2021年1月18日月曜日

映画 「ゼイリブ」

1988年 アメリカ。




ごく最近(と言っても1年以上前だが)、ジョン・カーペンター監督の『要塞警察』を観て、ひたすら感心し、ここにも取り上げてみた事がある。


ジョン・カーペンター作品も、あの頃(80~90年代)に、日曜洋画劇場などで頻繁に放映されていたし、知ってもいた。


でも、白状してしまうと、ほとんどリアル・タイムで観ていないのだ。


スルーしていたのである。(今にしてみれば後悔してしまうが)



この、80~90年代は、まさに洋画の黄金期で、毎月出る作品、出る作品が、常に大当たりしていた時代。


ヒットなんて生易しい言い方じゃなく、どれもこれもが、当たり前のようにメガ・ヒットしていたのだ。


そんな時代に、映画の監督に注目するなんて事は、ほとんどしなかった。(スピルバーグなど一部をのぞいて)



シュワルツェネッガーやスタローンの出る作品はどれも面白くて、

エディー・マーフィー、マイケル・J・フォックス、ブルース・ウィリス、ハリソン・フォードなどなど………次々と看板スターの名前があがる。


それらのスターが出ているだけで《面白い映画》として、観る側の食指をくすぐって、牽引していたのである。



「あの俳優が出るなら、きっと面白いはず!」


大した情報もなく、こんな確信だけで、映画館の行列に並んだのだ。



ジョン・カーペンター作品の『スターマン』に出ているジェフ・ブリッジスや『ニューヨーク1997』のカート・ラッセルも、もちろん有名で知名度はあるが、それでも、よくてBか、Cランク。


前述に書いた名前の俳優たちは、皆がS級ランクであり、メガ・ヒット作品を、それぞれ持っていて、とても足元に及ばない。



そのくらい、この大きな差は、観客が「観るか、観ないか」を決める上では、確信であったり、確約だったりして重要だったのである。



だから、ジョン・カーペンターの映画が、たま~にテレビで放映されていたりしても、

「主演俳優、誰だ?全然知らんわ…」って感じで、簡単にスルー。(『要塞警察』も、今観ると面白いのだが、無名俳優たちばかり。そりゃ、よっぽどのマニアックな映画フアンじゃなけりゃ観ようとしませんって。)



「低予算でも工夫次第で面白い映画は、きっと作れるはず!」


確かに、それは立派であり、カーペンターの映画を観てみれば納得することしかりなのだが……。


でも、観客の口コミや多少の宣伝があって、ヒットはしても、メガ・ヒットにまで結びつかなかったと思う。


スター俳優の不在は、この壁を、とうとう乗り越えられなかったのだ。


ならば、スターを育成(ドン・シーゲル監督がクリント・イーストウッドを育てたように)すればよかったのだが、それも叶わずじまい。



今、現在じゃ、だいぶ不遇な扱いになりつつあるジョン・カーペンターなのである。



この『ゼイリブ』にしても観てみると、なかなか面白い。



宇宙からやってきたエイリアンたちが、いつの間にか人間になりすまし、紛れ込んだ世界。

それを「エイリアンか?、人間か?」を見分けるサングラスで、主人公が闘うストーリー。


でも、如何せん、主人公役のロディ・パイパーは、無名の俳優と思いきや、本業は、ただの《プロレスラー》。(当時も「誰だ?」と思ったものだが、よもやプロレスラーだったとは)


これじゃ、予備知識もない、あの時代に、多感な高校生が、これを積極的に観よう!としなかったのもお分かりいただけると思う。



他のキャストたちも、いずれも無名な人物ばかり。



唯一、この人どこかで……と思ったのが、女優のメグ・フォスターでした。


この人の、常人よりも特別薄い、青い瞳には、「以前、どこかで……」と見覚えがあったのだ。


で、「何に出ていたっけ~?」と考えていたら、やっと思い出した。


『ジェシカおばさんの事件簿』にゲスト出演してのを。(これも、ある意味、超マニアックな思い出なんだけど (笑) )


