2021年2月6日土曜日

ドラマ「赤い死線」

1980年 11月7日、14日。




北海道襟裳からバレリーナを夢見て、東京に上京してきた『川浪良子』(百恵ちゃん)は、故郷の母に仕送りする為に、夜は高級ディスコ《ミルキー・ウェイ》のダンサー生活。


だが、ダンサーといっても、ディスコの音楽に合わせて、お立ち台の上でドスケベな男たちの視線に晒されながら踊るのだ。


決してマシな仕事じゃない。


そんな良子の信用できる友達は、このビルの窓辺から、向かい合わせに見えるビルの時計だけ。


踊りながら、チラチラ眼にはいる時計の針に、

「後、もう少しで、こんな嫌な仕事も終わる……あの時計だけは私を裏切らない……大切な友達……」


こんな想いで毎夜、踊り続ける良子なのである。



そんな良子をお立ち台の下で眺めながら、

「いいねぇ~若い娘は……」

なんて舌舐めずりしてるのは、このビルのオーナーで金貸しが本業の『江藤社長』(高橋昌也)。


そんな江藤を袖にして、わざと手を踏んづけたりする良子(イジワルな百恵ちゃん)。


「おい!ビルのオーナーさんなんだぞ!ちょっとは愛想よくできないのか?!」

ディスコの支配人(石立鉄男)はカンカンだ。



そんなディスコに突然、男が乱入してきた。


怒鳴りこんできた青年、『北村明夫』(三浦友和)は、「預けた1000万円を返してくれ!」と江藤に直談判にやってきたのだ。



そんな明夫の懇願に、江藤は「知らんな~」と、悪党らしくスットボケ。


チンピラの部下たちに明夫を押さえつけさせると、冷酷に「外に放り出せ!!」と言い放つ。


「江藤さん、俺を騙しやがったのか?!あんたを……あんたを殺してやる!」憎悪の言葉を残して、明夫は連れ出されていった。



そして、夜半、寂れたアパートに帰りついた良子。


良子は故郷の母に向けて嘘の手紙をサラサラ書いていた。


「バレリーナになるために頑張っているわ……」そんなデタラメな嘘をならべたてて。


もう、とっくにバレエ団からは退団させられていたのにだ。


そんな良子のアパートに突然、侵入者が現れる。


「誰?誰なの?!」


なんと!現れたのは、先ほど連れ出されていった青年、北村明夫(三浦友和だったのだ。(これ、三浦友和じゃなかったら、ただの不法侵入の変質者である)


見ると明夫の手には重そうなカバンが。

「江藤から1000万円を奪い返してきたんだ!」(友和、それ泥棒だって!(笑) )



そんな明夫、良子が書いていた手紙に目が止まったようだった。すると、


「良子ちゃん?あのうちの側に住んでいた良子ちゃんなのか?!俺も北海道の襟裳なんだ!! 覚えてないかい?近所の北村明夫だよ!!」


「明夫……さん?」


なんと!これまたビックリ。二人は同郷で幼馴染みだったのだ。(こんな偶然ある?無い!無い!これは都合のいいドラマだから)



素性が分かった二人の会話は、やがて良子の現状、バレリーナの話へと変わっていく。


「母に嘘の手紙を書いてるのよ。とっくにバレエなんてやめてるのにね……馬鹿ね、私って……」と自嘲気味に語る良子。


そんな良子に、何を思ったのか明夫は、いきなりの平手打ち。


「バカヤロウー!!」

(友和、お前が馬鹿野郎だ。不法侵入、泥棒、女性をビンタ、もう、どれだけ罪状を重ねるの?(笑) )



そんな明夫のビンタに目が覚めた良子(百恵ちゃん)は、何を思ったのか、突然こんな事を言い出した。



「故郷へ……北海道の襟裳へ帰るわ!あなたも一緒に帰らない?! そうよ!

こんな東京にオサラバして、二人で帰りましょうよ!!


