2023年8月30日水曜日

よもやま話 「君は《徐福(じょふく)伝説》を知っているか?」

 


《↑鹿児島県いちき串木野市冠獄(かんむりだけ)の徐福(じょふく)像》



昔、昔のはるか昔 ……

今から、ざっと2200年前くらいの中国。


その時は《秦(しん)》と呼ばれており、最初の皇帝である《始皇帝》が統治していた。(紀元前221年頃)

《↑秦(しん)の始皇帝》


この《始皇帝》の性格は、ワンマンかつ暴君。


「欲しいモノがあれば、どんな事をしても必ず手に入れる!」

そんなスローガンを掲げて、富と権力を思うがままに手にしてきた男なのである。


有名な《万里の長城》の建設も、ちょうどこの頃だと言われている。


気の遠くなるなるような、いくつもの石を積み重ねて出来た《万里の長城》も、大勢の人々の血と涙が流されて出来たトンデモないシロモノなのだ。(断ったり、逆らったりしたら即、処刑)


そんな風にして、なんでも手に入れてきた《始皇帝》は、ある日、とうとうこんな事を言い出す。


「徐福、徐福はおらぬか?」

始皇帝に突然呼びつけられた『徐福』は、この時、《方士(ほうし)》の立場。

《方士》とは、瞑想、気功術、占いなどに長けた、不老長寿を目指している修行者の事である。


「徐福、《不老不死》の薬を探してくるのだ!」



しばし、ポカ〜ンとなってもよさそうなトンデモない要求だが、徐福は即答。

始皇帝の命令は絶対なのだ。


「分かりました、すぐに探してまいります!」と言いはなった。(まぁ、こう返事しなければ即、殺されてしまうからな)


こうして《東方の三神山》(仙人が住むという島←ホントかよ?)を目指して航海に出かけていった徐福一行だが、しばらくすると(あらら … )手ぶらで帰ってくる。


「どうにも …… 巨大クジラに航路を阻まれまして …… 」(一説には巨大鮫ってのもある)

だが、こんな返答で超ワガママな始皇帝が「あ〜、そうですか」と納得するはずがない。


「すぐに2度目の航海にでるのだ!今度はクジラにも負けないような、そうして長い航海にも堪えられるような巨大な船で!!」


2度目の航海に向けては、子供から大人まで男女 3000人 が乗り込めるほどの大船が完成する。(そんな巨大な船がこの当時の技術で作れたか、どうかは大いに疑問だが)


そうして、長い航海でも困らないように、たくさんの財宝やお金、五穀の種などが積み込まれた。

もう、これは一種の 宝船 である。


こうして意気揚々と徐福一行は旅立っていったわけだが ……… 



だが、それっきり。

2度と戻ってくる事はなかったのでした。


《↑江戸時代、浮世絵師《歌川国芳》によって描かれた徐福の船》


帰ってこなかった徐福を本国では、ずっと「詐欺師!」、「ペテン師!」呼ばわりだったらしいが、しばらくすると「もしや、徐福は《台湾》か《日本》に逃げ延びたんじゃないのか ……」なんて噂が、まことしやかに囁かれはじめる。


この時期の日本といえば、やっと《縄文時代》から《弥生時代》を迎える頃。

そんな時代の書物や文献なんてのが、あるはずがない。


だが、この噂を日本人は信じたし、中国人も「徐福は日本へたどり着いたのだ」と唱える輩も徐々に増えていったという。



【日本人が《徐福》を信じる理由〜その1】

「徐福が船に積み込んだ《五穀の種》が、弥生時代を迎えた日本の《稲作》を発展させていったのだ」と考える説。


【日本人が《徐福》を信じる理由〜その2】

《秦》の時代に使われていたお金(半銅銭)が、日本のあちこちで出土されて大量に見つかっている事。←(これは案外有力。徐福一行が日本に持ち込んだと言われているのだ)


何にせよ、江戸時代には上記のような浮世絵まで描かれているので相当な信じ込みようである。


しかも、北は青森から〜南は鹿児島まで(北海道を除く)、全国的に、あちこちの県で《徐福》の事は

「うちの場所に立ち寄った」だの、

「しばらく住んでいた」

なんて形容で伝承されているのだ。(ネットもテレビもなかった大昔に、この広域な範囲で。恐るべし《徐福》伝説である!)


