドだけが、美術の落第点をとり、サマー・スクールの補習を受けなければならない。


「最悪~」

イーニドが、ブツクサ言う側で、レベッカが笑っている。


しばらくは、街中をブラブラしては、コンビニでバイトをしている『ジョシュ』(ブラッド・レンフロ)をからかう日々。

だが、一日一日は、二人の見えないところで、着実に溝を広げていくのだった……。






人を馬鹿にしながらも、まるで先行きを考えていないイーニド。


イーニドは、馬鹿にするターゲットとして、出会い系広告の番号に電話して、中年の『シーモア』(スティーヴ・ブシェミ)を呼び出したりする。(ここでも、スティーヴ・ブシェミ。気がつけばブシェミの出演する映画ばかりを選んでいる自分に驚く!)


土曜のマーケットで、マニアックな曲のレコードを売る冴えないシーモア。

馬鹿にしながらもイーニドは、世間からはみ出し者扱いのシーモアに、自分を重ねて惹かれていく。



自分は、この先、どうしたらいいのか分からない。


大学に行く気もない、何の仕事をしたらいいのか分からない。




する事といえば、髪を緑に染めたり、キャットウーマンのマスクを被って歩き回ったりする事だけ。(人の事を馬鹿にできるのか?)



まるで、逃げ道を探しているようなイーニドに対して、親友レベッカは現実を、ちゃんと見据えている。

バイトを始めて、アパートを借りて、一人暮らしをするために着々と動き出すのだ。




そんな二人が合うはずもなく ……


微妙な距離感は広がり、やがてレベッカの方から「サヨナラ」を告げて、一人去っていくのだ。



残されたイーニドは、結局、シーモアとも別れて、一人、暗い町をさ迷うのである。






口が悪くて、ただ粋がっているイーニドの不安や焦りは分かる。

分かるのだが、あまり同情はできないかも。




イーニドもバイトをはじめてみるのだが、客にも先輩にも、ふてくされて終始タメ口。

当然、バイトは首になる。(当たり前だ)




こんな態度でイーニドが、金を稼いで自立できるのか?



無理!無理!(人生そんなに甘くない)


謙虚さの欠片もないイーニドに出来る仕事などありません。


これじゃ、どこに行っても長続きしないでしょうね〜。




レベッカが去っていった後、イーニドも夜半、鞄一つを持ってバスに乗りこみ、この町を出ていくのだが………



目的もなしに、いったいどこへ行こうというのか?

彼女にまともな幸せは訪れるのか。




行き着く先は天国なのか、はたまた地獄なのか ……… 不安なエンディングで映画は幕を閉じる。




これから社会人になる前に、この映画は観てほしいかも。


ノリのよい音楽、フワフワした夢見ごこちの日常の中で、《現実の厳しさ》を真正面から突き付けてくる …… ある意味、これは怖い映画なのかもしれない。

星☆☆☆。

2019年2月5日火曜日

映画 「100イヤーズ」

『2115年』 フランス。






年代は、間違いではない。



この映画は、2015年に製作されて、100年後の2115年に公開される。



完成されたフィルムは、それまで、厳重に、フランスの防弾ガラスの特殊金庫に保管され、2115年に自動的に解錠されるのだ。




監督がロバート・ロドリゲスで、主演がジョン・マルコビッチ、100年後を描いた未来のSFだというのだが……。



さすがに、もう、自分も、その頃には生きてない。



現代人が決して観ることが叶わない幻の映画なのである。




彼らの子孫たちの為に残した映画らしいが、よくも、まぁ、こんな事を思いついて製作したものだ。(元手もかかってるだろうに)



ただ、ジョン・マルコビッチが主演という事で、普通のSFじゃないような気がする。(『マルコビッチの穴』という奇抜な映画もあるので)



監督がロバート・ロドリゲスなら、ぶっとんだ常識はずれな映画?のイメージなのかな?




この映画、すでに3パターンの予告編があるのだが、いずれも変わっている。



緑の自然に覆われた世界で、トンネルのような穴を進んでいくマルコビッチと中国人女性。


穴の先には、金庫があり、中には、納められた赤いコニャックの瓶。


マルコビッチと中国人女性が、それを覗きこんでいる。(意味不明)




数秒の、この予告を観たが、これだけじゃチンプンカンプン。




他にも人型ロボットに支配された世界、超テクノロジーに支配された世界があるらしいのだが(未見)



ますます分からない??



