1981年 日本。
『忍者武芸帖 百地三太夫(1980年)』は、今観ても大傑作だと思うし、とても面白かった。
それでも、当時はヒットしなかったそうな。(コレがヒットしない理由が、よ~分からん。当時の人は見る目がないのか?)
監督の鈴木則文さんは、それゆえにとっても心残り。
真田広之に心底惚れこんでいた鈴木監督は、「なんとしても真田広之を《スター》に!」してあげたかったそうな。
東映に直談判までして、リベンジのつもりで撮りあげたのが、この『吼えろ鉄拳』だという。(脚本にも参加してる)
そのかいあってか、この『吼えろ鉄拳』は、当時、そこそこヒットしたらしいのだ。
こんな情報を事前に知ると、観る前から期待値もググ〜ン!と上昇するというもの。
で、観た感想 ………
こんなにバカバカしい映画は滅多にお目にかかれません(笑)。(しかもチョー、ダサ過ぎる!)
ある日、
アメリカはテキサスで育った『響譲次(ひびき じょうじ)』(真田広之)は、病床の父親『鉄心』(石橋雅史)からトンデモない話を打ち明けられた。
「許してくれ!オマエは私の本当の息子じゃないんだ!」
ガ~ン!(゚∀゚)
「オマエは、日本にいるお金持ちの日野原家から私が《誘拐》してきた子なのだ!」
ガガ~ン!(*﹏*;)
オマケにオマケに、譲次には双子の兄弟『日野原透(とおる)』(真田広之・二役)がいて、目下、行方不明中。(冒頭で、とっくに殺されてますけど)
盲目の姉『千尋(ちひろ)』(志穂美悦子)までいるという。
それだけ言い残すと、嘘の父親・鉄心は(コトリッ)息絶えた。(まるで死に逃げじゃん(笑))
譲次は鉄心を埋葬すると、日本へやって来た。
(自分の兄弟は、いったい今どうしているのか ………)
それだけを知るために ………
この後、
アメリカから日本にやってきた譲次を待ち構えるのは、スリの常習犯(大木こだま(チッチキチ~))や、その仲間のチンピラ(黒崎輝)たち。
オッパイポロリのビキニ・ギャルやら、あのアブドラ・ザ・ブッチャーまでもが、わんさと登場するのだ。(いずれも、只の賑(にぎ)やかし屋たち。本筋には全く影響ない)
当時、悪役プロレスラーで、日本でも大人気だったブッチャーが、こんな映画に?出てた事に驚く。(*﹏*;)
黒崎輝なんてのはジャパン・アクション・クラブで次世代スターとして期待されてたけど、可哀想に全く人気が出なかったなぁ~(笑)。(なんせ、この《豚っ鼻》が残念)
こんな面子とドタバタ騒いでいると、譲次の顔を見た悪役の一味がビックリ驚いて、日野原家に一報を入れてきた。
「何ぃ?双子の片割れの『譲次』が生きていて、日本にいるだと?!」
譲次の両親や透までも殺して、ヤクザとつながりがある叔父『日野原一輝(いっき)』(成田三樹夫)は焦りまくり。
麻薬で巨大な金を動かしながらも政界に進出しようと企んでいたのだ。
(邪魔な譲次 ……… 今更ノコノコと …… )
その一方では、目の不自由な譲次の姉・千尋をそばに置きながらも、日野原家に伝わる伝説の秘宝《シバの女王》探しまでも行っていた一輝さん。(あ〜、悪事も忙しや〜(笑))
(この私の野望を邪魔だてする奴らは、全て皆殺しだ!たとえ甥でも ……… )
それでも、一応は「譲次を味方に引き入れてみようか …… 」と、部下に命じて屋敷に連れて来させてみる。
「本当に?あなた本当に、あの弟の譲次なの?!」
数十年ぶりに再会した『千尋』(志穂美悦子)は感無量。
「譲次君、よく無事に帰ってきてくれた。今夜は君の帰還をお祝いしてパーティーをしようじゃないか。充分にくつろいでくれたまえ!ハハハ!」(渇いた笑い)
つくり笑顔で迎える一輝と、見るからに悪そうな顔の手下たち。
そんなパーティに余興として呼ばれてきたのが、これまた見るからに怪しいマジシャン『Mr.マジック』(千葉真一)。(『Mr.マジック』って、まんまやんけ。他に名前なかったんかいな(笑))