もはや、日本の神社という神社には《徐福》関係の事が祀られていて、それに遅れて中国式庭園だとか《徐福》像が点在している始末。


私が住んでいる場所近く(鹿児島県いちき串木野市冠獄(かんむりだけ))にも、1992年に《冠獄園(かんがいえん)》なる中国式庭園が作られて、2000年には上記のような《徐福》像が出来あがっていた。

《↑冠獄園》



こんな徐福の事を今の今まで、ひとっつも知らなかった私。


たまたま趣味の温泉♨巡りで、《冠岳(かんむりだけ)温泉》なる場所に初めて行って、近くに「妙な場所があるなぁ~」と知って調べてみた次第である。


で、《徐福》伝説の事であるが、自分としては半信半疑。

大昔の事だし、どこまで信用してよいのやら。


なんだか日本人の特質(噂好き、真似るのが大好き、ミーハー気質)を存分に利用されている気にも思えるのだが ……



そうして、肝心の秦の始皇帝が、その後どうなったかを補足しておくと ……


待てど暮らせど帰ってこない徐福に痺れをきらした始皇帝は、残った部下たちに《不老不死》の秘薬を作らせた。


それは《辰砂(しんしゃ)》を原料とした“丹薬(たんやく)”という名の薬。


「皇帝、《不老不死》の薬が完成しました!」

「おお、そうか、そうか。待ちかねたぞ。これで俺は《不老不死》になれるのだーー!」


疑いもせず、部下に毒見もさせず、ゴクゴクと美味しそうに飲み干す始皇帝。


辰砂(しんしゃ)とは、水銀が硫黄と結びついた硫化水銀のこと


いわゆる猛毒を毎日飲んでいるとも知らずに ……


結局、不老不死どころか、たった 49歳 の若さで始皇帝は亡くなったのだった。


高圧的な暴君の最期 ……


それにしても、こんなトンデモない薬を(なぜ?)部下に《毒見》させなかったのだろうか。


(不老不死を得るのは自分だけでいい …… )


こんな考えで、己のエゴで死んだのなら、それはそれで自業自得な死に方だったのかもね。



何にせよ、全国的に散らばっている《徐福像》や《庭園》、《神社》の数々 ……


あなたも自分の住む街の《徐福伝説》を調べてみてはいかが?


《↑写真は冠岳温泉から帰宅する前に見えた満月のブルー・ムーン。格別綺麗でございました》

2023年8月21日月曜日

ドラマ 「ケインとアベル」

 1985年。




1901年4月18日の同じ日、二人の子がこの世に誕生する。


一人は、アメリカのマサチューセッツ州ボストン、銀行家のひとり息子として産まれた『ウイリアム・ケイン』。


もう一人は、ポーランドの森で私生児として拾われた『ヴアデク(アベル)』である。


生まれも境遇も全く違う二人、そんな二人が成長して、偶然出会ってしまうと、どうなるのか ……

この物語は怒濤(どとう)の歴史を生き抜いた男二人の、愛と憎しみの物語である。



原作はジェフリー・アーチャーの小説。

1979年に発表されると、瞬く間に世界中で大ベストセラーとなった。


もちろん、日本でもちゃんと翻訳されていて、一時期、本屋の書棚にはジェフリー・アーチャーの小説が新潮文庫として、ズラズラ〜と席巻していたものである。


でも、私はソレを読んでないけど。


なんせ、ジェフリー・アーチャーの小説は長〜いのだ。(小説も上下巻に分かれている)