どうせ、生きてるうちに見られないので、あれやこれや空想してみるのも楽しいかもしれない。

映画 「デスペラード」

1995年 アメリカ。







メキシコ国境の町、サンタセシリア。


酒場にぶらりと、一人の男が入ってきた。



バーテンや馴染みの客たちは、よそ者の男をジロリと睨みつけ、明らかに歓迎ムードではない。


そんな空気には、お構い無しに、その男『ブシェミ』(スティーヴ・ブシェミ)は、カウンターに座りこむとビールを注文した。(役名も本名も一緒とは)




ヘラヘラした様子のブシェミは、バーテンや客たちに愛想をふりまくと、聞かれもしないのに、となり町の酒場であった事件を話しだした。(聞いていようが関係ない。話したくてウズウズしている様子だ)




ブシェミがとなり町の酒場で、他の客たちと飲んでいると、一人のマリアッチ(アントニオ・バンデラス)が、ギターケースを抱えて、フラリと入ってきたのだ。



異様な闇に包まれた様子のその男は、バーテンのそばに来ると、


「ブチョという男を探している……」

とだけ囁いた。




客たちは、その名前を聞くと途端に殺気立つ。


皆がピストルを取り出すと、銃口をマリアッチに向けて定めた。




だが、マリアッチの方が反応が早かった。


一瞬で、ギターケースの中にしまいこんでいた銃を取り出すと、直ぐさま乱射し始めたのだった……





「そ、それで……どうなったんだ?!」


いつの間にか、ブシェミの話に引き込まれていたバーテンが続きを促すと、


「そりゃ、辺りは一瞬で血の海よ」

と、ブシェミは得意気に、自分の手柄話のように続ける。



「マリアッチは、息絶え絶えの男から、ブチョの事を聞き出すと、奴にとどめの一発をお見舞いしたんだ」


「バーテンは?バーテンは助かるんだろう?、なぁ、バーテンは生き残るんだよな?!」


「それが、バーテンが一番ひどかった。出ていくマリアッチにカウンター下からライフルを出そうとした時、顔面に向けてズドンッ!よ!」



ブシェミの話しを聞き終えた客たちは、静まりかえっている。



「俺の話は終わりだ。じゃあな! せいぜい気をつけてくれよ!」

ブシェミは、話すだけ話すと、スキップでもするように、(ラン!ラン!)酒場から揚々と出ていった。




「なんなんだ~?…あの野郎はよぉ……」

バーテンは一言もらすと、他の客たちと、またシーンと静まりかえるのだった………






20数年ぶりに観た『デスペラード』の内容を、ほとんど忘れていたのだが、観ているうちに、どんどん引き込まれて思い出してきた。



冒頭から、いきなりスティーヴ・ブシェミが登場!(この顔、すばらしい独創的な顔、これでほとんど、つかみはO.K.!)




そしてオープニング。


アントニオ・バンデラスが、ギターを奏でながら、魂をこめて歌い上げる『我が心のモレーナ』♪



ギターの音色は、最初、ゆるやかに♪………

寂しく、悲しく、心に響いていき♪、

やがて、どんどん激しさを増してくる。





あ~思い出した、こんな感じ。




話のスジは至って簡単。




愛する女性を殺されたエル・マリアッチ(ギター弾きの男)が、ブチョと手下たちに復讐するお話である。



なのだが……これでもか!、これでもか!、というくらいに、サービス精神旺盛なくらい見せ場が盛り沢山。





ブシェミが帰った後、その酒場に、ブラリとやって来たマリアッチ(アントニオ・バンデラス)。


当然、バーテンから客たちは先程の話を聞いているので、ギターケースを担いだマリアッチを警戒している。



「おい!ギターケースを置いて手を上げろ!!

と、360度客たちに包囲されたマリアッチは、まさに絶体絶命。




ギターケースを開けると中には、只のギターが入っていた。


だが、運悪く、そのギターが、ギギギィィーーッ!と音をたてて、さらに開いていくと……



これは《ダミーのギター》じゃないか! 


中には、大量の武器が入っているのだ!!




殺せーーっ!

ブチョの手下の客たちが、一斉に引き金をかまえる。




だが、両手を上げていたマリアッチの黒い背広の手首から、ピストルがヒョイと持ち上がり、つかんだと思ったら、2丁拳銃で、ズドン!ズドン!!


