1979年 香港。
最初に書いておく。
この映画は とっても面白いし、大傑作だ!
初主演のユン・ピョウが素晴らしいのはもちろんだし、他の出演者たちも皆、大好きになった。
何でこの映画を今の今まで観てこなかったんだろうー。バカ!バカ!私は大馬鹿ヤローだぁー!(まぁ、前の『燃えよデブゴン5』なんて糞タイトルじゃ、はなから観る気もないけどさ(笑))
↑『レイ』(ユン・ピョウ(左))と『マー』(レオン・カーヤン(右))は詐欺師コンビ。
運動神経が良くて、ちょいと悪知恵が働くのがレイ。
そんなレイをサポートするのが、少々ドジな相棒・マーである。
二人は間抜けな質屋の親子を騙くらかして、まんまと大金をせしめるのだが、分け前の事で内輪揉めしているうちに、そのお金を無くしてしまう。
「なぁーに、また別のカモを探せばいいさ」
前向きなレイの提案で、今度は食堂にいた白髪の中年男をターゲットにするも、あっさり返り討ち。
↑ご覧のように、二人はコテンパンにやっつけられた。
でも、ここでもメゲないのが前向きなレイとマーのコンビ。
「是非、俺たちを弟子にしてください!」と自ら弟子入り志願。
凄腕の拳法遣い『モードゥ』(ラウ・カーウィン)は、そんな二人の弟子入りを許して、手慰み程度に拳法を教えてやるのだが ……
でも、この師匠・モードゥには、何やらドス黒い《秘密》がありそうだぞ。
モードゥを狙って、妙な殺し屋二人組がやって来るし。
レイとマーは、師匠・モードゥを手助けして何とか殺し屋たちを倒したものの、またもや別の男が師匠・モードゥの人相書を持って二人の前に現れる。
このモードゥの正体、やっぱり《古ダヌキ》の異名を持つ大悪党だったのだ!
強盗犯の大ボスで、先程の二人組は、以前の強盗仲間。
モードゥの裏切りでムショ送りになっていたものの、ようやくシャバに出てきて、モードゥに復讐する為にやって来たのだ。(でも、あっさり瞬殺されたけど)
この人相書を持っていたのはお役人。
そんな事にも気づいていない単細胞なレイとマーはモードゥの居場所をペラペラと喋ってしまう。
だが、このお役人も強すぎるモードゥには、まるで歯が立たず。
これまた、あっさりと殺されてしまう。
運の悪い『レイ』(ユン・ピョウ)は、偶然、事の成り行きを全て聞いてしまった。
「オマエ、私の正体を知ってしまったのか …… 」
躊躇もなく、非情なモードゥはレイを殺そうと襲いかかってくる。
たとえ、弟子にしたとしても自分の保身のためなら、情けなど一切無用。
心底冷酷になれる男、それがモードゥの正体だったのである。
今やレイの命は風前の灯火。そこへ ……
「やめてくれぇーーー!」
遅れて駆けつけたのは、相棒のマーだった!
訳の分からないマーだったが、殺されかけてるレイを救い出し、代わりに殴られ蹴られ続けてる。
それでも必死になってレイを庇おうとする健気な『マー』(レオン・カーヤン)。
「逃げろ!逃げるんだー!オマエだけでも生き延びてくれぇーー!!」
「おのれ〜、見ておれモードゥ!、オマエより強くなって、絶対にマーのかたきをとってやるぅ~!」
それは復讐を決意した、精悍な男の《顔》なのであった ……
ここまでが、この映画の中盤過ぎ。
ここからが、猿をつれた浮浪者風の男(サモ・ハン・キンポー)の指南をうけて、レイの凄まじい修行場面になっていくのだが(その正体は隠密役人) ……
とにかく、ユン・ピョウや他の俳優たちも素晴らしいんだけど、私としては レオン・カーヤンの印象がとてつもなく強く残る。
ハッキリ言って、レオン・カーヤンの功夫(クンフー)は、他の人たちに比べて段違いに ヘタクソだ。
特典映像で、本人も自らコメントしているが、元々、何の基礎すらも無いような状態で、功夫映画界に駆け込みで飛び込んでいったそうな。
そんなズブの素人に、手取り足取り、イチから教えていったのはサモ・ハン・キンポー。
自分の映画の端役で使いながら、功夫の基礎を学ばせる。
そうして、とうとう、こんな重要な役(ユン・ピョウの親友役)まで与える事になったのである。(だからこそ、サモ・ハン・キンポーは偉大なのだ。分かってもらえるかな、皆さま?)
レオン・カーヤンも、そんなサモ・ハンの期待に応えようと下手なりにも必死だ。
その《必死さ》が観ているコチラ側にも伝わり、胸をうつ。
時折、この人の愛嬌の良さが見え隠れしてるが、多分、地の性格がとても良いのだろう。
今では、立派に実力をつけて武術指導者にまでなったレオン・カーヤンは、いつまでもサモ・ハンへの恩義や感謝を忘れない。
そうして、だいぶ脱線したが、レイの修行場面。
縄跳びしながらの連続バック転、腕立て、宙返り …… もう、ユン・ピョウのとてつもない身体能力を、我々は目にする事になる。
コレを観たら、あの「『プロジェクトA』や『ヤング・マスター 師弟出馬』のユン・ピョウは何だったの?」と思ってしまう。(兄貴分のジャッキー・チェンに遠慮して、だいぶチカラを抑えていたのかしら?)
クライマックスは宿敵・『モードゥ』(ラウ・カーウィン)との怒涛の闘い。
『レイ』(ユン・ピョウ)が、連続ウルトラCやら、華麗な足技を繰り広げながらも、中々、簡単には倒れてはくれない『モードゥ』(ラウ・カーウィン)。
この闘いはいつまで続くのだろうか …… (何十分も闘い続けている)
時間が過ぎれば過ぎるほど、モードゥのスピードと強さは、どんどん凄みを増してくるばかりだ。(本当に憎たらしいほど、強すぎるオッサンだ(笑))
見かねたサモ・ハンがユン・ピョウに加勢するも、二人がかりでもモードゥには中々敵わない様子。😱
ラウ・カーウィンの強さに、本気で立ち向かっていくのは、まるで血反吐を吐くようなものなのだ。(まだ、こんな強敵になる人材がいたとは!恐るべし、当時の香港映画界の層の厚さよ)
この映画は米サイトが選んだ「死ぬまでに観るべきクンフー映画」として認定されている。
私の評価も、もちろん星☆☆☆☆☆。(久しぶりにこんな面白い映画を観たわい)
ラストまで瞬きすら与えてくれない男たちの真剣勝負!
どうぞ、ご堪能あれ。