堪え性のない自分は、手に取る前からとっとと退散した。


そうして、このドラマもイギリスで制作されていて、なんと!5時間ほどの超大作である。


5時間の長さと知ると、観る前から(ゲェーッ)と思う人がいるだろうが(私がそうだった)でも、観はじめると(あら、不思議)スイスイと惹き込まれていく。


5時間はあっという間でございました。


ドラマは『ケイン』と『アベル(ヴアデク)』のパートを交互に折り重ねながら進んでいく。


堪え性のない自分でも飽きる事はない。

本当に親切丁寧な作りとなっております。


そんなW主人公の一人、ウイリアム・ケインの青年期から老年期を演じるのが『ジュラシック・パーク』などで後に有名になるサム・ニールである。


幼少期に父親をタイタニック号の沈没事故で亡くし、母親と二人きりになったウイリアム・ケイン。

やがて母親が再婚するのだが、その男がトンデモないクズ。


身重になった母親に隠れて、しょっちゅう浮気三昧。

オマケに銀行の金までもチョロまかす義父オズボーンに、ケインは内心イライラしていた。


やがて母親は夫の浮気を知って、ショックのあまり、お腹の子供と一緒に死んでしまう。


「出ていけ!この屋敷から出ていけー!」

怒りに燃える『ケイン』(サム・ニール)は、義父オズボーンに物凄い剣幕で詰め寄った。


そんなケインに気圧されて、「この若僧が!今にみておれよ!」と捨て台詞をはきながら、ようやくクズ男・オズボーンは去っていくのであった。



そうして、もう一人の主人公が『アベル(ヴアデク)』で、演じるのがピーター・ストラウスである。


私、この方を全く知らなかったのだが、テレビ界では有名な人らしい。(この『ケインとアベル』ではエミー賞も受賞しているとか)


この『アベル(ヴアデク)』のたどる人生は、かなり悲惨で、実質この物語を牽引しているのは、このアベルと言ってもいいかもしれない。


孤児のヴアデクは小作人夫婦に引き取られ、その情けで育てられていたが、子供の頃からその聡明さは抜きん出ていた。

学業優秀の噂は、たちまちポーランド貴族・『ロスノフスキ男爵』の耳にまで入ってくる。


同じ年頃の息子レオンを持つ男爵は、ヴアデクを養子として迎え入れる事にした。(オマケに人柄の良い男爵は、料理人としてヴアデクの義姉まで引き取ってくれる)←なんて寛大な!


だが、幸せもつかの間、戦争勃発!(第一次世界大戦&ポーランド・ソ連戦争)


ロスノフスキ男爵の領地はたちまち奪われ、それに仕える者たちも、皆、地下牢送りとなってしまう。(その際、一人息子レオンは無残に殺されてしまう)


やがて男爵は死の間際、ヴアデクを引き寄せて、ある秘密を打ち明けはじめた。


「ヴアデク、我が息子よ(本当は男爵の《実の子》だったヴアデク)、お前は今日からロスノフスキ家を継ぐ者だ!ここにいる者たち、全てが証人だ。この代々伝わるロスノフスキ家の腕輪を貰ってくれ …… 」


こうして男爵は息を引き取り、ヴアデク改め『アベル・ロスノフスキ男爵』(ピーター・ストラウス)が誕生した。


だが、それからもアベルの前途は苦難、苦難の連続。


義姉は軍人たちの慰み者として、目の前で強姦されて死亡。(あんまりだ)


自身もソ連の捕虜収容所送りとなってしまう。


なんとか、そこを脱走してトルコに逃げ延びるも、トルコで盗みをして即、逮捕。(腹があまりにも減りすぎて、悪いと思っても我慢できず食べ物を盗んでしまったのだ)


トルコでの盗みは《重罪》。

民衆の前で押さえつけられて、その場で手首を斬り落とされるのだ。(ヒィーッ😱


(もう、ダメだ …… )とアベルが思った瞬間、「その処刑、待った!」の声がかかった。


トルコにあるポーランド大使館の『大使』が、アベルの手首にある《男爵の腕輪》に気づいてくれて処刑をストップしてくれたのだ。(ホッ!)


