2021年7月27日火曜日

映画 「ディスクロージャー」

1994年 アメリカ。




『ディスクロージャー』って何?と思っていたら、《情報公開》の意味らしいのだ。


てっきり、この映画の主題《逆セクハラ》にそった意味だとばかり思っていたら、とんでもなかった。


公開当時、この映画はスルーしていた……


と、いうのもマイケル・ダグラスは好きでも、この手の映画には、いささかウンザリしてきて、食傷気味になっていたのだ。(「またか」って感じ)


『危険な情事』、『氷の微笑』と観てきて、今度はデミ・ムーアを相手に逆セクハラの話。


「マイケル・ダグラスもよくやるよ~」って思ったくらいだ。



今回、初めて観てみると、マイケルとデミ・ムーアのお色気シーンはあっても、映画の中ではほんの一部。(「アレ、こんなもんで終わり?」と少々肩透かしをくらった感じ)


デミ・ムーア演じる『メレディス』が副社長としてやって来て、強引に妻子ある『トム・サンダース』(マイケル・ダグラス)にSEXを強要するのだが、デミ・ムーアは脱がないし、胸すらも見せない。


トムのズボンのジッパーを下ろして、興奮しかけるトムが、土壇場で理性を取り戻して、「やめろー!」と断る。


「あたしに恥をかかせて、許さないからーー!!💢」


悪鬼の如く怒れる『メレディス』(デミ・ムーア)は、部屋を出ていくトムの後ろから、金切り声をあげて叫んでいる。


逆セクハラ、SEXYシーンなんてのも、こんなものである。



その後は、ドロドロの逆セクハラ裁判をおこすトム。


迎え撃つメレディスは、

「彼こそが、逆に乱暴なことをして襲ってきたんです。とても怖かったわ~💧」

なんて、イケしゃーしゃーと言ってのける。


女性である事の立場を利用して、非力さをアピールすれば、断然、自分の勝ちと思いこんでるメレディス。

トムには圧倒的に不利な裁判と思えたのだが……



「メレディスさん、これは何ですか?どういう事です?!」


何と!二人のあの夜の会話が、偶然にも録音されていて、それをトムの友人が持っていたのだ。


もちろん、メレディスの一語一句、

「あたしを抱きなさいよ!」や「あたしに恥をかかせて許さないからーー!!」なんて言葉が、存分に入っている。


もう、グ~の音も出ないメレディスかと思いきや……


「あたしはSEX好きの女よ!それがどうしたっていうのよ?! あたしは男たちと同じやり方をやっただけじゃないのーー!💢」


もう、開き直りの逆ギレである。


こうして、ホクホク顔で勝訴したトムだったが、話はこれで終らない。



この『ディスクロージャー』は、2部構成になっていて、この映画では、やっと1部が終わったばかりなのだ。



トムが働いている会社『ディジコム社』は、マレーシアに生産工場をおいて、当時としては画期的なCD-ROMプレイヤーの製作に乗りだそうとしていたのだが、作られてくるモノは、どれもこれも欠陥だらけの粗悪品ばかり。


製品は、大手の会社との合併を左右するほどの目玉製品で、開発チームに加わったトムは、このままでは責任をとって自任しなければならなくなる。(一難去って、また一難)


刻々と、製品の《ディスクロージャー》(情報公開)の日は迫ってくる。


この難関をトムは無事に乗りきれるのか………


こんなのが、この映画の本題となる2部なのだ。


けっこう、しっかりした真面目な話だった『ディスクロージャー』。



もちろん、お察しのように、諸悪の根源は、ここでもまたもや悪女『メレディス』である。


マレーシアに自ら出向いて、勝手にコスト削減を命じていたのである。(よ~やるよ)


そして、トムに罪をなすりつけて失脚させようと企んでいたのだ。


だが、そんなトムには、謎のメールを送ってくれて、助けてくれる人物がいる。(誰だ? まぁトムの味方なんだけど)