なんにせよ、面白い映画でも、観るまでの《とっかかり》って、大事だなぁ~、ってお話でした。


長々の《ひとりごと》でございました。

2021年1月14日木曜日

映画 「バーバレラ」

1968年 イタリア、フランス、アメリカ合作。





4万年後の宇宙は、平和そのもの。


宇宙飛行士『バーバレラ』(ジェーン・フォンダ)は、自らの宇宙船でひとり、銀河をパトロール中。


宇宙船の中、何故か?そこは天井から壁や床まで毛皮の絨毯がビッシリ敷き詰められている。


そんな中で無重力状態で、回転しながら、1枚、1枚、宇宙服をセクシーに脱いでいくバーバレラ。


気がつけば素っ裸の産まれたまんまの姿。



(あら、ヤダ! 脱ぎすぎちゃったわ)



そんな時に地球の大統領より連絡がきた。


モニターに大統領の顔が映し出されると、


「あのぉ~ちょっと着るもの探してきます」と、慌てるバーバレラ。


「いや、そのままでいい」(大統領も好きねぇ~(笑))



大統領がバーバレラに与えた任務は、凶悪な科学者『デュラン・デュラン』を見つけるために、遥か彼方の宇宙、『タウ・セティ系』に行って、宇宙の平和を守ることである。(女ひとりに、なんて任務だ)



バーバレラは、目標のタウ・セティ系に行くように自動操縦をセットすると、とりあえず、おやすみする事にした。


「着いたら起こしてね」(お気楽なバーバレラ)


コンピューターに、そう言うと、ひと休み、ひと休み……ムニャ、ムニャ……。




[バーバレラ、起きてください!磁気嵐です!]



コンピューターに、突然起こされると、宇宙船は真っ逆さま。


「あら、まぁ、大変!どうしましょう?!」(どこまでも、お気楽なバーバレラ)



バーバレラの宇宙船は、何とか、タウ・セティ系の第16惑星に不時着するのだった。



ノーテンキさと、セクシーさだけで、宇宙を冒険するバーバレラの、ノホホ~ンとしたSF映画である。


その大昔、テレビで放送されていた『バーバレラ』を、たまたま観ていた子供の自分は、ところどころで「?、?、?」と首をひねる場面ばかり。


こんな一部のマニア受けするような映画を、ゴールデン・タイムの時間帯で、堂々と放送していたのだから、今、考えると凄い事だ。


そして、数十年ぶりに改めて観た、バーバレラも『ヤッパリ変な映画』である。





宇宙船が不時着した惑星は、何もない辺り一面が氷原におおわれた世界だった。


そこで、バーバレラは、双子の女の子にあっさりと捕まった。(相手は子供なんだけど(笑) )


イカの橇(そり)に乗せられて連れて来られたのは、薄気味悪い子供たちがいる壊れた宇宙船。


そこにあったのは、これまた薄気味悪い人形たち。(これが、『人形の家』の世界か (笑))

その人形たちが、カチッ、カチッ!口を鳴らしながら、ゆっくり、ゆ~っくり、バーバレラに迫ってくる。(なぜか?さっさと逃げないバーバレラは、まるで襲われるのを待ってるようである )



「助けて~!」


人形たちがロープに縛られたバーバレラの洋服を噛みちぎりはじめる。(もう、本当に「何これ?」ってシーンの連続。「イヤア~ン」と、声がもれてしまうバーバレラは、襲われながらも、なんだか嬉しそう)


「やめろ!!」


そんなバーバレラを助けてくれたのが、この惑星に住む『マーク・ハンド』(ウーゴ・トニャッツィ)だった。(なんか簡単に一人でも脱出できそうですけど)

※ウーゴ・トニャッツィといえば、あの『Mr.レディMr.マダム』で有名なゲイのナイトクラブ経営者役の人。


「助けてくれてありがとう。何かお礼がしたいわ」と言うバーバレラ。


それならと、マークも遠慮せずに「君とS●Xしたい」と、ストレートな見返りを要求した。


「あれは気持ちが乱れるわよ」と言いながらも、お気楽なバーバレラは、特に嫌がる様子もなく、即O.K!。



バーバレラとマーク・ハンドを乗せた帆船は氷原をクルクルまわりながら、バーバレラの壊れた宇宙船へと進んでいく。(その間に「やる事をやっちゃいましょう」って事なのだが………それにしても、シュール過ぎる絵面が続くよ)



事が終わると「フゥン、フフゥ~ン♪」なんて鼻歌を歌ってしまうバーバレラは満足そうである。(全く、この娘ときたら (笑) )