たった一発のビンタで、目の前の男、明夫に惚れてしまった良子は、いきなりこんな提案をしてきたのだ。(この良子も相当、おかしな女である。)


「分かった……二人で北海道へ帰ろう」(良子も変なら、明夫も変。変な者同士で妙に気が合う二人)



だが、その前に明夫が奪ってきた1000万円は返さなくてはならない。


これに関しては頑として譲らない良子の説得に、明夫も折れて、二人は江藤商事のビルに、深夜やって来たのだった。


ビルの一階には、守衛のオジサン(べらんめえ調の松村達雄)がいるだけ。


そんなオジサンに良子(百恵ちゃん)は、「オジサン~ごめんなさい。更衣室に忘れ物しちゃって……取りに行きたいんだけどいいかしら?」の甘え声。


「しょうがないなぁ~」と守衛のオジサンも美人には甘く、鍵束を持って良子をビルに引き入れた。その後を、こっそりついていく明夫。



更衣室の前で、「どの鍵だったかなぁ~」と探るオジサンに、わざとぶつかり良子はいくつもの鍵を床に散らばらせた。


「ごめんなさい~」と言いながら、鍵を集めるフリをして、良子は最上階のオーナー室の鍵を見つけると、廊下の角に隠れた明夫の元へと、それを滑らせる。



(上手くいったわ……後は明夫さんが、あの1000万円を返しにいくだけ)


良子はオジサンを体よくあしらうと、ビルの外で明夫が戻ってくるのを、じっと待っていた。



でも、待てどくらせど明夫は現れず……。


シビレを切らした良子は、もう一度ビルに戻ってみると、オーナー室の扉の前では蒼白になった明夫がいた。


そして、その先には、包丁で背中を刺され死んでいる、あの江藤の姿が……。


「……俺が来た時は、もう殺されていたんだ!」



その言葉を即座に信じる良子。


そうよ!この人は犯人なんかじゃないわ!(愛する友和だから?もう恋は盲目である)



そんな二人の後ろから、


「ひっ!人殺しー!!」の絶叫がこだまする。


振り返ると、あの、守衛のオジサンだったのだ。



(これはマズイ)と思った二人は、オジサンを椅子にグルグル縛りあげて、口には猿ぐつわをした。(オイオイ、お前ら)


フンガ!、フンガ!と悶えるオジサンに、「ごめんなさい、オジサン。でもこの人は犯人じゃないのよ。真犯人は必ず別にいるはずなんだから…」と言う良子。


でも、そんな良子の言葉に、とても同意している様子でもない守衛のオジサンなのである。(縛られて、猿ぐつわじゃね)



ビルの外に出て、車に乗り込んだ明夫と良子は考え込んでいた。


二人は無事に疑いをはらすことが出来るのか?


深夜のビルに、あの、友達の時計が無情に針を進ませていく………




こんな感じの『赤い死線』が百恵ちゃん最後の引退ドラマである。


ご覧のように、百恵ちゃん演じる良子も、友和演じる明夫も、相当に変だ。


友和なんて、もうやってる事は犯罪のオンパレード。


これのどこを見て、


「この人は犯人なんかじゃない!」なんて言いきる事ができるのか (笑)


そう、このドラマは、ハンサムな友和と人気絶頂の百恵ちゃんだったからこそ、ギリギリ成り立っているようなお話なのである。


二人の高い好感度と、現実に二人がこの後、「結婚する!」っていう、世間の祝福モードがあればこそ、こんなヘンテコリンなキャラクターでも、当時は違和感なく観れた奇跡のドラマだったのだ。



もう、この後もヘンテコな展開が続く続く……


コレを昔は違和感なく観ていたんだよなぁ~(よく、これを思い出の中で美化できたよ、と我ながら不思議に思う)



このヘンテコなドラマ、「原作の小説はマトモなのか」と、私、ウイリアム・アイリッシュ(コーネル・ウールリッチ)の『暁の死線』を読んでみた事もある。


やっぱりドラマを地でいくようなお話でした。


アイリッシュの美麗なタイトルの付け方と、詩的な文体に騙されてしまいがちだが、よくよく読んでみると、この人の小説自体が、トンデモない、あり得ない展開だらけなのだ。(映像にすれば、この出来も納得なのかもしれない)



それでも、「百恵ちゃんの為なら…」と、この後も有名俳優や当時のスターたちが、軒並出演してくださっている。


アン・ルイス、ジョニー大倉、松原智恵子さん、三國連太郎さん、前田吟さん、春川ますみさん、坂上二郎さんと……(飛びます!飛びます!)



