2020年2月15日土曜日

映画 「怒りの荒野」

1967年 イタリア。





主演はジュリアーノ・ジェンマとリー・ヴァン・クリーフ。




ある日、友人Mさん(69歳)が、電話をかけてきて、今、『怒りの荒野』を観てると言う。

何をかくそう、Mさん、この、ジュリアーノ・ジェンマの熱烈な大フアン。


で、自分に、

「是非、これを観ろ!観ろ!」とうるさく言ってくる。


自分は「ハイ、ハイ、分かりましたよ」と、取り合えず返事はする。


「これを観ずして西部劇なんてのは語れないぞ!」

視聴真っ只中で興奮気味のMさんは、押せ押せの熱量で、まるでやり手のセールスマンのようだ。


「ヘ~イ、分かりました」と安易な返事をして電話をきる私。


(でも、誰?『ジュリアーノ・ジェンマ』って?)ってな感じの自分。



アメリカ西部劇は、大体は観ていても、イタリア西部劇なんてのは、とんと観たことないし。


レオナルド・ディカプリオが、『ワンス・アポン………』でも、

「イタリア西部劇が、どんなに低質な映画なのか知ってるのか?」と、散々、馬鹿にしていたし。


(まぁ、どうせ、内容なんてないような映画なんでしょ……)なんて思いながら、話の種になればと、期待もせずに視聴を始めたわけだが…………。




面白いじゃないですか!!




この映画、もうオープニングから、西部劇とは思えないほど、小気味良い音楽と映像がオシャレ。


ジュリアーノ・ジェンマリー・ヴァン・クリーフの顔がスライドされて、右に左にいったり来たり。


画面が分割されて、ガンマンがピストルを抜く場面がモノクロになり、青やピンクや緑の鮮やかなバックに映えること。


オードリーの『シャレード』や007などの、そんな雰囲気を思い出させるような、オッシャレ~なオープニングで始まるのだ。



ストーリーは、至って簡単。



メキシコの小さな町で、売春婦の息子として蔑まされて生きてきた青年『スコット』(ジュリアーノ・ジェンマ)が、ふらりとやって来た、さすらいのガンマン、『タルビー』(リー・ヴァン・クリーフ)に指南されて、凄腕のガンマンになっていく成長物語だ。


タルビーがスコットに叩き込む『ガンマン10ヶ条』なんてものまである。



教訓の1、 決して他人にものを頼むな。

教訓の2、決して他人を信用するな。

教訓の3、 決して銃と標的の間に立つな。

教訓の4、 パンチは弾と同じだ。最初の一発で勝負が決まる。

教訓の5、 傷を負わせたら殺せ。見逃せば自分が殺される。

教訓の6、 危険な時ほどよく狙え。

教訓の7、 縄を解く前には武器を取り上げろ。

教訓の8、 相手には必要な弾しか渡すな。

教訓の9、 挑戦されたら逃げるな。全てを失う事になる。

教訓の10、 皆殺しにするまで止めるな。




何だか、よ~分からんようなタルビー先生の10ヶ条なのだが、これさえ出来れば、あなたも今日から『凄腕ガンマン』になれるらしい。(「教えてやるんだ、ありがたく思え!」と言いながら、スコットから金を巻き上げるタルビー先生は、ちょっとばかしセコイが)



従順なスコットは、タルビーの教えを守って、着々と強くなっていく。


だが、タルビーのガンマンとしての腕は尊敬しても、次第にタルビーの邪悪な本性を知っていく。



やがて、師匠と弟子の考え方はズレが生じていき、二人は、とうとう対決をむかえるのだが……。





Mさんには悪いが、ジュリアーノ・ジェンマには、別にフアンにも何にもならなかった。(何だか始終、口をポカ~ンと開けているジェンマが、最後までアホ面に見えてしまったのだ。ゴメンナサイ!(笑))





かわりに、カッコイイなぁ~と思ったのが、悪役のリー・ヴァン・クリーフ。


口髭の似合う、まるでダンディーを地でいくようなオジサマじゃないですか!


渋い!

立ち姿といい、銃を構える姿といい、何もかもがカッコイイのです。


この方、ゲーリー・クーパーの『真昼の決闘』にも出演していたのだが、観ているはずなのに、とんと覚えてない自分である。(機会があれば、見直してみようっと)




調べてみるとタランティーノも、この映画の熱烈な大フアンらしい。(あら、やっぱり、そうだったのか?!)


まぁ、何にせよ、Mさんありがとう。


イタリア西部劇、侮るなかれですね。


やはり、先人の教えはキチンと聞くものですね。(タルビーに教わるスコットのように)


星☆☆☆☆です。