親切なマークは、バーバレラの壊れた宇宙船を、ものの数秒で直してくれた。(いつ?そんな暇が!(笑) )


おまけに『デュラン・デュラン』の手がかりをつかむために、「『ソゴー』に行けば分かるかもしれない」とまで教えてくれる。(本当に何から何まで、ご苦労様です)



そして、直してもらった宇宙船で、再びソゴーを目指したバーバレラ。



しばらく進んでいくと、またもや敵の攻撃が。(これまた、あっさりやられるバーバレラ。でも怪我ひとつございません)


そんなバーバレラが気を失っていると、背中に羽根がはえてるけど、精神的なショックで飛べない盲目の美少年『パイガー』(ジョン・フリップ・ロー)が偶然通りかかった。(まったく、この娘ときたら……まるでダメ。運の良さだけで生き残ってきた感じのバーバレラなのである)


とりあえず、天使パイガーにも、「助けてくれてありがとう」と言って、バーバレラはお礼をした。(お礼って言っても、やっぱり例の《アレ》なんだけど (笑))



事が終わって、またもや、「フフゥ~ン♪」と鼻歌を歌っているバーバレラが、頭上を見上げると、あの飛べないパイガーが空を飛んでいる。



「OH!、パイガー!!」


「飛べるよ!バーバレラ!」



村の長老は、「これぞ、ホルモン療法の力じゃ!」とばかりに感嘆した。(どんな療法じゃ!(笑))



さぁ、飛べるようになったパイガーと供に、バーバレラは、やっとこさ、悪党『デュラン・デュラン』のいる本拠地を、目指して進んでゆくのだが………。



もう、ずっとこんな感じで、終始進んでいく『バーバレラ』の物語。


子供の頃に、こんなのを観た日には目が点、「?、?、?」になるのもお分かりいただけるでしょう。


緊張感もなければ、まるでハラハラもしない。

こんなSF映画も珍しい。




この後も、惑星の反乱分子『ディルダノ』(デヴィッド・ヘミングス)に出会うと、掌をかざして快楽へといざなったりするバーバレラ。


バーバレラの色気は掌を伝わり、ディルダノを、あっという間に昇天させたりする。(『サスペリア2』のデヴィッド・ヘミングスさんが、こんなトンデモ映画に?!)



こんなバーバレラに悪の親玉『デュラン・デュラン』も勝てるはずもなく、呆気なく撃沈。


宇宙の平和は、バーバレラの宇宙規模のセクシーさで、なんとか守られたのである。(チャン!チャン!)





馬鹿馬鹿しさ満点の、この映画を数十年ぶりに観ると、評価もガラリと変わってしまう。


いまやカルト映画というのも納得かも。



それにしても有名俳優さんたちが、揃いも揃って、よくぞこんな映画に出演してくださいましたよ。


ウーゴ・トニャッツィもデヴィッド・ヘミングスさんも、ご苦労様。(こんなのに出演して後悔はなかったのかな? (笑) )



まぁ、それもこれもジェーン・フォンダが主演だということで、すべて許されるので。



出演している俳優たちはもとより、これを観た世界中の男たちは、ジェーン・フォンダの虜になっちゃうはず。

そのくらい、ジェーン・フォンダ様の可愛らしさは、この映画では群を抜いている。


素晴らしいプロポーションもさることながら、ドジっ子さやおバカさ、もう全てが可愛らしいし愛しいのだ。(こりゃ、みんながベタ惚れになるのも納得だわ)


かくいう私も、ジェーン・フォンダ様の魅力に、今、この歳にになって、やっと気づいた次第で。(子供じゃ分からない。大人になって気づくジェーン・フォンダ様の魅力)



ストーリーや演出なんて二の次。


次々変わるバーバレラの衣装を、素直に楽しみましょう。


これはジェーン・フォンダ様を堪能するためだけの映画だったのである。

星☆☆☆☆☆。


2021年1月5日火曜日

ドラマ 「岸辺露伴は動かない(2020年)」

2020年 12月28日~30日(全3話)。





最近じゃ、テレビも、もうほとんど観ない日々。


そんな時、たまたま、この情報にぶちあたった。


『岸辺露伴は動かない』実写化ニュース。



実写化と聞いて、3年前の酷すぎる実写映画の悪夢が甦ってくる。



失礼だけど、観る前から、あの映画はコケるだろうと思っていたら案の定だった。


キャストも酷ければ、あのビジュアルも「何だこりゃ?!」の仕上がり具合だったし。


オマケに、監督も、あの●●さん。(『ジョジョ』に対して何の思い入れもない、来る仕事拒まずのお方でしょ?)