あっという間に、客たちは仕留められ、その場に倒れこむのだった。




カ、カッコイイ~!!




監督はロバート・ロドリゲス。


最初は、低予算のたった7000ドルで撮った「エル・マリアッチ」が評価された。




そして、ハリウッドに呼ばれて製作費も700万ドルに羽上がった、この「デスペラード」。


だが、それでも他の映画に比べれば、まだまだ全然安いような製作費…(普通は何千万ドル)。


だが、ロドリゲスの「工夫次第で面白い映画は、絶対に撮れるのだ!」という情熱は様々な人を揺り動かしたのだった。


製作費のほとんどを、弾薬や武器に使ったロドリゲスの手許には、全くといっていいほどお金が残っていない。(もう、スッカラカン)




俳優たちは、ほぼノーギャラだったのだ。




それでも、


アントニオ・バンデラスしかり、


美女のサルマ・ハエックしかり、


変顔のスティーヴ・ブシェミしかり(顔の事ばかりでスミマセン)、


クェンティン・タランティーノが端役として出演したりと、色々な仲間たちが集まってくれた。

ロドリゲスの映画にかける情熱は、伝染病のように俳優たちに伝わったのだ。



「たとえ、ギャラがなくても、面白い映画が撮りたい!!」


たった、その気持ちだけで……



映画は大ヒットする!!




だからこそ、こんな映画がつまらないわけがない。




普段は長い髪を束ねたバンデラスが、いざ闘いになると髪を振り乱し、悪党たちを一撃で倒していく。



ラテン男の情熱的な生きざまを、とくとご覧あれ。



面白いよ。

星☆☆☆☆☆。


2019年2月3日日曜日

映画 「ペネロピ」

2008年 イギリス、アメリカ合作。






名家ウィルハーン家の当主ラルフは、使用人のクララを、ほんの火遊びで妊娠させてしまった。


だが、ラルフにしたら相手は只の使用人の娘。


罪の意識さえ無く、別の女性と結婚してしまう。


悲観したクララは身籠ったまま、可哀想に自殺してしまった。





だが、不倫の代償は高くつく。



これに怒ったのは、当然クララの母親。


しかも!なんと!彼女は『魔女』だったのだ。




「次にウィルハーン家に産まれてくる娘は《豚の顔》になれ!」と呪いまでかけてしまった。




ただし、呪いを解くには彼女を本当に愛する事ができる名家との結婚だけ………こんな条件をつけて。(変わった呪いだこと)




だが、魔女の呪いも、そうそう巧くいかない。


この後にウィルハーン家に産まれてくる子は、幾代も全て男の子ばかりだったのだ。(この辺り、魔女にとっては、「キーッ、なんでじゃ~?!」の心境だろう)





そして、時は流れて ―



『フランクリン・ウィルハーン』と『キャロル』(キャサリン・オハラ)の間に、待望の娘が誕生したのだ。



豚の耳に豚の鼻をもった娘が。(魔女も、やっと「ヤッター!」の歓喜の声)




産まれた我が子を見て、「ギャアアーーーーッ!」と卒倒してしまうキャロル。




整形手術も医者に、「不可」と言われて途方にくれる両親。

だが、どんな子でも自分が産んだ子で可愛くないわけがない。





その日から、母キャロルの、命がけの闘いの日々が始まるのだった。




外敵から、娘のペネロピを守る為には何だってする。



名家の娘の写真を一目でも撮ろうと、マスコミは常に待ち構えているのだから。


化粧棚に、こっそり隠れるほど小さな『レモン』なんてのがいるくらいなのだから本当に油断できない。




「こうなりゃ、もう、娘が死んだ事にするしかない」と嘘の葬式まであげてしまう始末。



こうして、幼いペネロピは家から一歩も出られず、外界から完全に遮断されて成長していった。




そして、18歳を過ぎると、秘書のワンダが雇われて本格的に花婿探しが始まる。




何人も何人も…。



だが、『ペネロピ』(クリスティーナ・リッチ)の顔を見た途端に、


豚人間だぁぁーーー!!

