2023年8月12日土曜日

ドラマ 「かもしれない女優たち2016」

 2016年 10月。




変わったドラマ見っけ!

…… と、いってもコレも平成も終わりに差し掛かった頃の、だいぶ前のドラマなのだけど。


それぞれの女優たちが実名で登場していて、

「もしも、あの時、〇〇の仕事を断っていたら …… 」なんて想像で、架空のパラレルワールドの世界を描いている。


一風変わった切り口に挑んでいるのは、お笑いタレントのバカリズム。(脚本)


第一弾が2015年にあり、竹内結子真木よう子氷川あさみで放送されている。


私が観たのは第二弾の広末涼子井川遥斉藤由貴版のスペシャルドラマ。(竹内結子のみ第二弾にも少しだけ出演している)



広末涼子は、「もしも伝説のドラマ《ビーチボーイズ》を断ってしまったら …… 」

井川遥は「あの時《写真集》を出さなかったら …… 」で、共に落ち目の女優になったしまった二人。


広末涼子の方は、結婚式の司会や、若い頃に出した《掃除本》を足がかりにハウス・キーパーの職で、なんとか食いつないでもいる。(広末が《掃除好き》なんてイメージは一切ないけど(笑))


井川遥の方はちまちまエキストラの女優だけを続けているみたい。

でもコチラには、一応、藤木直人(同名・俳優)という彼氏がいて、プロポーズを心待ちにしている様子。


で、問題は斉藤由貴なのだが …… 


カップヌードルのCMで評判になり、デビュー曲『卒業』がオリコン6位まで登りつめ大ヒット。(この辺りまでは現実と同じ)


だが、初主演ドラマスケバン刑事》を断ってしまった斉藤由貴!」は、そこから転落人生となる。


一気に落ち目。

仕事はなくなり、芸能界からは忘れられていき、ひっそりと引退。


暇をこいた斉藤由貴は図書館通いをはじめて、(なぜか?)理論物理学へと興味を持ちだし猛勉強して ……


現在(2015年)は、若い子らに混じって、48歳で、大学生となっていた。



夜は、かつて芸能人だったツテを使って《由貴ママ》なんて愛称で呼ばれながら、芸能人たちがお忍びで集まるBARを経営している。←(コレはコレで中々の成功じゃねぇの?)



そんなBARへ、子役から女優をしている夏帆((かほ)コチラも実名)は常連客となり、斉藤由貴を慕って足しげく通っていた。(井川遥藤木直人もココの常連客)



夏帆「ねぇねぇ、由貴ママが断った仕事って《ミニスカポリス》だったっけ?なんで断っちゃたのよ?」


斉藤由貴 「あのねぇ、《ミニスカポリス》じゃなくて《スケバン刑事》!それまで清純派路線だったのにいきなりのスケバン役でしょ。なんとなく、ついねぇ~ …… 」


夏帆 「ふ〜ん …… 」



だが、昼は大学生活、夜はBARの仕事。

卒業を間近に控えての論文の仕上げで、きりきり舞いの斉藤由貴はとうとう大学で、ある日、ぶっ倒れてしまう。


そんな病室へ、

「由貴ママ、大丈夫なのぉ~?」と、夏帆も心配してお見舞いに駆けつけた。


夏帆の手土産は、なんと!スケバン刑事の《ヨーヨー》である。


「由貴ママ、あんまりアタマ使いすぎ!コレならアタマ使わなくて済むでしょ」


だが、卒業論文で行き詰まっていた斉藤由貴はヨーヨーを見ているうちに、何かのヒントをつかんだようで ………




当人が同名で出演してくれて、しかも斉藤由貴じゃなきゃ、絶対に成り立たないようなお話。(よくこんな企画が通ったし、出演してくれたよ)


この後は、BARに、前述の広末涼子やら井川遥、藤木直人などが集結して、ちょっとしたスッタモンダがあるのだが、皆が皆、ハッピーエンドを迎える。(その中で論文が成功して《ノーベル賞》まで受賞してしまう斉藤由貴は、あんまりにも、やり過ぎのような気もするのだが …… )


まぁ、実名で皆が出演してくれてる以上、バカリズムとしては、だいぶ配慮した、こんな有り得ない結末もしょうがなかったのかも。



そうして、現在(2023年)に、このドラマを初めて観た私は、少し複雑な心境である。


このドラマの中で広末涼子が同じ歳で、女優として大成功している竹内結子を羨むシーンがあるのだが、現実では竹内結子が亡くなっている事実を誰もが知っている。


彼女に何があったのか詳しく報道もされなかったが、彼女こそ「もしも女優になっていなければ …… 」と思わずにはいられない。(このドラマを観た後では、一層そう思ってしまった。(少ししんみり))



広末涼子が、不倫して2度目の旦那と離婚したのはつい最近の事で、世間一般が知ってる事実。


このドラマの中で、結婚式の司会をしながらイケメン花婿に心ときめく広末だが、現実の彼女の男性遍歴を知っている我々には、ひと目で「ない!ない!絶対に有り得ない!」エピソードである。


なんせ、彼女の男の趣味は、男の自分から見ても、あまりにも《特殊》過ぎる!←(「広末、またもや、そっちに行く?」と誰もが、毎回思ってるはずだ)


結婚相手も不倫相手も、ごくごく普通のイケメンなんてのには絶対に惹かれない女、それが広末涼子なのである(笑)。

世間的には、こんなイメージが完全に定着している現在。(彼女は無事復活できるのか?こう、ご期待である)



そうして、斉藤由貴


3度目の不倫をしても、大したダメージもなく、歌手や女優を続けているのは皆がご承知のとおり。


それどころか「是非、出演してほしい!」と、次から次へと舞い込んでくる映画やドラマのオファーは、今も後を絶たない。


《不倫》くらいでは、びくともしない。

芸能界にしても、世間一般にしても、いつの時代も、斉藤由貴は求め続けられているのである。


そんな斉藤由貴が「《スケバン刑事》のオファーを蹴ったばかりに芸能界から消えていく?」


それこそ、有り得ないようなお話なのだけど。(こんな強力な個性や魔性が、人々の記憶から簡単に忘れ去れますかね?)


かくいう私もそんな魔性に魅了され続けた一人である。


バカリズムの脚本に、ところどころ苦笑いしながらも、これは「絶対に有り得ない話!」と全力でツッコむのが、このドラマの正しい観方だ。


そうして、何十年経っても、こんな扱いをされる《スケバン刑事》って、「名作だったんだなぁ~」と再認識させてくれたドラマなのでした。(デビュー曲《卒業》も、ドラマに中にちゃんと織りこまれております。やっぱスゴいわ、斉藤由貴!)



※尚、初代《スケバン刑事》は、当初、宇沙美ゆかりってアイドルにオファーがあったのは有名なお話。


それを、宇沙美ゆかりが蹴ったばかりに、次点として斉藤由貴が選ばれたのである。


こんなトリビアを知っておいて観ると、このドラマは案外面白いかもしれない。

《おしまい》