漫画の実写化は本当に難しい。



漫画の登場人物をそのままの格好で出せば、ただのコスプレか、仮装大賞。


特に、このジョジョの登場人物たちは、現実世界では受け入れにくいような奇抜なファッションに身を包んでいるのだから。


こんな格好の人たちが大勢で、街中を歩いていたら、ただの変人集団にしか見えないので、即、警察に事情聴取 (笑) 。



かといって、皆を普通の格好にしてしまえば、それも、また《ジョジョらしさ》を失ってしまう。


微妙な匙加減のビジュアル改変……このジョジョにおいては、まず、それをクリアする必要が充分にあるのだ。


それができなければ、まず失敗する。(ゆえに映画は大失敗した)


でも、これが頭を抱えるほど難関な問題。

だから、こんなのの、実写化なんて、相当自信がなければ、はじめから下手に手を出さないほう無難なのだ。



後、あの、膨大な長さの原作。


あれを二時間の映画の尺に縮めて収めようとするのも、まず無理!(第一章なんて謳い文句だったけど、そもそも何章までやるつもりだったのか)


あれだけの多い登場人物たち……主要人物だけに絞ったとしても、それぞれに備わったスタンド能力を説明するのに、二時間はゆうに超えてしまう。


いっその事、あの登場人物の中から、主要人物を何人かだけピックアップして、オリジナルのストーリーに仕上げた方が、まだ良かったのに。


こんな風に、あの映画を観た後、しばらくの間は、ブツクサと不満が止まらなかった自分。



で、それから数年経って今回の実写化。


(またか……)という思いと、(もしかしたら……)って思いが、微妙に交錯してしまい、とりあえずは「ダメで元々」と、おもいっきりハードルを下げて観てみると…………



アレレ……、中々良くできているじゃございませんか!!



岸辺露伴を演じた高橋一生のビジュアルも、ギザギザヘアバンドは濃い緑になって、あまり目立たないようになっているし(良かった、真緑じゃなくて)、服装も白いシャツに黒のダボッ!としたコートが似合っている。(漫画の露伴は、ピチピチした短いシャツに、腹出しファッション。これも相当変である。(笑) )


このビジュアルは、《アリ》なんじゃないの?と、まず感心してしまった。



編集者、泉京香役の飯豊まりえのリボンが、ちと大きすぎる気もするが、まぁ、ギリギリ許せる範囲かな。(でも、可愛いけどね)




物語は、ジョジョを全く知らない人にも、入っていきやすいよう無理なく改変されている。


岸辺露伴の能力『ヘブンズ・ドア』を《スタンド能力》と言わずに、《特別に与えられたギフト》と呼んでいるし、スタンドの実態を見せないのも、これはこれで、かえって良かったかも。


原作の中から3話を取り出して、個々の独立した話にまとめながらも、この3話でひとつの形にみせるような、粋なやり方も上手いなぁ~と、ホトホト感心。



脚本家誰なんだ?と思ったら、小林靖子さん。

テレビアニメ『ジョジョ』を担当したお方でした。



なるほど、『ジョジョ』の事を知り尽くしている方なら、この出来も納得かもしれない。



この実写に異論のある人もいるだろうが、自分は充分に楽しめました。



多分、第2弾もやるだろうが、それがあれば大いに期待したいと思う。

星☆☆☆。


※第2話『くしゃがら』の『志士十五(ししじゅうご)』役の森山未來さんは、さすがの名演技。


この話だけは、小説から借りてきた話なのである。


漫画の元々のビジュアルも無くて、それでいて荒木飛呂彦の世界観に似合った登場人物に近づけるのは、本当に至難の技。(とにかくアクの強い登場人物が多いので)


