2022年4月20日水曜日

映画 「ローマの休日」

 1953年  アメリカ。






あまりにも有名なオードリー・ヘプバーンの『ローマの休日』。



この映画を観たのは、あらかた、オードリーの他の映画を観てから、だいぶ経った頃だった。


なんせ、意識しなくても、あちこちで『ローマの休日』のオードリーが日常的に目に飛び込んでくる状況なのだ。



もう、観る前から、すっかり観たような気分にさせられていたのである(笑)。




それにしても、日本人の《オードリー好き》には、あらためてビックリさせられる。



1953年に本国で公開されて、翌年に日本で上映されると、日本では瞬く間に《オードリー旋風》が吹き荒れる。



男の自分でも、オードリーは「可愛いなぁ~」とは思うけど、女性の方がはるかに熱狂的!



『ローマの休日』を観た後は、世の女性たちが、一目散に美容室へと駆け込んだそうな。


「お願い!ヘプバーン・カットにしてぇー!!」


巷中(ちまたじゅう)に溢れかえるヘプバーン・カットの女性たち。(だったそうですよ、当時は)




そうして、こんな勢いは髪型だけにとどまらない。


もう、《美の基準》全てが、オードリー《一色》になってしまったのである。




眉の描き方から、アイラインのひき方まで …… メイクのお手本は、全てオードリー。


洋服の着こなし方なども、もちろんである。



鏡を見ては、「オードリーのようにシャープな顎をしていればねぇ〜 …… 」と溜め息をつき、

自分の体型をオードリーと比べては「あぁ、オードリーのようにスラーッとした体型になりたいなぁ~」と憧れる。



身長170cmで体重50キロのオードリーは、ちと痩せすぎのような気もするが、《美の基準》が《ソレ》だという風に完全にインプットされてしまった女性たちは、母親になっても変わらず。


生まれた娘も、孫も、そのまた孫の代まで、ずっと現代に至るまで、その基準は脈々と続いているのだ。





だが、こうなったのも無理はない。



60年代〜70年代の少女漫画家が描いているヒロインの顔は、誰も彼もが、オードリーの面影を残したヒロイン像を描いているし。(描いてる漫画家も《オードリー好き》なんだろう)



映画雑誌などでは、定期的にオードリーが表紙を飾り、特集ページが何度も組み込まれたりする。(しかも何十年間も)


そんなのを毎号毎号、買い求めては皆が読んでたんですもんね。(そりゃ、イメージは刷り込まれるわ)




日本に《ジェラート》のアイスクリームが売り出されれば、たちまち、この『ローマの休日』のオードリーがCMに駆り出されたりする。(ベスパのスクーターも同じ)




バブルの頃なんて、誰が考え出したのか
…… 《オードリーと行こう!イタリア・ローマのツアー》なんて企画の旅行プランもあったりしたもんだ。(オードリーは行かねぇっつーの!(笑))



そうして、またもや最近でも、明石家さんまとの合成CMが流れていたりする。




日本では、この70年間、『ローマの休日』のオードリー・ヘプバーンの姿が、途切れる事が、全く無いのだ!!



そう思うと、この、たった一本の映画がもたらした経済効果は、もはや天文学的数字。


大袈裟に言うなら、《宇宙規模》といっても良いのかもしれない。(ヒェ~!スゲ~や(*_*))





こんな『ローマの休日』を20年前くらいに、ちゃんと観てみた。


観た感想は、……… まぁ普通。(星☆☆☆)


オードリー・ヘプバーンは当然可愛いし、お話自体は楽しいんだけど、案外「普通かなぁ~」と感じてしまった。(こんな風に書くと、オードリー・フアンから、トンデモないお叱りをうけるだろうが)



これだけメディア効果や宣伝がなければ、また違った感想だったかもしれないが。(とにかく冒頭にも書いたように、既に観たような気分が災いしたとしか言いようがない)



ただ、オードリーグレゴリー・ペックが、街中を楽しくベスパで乗り回すシーンには、「オオッ!」と唸ってしまった。



ノー・ヘルメットで二人乗り!(今なら、即、御用!(違反キップ)(笑))


おおらかな良き時代に、「羨ましいなあ~」なんて、多少の憧れもあったりして ……



まぁ、日本人なら、一度は、ちゃんと観るべし …… なのかな?(オススメしとく)