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2020年8月19日水曜日

映画 「ミニミニ大作戦」

1969年 イギリス、アメリカ合作。







マイケル・ケイン主演の『ミニミニ大作戦』を20年ぶりに観た。(本当にダサい邦題。原題のThe Italian Jobの方が、ずっといいのに)



昔、観た時もなかなか痛快で面白かったけど、今回久しぶりに観れば、色々な発見も新たにあった。


マイケル・ケイン以外にも、「あ、この人知ってる!」や「あ、この人も出ていたのか~」なんてのが分かってきたのだ。



それだけ自分が数多い映画を観てきたからなのだ、と思うと、なんだか嬉しくなってしまう。



全く映画には関係ないのだけど、少しだけ、ここにツラツラ書いてみようと思う。



★ノエル・カワード……最近、このblogでも挙げた『バニー・レイクは行方不明』で、主人公キャロル・リンレーが借りるアパートの気持ち悪い大家さんだった人。


この『ミニミニ……』では、刑務所で囚人にもかかわらず、貴族のような威厳で看守や刑務所長を顎でこきつかう大物『ブリッジャー』を演じている。




独房には壁一面に貼られた女王陛下の写真、上等なソファー、贅沢な食事。

「これで、本当に囚人なの?」って感じだ。




元々俳優が本業でないカワードは、映画監督をしたり、演出したり、脚本を書いたり、作詞作曲したりと、ジャンルをとわないような幅広い活躍をした方。


どうも、俳優の方は頼まれて(しぶしぶ)その合間で演っていただけらしい。(だから出演している映画も少ないので、たまたま2本観た私はラッキーだったのかも)


その独特な風貌は強烈で、1度見たら強く印象づける。

そして、多才で天才。


この『ミニミニ…』の、ブリッジャー役の威厳もそんな背景を知ってしまうと納得である。






★ラフ・ヴァローネ……つい先日、またもや、blogで挙げた『にがい米』に出演。

シルヴァーナ・マンガーノが好きで言い寄る『マルコ軍曹』を演じておりました。(この人も、この映画に出ていたんだ!)



さすがに『にがい米(1949)』から、この映画までは、20年も経っているのでその容姿もだいぶ変わっている。


あんだけ胸毛全開で、セクシー軍曹だったヴァローネさんも、歳をとるとだいぶ恰幅がよくなっていて、ちょっと厳めしい顔つきになっている。




元々おち窪んでいた目が、さらに窪んでいるような。



この『ミニミニ……』では、冒頭から、大勢の部下を従わせてトンネルにショベルカーを待機させて相手を車ごと殺害するという、非情なイタリアン・マフィアの首領『アルタバーニ』役。(残酷~)


その後も、主人公『チャーリー』(マイケル・ケイン)をつけ狙ったりする。
(長い歳月は、この人を、こんな悪役顔に変えちゃったのかぁ~)と思うと、その間、出演している映画なんかも、なんとなく気にもなったりして……





映画の話に戻そう。


『チャーリー』(マイケル・ケイン)は、2年の刑期を終えて、やっと出所したが、ヤッパリ根っからの悪党ぶりは直らず、すぐに盗みの仕事が舞い込む。


それは亡くなった知り合い『ロジャー』が計画していた仕事だ。(冒頭、イタリアン・マフィアに殺された残念な人)


「イタリアのトリノで、交通麻痺を起こさせて、その混乱に乗じて銀行から輸送されてくる400万ドルの金塊を奪うんだ!」


ロジャーの妻から渡されたフィルムを再生すると、映像のロジャーはチャーリーに向かって、計画の一部始終を、まるで遺言のように語りだした。


(大変な計画だ………人手がいるし、助けが必要だ)


チャーリーは、イタリア・トリノの刑務所で、王様のように振る舞う『ブリッジャー』(ノエル・カワード)に、すぐさま相談する。




最初は、あんまり乗り気じゃなかったブリッジャーだが、次第に気持ちが変わってきたのか、外にいる部下たちに、

「チャーリーに協力しろ!」と言ってくれた。




さぁ、そして、金塊が運ばれてくる日。


トリノの町の片隅に、《赤》、《白》、《青》の三台のミニが待機する………






もう、この後は、この3台の車が大活躍!