今回、実写化の意義があるなら、これこそ、本当に感心してしまいました。




2021年1月2日土曜日

映画 「M★A★S★H マッシュ」

1970年 アメリカ。





時は朝鮮戦争の真っ只中。


最前線から5キロくらい離れた場所に、それはある。


アメリカの陸軍移動外科病院。(単に野営テントをいくつも張り巡らして、そこで戦場負傷者の手術をしたり、外科的な処置をする場所だが)

通称《MASH》である。



そんなMASHに配属されてきた軍医『ピアース大尉(通称、ホークス・アイ)』(ドナルド・サザーランド)と『フォレスト大尉(通称、デューク)』(トム・スケリット)。

二人とも外科の腕前は一流なのだが、酒は呑むし、女好きだし、イタズラ好き。



毎日、大量の負傷者が出て、12時間以上も激務をこなしている軍医や看護師たちの中では、到着そうそうから、特に異彩を放っていた。


「助けられる命は助ける!でも死人が出ようが、負傷者が次々運ばれてこようが、悲観的なってたまるか!こんな所でも明るく楽しくワイワイやる!」


簡単に説明すると、常にそんなのを信条にしている二人なのである。



そんな二人が、この場所の責任者で司令官の『ブレイク中佐』に案内されて、住居となる野営テントにやって来ると、同室の『バーンズ少佐』(ロバート・デュバル)は、二人とは真逆の堅物。


酒は呑まないし、熱心なクリスチャン。


仕事がない時は、常にブツブツと祈りの言葉を唱えるという変わり種だった。

こんなバーンズ少佐と、二人が合うはずもなく、「気が変になりそうだ!早く、バーンズを変えてくれ!」とすぐに直訴。



そして、代わりに、二人のテントにやって来たのは、『マッキンタイア大尉(通称、トラッパー)』(エリオット・グールド)だ。

髭もじゃで、おかしな風体のトラッパーだが、外科の腕前もピカイチで、冗談も通じる相手だ。


ホークス・アイ、デューク、トラッパーの3人は、すぐに意気投合する。


そんな3人は《MASH》で激務をこなしながらも、女性看護師にモーションをかけたり、仲間をふやしながらイタズラに明け暮れる日々をおくるのだが………。



ちょっと分かりやすく書いてみた『M★A★S★H』のあらすじというか、この話の骨格である。


と、いうのも、この映画、たくさんの登場人物たちが次々現れるわりには、個人の名前以外にも、ご覧のように通称なんてモノが、一人一人にあって、1回観ただけじゃ、とても覚えられないかも。


その人物たちを区別して覚えるだけでも大変なのに、通称なんてのがあれば、「誰が誰だっけ?」って頭こんがらがってしまう。(自分は、とても1回観ただけじゃ覚えられませんでした)



おまけに、ドナルド・サザーランドや、トム・スケリット、エリオット・グールドたちも出ているのだが、この3人も、いつものそれとは、全く違う容姿なので、最初観た時は、「この人が、誰々でいいんだよね?……」と、ゆっくり確認しながら観るという、今回ばかりは、特別な念のいれようでした。



ビートルズのように前髪をそろえたストレート・ヘア、ブラウンのサングラスをしているのが、ドナルド・サザーランド。(クルクル・パーマで口髭のサザーランドを見馴れていたせいか、「本当に誰?」って感じ)


中央の一番若そうなのが、トム・スケリット。(こちらも『トップガン』で口髭をたくわえた中年のスケリットしか記憶に残ってないので、「髭がなくて、若い時のスケリットって、これ?」と妙な違和感)



エリオット・グールドなんて、特に異様に感じた。


髭もじゃで、髭ダンスみたいな姿は、もはや、誰とも判別しにくいかも。(「グールドだよ!」と言われなければ、ただの山男だよ、これ! (笑) )


