困った……。
ロジャー・ムーアの007の事を書こうかと考えていたのだが、いったいどれを選べばよいのか……。
ロジャー・ムーアは全7作で007を演じている。(現在でも最多)
なぜか、ロジャー・ムーアの007には、自分のお気に入りの作品が多いのである。
世代的に、ほとんどタイムリーに観ていたせいもあるだろうが、007といえば、自分の中では、『ロジャー・ムーア』なのだ。(異論のある人は多いだろうな~、大方がショーン・コネリーだったり、若い人ならダニエル・クレイグだろうから……)
原作者のイアン・フレミングも最初からロジャー・ムーアの007を熱望していたらしい。
だが、それは叶わず、結局ショーン・コネリーが演じる事になってしまいヒットしてしまう。
当時、ロジャーが演じていた、テレビシリーズ『セイント天国野郎』や『ダンディー2華麗なる冒険』の兼ね合いもあったらしいが。
ショーン・コネリーの『ダイヤモンドは永遠に』が終わると、数年越しのオファーを受けて、ようやく念願のボンド役がまわってきたのだった。
そして第1作『死ぬのは奴らだ』は順調な滑り出しで成功する。
ポール・マッカートニー&ウイングスの主題歌は、今、聴いても斬新だし名曲!
ボンドガールの女占い師役、ジェーン・シーモアも超美しい。(まるで妖精のような艶のある髪、ヒラヒラとした長い白のロングドレス姿は、悪党に囚われたお姫様である)
それに、ロジャー・ムーア、やはり画面映えするほど、格好いいのだ。
青い瞳と金髪のジェームス・ボンド。
熊のように毛むくじゃらなショーン・コネリーとは、真逆の色男である(笑)。
そして、何と、ロジャー・ムーアの方がショーン・コネリーより実年齢が年上なのである。(どうみても、当時、鬘のショーン・コネリーの方がオッサンに見える)
人を喰ったようなイギリス人らしいユーモアや上品さは、ロジャー・ムーアが生まれもったものなのだろう。
非情さを売り物にしてきたショーン・コネリーのボンドとは違い、アクションやセリフを言っていても、どことなく余裕が伺える。
どんなに苦境にあっても、戦いはスマートに。
本人は「アクションは苦手だ」と公言していて大勢のスタントマンの力を借りたかもしれないが、このスタイル、私は好きだなぁ~。
「自分が誰かと恋に堕ちてしまう……」
そして、それは、ソリテアの『力』の消滅を意味する。
でも、それをカナンガに知られてはいけない。
「どうしたんだ?」不審顔のカナンガが訊ねる。
「なんでもありませんわ」
知られれば、自分は抹殺されてしまう。
そんなソリテアの部屋に、夜半こっそり現れた『ジェームス・ボンド』(ロジャー・ムーア)。
ボンドがソリテアのカードを引くと、またもや現れ出る『恋人』のカード。
「二人が恋に堕ちる……これは逃れられない運命…」
ソリテアを抱き寄せて、そっと口づけすると、後ろにまわしたボンドの手からは、パラパラと大量の同じ『恋人』のカードが落とされたのだった……
ん~さすが、ジゴロ顔負けボンドの落としテクニック。
憎いねぇ~こんちくしょう!
やっぱり、どれかひとつとは選べそうにない。
ロジャー・ムーアの007に限り、順を追って、のんびりと書いていくことにしようか……。
第1作目「死ぬのは奴らだ」星☆☆☆☆。