と叫びながら逃げていく。



それを執事のジェイクが、全速力で追いかけて連れ戻し「他言無用」の誓約書を書かせる。





今日も、2部屋の間にマジックミラーの鏡をはさんでお見合いが始まった。


名家の息子『エドワード』(サイモン・ウッズ)が、部屋に通される。


しばらくは順調だが、隣の部屋からペネロピがヒョッコリ現れると、いつものように「豚人間だぁぁぁー!」と叫びながら逃げていった。



ペネロピは(またか……)と思い、もう慣れっこになっているのか、とっとと引き揚げる。



執事のジェイクが全速力で追いかけるが、思ったより、このエドワードの逃げ足が速くて取り逃がしてしまった。


「ハァハァ……奥さま、すみません」


ジェイクの言葉に、(キィーーッ!)ヒステリーをおこしたキャロルは、秘書のワンダを連れて飛び出すようにエドワード捕獲に向かった。




だが、時、既に遅く。

エドワードは一目散に、あろうことか警察署へかけ込んでいたのだった。



「刑事さん!あのウィルハーン家の豚人間を、即刻逮捕してください!!」


「あんた、一体何言ってんの?その人が何か罪でも犯したの?」


「だって顔が、豚人間なんですよ!!」


「顔が、まずくて逮捕するなら、ニューヨーク中の人を逮捕せにゃならんよ」(おっしゃる通り)



変人扱いされたのは、むしろエドワードで、「おい!こいつを一晩留置しておけ!」と引っ張られていった。



だが、それを、あの記者である『レモン』が嗅ぎつけた。


「やっぱり!娘が死んだなんてウソなんだ!」


恨みがあるレモンは、エドワードから事情を聞くと、ギャンブル依存の売れないピアニスト、『ジョニー』(ジェイムズ・マカヴォイ)をスパイとして送り込む計画を立てた。


『マックス』と名乗らせて、次の集団お見合いへと送り込むのだ。





そうして、またもや始まったお見合い会。



今回は、キャロルの「数撃ちゃ当たるだろう!」考えで候補者たちが大勢並んでいる。



もう、ペネロピは面倒くさくて、直ぐ様、顔を出した。

案の定、男たちは叫びながら逃げていった。




「ヤレヤレ…………」

誰もいなくなったと思い、立ち去ろうとしていた瞬間、隣の部屋のソファーの陰から、スックと立ち上がる男の影。



そう、ペネロピの顔を、まだ見ていないジョニー゛マックス゛だけが、一人だけ残っていたのだった………






ファンタジー、コメディ、ラブロマンスありの贅沢な映画。


逆バージョン『美女と野獣』といったところか。


とにかく豚鼻のクリスティーナ・リッチが可愛らしいです。




ペネロピとジョニーは思いのほか、意気投合する。


マジックミラー越しの会話も弾んでいき、初めてペネロピも、

(この人なら……私を見ても驚いて逃げたりしないかも……)なんて期待をよせてしまう。




意を決して、ジョニー゛マックス゛の前に姿を現す決心をしたペネロピ。


だが、結果は………


やっぱり玉砕!



それでも、諦めきれないペネロピは、自ら初めて、

「結婚して、マックス!」と懇願するのだが、名家の息子ではなくペネロピを騙して付き合っていたジョニーは、自分では呪いを解けないと思って、渋々立ち去ってゆく。




憐れ、一人取り残された可哀想なペネロピ。


階段に座り込み、手すりごしに悲嘆の涙をポツリと流す。(たとえ豚鼻でも、このシーンの胸を切り裂かれるような悲しみよ!こっちまでジンジン悲しみが伝わってくる。この映画の名シーンである)




事は、《美女と野獣》のように、キスをして元の姿に戻り、ハッピー・エンドになるほど簡単ではないのだ。




ペネロピは失恋を乗りきり、自力で呪いを解くために街へと出ていくのである。



初めて見る街並み、初めての親友(リース・ウィザスプーン)、始めて飲むビールなどなど………



そして、卑下していた姿を、自らさらけだす。


その勇気にマスコミや人々も感銘をうけ、ドンドン好意的になっていく。



そうして………

「今の自分が好きなの!」


と、全てを受け入れて叫ぶ時、やっと呪いは解けるのである。(呪いをかけた魔女も、コレにはビックリする!)





勿論、呪いが解けたペネロピも可愛いのだが、母親のキャロルは、


「これでもっと鼻を高く整形できるわね」


と、空気の読めない余計な一言をポツリ。(終始、この映画のキャサリン・オハラは笑えます)




豚の鼻をマフラーで隠して、キラキラした冬の街並みを散歩するペネロピ。



冬の、この時期にはピッタリの映画だと思います。



星☆☆☆☆。

※たまには、こんな映画を、地上波でクリスマスに放映すればいいのにね……。