そんな力を借りて、情報公開の日、トムは重役たちやお偉方が集まる中、舞台の中央に立った。


目の前には、あのメレディスがドーン!と鎮座していて、トムを糾弾しようと待ち構えている。


「この失敗はトム、あなたの責任じゃないかしら?」


「ある人間が、私の知らないところで、勝手にマレーシアに出向いて指示を出したのです」


「誰なの?それは?」


「あなたですよ、メレディス」


「私が?ハハッ、私はマレーシアなんか行ってないわ」


ここでトムの秘書がビデオのリモコンを作動させると、マレーシアで工場見学をしているメレディスの様子が映し出された。


重役やお偉方もビックリ。


「これはマレーシアのテレビ局が撮影したものです」


もう、グ~の音も出ないメレディスかと思いきや、ここでも……


「何よ!それが証拠になるっていうの?! 笑わせないでよーー!💢」

と、またもや逆ギレ。


「メレディス、ちょっと表に出たまえ……」と社長の『ボブ』(ドナルド・サザーランド)が、そっと外に連れ出していく。



こうして、二段構えでメレディスの嘘を暴き、コテンパンにやっつけたトム。


トムの爽快な勝利で映画は幕となる……。



いや~、この映画、面白いねぇ~、最高でした。


なんたってデミ・ムーアのイヤな女っぷり、負けっぷりが最高!


それをやり込めていく『トム』(マイケル・ダグラス)に胸がスーッとして、久々に爽快感が広がる。



何だか、この映画を観た後、ごく最近、世間を賑わした某女性グラビア・タレントを思い出してしまった。(誰とは言わない。おのおの想像して下さい)


「他人なんて簡単に欺ける」と、高をくくって、自らの策に溺れてしまい馬脚をあらわしてしまう……このメレディスの性格や行動を真似しているくらい、そっくり。


この手合いは、いつか必ずボロを出して自滅してしまう。


第三者的な目を持たず、主観でしか物事を判断できないからだ。


「他人を見くびるなかれ」…… 周りはそれほど馬鹿じゃございませんよ。


4半世紀前の、この映画が、ちゃんと教えてくれてるじゃございませんか。


星☆☆☆☆。

※尚、こんな『トム』(マイケル・ダグラス)でも、たった1つ怖いものがある。


それは夢の中で社長の『ボブ』(ドナルド・サザーランド)にキスを迫られる事。


エレベーターの中で二人っきり。


「トム、君、可愛いねぇ~💖 ん~ん💖」

「ギャアアァーーーッ!!」(大爆笑)


2021年7月25日日曜日

映画 「逃走迷路」

1942年 アメリカ。




カリフォルニアの軍需工場で働く『ケン』と『バリー』(ロバート・カミングス)。


二人は仕事を終えて帰ろうとするとき、ある男とぶつかると、男の持っている封筒が落ちて、中からは、紙幣の束がとびだした。


「あ、すまない」


「フン!」無愛想に立ち去ろうとする男……封筒には『フライ』という名前が書かれていた。


そんな折、突然工場で火災発生🔥


大騒ぎして逃げ惑う工員たち。


そんな中で、ケンとバリーも、懸命に消火活動に加わった。


「これを使うといい」

バリーに消火器を渡す男……さっきの愛想なしの『フライ』(ノーマン・ロイド)という男じゃないか。


バリーは、その消火器をケンに渡した。


ケンが、その消火器を噴射しても豪炎はますます激しくなるばかり🔥🔥🔥


そして、とうとう火に巻き込まれて焼死してしまうケン🔥


なんと!あの消火器には《ガソリン》が仕込まれていたのだった。



軍需工場が大火災で全焼して、おまけに死人まで出したとなると、事は大問題。

すぐさま警察が駆けつけると、案の定、ケンの友人であるバリーが真っ先に疑われた。


「お前が、ケンにガソリン入りの消火器を渡して工場全滅をはかったんじゃないのか!?」


「違う!俺じゃない!『フライ』という男が消火器を渡したんだ!!」


「そんな男は、この工場にはいないぞ!」


警察の尋問は執拗で、全面的にバリーの仕業だと決めてかかっている。

こうなれば何としても、あの『フライ』とかいう男を探しださなくては……


(確か……あの落とした封筒には『フライ』以外にも何か書かれていたはずだ……そうだ!確か住所が………『ディープ・スプリングス牧場』と書かれていたんだ!!)