あわやの所で、命からがら、何とか助かったアベル。


ポーランド大使の粋な計らいで、移民船に乗るとアベルは一路アメリカを目指す。


こうして、ギリギリのところで生き延びてきたアベルはアメリカのホテルで、運良く給仕係の職にありついた。


そこでアベルは運命的な出会い、《ウイリアム・ケイン》と出会う事になる。


「このホテルでは給仕係に手錠をはめる規則なのかね?」

アベルの腕輪を見て、なにやら皮肉たっぷりのケイン。

一方、アベルも負けてはいない切り返し。

「反抗的な者にだけです」


そんなアベルの様子を、ずっとうかがっている者がいた。


アベルの経歴、頭脳、ホテル内での手腕は既に調査済み。

リッチモンド・ホテルのオーナー『デイヴィス・リロイ』である。


部屋へアベルを呼びつけると、リロイはジロジロと品定めして、いくつか詰問し、最後にこう締め括った。


「お前を気に言ったよ!」

リロイはアベルをリッチモンド・ホテルの《副支配人》として引き抜いたのだ。

しかも全てアベルの条件をのんでくれるという高待遇を約束してくれて。


今まで逆風ばかりだったアベルに、やっと追い風がふいてきた。


(自分を認めてくれたリロイの為にも精一杯働こう!)


口には出さなくても、リロイの期待以上の成果をドンドン挙げていくアベル。

やがて信頼を勝ち取り、とうとう《支配人》の地位まで上り詰めてゆく。


だが、時代はまたもや暗転する。

すぐそばまで、あの暗い《世界恐慌》が迫っていたのである ……




こうやって書き出せばキリがないが、ここまででドラマの、やっと3分の1くらいである。(やっぱ5時間は長〜い)


この後、多少付け加えるなら、リロイは世界恐慌のあおりで株が大暴落して破産

銀行に融資を頼むものの、あの『ケイン』に断られて、ビルから飛び降り自殺してしまうのだ。(ガ~ン)


恩人の自殺でアベルはケインを生涯恨み続ける。

「おのれ〜ケインめ!あいつのせいで『リロイ』が死んでしまったんだぁぁーー!」


一方ケインはケインで、あの母の仇ともいうべき義父『オズボーン』がアベル側に寝返ったので、アベルを敵視しはじめる。


「あいつをオズボーンと一緒に破滅させてやる!」


こうして憎しみの物語は、両者で「これでもか!これでもか!」とヒート・アップしていくのである。



同じ年の同じ月、同じ日に生まれたとしても仲良くなれないのは当たり前なのかもしれない。


だって、この二人はおひつじ座🐑(メェ~)


おひつじ座の性格の特徴は、

「リーダーシップを持って高い理想に突き進んでいくものの、プライドが高すぎて、他人の助言をあまり耳に入れない」のだという。←(まんま『ケインとアベル』じゃん)


なるほど、同じような性格同士でぶつかり合うのも当然といや当然か。(そういや私の周りも、そんなおひつじ座が多いかも)


こんな性格の『ケインとアベル』の決着はどうなってゆくのか?


興味がある方は、このドラマを探すか、ジェフリー・アーチャーの原作を探すか …… どちらを選んでも良し。


オススメしておく。(私なら『アリエスの男たち』ってタイトルにしちゃうかもね(笑))


それにしてもピーター・ストラウスは格好いいなぁ~♪


2023年8月12日土曜日

ドラマ 「かもしれない女優たち2016」

 2016年 10月。




変わったドラマ見っけ!

…… と、いってもコレも平成も終わりに差し掛かった頃の、だいぶ前のドラマなのだけど。


それぞれの女優たちが実名で登場していて、

「もしも、あの時、〇〇の仕事を断っていたら …… 」なんて想像で、架空のパラレルワールドの世界を描いている。


一風変わった切り口に挑んでいるのは、お笑いタレントのバカリズム。(脚本)


第一弾が2015年にあり、竹内結子真木よう子氷川あさみで放送されている。


私が観たのは第二弾の広末涼子井川遥斉藤由貴版のスペシャルドラマ。(竹内結子のみ第二弾にも少しだけ出演している)



広末涼子は、「もしも伝説のドラマ《ビーチボーイズ》を断ってしまったら …… 」

井川遥は「あの時《写真集》を出さなかったら …… 」で、共に落ち目の女優になったしまった二人。


広末涼子の方は、結婚式の司会や、若い頃に出した《掃除本》を足がかりにハウス・キーパーの職で、なんとか食いつないでもいる。(広末が《掃除好き》なんてイメージは一切ないけど(笑))


