1980年11月。
決して、上の写真は『カトリーナ陽子』ではございません(笑)。(この令和に百恵ちゃんのものまねタレントが現れるなんてね)
正真正銘、山口百恵の引退コンサートの様子である。
山口百恵といえば70年代に活躍したスーパー・アイドル。80年に入ると結婚して、とっとと引退してしまったのは日本人なら誰でも知るところ。
もちろん、芸能生活はわずか7年間でも、その間に何度かコンサートを行っているはずなのだが、山口百恵のコンサート・ライブを観ることができるのは、この《伝説から神話へ》の武道館引退コンサートだけ。
なぜなら、山口百恵の活躍時期が《70年代》だったからなのだ。
70年代といえば、まだ日本ではビデオなどが、大変 高価✨ な時代。
ビデオ・デッキも相当なお金持ちしか所有できないくらいの超高級品だった。(1964年にソニーによって開発された《CV2000》というビデオ・デッキが当時の価格で198,000円。この頃の大卒初任給が、わずか20,000円くらいの時代にですぞ!)
《↑CV2000のビデオ・デッキ》
だから、テレビ局にしても、ドラマなんか一回放送してしまえば、その上に何度も重ね撮りしてしまい、以前のモノは残っていないモノが、ほとんどなのだ。(そのくらいビデオ・テープも超高額だったのである)
近年、山口百恵の《夜のヒットスタジオ》DVDなんかも発売されたりもしたが、コレも完全版ではない。
百恵ちゃんのデビューは1973年の『としごろ』だったのだが、テレビ局にさえ、その頃の映像は、もはや残っていないのだ。(《夜ヒット》には1975年以降、9曲目の『夏ひらく青春』からの映像が収められている)
沢田研二にしても、西城秀樹にしても、また、しかりである。(1975年以降で収録されている)
だからこそ、この引退ライブの映像が、とても希少なモノなのだと分かってもらえると思う。
そうして、百恵ちゃんが引退し、80年代の半ばになった頃、やっと一般家庭にもビデオ・デッキが普及しはじめた。(うちにもビデオ・デッキがやってきた)
近所にはレンタルビデオ店が並びはじめ、そこには山口百恵の引退コンサート《伝説から神話へ …… 》のビデオが置かれているのを見つけたのだった。(昔は音楽ビデオのレンタルも平気で並んでいた。今じゃ版権や著作権でうるさいだろうけど)
ラインナップはこんな感じ。
1∶This Is My Trial(私の試練)
2∶夢先案内人
3∶横須賀ストーリー
4∶(メドレー)ひと夏の経験〜冬の色〜青い果実
5∶いい日旅立ち
6∶曼珠沙華
7∶秋桜
8∶不死鳥伝説
9∶歌い継がれてゆく歌のように
10∶さよならの向う側
11∶This Is My Trial(instrumental)
全部で、たった11曲。
これを見て、(おっかしいなぁ~、引退コンサートにしてはあまりにも短すぎるし、『プレイバック Part 2』や『ロックンロール・ウィドウ』など他のヒット曲も歌わなかったんだろうか …… )と思っていたものだが、同じVHSビデオでも《ロング・ヴァージョン》なるモノが1983年に発売されて、既に存在していたのでした。
こちらは上記のモノに6曲が足されて全17曲である。(これで約120分近く)
そうして、DVDの時代になってくると、またまた《完全リミックス版》なるモノが発売される始末。(さらに数曲が足されて楽曲は23曲(数曲のメドレーは、まとめて【1】とカウントする)+特典Single Discography)
このDVDは買い求めて、何度も観て楽しんでいたものだが、しばらくすると、またもや驚愕の事実を知ってしまう。
『謝肉祭』という曲が一つだけ抜け落ちていたのである!(どこが?《完全版》なんじゃー?!💢)
なんでも『謝肉祭』の中で歌われている「♪ジプシー、ジプシー♪」というワードが《差別用語になっている!》とかどうとか …… (今じゃ《ジプシー》の事を《ロマ》というのが正しいんだとか)
……… でもねぇ~、それを言うなら中森明菜が平気で歌っている『ジプシー・クイーン』なんて曲はどうなんだ!って話よ!(もろ、タイトルも《ジプシー》じゃん!)
こんな声が届いたのか、どうなのか、2006年発売の《Momoe Live Premium》で、ようやっと、『謝肉祭』も収録されて、本当の完全版になる。(なんだかここまでくると、何度も《完全版詐欺》にあってるような気もしてくるが …… )
そうして、音声や色彩まで補正が加わった現在のBlu-rayの形に落ち着くのである。(これで150分近くである)
さすがにぶっ通しで観ると「2時間半は長いなぁ〜」と思うし、「衣装チェンジ少な!」(4回しか着替えてない)とも思うけど、百恵ちゃんの歌唱はブレる事もないし、最後まで全く衰えない。
むしろ「本当に同じ人間か?」と思われるほど驚異的な体力である。
合間合間のトークもお客さんたちを飽きさせないように楽しませて笑わせて ……
これが当時、若干20歳の女の子だったのだから、今更ながらに恐れ入る。
やはり、山口百恵という人は《別格》なのだ。
そうして、これは私が昔から勝手に思っている事だが、成人式にはどんな祝辞の言葉よりも、このライブビデオを是非見せるべきだと思う。
少しでも、しっかりした大人になれるように ……
山口百恵に近づけるように … ね
※《蛇足》
最初に書いた『カトリーナ陽子』さんについてだが、化粧や仕草は似せられても歌唱の方は、まだまだ。(なんせ、あの低音は女性には難しい)
それに、百恵ちゃんは、一人称の《ワタシ》と《アタシ》を上手に使い分けて歌っている。
《 ワタシ 》に該当するのが、『いい日旅立ち』や『秋桜』など。
激しい曲では、いつも《アタシ》と歌ったりしている。
「♪交差点では隣りの車がミラー擦(こす)ったと~。怒鳴っているから、アタシもついつい大声になるぅ~」(プレイバック Part 2)
「♪心の貧しい女だわ~、あ〜あ〜アタシ」(愛の嵐)
「♪いい加減にして!アタシ、あなたのママじゃ〜ない」(ロックンロール・ウィドウ)
顔は無表情を装(よそお)ってても、腹から自然に沸き立つような感情の声を響かせる。
これができれば完璧である!(笑)
完全なる百恵への道のりは、まだまだ遠い ……(おしまい)