警察に疑われながらも、自身の無実を晴らす為に、バリーの必死の逃走がはじまる………。


ヒッチコックお馴染みの《間違えられた男》が無実を晴らす為に逃亡するお話である。(『三十九夜』、『北北西に進路をとれ』、『泥棒成金』などなど……この手の映画はわんさとある)


ただ、この映画『逃走迷路』は、その手の映画にしては、あんまり破綻も少ないし、けっこうちゃんとしてるかも。(それに相変わらず警察はオマヌケだが、戦時中ゆえに、こんな警察でも「有り得るかも…」と思ってしまう)


もちろん、むさ苦しい男一人の逃亡劇じゃ、観ている観客は「しらけ~」になってしまうので、サービス精神にとんだヒッチコックは、逃亡の旅の道連れに、美女を用意している。


それが、この女性プリシラ・レイン嬢。(おや、『毒薬と老嬢』でケーリー・グラントと共演していたレイン嬢ではございませんか)



手錠に繋がれたまま、警察から間一髪逃れたバリーは、ある盲目の老人に助けられるが、そこへ、たまたまやって来た姪の『パット』(プリシラ・レイン)に見つかってしまう。


「彼は悪人よ!手錠をはめられているのよ!すぐに警察に突きだすべきよ!」


そんなパットをいさめるように盲人の叔父は、「この人は悪人じゃない!目は見えなくても、私にはこの人がどういう人か分かる……」と言ってのける。


あろうことか、叔父はパットに、「バリーさんに協力してあげなさい」とまで言うのだ。


(エエーッ?!なんで私がそんな事をしなけりゃならないの?!)


パットはブツブツ言いながらも、取りあえずは叔父の命令に従って、バリーを車に乗せて目的地まで送ることにした。


だが、本心では、(こんな男を信用できるもんですか……)なのである。



隙をみて、誰かに助けを呼ぼうとするパットの口をバリーが塞ぐ。


「フンガ、フンガ……ンググ……」(本当に運が悪いとしか言い様のない『パット』(プリシラ・レイン)さん)


こんな二人の逃亡は、どこに行くにも、ピッタリくっついているので、当然周りの人々は勘違いしてしまう。


「見て!片時も離れずに、あんなにくっついて……よっぽど愛しあってるのよ」なんて言われよう。


こんな二人の珍逃亡は、なぜか?皆が協力的になるのである。


サーカス団に逃げ込んでも、「愛し合う二人を助けてあげましょうよ」なのだ。(勘違いって怖い (笑) )


このバリーという男には、なんだか人の同情をひいてしまうような特殊なモノがあるらしい。



こんなパットにしても、よくよくバリーを見れば、(あら、この人……意外と整った顔をしてるのね……)なんて、思いながら変な感心をしてしまう。



やがて、バリーの言っている事が本当だと分かると、バリーにあっさり惚れてしまった♥『パット』(プリシラ・レイン)は、180度態度を変えて、俄然、協力的になる。


「一緒に、その『フライ』とかいう男を見つけるのよーー!」(女って、こうも簡単に変われるの? (笑) )



そうして、有名なクライマックス、バリーとフライの《自由の女神》での最後の対決になっていくのである。


『逃走迷路』っていうと、どんな映画評を読んでも、とかく、この《自由の女神》の場面ばかりがクローズ・アップされているが、自分はバリーとパットのカップル、二人のハート・ウォーミングな逃亡劇の方に心奪われる。