井川遥の方はちまちまエキストラの女優だけを続けているみたい。

でもコチラには、一応、藤木直人(同名・俳優)という彼氏がいて、プロポーズを心待ちにしている様子。


で、問題は斉藤由貴なのだが …… 


カップヌードルのCMで評判になり、デビュー曲『卒業』がオリコン6位まで登りつめ大ヒット。(この辺りまでは現実と同じ)


だが、初主演ドラマスケバン刑事》を断ってしまった斉藤由貴!」は、そこから転落人生となる。


一気に落ち目。

仕事はなくなり、芸能界からは忘れられていき、ひっそりと引退。


暇をこいた斉藤由貴は図書館通いをはじめて、(なぜか?)理論物理学へと興味を持ちだし猛勉強して ……


現在(2015年)は、若い子らに混じって、48歳で、大学生となっていた。



夜は、かつて芸能人だったツテを使って《由貴ママ》なんて愛称で呼ばれながら、芸能人たちがお忍びで集まるBARを経営している。←(コレはコレで中々の成功じゃねぇの?)



そんなBARへ、子役から女優をしている夏帆((かほ)コチラも実名)は常連客となり、斉藤由貴を慕って足しげく通っていた。(井川遥藤木直人もココの常連客)



夏帆「ねぇねぇ、由貴ママが断った仕事って《ミニスカポリス》だったっけ?なんで断っちゃたのよ?」


斉藤由貴 「あのねぇ、《ミニスカポリス》じゃなくて《スケバン刑事》!それまで清純派路線だったのにいきなりのスケバン役でしょ。なんとなく、ついねぇ~ …… 」


夏帆 「ふ〜ん …… 」



だが、昼は大学生活、夜はBARの仕事。

卒業を間近に控えての論文の仕上げで、きりきり舞いの斉藤由貴はとうとう大学で、ある日、ぶっ倒れてしまう。


そんな病室へ、

「由貴ママ、大丈夫なのぉ~?」と、夏帆も心配してお見舞いに駆けつけた。


夏帆の手土産は、なんと!スケバン刑事の《ヨーヨー》である。


「由貴ママ、あんまりアタマ使いすぎ!コレならアタマ使わなくて済むでしょ」


だが、卒業論文で行き詰まっていた斉藤由貴はヨーヨーを見ているうちに、何かのヒントをつかんだようで ………




当人が同名で出演してくれて、しかも斉藤由貴じゃなきゃ、絶対に成り立たないようなお話。(よくこんな企画が通ったし、出演してくれたよ)


この後は、BARに、前述の広末涼子やら井川遥、藤木直人などが集結して、ちょっとしたスッタモンダがあるのだが、皆が皆、ハッピーエンドを迎える。(その中で論文が成功して《ノーベル賞》まで受賞してしまう斉藤由貴は、あんまりにも、やり過ぎのような気もするのだが …… )


まぁ、実名で皆が出演してくれてる以上、バカリズムとしては、だいぶ配慮した、こんな有り得ない結末もしょうがなかったのかも。



そうして、現在(2023年)に、このドラマを初めて観た私は、少し複雑な心境である。


このドラマの中で広末涼子が同じ歳で、女優として大成功している竹内結子を羨むシーンがあるのだが、現実では竹内結子が亡くなっている事実を誰もが知っている。


彼女に何があったのか詳しく報道もされなかったが、彼女こそ「もしも女優になっていなければ …… 」と思わずにはいられない。(このドラマを観た後では、一層そう思ってしまった。(少ししんみり))



広末涼子が、不倫して2度目の旦那と離婚したのはつい最近の事で、世間一般が知ってる事実。


このドラマの中で、結婚式の司会をしながらイケメン花婿に心ときめく広末だが、現実の彼女の男性遍歴を知っている我々には、ひと目で「ない!ない!絶対に有り得ない!」エピソードである。


なんせ、彼女の男の趣味は、男の自分から見ても、あまりにも《特殊》過ぎる!←(「広末、またもや、そっちに行く?」と誰もが、毎回思ってるはずだ)