「オイ!そこのカッペ君、気をつけなよ。君の近くには《殺人犯人》がいるぞ!」
譲次に腹話術で危険を呼びかけるMr.マジックとは、いったい何者なのか?(まぁ、演じるのが千葉真一である以上、ただのマジシャンでないのはお察しの通り)
それに慌てたのは悪党たち。
楽屋に急いで乗り込むもMr.マジックはいずこへ。既に、もぬけの殻でございました。(「チクショー!」)
そんな忠告どおり、一輝や悪党たちの企みを知ってしまう譲次。
一輝に「仲間にならないか?」の誘いを受けるも、もちろん正義の味方『譲次』(真田広之)の答えは決まってる。
「断固として『NO!』だ!!」
「殺せ!譲次を殺してしまえーー!!」(やっぱり、こうなるのね〜)
こうして、一輝たちが次々と差し向けてくる暗殺集団から逃げながら闘い続けるという、譲次の忙しい日々が始まるのである ………
変な坊さんの暗殺集団に追いかけられたり、
香港ロケがあったり、
ヘリが飛び交い、爆風やいくつもの銃弾が火を吹いたり ……
次から次に場面は変わり、決して退屈はさせないのだけど …………
それでも、この脚本は「まるで素人が書いたんじゃないか?」と思わせるくらい、 バカバカし過ぎる。(こんな脚本に、どんだけ?《お金》がかかってるのやら ……… 今となっては驚くばかりである)
それを、音楽担当の羽田健太郎が作った間の抜けた曲が、さらに加勢する。(この御方、『渡る世間は鬼ばかり』などの作曲で有名なんだけど …… この映画に限っては駄曲ばかりである)
志穂美悦子なんてのは、もう散々な扱いだ。(いくら真田広之を売り出す為とはいえ可哀想)
多少、敵と応戦する場面もあれど、ヘロインを打たれてヘロヘロ。
オマケに最後は断崖絶壁で、敵の何発モノ銃弾を浴びて、海に真っ逆さま。(即死!)
『女必殺拳』を、最近観たばかりのせいもあるけど、「あんまりやろ~!」と、叫ばずにはいられない。
それでも、この姉『千尋』(志穂美悦子)の死が、主人公『譲次』(真田広之)の怒り💢の原動力になると思えば、コレはコレで良いのかな?(3度目の視聴で、やっと、この域に収まった感じである)
1度目の視聴では、「こんなにバカバカしい話は無い!」と呆れ返り、
2度目の視聴では、「あっ、こんな人や、あんな人も、まだいた!」と発見する。(安岡力也や、プロレスラーのグレート小鹿まで出演していた)
3度目の視聴では、「クサイ台詞をいちいち吐く千葉真一や、真田広之の命がけのスタントを楽しもう!」と、割り切ることに決めました。
悪役の重鎮、成田三樹夫さんも、よくもまぁ〜こんな変な映画を引き受けてくれたよ。(この御方は「インテリ・ヤクザをやらせたら右に出ない」とまで言われた名優ですぞ)
厳めしい表情をつくりながらも、何度か観直すうちに、所々で(ププッ!)笑いをコラえているように見えるのは私だけ?(笑)(演じる方も平静じゃいられないだろうよ、この脚本と演出じゃ)
とにもかくにも、この映画はヒットして、なんとか真田広之は上手くスター街道にのれたそうな。(結局、格好いい真田広之が出てれば何でも良かったのかしらん?)
真田広之の歌う主題歌♪『青春の嵐(せいしゅん ハリケーン)』が、ところどころで流れる度に、またもや笑いを誘ってくる。(コレも珍曲である)
本人は、今現在、この映画を真顔で直視出来るのかな?
出来ないだろうなぁ~(チョーダサいし、あまりにも恥ずかし過ぎる)
危険なスタントやアクションだけじゃない。
《恥ずかしさ》を乗り越えた、その先にこそ、真のスター街道は開けるのだ。
そう思わせてくれた一編なのでございました。(アッパレ!真田広之!!)
♪青春ハリケ〜ン〜(ヤバい、いつの間にかクセになってるわ(笑))