無事に金塊を盗みだすと、この色違いの3台のミニクーパーに載せて、さぁ逃亡。


逃げろや、逃げろ!



追ってくる警察の追走をかわしながら、地下鉄を、ドームの屋根を、下水溝をと、あらゆるイタリアの町中を、ビュンビュン走りまくる。



その3台のミニの走りが、あまりにも軽やかなので、まるで音楽でも聞いているようである。



どんな悪路もスイ、スイ、スイー!、と進んでいくのだから、観ているだけで、チョー気持ちがいい事。




今のような猛暑の夏、風をきって軽快に走る3台のミニの映像は、ちょっとしたストレス軽減にもなるし、ピッタリかも。


こんな疑似体験ができる映画もあまりないんじゃないかな。


オススメ!

星☆☆☆☆であ~る。

※でも、3台のミニが走るなら、邦題は『ミニミニミニ大作戦』でもよかったんじゃないの?と、かるいツッコミでしめておく(笑)。

2019年11月10日日曜日

映画 「デス・トラップ / 死の罠」

1982年 アメリカ。





劇作家『シドニー・ブリュール』(マイケル・ケイン)の舞台、『殺しはフェア』の初日が開いた。


客は、充分に入っているがまだらな拍手。


たまらないシドニーは、barに行って、やけ酒を、あおらずにはいられない。


「大丈夫ですよ、まだ初日なんですから」

バーテンダーが慰めの言葉をかけるが、テレビをつければ、酷評の嵐。



家に帰りつけば、妻の『マイラ』(ダイアン・キャノン)が、開口一番、

「アァーーーーーーーーッ!アァーーーーーーーー!!」耳をつんざく叫び声。

(心臓が悪い妻らしいが、よくもまあ、こんなに甲高い声が、四六時中、出せるものだ。完全に林家パー子の意味のない叫び芸と一緒である)


シドニーの精神状態は、もうギリギリどころか限界点を越えていた。



追い討ちをかけるように、以前、講義をした学生が、初めて書いたという脚本のコピーを送りつけてくる。


タイトル『死の罠』……。


(ふん!タイトルだけは、まぁまぁ、だが、所詮、素人の書いたものだろ)


だが、読んでみると文句なしの傑作だった。

(ガーン!)


その時、シドニーに悪魔の声が囁く。

(何とかこの脚本を奪えないだろうか?、そう、相手を殺してでも!)


シドニーの本気か冗談かの言葉に、怯えるマイラ。

「アァーーーーーーーー!!、アァーーーーーーーー!!」(ほんと、うるさい!)




シドニーは、脚本を書いた学生のアンダーソンを早速呼び寄せた。

書いた脚本の現物を持ってくるように、と言って。



そして、夜半現れた、『クリフォード・アンダーソン』(クリストファー・リーヴ)。


「お招き、ありがとうございます。」

精悍で美青年のアンダーソンは、あこがれのシドニーの自宅に呼ばれて嬉しそうだ。


シドニーの邸宅には、ミステリーの劇作家らしく、珍しいコレクションとして、ピストルや剣、斧、手錠などの収集品が壁に飾られている。


それを、自慢しながら紹介しているシドニーの異様な目付きに、妻のマイラはビクビクしている。

「クリフ君は、私と二人で話をしたいと思ってるんだがね。」



シドニーが、マイラに、さりげなく退室をお願いするのだが、マイラは出ていこうとはしない。


(もしかして、さっきの言葉は本気かもしれない。………夫はアンダーソンを殺して、脚本を奪うつもりかもしれない)


そう思いこんだマイラは、何を言われても、ここを離れられない。





そして、アンダーソンも、なんだか居心地の悪さを感じてきたようだった。



「この手錠なんか凄くよく出来てますね」

コレクションの棚に目を向けながら、観ていると、


「じゃあ、はめてごらん」

と言うと、いきなりシドニーは、アンダーソンの両手に手錠をかけてしまった。


「外れません、ほんとに頑丈そうだ」

アンダーソンの笑顔もどこか強ばっている。




「コツがあるんだよ!思いっきり引けば簡単に外れるのだがね。」

シドニーの様子に、アンダーソンもマイラも、怯えはじめている。


「………僕には外せそうもないです」

「確か……鍵があったはずなんだがね……えっと……どこだったかな?」

あちこち探しまわりながら、シドニーの手が棚のピストルに手が触れると、アンダーソンもマイラも息をのんだ。



その時、「ほら、あったよ鍵だ!」


シドニーが鍵をさしあげた。

とたんに、ホッと、安堵する二人。


「なんだい?君たち二人は、私を疑っていたのかい?、私が殺そうとしているとでも?」

明るくいい放つシドニーに、緊張がとけた二人も、笑顔で応える。

「さぁ、外すよ」



その時だった!