だいぶ、以前にヒッチコックが撮った『三十九夜』的な要素が多い気もするが、それもご愛敬ってところか。(警察から逃げる男と、偶然居合わせた女が反発しながら、逃亡中にラブラブになるところなんかね)



この映画が公開された1942年といえば、第二次世界対戦真っ只中の時期。


《軍需工場》やれ、《テロ》やれ、主人公『バリー』(ロバート・カミングス)も、「自国アメリカの平和を守るため!」みたいな名目やワードが、ジャン、ジャン出てくる。



時世といえば、しょうがない事なのだろうけど、それでも、そんなモノに多少の配慮はしていても、ヒッチコックが撮りたかったのは、やっぱり、ハラハラ、ドキドキ、ワクワクするような《エンターテイメントの世界》なのだ。



辛い現実から、ひとときでも逃れて、皆が楽しめる映画を作りたい!……


そんなヒッチ先生の心意気が伺われるようで、これはこれで、まぁまぁの良作なんじゃないかな?



そんな気持ちが功を奏してなのか、なぜか?この戦争中には、ヒッチ作品にも面白いものが、ズラズラ~と並んでいく。


1942年 『逃走迷路』

1943年 『疑惑の影』

1944年 『救命艇』……


これらは、どれを観ても、今でも楽しめる、粒よりぞろいなのである。



以前、何かの本で読んだ事があるが、あのアガサ・クリスティーが戦争中、昼間は奉仕活動をしていて、夜は世間の雑念を、完全にシャットダウンして、無心になって小説を書き続けていたそうな。


辛い現実から逃れるために、自身の書く物語の世界に没頭し、ひたすら書き続ける………。


この時期のクリスティーも、また、後年、傑作と呼ばれる作品を数多く書き上げているのだ。



これらは、戦争がもたらした偶然の副産物。


モノを作ろうとする、作家や映画監督、クリエーターたちの創造力を、極限状態まで高める結果になったのである。



だからこそ、この時期に作られた映画や小説には、他のものでも、あまりハズレを見かける事が少ない。


そして、この『逃走迷路』もしかり。


星☆☆☆と、しときましょうかね。


2021年7月17日土曜日

映画 「カサンドラ・クロス」

1976年 イタリア・イギリス・西ドイツ・フランス・アメリカ合作。





やっと、この『カサンドラ・クロス』を観た。


と、いうのも、この映画、自分の中ではけっこう、それまで敷居が高かったといわれる映画なのだ。


なんせ、当時のスターといわれる方たちが、わんさと出演している。


リチャード・ハリス、

ソフィア・ローレン、

バート・ランカスター、

エヴァ・ガードナー、マーティン・シーン、O・J・シンプソンなどなど………他にもまだまだ続く。


この映画の事は知っていても、これを簡単に観て、ここに取りあげて「ハイ、終了!」にするのも勿体ないなぁ~、と思っていたのだ。



そこで、


「まずは、この映画に出ているスターたちの主演作や出演作を何本か観てから……」


と自分ルールを決めていたのだ。(無知な自分は、それぞれ名前は知っていても、ほとんど、この映画に出ているスターの映画を観てこなかったので)


特に、この映画において主要になる、リチャード・ハリスソフィア・ローレンバート・ランカスターの映画は何本か観てから、のぞむことに決めていた。(けっこう真面目でしょ?)