宇津井健なんて、役名すらない端役でも駆けつける始末。(まぁ、お二人の仲人だしね)



ドラマ自体は、トンデモない内容でも、当時の祝福モードは画面を観ていても伝わってくるかも。


そんなスターたちに支えられて、ギリギリ星☆☆☆としておきます。



※あっ、そうそう、真犯人ですが、「オーナー室の鍵を開けられるのは、《この人》しか出来ない」と書けば、察しのよい人にはお分かりになるかな?


長い逃亡を続けながら、あちこちと、さ迷った二人のたどり着いた真相が、結局これだったとは ……トホホ (笑)

2021年2月2日火曜日

映画 「フランス式十戒 ③」

《②の続き》




《6話目》

20歳の医学生『ピエール』(アラン・ドロン)は、ビーチ沿いでレストランを経営している両親の一人息子。


でも、何かとガミガミ小言ばかり言っている母親には、ここ最近、ウンザリしていた。


こっそり父親に愚痴るピエール。


「何であんなにうるさいんだ!あれでも本当に僕の母親なの?!」


父親はしばらく黙っていたが、意を決したように、とうとう打ち明けた。


「実はお前には、本当の母親が別にいる」と。



ガガーン!!( ̄□ ̄;)!!


思ってもいなかった衝撃の事実に大ショックのピエール。


しかも、16歳の若さでピエールを産んだ本当の母親は、誰もが知る有名女優『クラリス』(ダニエル・ダリュー)だったのだ。


またもや、ガガーン!!と大大ショックのピエール。



「二人とも若すぎたんだ……その後、私は母さんと知り合って結婚して、お前を実の子として育ててくれたんだ」


しばらく黙っていたピエール……でも……


(本当の母親がいるなら会ってみたい!)

そんな気持ちが、途端にムクムクと沸いてきた。



こうして、女優クラリスの楽屋をこっそりと訪ねたピエール。


(喜んでくれるだろうか? それとも追い返される?……)


期待と不安の中で、ピエールはクラリスを目にすると、おもわず「母さん!」と叫んだ。


クラリスは最初、ビックリしていたが、全てを察したようだった。

表情はにこやかになり、我が子ピエールを包むように抱きしめてくれた。


「あ~私の坊や、こんなに大きくなって……」


母子の再会は感動的。


だが、クラリスは、ピエールやピエールの父親が知らなかった、思わぬ衝撃の事実をピエールに話しはじめるのである……。





なんだか継母とか、実の母親とか、アラン・ドロン版『赤いシリーズ』みたいなお話である。


もう、この頃には『太陽がいっぱい』や『若者のすべて』で、世界中ドロン旋風が沸き起こっていた時代。


とっくに大スターの仲間入りをしていたアラン・ドロン。


そんな大スター、アラン・ドロンが、よくも、まぁ、こんなオムニバス映画の短い一編に出演してくれた事よ。(デュヴィヴィエ監督作品だからか?)


そして、やっぱり、この頃のアラン・ドロンの美青年ぶりは、別格すぎるくらい別格。

男の自分から見ても、「美しい」整った顔をしている。


こんなアラン・ドロン、その後も活躍していくのは、万人が知るところなのだが、デュヴィヴィエ監督との縁は続いていく。


そして、デュヴィヴィエの遺作は、アラン・ドロンを主演にした『悪魔のようなあなた』なのである。



実母クラリスを演じたダニエル・ダリューもデュヴィヴィエ監督とは、縁が深い。

以前、紹介した『自殺への契約書』でも主演してるしね。(早くDVD出してよ!)