こんな3人だけでも、とりあえず覚えて判別できれば、やっと映画の内容に入っていきやすいかも。




酒はマティーニを愛し、暇さえあれば女看護師を口説くホークス・アイ。


デュークは、デュークで、お祈りの合間に現地の少年に読み書きを教えるバーンズ少佐をからかったりする。


そして、その少年には内緒で、「絵があったほうが覚えやすいだろう」と、過激なエロ本をあげちゃうデューク。


ホークス・アイは、昔トラッパーとアメフトの試合で知り合いだった事を思い出した。


「お前、あの時のトラッパーか?!」

こんな3人は、たちまち仲良くなる。



でも、こんな奴らを、あのお堅いバーンズ少佐は苦々しく見ている。


3人は3人で、クリスチャンでお堅くても、死人が出れば他人に罪をなすりつけるバーンズ少佐のひねくれた性格が大嫌い。


とうとう、ある日、トラッパーが、そんなバーンズを殴り付けてしまった。


そこへ、軍から派遣されてきた、お堅い女性将校『ホーリハン少佐』に、その現場を見られてしまったのだから、さぁ大変だ。



トラッパーは、しばらくの間、宿舎に逮捕監禁。


でも……「司令官のブレイク中佐は甘いわ!軍に告発状を送るわ!!」と、軍の規律が一番のホーリハン少佐は、ひとり、プンプン息巻いく。



ホークス・アイにもお説教するホーリハン少佐。


「軍では上下関係が第一。規律を乱すあなたたちは最低だわ!!」と。


美人でも、軍人バカのホーリハン少佐に辟易する3人。



こんなホーリハン少佐、憎む相手が同じなのか、次第に、あのバーンズ少佐と意気投合していく。


「あなたに出会えたのは神のお導きだ!」と、バーンズ少佐もホーリハン少佐にメロメロになっていく。


「まぁ、うれしいわ。抱いて!抱いてちょうだい!バーンズ少佐!!」軍の規律には厳しくても、女の本能がバーンズ少佐を欲してしまったホーリハン少佐。(どこがお堅いんだろう (笑) )



夜のテントの中で、二人は激しく求め合いはじめた。



と、そこへ、(チャ~ンス!!)とばかりに、仕掛けられた隠しマイク。


二人の喘ぎ声は、実況放送され、他のテントにまで大音響で響き渡った。



大きな声で、「Oh!、No!、Oh!」と悶えるホーリハン少佐は、次第に自分の声で我にかえる。



「キャアーーーッ!!!」


そして、次の日から、ホーリハン少佐の通称は『ホット・リップス(熱い唇)』と呼ばれるようになったのだった………。




戦争の悲惨さなんて微塵もない、戦争を茶化して、馬鹿にして、こんな風刺的なブラック・コメディを作り上げてしまったロバート・アルトマン監督。


アルトマンの、この『M★A★S★H』は、珍しい切り口で、当時、皆を驚嘆させて、たちまちアルトマンの名を世界中に広めた。



カンヌ国際映画祭ではパルムドールを受賞したり、アカデミーでも脚色賞までとってしまう。

それまで、異端児すぎて、あちこちでつまはじきにされてきたアルトマンなのに。(天下のワーナーには首にされてるしね)



ただ、早くから、このロバート・アルトマンの才能に、いち早く目をつけていた人物がいる。



あの、アルフレッド・ヒッチコックである。


「あいつ、面白い!」と、自分のテレビ番組『ヒッチコック劇場』の監督をさせたりしている。



確かに、ハマれば面白いロバート・アルトマンの映画なんだけどねぇ~(でも、この『M★A★S★H』にしても、私のように、1度観たくらいじゃ理解できない人もいるかも)



それに、この映画、どきついイタズラを公然と描いていて、それをおもいっきり茶化しているし、今のハリウッドでは、これを《良し!》としないはず。



この後も、映画は続き、3人組の破天荒さは、さらにエスカレートしていく。


たわいのないイタズラとして受け取れない人には、あんまりオススメできないかな~。(自分は充分面白かったし、笑えたのだが……)


とりあえず、今の時代に配慮して、星★★★とさせて頂きます。(ちょうど、タイトルに★が3つ入ってる事だしね)



それにしても…戦争中に、ゴルフしたり、芸者遊びしたり、アメフトの試合したりして、本当にいいのか?こんなんで?!