おまけに、この映画の監督はジョルジュ・P・コスマトス


シルベスター・スタローンの『ランボー 怒りの脱出』や『コブラ』を監督された、これまた凄い方なのだ。(いずれも傑作)


俄然、この映画にしても、期待値はグ~ンと上昇するというものだろう。




ある日、スイスはジュネーブの国際保健機構本部に、3人のテロリストたちが侵入した。


目的は爆破活動だったが、すんでのところで、ガードマンが犯人の一人を射殺。

もう一人は流れ弾に当たって負傷し倒れた。



だが、残りの一人が、実験室に逃げ込み、栽培中の液体を浴びたまま逃走する。


その液体は、アメリカ政府が極秘裏に開発中だった、極めて感染力の強い、徐々に死に至らしめるような病原菌だったのだ。



逃げた犯人は、ジュネーブ発ストックホルム行きの大陸横断列車へ、コッソリと乗り込んだ。(はた迷惑な)


大勢の乗客たちと謎の病原菌に感染した犯人を乗せて、列車は走り出す。


「これは大変な事になったぞ」

アメリカ陸軍の『マッケンジー大佐』(バート・ランカスター)は、保健機構本部で指揮をとりながら、医療のエキスパート『エレナ・シュトラドナー博士』(イングリット・チューリン)に助力を頼んだ。


負傷したテロリストは、病原菌に感染して、手当ての甲斐もなく、呆気なく絶命する。


「早く列車をとめてちょうだい! 犯人を隔離すればいいのよ!乗客たちの命が大事だわ!!」


心配してエレナが助言するも、マッケンジー大佐は首を縦に振ろうとしない。


「もし、犯人が列車内をうろついていて、すでに乗客たちに感染してたらどうする?列車は止められないんだ!」


「そんな……」


そんな事情を知らない列車は、勢いを増して、どこまでも続く線路を進んでいく。


様々な事情を持つ乗客たちを乗せて………




こんなハラハラ、ドキドキの冒頭でつかみはO.K!



ここから先は、個性豊かな乗客たち(スターたち)について、簡単にちょこちょこ書いてみようと思う。



リチャード・ハリス……飛行機嫌いで、偶然列車に乗り合わせた高名な医師『ジョナサン・チェンバレン』役。


実質、大勢いるスターたちの中で、この映画では、この人が主役だといっていいかも。


映画『ジャガー・ノート』でも活躍したように、この映画でも医者として乗客たちの手当てをしながら、八面六臂の大活躍をしていく。(スイスにいる『マッケンジー大佐』(バート・ランカスター)と無線で連絡をとったり、列車内でリーダー・シップをとっていくのも、この人である)


それにしても、やっぱり《おじいさん顔》のハリスは老けてるなぁ~。(額は、もうシワシワ)


年老いたバート・ランカスターに、老けてるリチャード・ハリスは貫禄負けしてないのだから、それはそれで凄い事なのかも。


ソフィア・ローレン……『ジョナサン』(リチャード・ハリス)の元奧さまで、女流作家『ジェニファー・リスポリ』役。


何度も、ジョナサンと結婚離婚を繰り返しても、やっぱり『ジョナサン』(リチャード・ハリス)のことが好きなのか……この大陸横断列車にまで追いかけてくる。


そんなジェニファーの事を、まんざら嫌でもなさそうなジョナサン。(じゃ、何で別れる?分からない夫婦だ)


このトラブルでも、ジョナサンを手助けして大活躍。最後はジョナサンの愛をも取り戻す。


ソフィア・ローレンの魅力も、この頃になって、やっと分かってきた感じである。(派手な造りの顔もなれてきた)


特に、このジェニファー役のソフィアは可愛げがあるし、リチャード・ハリスが無下にできない気持ちも分かる気がする。


老け顔のリチャード・ハリスと派手顔のソフィア・ローレン、中々お似合いの二人です。



エヴァ・ガードナー ……若いツバメの男『ナバロ』に夢中。そんな愛人と列車でランデブー中の『ドレスラー夫人』役。


若い頃のエヴァ・ガードナーはお綺麗で、遠い昔に、グレゴリーペック主演の『キリマンジャロの雪』でお見かけした記憶がある。


ソフィア・ローレンと並ぶと、あまりにも中年然としていて、ちと可哀想かな。(この髪型がマズイよ)