結婚相手も不倫相手も、ごくごく普通のイケメンなんてのには絶対に惹かれない女、それが広末涼子なのである(笑)。

世間的には、こんなイメージが完全に定着している現在。(彼女は無事復活できるのか?こう、ご期待である)



そうして、斉藤由貴


3度目の不倫をしても、大したダメージもなく、歌手や女優を続けているのは皆がご承知のとおり。


それどころか「是非、出演してほしい!」と、次から次へと舞い込んでくる映画やドラマのオファーは、今も後を絶たない。


《不倫》くらいでは、びくともしない。

芸能界にしても、世間一般にしても、いつの時代も、斉藤由貴は求め続けられているのである。


そんな斉藤由貴が「《スケバン刑事》のオファーを蹴ったばかりに芸能界から消えていく?」


それこそ、有り得ないようなお話なのだけど。(こんな強力な個性や魔性が、人々の記憶から簡単に忘れ去れますかね?)


かくいう私もそんな魔性に魅了され続けた一人である。


バカリズムの脚本に、ところどころ苦笑いしながらも、これは「絶対に有り得ない話!」と全力でツッコむのが、このドラマの正しい観方だ。


そうして、何十年経っても、こんな扱いをされる《スケバン刑事》って、「名作だったんだなぁ~」と再認識させてくれたドラマなのでした。(デビュー曲《卒業》も、ドラマに中にちゃんと織りこまれております。やっぱスゴいわ、斉藤由貴!)



※尚、初代《スケバン刑事》は、当初、宇沙美ゆかりってアイドルにオファーがあったのは有名なお話。


それを、宇沙美ゆかりが蹴ったばかりに、次点として斉藤由貴が選ばれたのである。


こんなトリビアを知っておいて観ると、このドラマは案外面白いかもしれない。

《おしまい》

2023年8月3日木曜日

アニメ 「100万年地球の旅 バンダーブック」

 1978年8月。(24時間テレビより〜)





大人になると定期的に観たくなるのが、昔の手塚治虫アニメ。


近年でも手塚治虫の原作はちょくちょくアニメ化されているのだが、ん〜、どうにも食指が動かない。

やっぱ手塚治虫が直接関わっていて、手塚治虫の絵柄じゃなけりゃ、私には無理なのかも。


今回久しぶりに、配信でやってた『100万年地球の旅 バンダーブック』を観た。



地球でも高名な科学者・クドー博士と妻が乗っていた宇宙船が爆破テロ💥にあった。


夫妻は「この子の命だけは …… 」と産まれたばかりの赤ん坊を泣く泣く脱出ポッドに入れて、宇宙空間へと解き放った。(その直後、宇宙船大爆発!)


脱出ポッドは、すぐさま近くの安全な星を見つけ出して(?)、その星へ無事到着する。


その星は《ゾービ星》。


ゾービ星は幸運にも大気や海などもあって、地球と、ほぼそっくりな環境だ。

動物や人間の姿も、まんま地球と同じ生物たちが住んでいる。


ただ、モラルだけは発達してるのか …… ムダな殺生を一切しない のが、この星の《ルール》。


狩りをしても、動物の《尻尾》だけを狙って食(しょく)し、後は野に返してやる。


そんなゾービ星の王妃に、幸運にも拾われた赤ん坊は、《バンダー》の名前を与えられてすくすくと育てられた。


やがて17年の歳月が経ち、立派な青年になったバンダー。

義妹のミムルは兄弟でありながら、そんなバンダーに熱い視線をおくる。


平和だったゾービ星 …… 


だが、ある日、宇宙ギャングの船がやって来て、人々は騒然となり逃げ惑う事になる。


バンダーだけは一人残って、ギャングの親玉《ブラックジャック》と闘うのだが ……




お話は一言でいうと荒唐無稽なSFモノ。(惑星間移動、タイムマシン、科学的なモノは完全に無視して、やりたい放題にやっております(笑))