「これでいいのだ!!」(by ロバート・アルトマン (笑) )


2021年1月1日金曜日

映画 「コマンドー」

1985年 アメリカ。





マーク・L・レスター監督といえば、以前、このblogでも取り上げたバイオレンス・アクション『処刑教室』や『クラス・オブ・1999』に、大興奮させられた。


アーノルド・シュワルツェネッガーといえば『ターミネーター』を代表作として、真っ先に挙げる人もいるかもしれない。


でも、それらの二人がタッグを組んで傑作といえば、自分の中では、そう!このコマンドーが一番に名乗りをあげるのだ。



とにかく『コマンドー』がテレビで放映されれば、今まで観た事がない人も、何度も観た事がある人でも、皆が興奮して大騒ぎする。


血沸き、肉踊るとは、この事かというくらいである。


最近では、ネットでも『コマンドー』がどこかで放映されれば、《コマンドー祭り》なんて呼び名までされている事に、嬉しく思い、ちょっと驚いてしまうくらい、この『コマンドー』は人気が高い。



ストーリーはいたって簡単。(この分かりやすさが皆を引き込みやすいのかも)



元コマンドー部隊の指揮官『ジョン・メイトリクス』(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、退役後、一人娘の『ジェニー』(アリッサ・ミラノ)と人里離れた山の中の山荘で、のんびり平和に暮らしておりました。



そこへ飛んでくる軍のヘリ。(何だ?何だ?)


ヘリから降り立ったのは、二人の部下を伴った元上官のカービー将軍。


「お前の昔の部下たちが、次々と何者かに暗殺されている。お前も注意するんだ。」


親切なカービー将軍は警戒するように、わざわざ、遠路はるばる忠告しにやって来たのだった。(電話は通じてないのかな? まぁ、山の中だしね。もちろん携帯なんてのも当時はない)


そして、またまた親切なカービー将軍は護衛の為にと、二人の部下を山荘に置いていくと、「達者で暮らせよ~!」とばかりにヘリに乗って帰っていった。



そのヘリの姿が見えなくなるまで、ジョンとジェニーが見送っていると……いきなり、そこへ機関銃の嵐!(ダ、ダ、ダ、ダッ!!)



謎の暗殺者たちは、とっくに山荘のそばまでやって来ていて、カービー将軍がいなくなるのを、ずっと待ち構えていたのだ。


ジェニーを抱えて、咄嗟にふせるジョン。


護衛の二人は、アッ!という間に撃たれていた。(全く、良いとこ無しの役立たずな護衛たち)


急いでジェニーと山荘に逃げ込んだジョンは、「ベッドの下に隠れてろ!!」とジェニーに指示した。


(とにかく……何か武器がなくては……応戦できないぞ、こりゃ……)


武器庫までジョンが、なんとかたどり着き、武器を抱えて戻ってくると、


「パパーー!」

哀れジェニーは暗殺者たちに、とっくに捕まり、その車は遠ざかろうとしていた。(ジョンも大概ドジっ子。元コマンドーなら武器くらい近くに置いておきなよ (笑) )



連れ去った車を追おうにも、自分の車は、(ゲゲッ!)エンジン・ルームまでも破壊されてる。


「こうなりゃ、ヤケクソよ!」とばかりに、ジョンは壊れた車を山の斜面まで、エイコラ押していき、それに乗り込んだ。(この筋肉ですから)


勢いをつけて、車はどんどん加速しながら、敵の車の一台に激突!大炎上となる。


そして、命からがら車から這い出てきたジョン。


だが、あっさりジョンは敵に拉致されたのだった……。




ここまで書いてみても、まるで良いとこなしの『ジョン』(シュワルツェネッガー)。


でも、そんなジョンに、敵である暗殺集団たちは、娘ジェニーを人質にして仕事の依頼をするのである。


ジョンの周りをズラリと囲んだ、いるわ、いるわ、の人相の悪い悪党たち。


「バルベルデの国に行って、今の大統領を殺してこい!君は大統領に信頼が厚い。間近に接近できるはずだ。」


悪党のリーダー格でバルベルデの元大統領『アリアス』(ダン・ヘダヤ)は、無謀ともいう要求をジョンにしてきた。


「断れば娘がバラバラになるぜ!」

ジェニーの首に狩猟ナイフを突きつけているのは、かつてジョンの部下で性格に難ありだったサイコ野郎『ベネット』(ヴァーノン・ウェルズ)だ。


愛するジェニーを、目の前で見殺しにできるはずもなく………敵の要求に渋々承知するジョン。



空港に連れて来られたジョンは、監視役と一緒にバルベルデ行きの旅客機に乗りこまされた。


「バルベルデまで何時間かかる?」

「11時間ですわ」客室乗務員の女性は、ニッコリ笑ってジョンに答えた。


客室乗務員がよそを向いてる隙に、自分の横に座っていた監視役の首をねじきって、あっという間に殺すジョン。(オイオイ)