マーティン・シーン……女ったらしの『ナバロ』役。


それも、ただの女ったらしじゃなく、ドレスラー夫人との旅行を利用して、《麻薬の密売》なんかをしている。(やっぱり、ゲス野郎役だ)


『白い家の少女』にしても『ある戦慄』にしても、《ゲス野郎》といえば《マーティン・シーン》の安定したイメージ。



O・J・シンプソン……そんなナバロを逮捕しようとして、神父を名乗りながらも、実は麻薬捜査官の『ハリー』役。


O・J・シンプソンは、ピーター・フォンダの『ダイヤモンドの犬たち』でも観ている。


当時、けっこう重要な役を割りふられていたシンプソンも、後年あんな事件を起こさなければねぇ~(詳しくは『O・J・シンプソン事件』でお調べください)



この映画、他にもアリダ・ヴァリ(第三の男)やら、ジョン・フィリップ・ロー(バーバレラの盲目の天使役)やら、あんな顔、こんな顔と知っている顔がズラズラ~と出てくる。(チョイ役は可哀想な気もするが)



そして、



バート・ランカスター……『マッケンジー大佐』役。


映画『大空港』から数年経って、ランカスターも歳をとり、元々、強面(こわもて)だった顔は、さらに恐ろしい顔に変わっている。


政府の命令と乗客たちの命の間で苦悩する表情は、ずっと苦虫を潰した顔をしていて、ちょっと気の毒になるくらい。(でも、ハッキリ言って怖い)



そうして、とうとう、非情な決断に踏みきるマッケンジー大佐。



ジョナサンたちの努力の甲斐があって、感染症から次々に乗客たちが回復の兆しをみせてきても、

「このまま乗客たちを帰すわけにはいかない……」なんて思いながら、人知れず決意する。(政府のために口封じするつもりか? 珍しく悪役)



列車はやがて、ポーランドの断崖に架かっている橋《カサンドラ・クロス》に近づいていく……。


「あの橋は長年の老朽化で崩落寸前なんだぞ! あの橋のそばには、もはや誰も住んでいないはずだ!」


乗客の一人が言い出し、ジョナサンは、マッケンジー大佐にその事を伝えると、


「あの橋の安全は完璧だ!二年に一度、定期的に点検しているとポーランド政府も言っている!」の返事が返ってくる。(ウソ八百)


ジョナサンは、マッケンジー大佐の言葉を、即、疑った。

「何とかせねば……このままでは、列車ごと真っ逆さまに転落だ……」(ウソバレてるやん)



そうしている間にも刻々と近づいてくる、死の橋《カサンドラ・クロス》……


ジョナサンやジェニファー、他の乗客たちは、無事に助かることが出来るのだろうか…………




こんな風に、ラストにむけて加速するように、ハラハラ、ドキドキ感も最高潮に高まってくる。


そして期待を裏切らない見事なラスト。


完璧!チョー面白かった!!



『ランボー 怒りの脱出』や『コブラ』で、アクション映画の醍醐味を見せてくれたジョルジュ・P・コスマトス監督ですもの。

この映画でも、ビックリするような凄い絵面を我々に観せてくれる。



ちなみに、タイトルでもある《カサンドラ》とは、ギリシア神話に登場するイリオス(トロイア)の王女の名前。


《悲劇の未来》だけが見えるという、特殊な予言者として伝えられている。


その予言は、結局誰にも信用されなかったけど。(まぁ可哀想な人)