アンダーソンの後ろにまわりこんだシドニーは、隠し持っていた鎖をアンダーソンの首に巻きつけたのだ。

咄嗟のシドニーの行動に、防御すらとれなかったアンダーソンは倒れこむ。


「アァーーーーーーーー!!、アァーーーーーーーー!!」

マイラの絶叫が部屋中を響きわたる。



シドニーは、渾身の力をこめて、倒れこんだアンダーソンの首を、これでもか!というくらいに締め上げた。


バタバタ抵抗するアンダーソンも、やがて白眼を剥いて、力尽き、動かなくなった。

「アァーーーーーーーー!!、アァーーーーーーーー!!」


マイラは、部屋中を走り回りながらも、まだ叫び続けている。


「いつまで騒いでいるんだ!遺体を外へ運び出すんだ!」

シドニーは、そう言うと、マイラに手伝わせて、アンダーソンを持ち上げた。




「フゥ~、痩せた奴で良かった。」

冷静なシドニーと泣きじゃくるマイラは、夜の暗闇の中、遺体と一緒に家から出ていくのだった。







監督はシドニー・ルメット。



見終わって観れば、あまりにもダイアン・キャノンの強烈な、耳をつんざく叫び声が、印象に残ってしまいすぎて、かなり損していると思う。(ゴールデン・ラズベリー賞受賞も納得)


『シーラ号の謎』にも、この方、でてらっしゃるけど、やはり、どこか頭カラッポ(失礼)な役どころだった。


顔立ちや髪形は、その時代に流行った、ファラ・フォーセット・メジャーズやゴールデン・ホーンに似ていて、充分に可愛いんだけどね。(なんせ、元ケーリー・グラントの奧さまですもん)




マイケル・ケインは、さすがなのだが、ローレンスオリヴィエと共演した『探偵 / スルース』には、ちと及ばない。(この時期あまりにも、スリラーもの、サスペンスものに出過ぎていて、いささか食傷ぎみ)






だが、この映画には、あの、クリストファー・リーヴがでている。


『スーパーマン』じゃないリーヴは、どうなのか?というと、なかなか演技派じゃないか。

若いし、精悍なハンサムさんで、だれにでも好かれる好青年と、したたかな野心家の二面性を、うまく演じていると思う。



これより、数年後のリーヴの落馬事故を思えば、この時期の姿を観ると、なんともいえないような気持ちになるが………。


リーヴは、落馬事故に遭う前に、もう一本、マイケル・ケインと共演している。

(1992年の『カーテンコール ただいま舞台は戦闘状態』だ。ビデオ時代に観た記憶があるが、こちらも舞台裏を俳優たちが駆けずり回るコメディだった。残念ながらDVD化は、されてない様子)




シドニー・ルメットも同年に『評決』を撮っているが、一年に二作も映画を撮ってお疲れだったのだろうか……。





話の筋書きを、もっとスッキリさせてほしかった気がします。




とにかく、「アッ!」と驚く『どんでん返し』も、これだけ連続で続くと、やや食傷気味。

もはや、後半のどんでん返しになると、完全に麻痺してしまって、(またかよ…)と思うほどで、驚きも何もなくなってしまったような感じでした。




映画は星☆☆☆とさせて頂きます。


それにしてもダイアン・キャノンがうるさすぎる(笑)