毛布をかけて、帽子で顔を隠すと、「あ~、すまないが相棒を離陸まで起こさないでやってくれ。眠たそうなんだ」と一言。(ジョン流ユーモアである)


その後、ジョンは、他の乗客たちに見つからないように、ソーッと立ち上がると旅客機の奥へ奥へと進んでいった。


そのまま前輪格納室まで行くと、今、まさに飛び立とうとしている飛行機の前輪に掴まりながら、ソロリソロリと降りてくる。(あ、あぶねぇ~)


さぁ、飛行機が飛び立ち、沼地に差し掛かった時、ジョンは沼地めがけて、まっ逆さまにダイブした。

しばらくして沼地から這い出てくるジョンに怪我なんてものはない。ピンピンしている。


ジョンは、はじめから大統領の暗殺なんてする気もないのだ。


(旅客機がバルベルデに着くまで11時間………それまでにジェニーを探しだして救わなければ………)


寝ていた虎は今、目覚めて、やっとエンジンがかかり始めたのだ。


ジョン・メイトリクスが大暴れする!!





ここまでで、映画は全92分間の内の30分にも満たないのに、今更ながら驚いてしまう。


サクサク話は進んでいき、無駄なモノなんてのは一切ない。


最近の映画がダメダメなのは、無駄に時間を引き延ばそうとして、映画にとって大切なリズム感を阻害している事なのだ。(映画関係者たちは気づいてほしい)


ごく最近、このblogでも取り上げた、シルベスター・スタローンの『コブラ』にしても、たった89分だった。


そりゃ、撮影したシーンに思い入れがあったりして、全部入れたいのは分かるが、この削るという作業も、また大事なのである。


無駄なモノは無駄だと、割りきって切り捨てていく。


そうすれば、ほら、こんなリズムの良いアクション映画が、見事に完成するじゃ、あ~りませんか?



そして、無駄なモノがないといえば、この『コマンドー』のシュワルツェネッガーの肉体である。


当時、38歳。まさに脂のノリきった時期で、筋骨粒々、ムッキムキのピッチピチ!

この『コマンドー』での、シュワルツェネッガーの盛り上がった上腕二頭筋を見るたびに、自分なんか、まるで美味しそうなクリスマスの食卓に並ぶローストチキン🍗に見えて、かぶりつきたくなる衝動になってしまう。(変態か (笑) )



娘ジェニー役のアリッサ・ミラノは、この映画の出演で、一時ティーンのアイドル的な存在になっていた。

映画雑誌『ロードショー』や『スクリーン』などでアリッサの特集が組まれるなど日本でも大人気。(その後、残念ながら作品に恵まれず消えていったが)


現在(2021年)、コロナに感染しているアリッサ。

抜け落ちる髪の毛の動画なんてのを見てしまうと、なんか痛々しい感じで可哀想である。(どうかお大事にね)



映画は、この後も、もちろん続いていき、もう『ジョン』(シュワルツェネッガー)のヤリタイ放題が、あちこちで炸裂する。


通りすがりの一般人女性『シンディ』(レイ・ドーン・チョン)を強引に巻き込んで、あちこちで大暴れ。(「あたしは関係ないのに……」と言って、最初はイヤイヤだったシンディも、どんどんジョンに感化されていき、後半はロケット・ランチャーで護送車を爆破するという、変わり様である)


敵を電話ボックスに入ったまま放り投げてみたり(こんなの絶対に常人には無理!)、


ショッピング・モールの天井から釣り下がっている風船につかまりながら、ターザンのごとくとんでみたり、


武器庫を襲撃したり、


はたまた水上飛行機を強奪したりと ……


まぁ~、次から次へと楽しいことよ。



そして、ラスト、敵のいる孤島での大暴れ。


コロナで鬱窟した日々に、悶々と耐えている今こそ、こんな映画が、ストレス解消や発散になるんじゃないかな?


これは文句なしの傑作といえるだろう。


グダグダした理屈はいらないのだ!

星☆☆☆☆☆であ~る。


※それにしても、シュワルツェネッガーの腕は、かぶりつきたくなるほど美味しそうだ。(本当、馬鹿!(笑))