やはり当時あまりにも忙しすぎた手塚治虫。

脚本、ストーリー展開にもだいぶ《アラ》が見えてしまう。


だが、この『バンダーブック』はとても面白いし、自分には愛おしい作品。


今回久しぶりに観て気づいた事もある。

この『バンダーブック』、映画『火の鳥2772』と、似ている部分がとても多いのだ。


両者を比べて、自分が気づいた類似点をいくつかココに書いておこうと思う。



★主人公は何の特殊能力も持たない正義感だけのヒーロー。そしてちょっぴり浮気性。


『火の鳥2772』の宇宙パイロット・ゴトーにしても、このバンダーにしても、ごく普通〜の地球人。なんの超能力も与えられていない。

一応、光線銃や剣を使うものの、戦うのは生身である。


そうして《浮気性》ってのは、本命のヒロインがいて、一方では良い顔をしながらも、別の美人にヨヨヨ … といっちゃうとこ。(ダメじゃん(笑))


バンダーにはゾービ星の義妹ミムル(もちろん血はつながっていない)がいるのに、シリウス星のマリーナ姫(美人)に出会ってしまって、ついフラフラ~♥


ゴトーは、オルガ(美人でもロボット)に愛されながらも、上流階級の娘・レナ(美人)に、これまたフラフラ~♥


★ヒロインは超万能。愛する男の為なら何にでも変身します!でも、恋敵には嫉妬もしちゃいます。


元々ゾービ星人は誰でも《変身能力》を持っている。

胸や腕に《変身バッジ》なるものを装着すると、自分の思い描く姿に変身できるのだ。(バンダーが《変身バッジ》をつけてもゾービ星人じゃないので無理)


バンダーを愛するミムルは、ピンクのウサギ・《ムズ》の姿を借りてどこまでもついてくる。(可愛い〜♪😍)


時には、馬やプロペラ、バンダーを覆うマントにまで変身したりも出来るので、バンダーはムズに頼りっぱなし。(ムズの正体がミムルだとは最後まで気づかない鈍感なバンダー)


『火の鳥2772』のオルガも変身ロボットなので、飛行機でも水上バイクでも何でもごされだ。


そうして、ミムルにしても、オルガにしても、上記に書いた恋敵に《やきもち》をやいたり、《嫉妬》したりするのは、ごもっとも。


★当時、大人気のブラックジャックが助演する。



『バンダーブック』では宇宙ギャングのボス役。

『火の鳥2772』では囚人を強制的に働かせる労働キャンプの所長役。


一見、「悪そうな人なんだけど、本当は良い人」ってのがブラックジャックに、いつも与えられる役柄だ。

そうして最後は主人公を案じながらも、非業の死 を遂げるパターン。(たまには生かしてやれよ(笑))



この『バンダーブック』は、『ブラックジャック』が、アニメに初登場した作品でもあるのだ。(その後、『マリンエクスプレス』など他の作品にもチョイチョイ借り出されるブラックジャック)


手塚治虫の死後、出崎統杉野昭夫コンビで、アニメ化されたり、息子の手塚真によってテレビアニメ化されたものもあるが、やっぱり本家の描くブラックジャックには、ちと敵わないかも。


このニヒルな面構え … やっぱカッコイイですわ。(できるなら、生前に手塚治虫の作画で『ブラックジャック』をアニメ化してもらいたかった)



★人間の愚かさで地球は一旦、終末を迎える。でも、ふたたび再生する。

『バンダーブック』や『火の鳥2772』だけじゃない、手塚作品が掲げる大きな主題。


「そうだよな~、人間がしっかりしなくちゃダメなんだよな~」と、手塚アニメで育った世代には、キチンと心にすり込まれているような …(気がする)




『バンダーブック』と『火の鳥2772』を比べてみての考察は、ざっとこんなところかな。


この後、1980年に『火の鳥2772』の映画が作られるのだが、多分、『バンダーブック』で消化不良だった部分が、手塚の脳裏にはあったはずなのだ。(それなら似ているのも納得か)


それが意識的なのか無意識的なのかは分からないが …… 『火の鳥2772』は『バンダーブック』のリメイク?みたいな気がする。



漫画でも、納得するまで何度でも描き直しをしていた手塚治虫。


漫画の神様は決して妥協しないのである!(でも、出来上がった『火の鳥2772』は相当グロいけどね(笑))