このお話のオチも中々良いし、アラン・ドロンとダニエル・ダリューの共演で、私の好みの一編なのである。





《7話目》

調子の良さだけが売りのテキトー銀行員『ディディエ』(ジャン=クロード・ブリアリ)は、社長から本日をもってクビを宣告された。


クビと言われても、全く反省のないディディエ。


「今日はまだ6時間もある。あ~あ、クビになるなら、出社しないで寝とけばよかった~」なんて社長の前で、堂々とのたまう始末。(案の定、社長の「出てけー!」の雷が響く)


しかたなく、(最後の仕事を一応せねば…)と銀行の窓口にしぶしぶ座るディディエ。



そんなディディエの前に突然、妙な様子の男がやって来た。


新聞紙の間からピストルを覗かせると、「おい、金を出せ!」とボソッと言ってきたのだ。


( ´゚д゚`)アチャー、銀行強盗かよー。



でも、このディディエ、怖がる様子もなく、楽しそうに札束をドンドン目の前に、差し出し始めた。


「さぁ、どうぞ!ハイ、どうぞ!!」


どんどん差し出す札束の山に銀行強盗もビックリ。


それでも、何とかせっせと鞄に詰め込んでゆく強盗。


ディディエの差し出す札束は、まるでおかわりする《わんこそば》の如く、次から次へと差し出される。(いいのか?)



やっと満足した銀行強盗が立ち去った後、ディディエは警報ベルを押して、失神するフリをして、その場に倒れたのだった。



その後、警察の事情聴取でも、デタラメな犯人の人相をペラペラと喋るディディエ。


でも、ディディエには、ある考えがあったのだ。


(あの強盗、どこかで会った気がする……そして、あの強盗から上手くあの金を奪えたら……)


仕事はテキトーでも、ディディエの悪知恵は天下逸品。

早速、金儲けの為、行動を開始する……。




ジャン=クロード・ブリアリも、日本ではあまり知られていないが、それなりに有名な俳優。


クロード・シャブロル監督の『いとこ同志』や別のデュヴィヴィエ監督作品『火刑の部屋』にも主演しているという。


アラン・ドロンの話を観た後に、ブリアリじゃ、ブリアリには、ちと部が悪いかも。(そのくらいアラン・ドロンの美青年ぶりが光っているので)


でも、ブリアリも、もちろん整ったお顔をしていて好青年なんだけどね。(一応、テキトーだけどフォローしとく (笑) )



「盗んだ金を盗みかえして何が悪い?」


こんな開き直りと、主人公のご覧のようなテキトーな性格で、このお話がドタバタ・コメディーとしては、一番明るいかも。


話は凡庸だが、映画を明るく締めるなら、丁度いい作品ってところかもしれない。




《エピローグ》

《1話目》の『司教』と『ジェローム老人』(ミシェル・シモン)は、昔ばなしに夢中になりすぎて、ワインを何本も空けながら、すでにベロベロ、泥酔状態。


神を冒涜しないよう、十戒の説教をしていたのも、すっかり忘れてしまっている様子の司教様。


料理女は、そんな二人の接待で日曜だというのに家にも帰れず、台所ではブツブツと文句が止まらない。



そんな3人の目の前に現れた『蛇』=悪魔の化身。


「キャアーッ!蛇よ!!早く暖炉に投げ込んでちょうだい!!」


ジェローム老人、少しも慌てず、蛇を手掴みすると(ゲゲッ!よく触れるよ)外の井戸に持っていって投げ入れた。


[ギャアアァーッ!!なんて事するんだ?!このヤロー!!]『蛇』(悪魔)は、雄叫びを上げながら落ちていく。



でも、しばらくすると、またもや別の所から、スルスルと現れて、ひょっこりと顔を出す『蛇』(悪魔)。


[ハハハーッ!バーカ!!そんなに簡単に悪魔が殺されるかよ!](なんじゃ?このお茶目な演技過剰の悪魔は (笑) )



『人間』が存在する限り、『悪魔』も死なず。

映画は、そんな教訓を残して《Fin》となるのである。




こんな感じで、書いてみた『フランス式十戒』いかがだっただろうか?