カサンドラ自体が《悲劇》の象徴的存在なのである。


それが《クロス》……重なるのだから、《カサンドラ・クロス》とは『悲劇の交差』なんていう意味と受けとめていいんだろうか。


そんな解釈をしてみると、映画の内容にもマッチしていて、よくよく考えられたタイトルだなぁ~、と、また感心してしまう。



それぞれの出演者たちを知らなくても充分楽しめるが、自分のように、ある程度出演者を知ってから観れば、尚、楽しめるかも。


たまには、こんなやり方で、映画を楽しむのも、また乙なモノであ~る。

星☆☆☆☆☆。


2021年7月13日火曜日

ドラマ 「悪女(わる)」

1992年 4月~6月。




♪チャララン、チャララン、チャララララ~ ……


こんな中華めいたメロディーで始まる、デート・オブ・バースの歌『思い出の瞳』が流れ出すと、変に血が騒ぐというか、不思議な高揚感が増してくる。


そして、この音楽は直結していて、あの伝説のドラマを、すぐに思い出してしまう。


悪女』と書いて『わる』と読む。


『悪女(わる)』主演、石田ひかり……この時、19歳くらい。


他のドラマや映画に出ていても「あっ、可愛い子だな~」くらいの気持ちだった石田ひかりが、このドラマでは、特別に《ひかり》輝いているように見えた。(ダジャレか (笑) )



大手企業『近江(おうみ)物産』に三流のコネで入社してきた『田中麻理鈴(まりりん)』(石田ひかり)。


親がマリリン・モンローの大フアンで、キラキラ・ネームの最先端のような名前をつけられた『麻理鈴』だが、それ以外に特に何かが優れているというわけでもなく……


ただ、元気だけが取り柄という、ごくごく平凡な小娘である。



三流コネゆえ、配属されたのも、近江物産の中でも末端中の末端、狭い倉庫のような場所《備品管理室》だった。


それでも、明るさだけは人1倍の麻理鈴は、

「過労死するまで頑張ります!」

と、元気に挨拶する。(いや、会社は死人が出ちゃ困るって (笑) )



だが、まるでヤル気のないオジサン連中ばかりの備品管理室では、麻理鈴の元気よさも、少々空回り気味。


そんな中で一人、謎めいた先輩女性『峰岸佐和』(倍賞美津子)だけは、「変わった子…」と興味を持ち始めたようだった。



そんな折、麻理鈴は会社の中で、ある男性社員に遭遇する。


それは、まさしく一目惚れ!


運命の人との出会いだった!(…と、麻理鈴が一方的にそう思ってるだけ。相手は全く覚えがない)


キューピッドの矢が麻理鈴の胸を貫いた瞬間。💘


(誰なんだろう?あの人は……もう一度あの人に会いたい💖!!)


その日から仕事そっちのけで、運命の男性探しに、躍起になる麻理鈴。


総務課にまで、こっそり忍び込んで、やっと見つけたパスポートの顔写真には、ただイニシャルの『T・O』しか書かれていなかった。


(『T・O』さん……)



そんなある日、先輩の峰岸は麻理鈴に、こんな唐突な提案をしてきた。


「どう?《出世》に興味ない?!」と……。


「《出世》ですか? こんな私でも《出世》できますかねぇ~」


まるで夢物語。半信半疑の麻理鈴に峰岸はこうも付け加える。


「できるわよ……ただし《悪女(わる)》になれればね……」



このドラマ、当時面白くて、毎週かかさずに観ておりました。


でも、何が『悪女(わる)』なのかは、さっぱり分からなかったけど。(麻理鈴のどこに悪女らしさがある?)


麻理鈴の初恋相手T・Oさん探しには、あんまり興味なかったけど、ひとつひとつ峰岸が出す課題をクリアーしながら、出世していくさまは、とても痛快でございました。



「なんですか?、これ?」


峰岸が渡した用紙には、この近江物産で働く清掃員のオバサンたちの名前がズラズラ~と書かれてある。


「これを全部覚えて、一人一人に挨拶するようになさい」


清掃員のオバサンたちを覚えて挨拶する事が、《出世》と、どう関係あるのか?