2018年10月14日日曜日

映画 「探偵〈スルース〉」

1972年 アメリカ、イギリス合作。







監督はジョセフ・L・マンキーウィッツ

間違っても、スルース《探偵》2007年(酷いリメイク)ではないのであしからず。







世界的に有名な探偵小説家『アンドリュー・ワイク』(ローレンス・オリヴィエ)は壮大なカントリーハウスに住んでいる。



そんな場所へ、颯爽とスポーツカーでやって来たのは、美容師で、自他共にジゴロを気取っている若い『マイロ・ティンドル』(マイケル・ケイン)だった。



裏庭は、複雑な迷路に刈り込んだ庭園で、そこを抜けると、やっと屋敷がみえてくる。



マイロは手紙でワイクに呼び出されたのだ。



屋敷に入るとワイクは、マイロに、

「妻と浮気している事を知っているぞ」と、いきなり切り出した。



そして、「妻と別れてもよい」とアッサリ言い放つ。


てっきり修羅場を想像していたマイロは、こんなワイクの言葉に、ただ、ドギマギするばかり。


「だが、妻は浪費家だ。美容師の君に、あの妻を養っていく事はできまい!」


(まぁ、確かに………)


「そこで、だ……」

「この屋敷の金庫から宝石を盗んでほしいのだ! そして、その宝石には多額な保険がかけてある」


こんな、とんでもない提案にマイロもビックリ、目をパチクリさせた。


「君には宝石が手に入り、私には多額の保険金が入ってくる。私も君も得になる! どうかね?」




《 偽装盗難 》……


マイロは、一瞬躊躇したが、だが、それもほんの一瞬だった。



元々、ジゴロで遊び人のマイロ。


(今までだって危険な橋を渡ってきたんだ……こんな得になる話はないじゃないか……彼女と宝石が手に入るなら……)


この奇妙な申し出を受けるのだった。





かくして、この壮大な屋敷の中で、偽装盗難の準備がはじまる。



だが、本当に、こんなワイクの言葉を額面どおりに信じてよいものなのか。


騙し、騙されて……だがマイロも、また、ワイクの上をいくような悪知恵を披露して……



やがて、それは二人の生死をかけた心理ゲームになっていく…………



『イヴの総て』や『三人の妻への手紙』など傑作を次々ものにしてきた、ジョセフ・L・マンキーウィッツの最期の作品。



ローレンス・オリヴィエもマイケル・ケインもアカデミー賞にノミネートまでされた作品。



この映画を観たのも、そうとう昔………まだVHSの時代だ。


久しぶりに観てみたい気もするが、観れない。




なぜならblu‐rayにもdvdにもなってないからだー!(声を大にして言いたい!!)




TSUTAYAの発掘良品アンケートでもかならず、名前があがるのに。

2007年のリメイクがあるから、別にいいじゃないか、と思う方々もいるだろうが、とんでもない!!



リメイクは、80~90分たらずだが、この本編は128分もあるのだ。



それに閑散としたワイクの住まい(2007年)に比べて、1972年版のワイクの屋敷の豪華な事。


屋敷にも探偵小説家らしく、色々仕掛けがほどこされていて、それがいちいち凝っていているのだ。(美術スタッフもこれらを用意するのに相当苦労しただろうと思うのだ)


こんなワイクの屋敷の中をのぞくだけでもワクワクさせてくれる。

もう、見事としか言えない!!




それに、さすがローレンス・オリヴィエの演技。

若いマイケル・ケインの演技を上手くひきだして、牽引していると思うのだ。




最初に観た時、衝撃的だった。


128分間、登場人物が最後まで、たった二人だけ。


こんな映画があったのか、と。




たった二人だけの映画………騙し騙されて、知恵をふりしぼっての、お互いの意地とプライドをかけた演技合戦。




だから、リメイクにも充分期待していた。




期待していて、とてもガックリさせられた。

まるで足元にも及ばない。




ジュード・ロウとマイケル・ケインは素晴らしいのに、監督が、あの『ケネス・プラナー』。




ケネス・プラナーの監督した映画を、これまで、全く面白いと思った事がない自分。

もし、違う監督だったなら………少しはマシなリメイクになったのでは?




それにしても、いいかげん、Blu-rayでもDVDでもいいから発売してほしいですよ。


VHSから、dvdやblu-rayに移行するとき、こんな見捨てられた作品が、まだまだ沢山ある。



メーカーさんには、是非、是非、頑張ってほしいと願う、私のとっておきの一編なのである。


星☆☆☆☆☆。