3回にも分けて長々と、この映画だけについて語っている変わり者もいないはず。(よく書いたよ)


私の評価は全体として、星☆☆☆。


「面白いー!」というのもあれば、これは「ん~……」とアタマを捻りたくなるのもあって、プラスマイナスで、評価としてはこれが妥当かな。


オムニバス映画は観るのも、その感想を書くのも難しい。


取りあえずは書いてみて、「当分オムニバス映画は、もう、いいや…」ってのが正直な本音。(まぁ、とにかく大変なので)



それでも、この映画を観る際の、何かの参考になってくれれば、これ幸いである。



とにかく、面白いと思う話は深く考えずに笑いとばそう!(下の画像の二人のように)


人生はケ・セラセラ(なるようになるさ!)である。


こんな言葉を結びとして、ひとまず終わりにしたいと思う。(それにしても、ハァー、疲れたびー)



映画 「フランス式十戒 ②」

《①の続き》




《4話目》

金持ち夫婦の買い物(宝石店での宝石選び)に付き合った妻の友人である『フランソワーズ』(フランソワーズ・アルヌール)。


煌めく輝きに目を奪われながらも……(こんなのは無理)と羨ましさを隠して、半端諦め顔。


彼女の夫は貧乏劇作家、でも二人の間には、ちゃんと愛がある。


(それで満足しなくちゃ…)


そんな気持ちを知ってか知らずか、富豪で友人の夫『フィリップ』(メル・ファーラー)は、フランソワーズにモーションをかけてきた。(妻の友人なのに)



フランソワーズが目を輝かせていた、あのダイヤのネックレスをプレゼントまでして……。


「こんなの付けられないわ!家で夫の前で、これを付けるなんて……」


そう言いながらも、フランソワーズは鏡に映る、宝石を首にかけた自分の姿から目が離せない様子。



そして、


(何とか自然に、この宝石を手に入れた事にして、夫の目の前でも、このネックレスを首にかけられないかしら……)


宝石の魔力がフランソワーズの貞節を、とうとう狂わせてしまう。


いつしか懸命に策を練るフランソワーズなのだが……。





あのメル・ファーラーが出演してる。


実生活でも5回結婚している彼は、この映画のように、実際もそれを地でいく生粋のプレイボーイである。(4度目の妻がオードリー・ヘプバーンなのは有名)


何でこんなにモテるんだろうねぇ~(あんまりハンサムそうにも見えないんだけど)


やっぱり、女性に対してマメなのか、気が利いてるのか。


男は顔じゃない!ってメル・ファーラーを見かけるといつも思ってしまうのである。(失礼だけど)



そして、フランソワーズ・アルヌール。


彼女を観たのは、この映画が初めてだったが、その噂は昔から知っていた。


日本人に愛されたフランソワーズ。


石ノ森章太郎の『サイボーグ009』に出てくる003/フランソワーズ・アルヌール(同名)は、この人の名前から、そのまんま命名されたのは有名な話である。


何だか、華奢でホッソリしていて、首も細くて、オードリー・ヘプバーンにも似たような体つきの彼女。


オードリーと同じように、あまり性を感じさせない雰囲気は、当時の日本人にも、すんなり受け入れやすかったのかもね。(なかなか可愛い人ですよ)