全く分からない(???)麻理鈴だったが、取りあえずは峰岸の言う通りに実行しはじめた。


「おはようございます!●●さん!!」

清掃のオバサンたちは、突然名前で呼ばれて、目をパチクリする。



そうして、数日が過ぎると、オバサンたちは、《ある人物》を取り囲んでお茶菓子を食べながら、休憩室で井戸端会議をしていた。


その《ある人物》が、オバサンたちに質問する。


「どうですか?最近変わったことはありませんかね?」


オバサンたちは、咳を切ったように話し出した。


「あの子はトイレでも男の話ばっかり」

「あの子は、ちょいちょいサボってばかりいるわ」

社員たちは清掃員なんて気にもとめないが、オバサンたちは普段から、全てを見聞きして、何でも知っているのである。(『家政婦は見た』、もとい『清掃員は見た』ってところか)


その中で、誰かが言い出した。


「そういえば……一人だけ変わった子がいて、いつも私に挨拶してくれるのよね」


他のみんなも同じようにつられて言い出した。


「私もよ!」

「私にも挨拶してくれるわ、しかも名前でね!」


《ある人物》は、それに感心しきり。


「ほぉ~、名前を呼んで挨拶ですか……で、その子の名前は?」



ー そして次の日


《備品管理室》の課長が血相を変えて麻理鈴の元へやってきた。


「田中君、君、明日から《秘書課》に移動だよ!!」


麻理鈴ビックリ!

(本当だ!本当に出世してしまった!!)


こうして、峰岸の思惑どおり、出世街道の軌道に、上手くのった田中麻理鈴。


けど、その道は、山あり谷あり、イバラの道の始まりでもあったのでした……



当時、このドラマの舞台、《近江物産》という会社には、フィクションをこえて感心しきりだった。


こんな会社なら「自分だって働きたい!」と思ったくらいだった。


大勢いる社員たちの中で、ちゃんと下の者たちの意見を取り入れて、

「良い人材が、どこかで埋もれていないか? くすぶっていないか?」

を、巨大な網をはって、常に探しているのだから、本当に凄い会社である。


こんな会社なら、そりゃ年間22兆円なんて年商を叩き出して、どんどん発展していくに決まってるわ。


それに、こんな風に、


「自分だって頑張れば、必ず誰かが認めてくれる!」なんて信頼があれば、働きがいもあるというものである。



どっかの馬鹿な経営陣たちや、うちの会社の上役たちに、このドラマを突き付けて、今すぐに見せてやりたいものである。(そう思う人、多いんじゃない?)


会社にとって、《人を育てるという事》が、いかに大事なものかを、この『悪女(わる)』は、きちんと教えてくれて、そして諭(さと)してくれるのだから。



もちろん、主人公『麻理鈴』(石田ひかり)が、その後に出会う人々も、善い人ばかりじゃない。


いけすかない奴らが、そこらじゅうに、ウジャ、ウジャといる。(イジワルな鶴田真由や、軽い男尊女卑の布施博、若いのにお堅い頭の渡辺満里奈などなど……)


そんな人々が、麻理鈴の人柄に触れながら、徐々に良い風に変わっていくさまも、このドラマの、また、もう1つの見所である。



やっぱり、取り柄がないといっていても、そこは主人公。


田中麻理鈴には、周りの人を惹き付けるような《何か》が、最初からあるのだ。


だからこそ、「出世に興味ない?」となんて言いながら、先輩『峰岸佐和』(倍賞美津子)も、たまらず声をかけてしまう。



演じるのが石田ひかりだからなのか……

そんな麻理鈴には、人当たりの良さや、押し付けがましくない説得力を感じてしまい、皆が惹かれていくのも、妙に納得してしまうのである。(やっぱり演技派だ、石田ひかりは!)



このドラマのような、田中麻理鈴の逞しく生き抜くスキルは、数十年経った今に観ても、少しも古臭く見えない。


充分にお手本にしたいものである。


是非、是非、この名作のDVD化希望!

星☆☆☆☆。

(それにしてもオープニングのコレ、何の果物なんだろう? メッチャ美味しそう~)