《5話目》

寂れた寒村の道をぶらりとやって来た男(フェルナンデル)。



ポツンとある一軒家の側まで来て、窓をそーっと覗くと、車椅子に座った老人が「失せろ!」と怒鳴り付けた。


その様子をドア陰からじっと見ている少女。


男が笑いかけると、少女マリーもニコッと笑った。


じい様は車椅子、ばあ様は寝たきり生活。

両親は羊飼いの仕事で年中留守。


幼いマリーが、ばあ様の介護をする日々だったのだ。


「おじさん誰なの?」


「私? 私は《》さ」


喜ぶマリーは、男《神様》を、早速、家の中へと連れてきた。


だが、当然、寝たきりのばあ様は男の言葉を信じるはずもなく……


「さっさと出ておいき!! この浮浪者め……何が神様だ!神なら何か奇跡をおこしてごらん!!」と荒い息で怒鳴りまくる。


そんなばあ様の剣幕にも、男はどこ吹く風。


落ち着き払って、「いいでしょう……分かりました」とあっさり言ってのけるのだが……。





このオムニバス映画でも、私の一番のお気に入りは、この1本かも。


この短い話のクライマックスには、捻りの利いた《どんでん返し》が待ち構えている。



主役の男《神》を演じるのは、デュヴィヴィエ監督お気に入りの俳優フェルナンデル。


デュヴィヴィエ作品では、名作『舞踏会の手帖』や『ドン・カミロ』シリーズに出演している。


この人の顔も、面長で特徴的で、1度見たら忘れられないくらいのインパクト。


この話の中では、「ロバに似ている顔」なんて事も言わせている。(いいのか?ちょっと可哀想な気もするが)


さぁ、こんなロバみたいな男に、はたして奇跡はおこせるのか?!(本当に失礼でごめんなさい (笑) )


淡々と話は進みながらも、仰天のオチが待っている……。






取りあえず②はここまで。


まさか、書きはじめてみて、こんなに長くなるとは。


私にしては、今までで最長の③にまで、とうとうなってしまいました。(もう、こうなったら最後までキチンと書いてやる! どうぞ、もうしばらく我慢してお付き合いください)


次回、とうとう最終回。

そして③へと続くのであ~る。

2021年2月1日月曜日

映画 「フランス式十戒 ①」

1962年 フランス。





久しぶりのジュリアン・デュヴィヴィエ監督。



私の好きな監督ゆえ、「さぁ、観るぞ!」と勢いこんで、観はじめたのだが……またもや、私の苦手なジャンルとは……。


私、オムニバス映画なるモノが、本当に苦手。


この映画も、7本の短い話で出来ている。(最後には最初の1話目に戻ってエピローグの結びとなる)


オムニバス映画が苦手なのは、それぞれの登場人物を、やっと覚えて、徐々に気持ちがノッてきた頃に、「ハイ、おしまい!」ってな感じで、《プツン!》と終わってしまうため。


次の別の話を……なんて、すぐに気持ちの切り替えが出来ないのだ。(私の場合は)


(これは長期戦になるぞ……)と覚悟して観たのだけれど……やっぱりダラダラと観る結果に。


それでも、大好きなデュヴィヴィエ監督ゆえ、ここに、できるだけ書き記したいと思う。


さぁ、第1話からのスタート!




《1話目》

お堅いシスターたちがいる修道院で、年老いた雑用係で働く『ジェローム老人』(ミシェル・シモン)は、お人好しだが、ちょっと、オッチョコチョイ。


失敗すれば、「神さん、ナムサン…」の言葉がついつい口癖で出てしまう。


「神の名をやたらと唱えるなんて………ここは修道院なんですよ!なんて分別のない! それは神を冒涜する行為です!!」と院長に毎度叱られる始末。


そんな修道院にある日、司教様がやって来るというので、修道院は緊張感でピリピリ状態。


(どれどれ、どんな司教様なんじゃろ…)と興味本意で覗いてみると…


「ありゃー!あれはワシの子供の頃の幼馴染みじゃないかー!!」


喜ぶジェロームは、司教に強引に話しかけ、司教様もビックリ。


二人はシスターたちのジト目をよそに、昔話に花が咲きはじめる。


そんな、ジェロームのペースにスッカリのせられて、司教様も徐々にお堅い仮面を外して、ヤンチャな子供の頃の地が出てしまうのだが……。




名前と顔だけは知っていた、このミシェル・シモンさんの出演している映画を観たのは初めてだったかも。


もう、本当に独特なお顔の方。


この決してハンサムとは言えない(失礼!)お顔で、若い頃は相当苦労したという。


《若い頃のミシェル・シモン》


でも、歳と共に身に付けたおかしみやユーモアは、唯一無二。


おっちょこちょいのじい様を嬉々と演じてくれて笑わせてくれる。(バート・ランカスターとも共演しているらしいし、多分、これから他の映画でもお目見えする事だろうと思う)





《2話目》

美人ストリッパー『タニア』(ダニー・サヴァル)に恋して、店に通いづめていたオタクの青年。


突然店を辞めた彼女を探して、なんとか住まいを訪ねてみると、何と!タニアにはアパートの管理人である旦那がいた。


いたたまれず、帰ろうとするも旦那に呼び止められて、そのうちタニアも、ひょっこり帰って来る。(旦那は嫁の仕事がストリッパーとは知らない)


「キャー!わざわざ来てくれたの!あなた私のフアンでしょ?私の踊りを見て!見て!」


部屋で、レコードをかけて、ノリノリで、次のストリップの実演をはじめるタニア。


明け透けで、下品な彼女を目の当たりにして、オタク青年の熱も徐々に冷めていく。


「ここで、胸の貝殻を放り投げるのよ!今度は下の貝殻もよー!キャハハー!!」(本当にお下品)



(これが本当の彼女か……)


青年の恋は儚く終わり、トボトボと帰っていった。


だが、旦那の方は今まで知らなかった妻の一面を見てしまい、逆に大興奮!


青年が帰っていった後、「さぁ、私の前で実演してくれ!」(ハァ、ハァ)


管理人部屋には、《本日は休業》の立て札をかけるのだった………。



このストリッパー役のダニー・サヴァルもどこかで観た覚えがあると思っていたら、このblogでも以前に挙げていた『アイドルを探せ』に出ておりました。


フランス語でも、この人の声も超独特。(ものすごく響くキンキン声で、まくし立てる)


黙ってれば充分美人さんなんだけどねぇ~(オタク青年が夢から覚めるのも、この人なら妙に納得。分かる気がした(笑) )





《3話目》

神学校に通う『ドゥニ』(シャルル・アズナブール)の元へ、妹から遺書の手紙と手帳が届いた。


それと同時に、妹カトリーヌの遺体が、身投げした川から引き揚げられたという知らせがくる。


妹は悪党に麻薬浸けにされ、ボロボロにされて自殺したのだった。


手帳には、その詳細が書かれており、読み進むうちに、悪党(リノ・ヴァンチェラ)へ怒りを抑えきれなくなってくるドゥニ。


「我々は神に遣える身。後の裁きは警察に任せるべきだ!」


神父は忠告するも、ドゥニは、とうとう決意する。


「私は私のやり方で、あの悪党を裁いてやる!」と……。



このオムニバス7本の中で、一番の悲劇話。(他がそんなに重くない話ばかりなので、特にこの1本だけは異色かも)


思い詰めて復讐を誓うドゥニを、あの有名歌手シャルル・アズナブールが演じている。


でも、話には全く関係ないんだけど、「シャルル・アズナブールって、こんなに小さかったんだ~!」と改めて気づいてしまった。(『アイドルを探せ』では、あまり気にならなかったのだけどね)



神父役の人と画面に並べば、それがハッキリと分かる。


まるで子供みたいな低い身長。

それに痩せていて貧相な体つき。


リノ・ヴァンチェラとも並んでみても、やっぱり小さいシャルル・アズナブール。


こんな体から、あの、大ホールに響き渡るような声が出るのか~。(人は見かけじゃ分かりません。なんか別のところで、妙な感心をしてしまいました)




リノ・ヴァンチェラの方は、いつもの安定の悪役。(本当に可哀想なくらい、いつも悪役ばっかり)


でも、話自体は、あんまり私好みじゃないかもしれない。(アズナブールには気の毒なんだけどね)





こんな感じで書いてみて、やっと3話分が終了。


そして、取りあえず今回はここまで。



簡単に書いてもいいのだが、なんせ、この映画、有名なスターが、この後もめじろ押しに出演なさってるのだ。


粗略に扱うのも、なんだか気がひけてしまう。


長々と②にまたがる事、どうかお許しを。(だからオムニバス映画は苦手なのだ (笑) )


②へと続くのであ~る。